ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫SF)
- 早川書房 (1982年2月28日発売)
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感想 : 80件
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150104641
作品紹介・あらすじ
聞きたまえ! 億万長者にして浮浪者、財団総裁にしてユートピア夢想家、慈善事業家にしてアル中である、エリオット・ローズウォーター氏の愚かしくも美しい魂の声を。隣人愛に憑かれた一人の大富豪があなたに贈る、暖かくもほろ苦い愛のメッセージ……現代最高の寓話作家が描く、黒い笑いに満ちた感動の名作!
みんなの感想まとめ
人間の尊厳と隣人愛をテーマにした作品は、現代社会の厳しさを浮き彫りにしつつ、希望をもたらすメッセージを届けます。エリオット・ローズウォーターというユニークなキャラクターを通じて、ウィットとユーモアが散...
感想・レビュー・書評
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前から読みたかった一冊。この度めでたく復刊ということで、やっと手にすることができました。
この社会において人間を人間として扱うことがいかに難しいことであるか。そして救いの手を差し伸べる者が一人でも残っていさえすれば、この世界は必ず良くなっていくはずというヴォネガットの祈りと願いを感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『猫のゆりかご』の2年後の作品。どこか風味が似ている。ウィットとユーモアたっぷり、実によくできている。
エリオット・ローズウォーター。大富豪、ヒューマニスト、慈善家、インテリで、歴史好き、そして酒好き。そのハチャメチャな生き方。箴言もたくさんある。一番気に入ったのはこれ。「けちけちするな。親切であれ。芸術と科学は無視してもいい。どちらもだれのためにもならないからだ。」
エリオットの好きなSF作家はキルゴア・トラウト。66歳、現役の倉庫係。87冊のペイパーバックを出しているものの、ほぼ無名。代表作は『2BRO2B』、ツービーアーノーツービー。数ページ出てくるだけなのに、強い印象を残す。 -
ホントにこの作者の頭の中はどうなっているのか。毎度、ストーリー面白い
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本日読了。
グローバリズムが、あらゆる富を特定の国の特定の人物に集中さる現代を、恐ろしいほど的確に予見している。
ヴォガネット作品にはおなじみの架空のSF作家トラウトの言葉があまりにも重たい。
食料や機械やサービス、あるいは経済や医学のアイデアの生産者として、ほとんど全ての人物はやがて価値を失う。だから、ただ人間であるということにこそ価値を見出さなければ、もう抹殺しても良いということになりかねない、と。
集まった富を、あらゆる「役立たずの人間」に分け与えようとした者こそが、狂人扱いされる。
アイロニカルで軽妙だけど、ラスト数ページはあまりのも痛切。
ぐっときた。 -
たとえヴォネガットの作品が砂糖の錠剤ににがいコーティングを施しているだけのようなものだとしても、私は彼の作品が大好きだ。読み始めると
どんなに抑えても感傷的なきもちになってしまう。ギャグっぽくコミカルに書かれているところもあるが私は全然笑えなくてむしろ悲しい気持ちになってしまう。SFを数行でまとめるというアイディアも素晴らしいし、聖書に対する解釈や現代社会の問題点にヴォネガット独自の視点があるし、なにより登場人物達のドストエフスキー的な胸中の吐露が胸に迫る。泣いた。 -
読んでいて、どうすればいいのかわからなくなって、馬鹿みたいにぼろぼろぼろぼろ泣いてしまった。
ヴォネガットの作品はこれが初読だが、読む前からからそうなる予感はしていた。きっと泣いてしまうし、きっと辛いだろうと。その通りだった。
「カート・ヴォネガット・ジュニアの『ローズウォーターさん~』は、この作家が世界に宛てた、一番新しい、一冊の怒りのラブ・レターである」(ジュディス・メディル)
怒りのラブ・レター。まさしく。
これは愛についての物語である。そして金についての物語である。
一人の男が限りない愛と、限りなく限りないくらいの金を、その身に背負って、生きる話である。
誰を救えばいいのか、という話ではない。
何を変えればいいのか、という話でもない。
世界はあるがままに。そして人間もありのままに。
みじめな人生に電話での話し相手と、わずかなお金を。
何も変わらない世界に小さなユーモアを。
そして、新しい命へ「ようこそ」と。
そうそう、あとはこれ。
「なんてったって、親切でなきゃいけないよ」。 -
ジャンル不明。
お金と愛と狂気の物語。
SF要素としては、架空のSF小説のエピソードが紹介されたりはする。
基本的に、ストーリーやエピソードは意味不明だが、読後感は非常に良い。
おそらく、社会風刺になっているのだろう。
ヴォネガットは考えさせられる作品が多い。 -
序盤、エリオット・ローズウォーターがなぜこのような慈善の人になったのか、また彼を取り巻く貧しく不運な多くの人々の描写などが、まるで演劇の舞台を基礎から創っていくかのように細かく丁寧に描写される。この状況説明を読みこむのに時間がかかり、「この作品はタイタンの妖女みたいに自分には向いていないのか?」と思いきや、中盤から愛すべきエリオットという人が掴めるようになる(それまでの丁寧な描写がここで効いてくる!)と、どんどん面白くなっていき、最後高みに飛び立って、ストンと終わる。
でも。
私にはエリオットのような人間愛はきっと寂しく思えてしまうだろう。彼の妻が、彼を愛していても寂しかったように。彼の父が、常に息子に裏切られ憎まれていると思ってしまうように。彼に助けられたはずの人々が、彼にいつか捨てられると思い込んでいるように。
最後エリオットは晴れ晴れとしたはずだ。エリオットが幸せなら、ハッピーエンドじゃないか。なのにもやもやとしたある種の寂しさを感じてしまうのは、私が俗物だからなのかもしれない。 -
もしも完全に利他的な人間が、働かなくてもお金の手にはいるような大金持ちだったら?
