- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150104825
感想・レビュー・書評
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ハインラインのSF短編集。”深淵”は少年少女向けミステリー全集に”ノバ爆発の恐怖”というタイトル入っていたものでした。
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今年は夏のハインライン月間(3ヶ月位)やります。手始めに軽く短編集から。
ヒトの脳の手術で、未知の領域を切除したら、透視能力が失われた。そこから、脳の隠された通常使われていない領域に、超能力を発揮する部分があることを知った3人は、たびに出る。そこで出会ったのは数十年前に失踪した「悪魔の辞典」の著者ビアスらであった(表題作)。
1作目は監視社会と特殊能力者、2作目は催眠状態に陥ることでパラレルワールドへ飛躍、4作目は火星人と生物デザイナー。どの作品も2つ以上のSF要素を含んでいるため、話があっちこっちに飛躍し、せっかく掴んだ世界観が、数ページ後には普遍化して新しい領域に入っていく。そのせいで、全作品でストーリーもギミックもわかりやすいが、オチがかなり厳しいという印象。
しかし、矢野徹の訳をもしても、なんだかよくわからない訳があるのは、原文が相当凝った話なのだろうとは思う。(追記。矢野徹の訳の本は訳が悪い傾向が高いのがわかりました。なんだかなあ)
これからのSF作家(だけでもないけど)には、こういう作品を読んでもらいたいと思うのは、すべての超常現象に対して、それぞれが突拍子もなく出てくるわけではなく、なぜそれが生じたかというところを短い作品ながらしっかりと検証と説明しているところで、「なぜなら彼はエスパーだからだ」みたいな逃げを打っているものは1つもない所。ペガサスを作っても飛ばない。なぜか?
SFの教科書のような作品である。 -
とっても深い物語ばかりでした。
テーマは「人間」。
それぞれの物語の、人間の形。
ただし、最後の「猿は歌わない」は
人の扱われ方が少々、異なっています。
私が読んでいてとっても夢中にさせられ、
なおかつ深いな、と思ったのは
表題作でした。
その壮大すぎるほどの物語には、
聖書、神話、争いなど
多方面からのアプローチが
怒涛のごとくきます。
そして、人としての「危機」
現実ではおきてはいませんが、
今の世界は危機を迎えているのは
確かに思えるのは、気のせいでしょうか。
フィクションですが、
読み終わった後、なぜか大きくなったような
気がしてきました。
万人ウケこそしないのが残念ですが、
本当に面白かったです。 -
70年近く前のSFです。
私の好みはハードSF。しかも希望に満ちたものが好き。アシモフ・クラーク・ハインラインで育った世代です。この頃のSFには「未来は必ず良くなる」という確信に満ちたオプティミズムに彩られたものが多い。
で、その辺りを期待しながらの再読でした(多分、20数年ぶりの)
ちょっと肩透かし。〔あらすじ〕に書いたように、テレキネシス・テレパシーなどといったESP能力が一杯出てくる。う〜〜ん、ハードと言えないなぁ。オプティミズムはあるのだけど。。。
と言うわけで、少々面食らいながら読了しました。
最後の作品はアシモフのバイセンテニアル・マンを思い起こさせます。こちらの方がはるかに古いのですが。