- 早川書房 (1978年10月18日発売)
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感想 : 123件
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784150103149
感想・レビュー・書評
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フィリップ・K・ディックで一番人気とも言われる本作。まだ全作品を読んでませんが、自分も読んだディック作品の中ではNo.1だと思いました。
あらすじ
1992年、企業が超能力者を雇う一方、その勢力に対抗する不活性者(超能力を無効化する者)を派遣する会社が存在する時代。主人公は、反エスパー派遣会社「ランシター合作会社」の主任測定技師のジョー(ジョーゼフ)・チップ。彼は、社長のグレン・ランシターから、ある企業の月面支社が大規模なエスパー潜入の疑いがあるとの依頼を聞き、社長と選りすぐりの不活性者11人と共に月面に向かいます…とこれ以上書くとネタバレになってしまいますね。
『偶然世界』にも出てきた、人の心を読む”覗き屋(ティープ)”などの超能力者たち。それらに対するアンチテレパスなどの不活性者や、時を逆行して過去を変えれる能力を持った謎の女性。死後まもない冷凍した人体と会話ができる”半生者”。ドアを開けて外出するだけで金がいる世界観などなど…道具立てもさることながら、ストーリーも起伏のあるミステリ仕立てで、とてもワクワクドキドキして面白かったです。
ちなみに、ディックの存命中は、あまり売れていなくて、お金に苦労していたせいか、主人公の名前はチップ。電気羊が『ブレードランナー』として映画が完成したのは、著者の死後ですからね。お金のかかるドアと、時間遡行したときのドアの話しのありように苦笑い。ほんとにお金に困っていたんだなと同情もしました。
ところで、ディックは、人によって合う合わないが激しい作家だと思いますが、シュレーディンガーの猫や量子論、あるいはスピリチュアル系なんかに興味がある人には会うと思います。例えば、映画の『マトリックス』を見て、あーそういう世界、アリかもしれないよね〜と思える人とかね。そういう人には、特におすすめです。
正誤 24刷
P233の16-17行目
“オーディオラ”ラジオに視線を移した。
↓
“オーディオ”ラジオに視線を移した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SF物語を久しぶりに読みました。
半生命や時代退行などの世界は面白いと感じました。
だけれど、私の読解力が不足しており、物語の半分くらいまで、生きている世界なのか、半生命(死者)の世界なのかは分からなかった。
体温の低下などで、ようやくどちらの世界かわかったのです。
SFの世界で設定がぶっ飛んでいたり、ありそうでない世界観を味わうことも良いかなと感じました。 -
生と死の中間である半生命という概念や、超能力集団とそれを無効化できる集団との戦いで、序盤から展開に期待するのも束の間、登場人物たちに何が起こっているのかを考えさせる展開は少し退屈感が。
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久しぶりのSFでした。難解な長編で、3分の2くらいまでは、さっぱり分からない展開でした。ジョーチップが、爆発で半生者になり、UBIKというなんというか退行現象を止めるもの(スプレー)をなんとか手にいれる。敵と味方とに分かれて戦うが、チップにも判断できず、最後の方でようやく分かるのです。理解するのに精一杯でした。今でもよくわからないとこ多いです。
また、超能力の描き方は、漫画のJOJOにも似ている部分もあるのではとおもいましたが、どうでしょう。場面の移り変わりは映画マトリックスにも似ているかもと思いました。
読み直したいが、再度読んで理解できるのかななんて思った次第です。 -
めちゃくちゃおもしろかった!
めちゃくちゃおもしろかった!!
めちゃくちゃおもしろかった!!!
すごいっ。
クライマックスから読後の現在、私の身体状況は「頭がクラクラして目の周りがピクピクして指先が痺れている」。
体の様子はまるで過呼吸の時のようだけど、お腹の底から楽しくて、顔はにやにやしっぱなし。
最高!
私があらすじめいたものを書いて、一体何の意味がある?
「わたしはユービックだ。(中略)わたしは<ことば>であり、わたしの名前は決して口にされず、誰も知らない。(中略)わたしはつねに在りつづける。」(p.315)
この部分を引っ張ってくるぐらいしか、私にはできない!!