これはヴォネガットのいつものユーモアと皮肉と笑いをまじえて大金持ち、エリオット・ローズウォーターの生き方を描いた小説。
エリオットの周囲にいる人間たちを同じ人間とも思わないような俗物らしいエリオットの父親は、誰をもを愛していると言っているエリオットに対し、特定の人間を特定の理由で愛する自分たちのような人間は、新しい言葉を見つけなければいけないと嘆く。
エリオットが「役立たずの人間」に奉仕するときの「愛」とはどんなものなのか?
住民たちのもとを離れ、もう戻りたくないと思いながらも、まだ見もしらぬ子どもたちのためにお金を与えるのはどうしてか?
助けてきた住民の名前も忘れてしまうエリオット。彼が愛するというとき、それは目の前の個人ではなく、人間という存在そのもの。特別な存在として自分を見てくれないエリオットを、他の人間は愛せないように思う。愛するにしてもそれは神への愛みたいなものか。
二つの愛という概念は、宗教をもっている人間ならわかるのかな? -
この手の小説ってあまり読む機会がなくて、ということはあまり好きではなくて、まあ正直言って本書もそんなに面白いとは思わなかった。
でも中盤の電話での会話の描写とか、終盤に群像が一つになっていく過程とか、小説としては実によくできているとは思う。
最後の方にあったトラウトの言葉
「いかにして役立たずの人間を愛するか?」
これはたぶんこの小説のテーマだろうし、実は僕の人生のテーマでもある。読後感は爽やかで良し。 -
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お金持ちは富を分配しろ!って庶民は思うけど、
本当に人のために尽くしたらどんなことになっちゃうのか・・・
中流階級以上にはキチガイと思われ、
貧しい人々には神と崇められ、
それでも本人は首尾一貫しているのが滑稽であり、切なくもある。
しかし最後の妻に会いに行くところからの超展開はすごかった。
え、火事?え、テレポート?記憶喪失?え、ケンカ?いつの間に???
ぜんぜんついていけなかった(笑)
主人公もなかなかついて行けてませんでしたが。
・・・ということは、狙い通りの効果だったのかもしれません。
彼のやったことは最後に他者の言葉によって説明され、そうしてようやく周りが理解できる意味を持つ。
だけどそれって本当の意味なんだろうか。
結局、芯の部分は誰にも理解されないまま、主人公は自分を貫き通したのだと思う。
他人なんて気にせずに自分の道を歩めという意味ではなくて、
他人を気にせず自分の道を歩めばどう見られるのか、どう見えるのか、
という皮肉なのかなあ。
全体的にシニカルな印象でしたー。
いちおSFになるのかな?
文章はフィリップ・K・ディックより素朴で読みやすいようだけど、
実は結構深くてイジワルでした。
いやーSFって本当にいいものですね! -
おもしろかった。今の世界、アメリカ、日本の暗部を深くえぐりだしてる気がする。
ヴォネガットはすごいと思う。
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面白い部分もあるのですが、はちゃめちゃ過ぎて訳が分からないところも多く、ちょっと世界観についていけませんでした。翻訳の問題??
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#89奈良県立図書情報館ビブリオバトル「贈りたい本」で紹介された本です。
2部制で実施の第1部。
1部は通常回で、2部は奈良県内の書店員によるエキシビションでした。
2018.4.21
https://m.facebook.com/events/1211793018923515?view=permalink&id=1413555225413959 -
①文体★★★★★
②読後余韻★★★★☆
カート・ヴォネガット・ジュニアの作品