あー、本当に、おもしろかった!!!興奮! -
凄まじい…
文字の羅列だけ見れば、スラスラと入ってくる類いの文章ではないのに
あっという間にディックの世界に惹き込まれて、引き返せなくなる。
一気に読み終えてしまった…
生涯のベスト5に入るんじゃないかくらい衝撃的。
ありがとう!!!(誰) -
超能力者による産業スパイ活動が日常茶飯事となっている近未来。超能力者集団の怪しい動きを阻止すべく集められた不活性者(超能力者の能力発現を阻止する能力を持つ者、いわば「反超能力者」)達を率いて月面に乗り込んだジョー・チップは、敵の返り討ちに遭って雇い主ランシターを失ってしまう。大きな痛手を受けて地球に帰還した彼らが見たものは、あらゆるものが古び朽ち果ててゆく恐るべき時間退行現象に見舞われた地球の姿だった。退行現象を止められるのはただ一つ、「ユービック」と呼ばれる謎の物質のみ。不活性者たちも一人、また一人と退行現象に巻き込まれて死んでゆく中、何とかこの現象を食い止めようと奔走するジョー。果たして時間退行現象の原因とは、そして「ユービック」とは?
うひゃー、やられた。面白いですわ。
冒頭の超能力者集団と不活性者集団の対決に至るストーリー展開で、これは手に汗握る超能力アクションが繰り広げられるのか!?と思いきや、この設定は途中からどうでもよくなりますヽ( ´ー`)ノいやホントにヽ( ´ー`)ノ。この「不活性者」というアイディアだけで充分SFが一本書けると思うんですけどね、ディックにはそんなことどうでもいいんですねぇ(笑)
それよりもキーポイントになるのが、同じく冒頭に登場する「半生者」というもの。事故や病気で死にかけている人間を冷凍棺桶にブチ込んで死期を引き延ばし、遺族や関係者が必要な時にだけ、脳を活性化させてマイクを通して会話できるようにする。生者の都合で脳を活性化させられるたびに死へと近づいて行く、死んだわけではないけど生きているとも言えない存在です。この何とも気色悪い(ディックらしいとも言える)存在が最初にちらっと登場するのですが、これが後々大きな意味を持ってきます。
ストーリーはディック作品にしてはかなりスムーズに読める方で、SFサスペンスとして、ちゃんと破綻なくまとまってます。とはいえ、物語全体に漂う不穏なムード、そこかしこに登場する薄気味悪いガジェットなどは実にディック的。時間退行現象が始まってからの重苦しい閉塞感に満ちた描写は、読んでるこちらも息が詰まってくるぐらい重い重い。救いがないのに前向きなラストも印象的。
またこのラストがねぇ。それまでの謎が解けて一応スッキリしたなー、と気を緩めたところにえっ!?Σ(-Δ-;ですよ。ディック節炸裂ですねぇ。
前回紹介した「虚空の眼」よりもディック臭が強い作品だと思います。でもかなり読みやすいので、初心者にもお勧め!(-_☆ -
「ユービックって何!?!?!?」
読む前も読んでる時も読んだ後も、この問いが頭から離れない、そんな本だった。結局ユービックってなんですか? -
PKD選挙第1位を獲得した人気作。
超能力者、非超能力者、そして反超能力者。
三つ巴の戦い。
半死者と呼ばれる存在もあり、なかなか面白い。
死んだのはランスター? チップ?
ユービックとは?
最後までドキドキしながら読めました。 -
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ディック特有の現実と虚構、生と死のような相反するものの境界を崩し、曖昧にされた世界観が展開される。ストーリーは時間退行現象が始まる中で、少しずつ手がかりを見つけていくミステリーのように読みやすい。前半と後半で全く印象が変わるが、それにしてもコイン投入式のドアはめちゃくちゃ不便そうだし、何より主人公のジョーがお金なさすぎてそのへんの描写は面白く読めた。一番最後の章があることによって一気に本書を読んでいる読者自身も物語世界に引きずり込まれるのが終わり方としてベストだと思った。
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初版1969年の時代に1992年の未来を描いた作品。超能力者から一般人を護るための不活性者を擁する良識機関が存在し、そして冷凍処理された死者との対話が可能になった未来。超能力者を追って月に行ったランシターやジョー・チップ一行だが、相手の策略にはまってしまう。そこからの描写は、時間が逆行する中でジョーが中心となっての謎解きの様相を示す。題名となった「ユービック」が重要な小道具となっている。この世界観は映画『マトリックス』のような感じだ。
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あらすじがネタバレと聞いたので一切見ずに読んだが、おおう、なんだこれ、すごい世界だ。と思わず嘆息してしまう。
超能力者、半超能力者という語感から、X-MENのような展開を予想していたら話は凄まじい勢いで違う方向に転がっていく。グイグイ読ませる怪作だった -
時は、1992年。
読心能力者(テレパス)や予知能力者(プレコグ)といった超能力者がはびこる世界。不穏な動きをみせる超能力者を阻止すべく月面へ向かったランシター率いる不活性者らは逆に超能力者の反撃にあってしまう!
辛くも超能力者の攻撃を逃れた技師ジョー・チップは他の不活性者らとともになんとか地球へ帰還するが…更なる異変が彼らを待ち受ける。
ミルクは腐敗し、タバコはひからびる。
退行していく時間によって、次々に倒されていく不活性者たち。
死んだはずのランシターから贈られる謎のメッセージ。
敵は誰で、何が起こっているのか。生き延びるためにはどうすれば…!
そして、ユービックとは何なのか…!
これはやられた。ディックおもしろすぎ。
スリル溢れる展開と複雑に絡み合ったミステリアスな物語は、最上のエンターテインメントといっても過言ではない。
超能力が産業スパイ目的で悪用されていたり、それを阻止する不活性者がビジネス化されていたり、自宅のドアを開くためにわざわざ5セント支払う必要があったりと、この独自の進化を遂げた世界観だけでも十分な面白みがあるのに…それらはあくまで背景でしかない。もう全ッ然関係ない。
序盤にパットの能力を見せ付けられた瞬間から、どこまでが真実か解らなくなってしまった。ディックって人は、にくいことをしますね。
物語も終盤に入り、複雑に絡み合ったいくつかの事象は整頓されて、やれやれ一安心したのも束の間、ラストで再び頭を抱え込むことになった。
ディックって人は、ホントにくいことをする。 -
ディック作品を読破したいので読了。
『ザップ・ガン』と違って「ユービック」がちゃんと物語のキーアイテムとなっていて、ユービックとはなんなのかというものを探りながら作品を読むことが出来るのでタイトルが作中に生きていて面白かった。自分が生きている世界に何が起こっているのか、何が現実で何が幻かを探ることを主人公とともに出来るのはディック作品の魅力の一つでありそれがこの作品では存分に味わうことが出来た。
ただ、終わらせ方はディック作品の悪い癖が出ていたように感じる。(ほん怖のようなゾッとさせるそうなオチをしたかったのだろうが結果的に煮え切らない終わり方になっていると個人的には思う)
他の人の感想を読んで「結局『ユービック』とはなんだったのか?」という意見が多くあったことが少し気になった。確かに作中で何が起源で誰が発明し作中のようなキーアイテムになったのかといった細かい解説はされておらず、クラムボンのような不思議さを持っているアイテムではある。しかし、作中の演出や進行において特別邪魔になったり違和感がでるほど情報開示がされていないわけではなく「ほどよく考察の余地が残されている」ものであるためそこにばかり固執する必要はなくあくまでエンドコンテンツくらいに捉えるのが良いのかなと個人的には思う。 -
この青く煌めく表紙のユービックを手に取ったそこのあなた!素晴らしいSF体験が待っていること間違いなし!用量、用法はお守りください
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一回読んだだけでは全くついていけない,時間が可逆的になった世界のディストピア的物語.時間と直結する生という概念が曖昧模糊となる.早々に朽ちる肉体を再活性化するユービックは,あたかも魂を人為的に追加するかのような効能を持つ.結局知的生命体が生命を制御できるようになっても,救いのある未来にはならない.
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ディック2冊目。
アンドロイドより面白い。
amzonのレビューにジョジョっぽいと矢鱈と書いてあるが、確かにジョジョっぽかった。
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