スラップスティック または、もう孤独じゃない! (ハヤカワ文庫SF)
- 早川書房 (1983年9月23日発売)
本棚登録 : 692人
感想 : 42件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784150105280
みんなの感想まとめ
狂気や暴力が色濃く描かれた前作とは異なり、落ち着いた雰囲気が漂う作品で、独特のSF風味が楽しめます。物語はタイトルに反してドタバタ劇ではなく、深いテーマが隠されています。双子のキャラクターや自伝的要素...
感想・レビュー・書評
-
狂気や暴力を描いた前作とは打って変わって、落ち着いた作品になっている。相変わらずまえがきが素晴らしく、設定は少しSF風味。物語は題名ほどのドタバタ劇ではないが、その意味は読めばわかる。作者は奇形児でもなければ大統領でもないはずだが、どのあたりが自伝要素だったのだろう。ヴォネガットの中ではかなり好きな作品で、特に双子のキャラクターが良かった。決して明るい話ではないが、なんとも言えない著者の優しさが伝わってくる良作。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヴォネガットがどれだけ優しい人だったのかよくわかる
-
スラップスティック=ドタバタ喜劇。
世界観がとても好み。
中国に対する見方がヴォネガットが生きていた時代と今とリンクするところがあって、興味深かった。 -
スラップスティックとはどたばた喜劇を指すようです。あまり聞きなれない言葉。そもそも無声映画で作られたスタイルなので、小説で使われるジャンルではないのかもしれません。日本でいうと個人的には筒井康隆の作品にそういう匂いを感じるところですが、それとて正しいのかよくわかりません。
ただ、ヴォネガットの作品からは、全般的にこの「スラップスティック」のイメージがつきまといます。とにかくどの作品も登場人物がバタバタしている印象。まだ読了四作ですが、彼の作品はどれも普通のシナリオではありません。設定も舞台背景も、ワードチョイスも何もかもが異質。奇抜。だからといって読みにくいわけではない。舞台がわかれば、あとはなんなく物語に入り込むことができます。そんな作品だからこそ、その奇抜な展開のどこかに道徳めいた、核心をつくなにかを見つけてしまいがちです。本当にそんななにかが隠されているのかわかりませんが。。
本書もそんなわかるけど、よくわからない作品。とにかく肩の力を抜いて、シニカルでジョークな展開に、ただニヤニヤするのが楽しめる読み方かもしれません。 -
「チャンピオンたちの朝食」(1973)の次に発表された作品。
この作品から、ジュニアが取れて、カート・ヴォネガット名義で発表される。
「タイタンの妖女」(1959)、「母なる夜」(1961)、「猫のゆりかご」(1963)、そして代表作「スローターハウス5」(1969)に比べると、ややパワーダウンが感じられるが、それでもヴォネガットはヴォネガットだ。 -
『タイタンの妖女』よりは読めたけど、やっぱり合わないヴォネガット 。いまいち何が言いたいんだかわからない。アメリカのことしか書いてないからかな。
-
壊れた未来と姉弟の家族愛
-
悲しきインタギャラクティックラブ ハイホー
-
魅力のありかがどうにも分からない。分からないのだけど琴線に触れるなにかがある。そんな気持ちがしています。
無人島にもっていくとしたら? というときに上位に入ってしまうかも知れない一冊です。
傑作! だとか絶対におすすめ! などとはなかなか言えそうにないけれど。
フィクションとリアリティのバランスがよくて、シリアスとチャーミングも同じ場面に併存しています。 -
-
残念ながらこの作品は私には合わない
表紙 7点和田 誠
展開 3点1976年著作
文章 3点
内容 410点
合計 423点 -
久しぶりに読み終えたくないと思える本に出会えた。
-
奇抜なアイデアとユーモアが含まれた作品。はっとさせられるものがある。
-
考えずに読むと面白く、考えて読むと更に考えさせられて面白い作品。
シリアスな笑いとも呼ぶべき、糞真面目さとユーモアや皮肉が奇跡的に融合した文体は翻訳者に依る部分もあるかもしれないが、同氏の他作品にも興味がわいてきた。
ハイホー。 -
・愛をちょっぴり少なめに、
ありふれた親切をちょっぴり多めに。
・愛してるよ、のことばは、
人に、本心じゃないことを言わせる仕掛け。
・歴史にできるのは、われわれを次の驚きに対して準備させることだけである。
拡大家族に対する、彼の論文のよう。
血液型でも、星座でも、くだらないミドルネームでも。
同じものをもつだけで、親しみがわく。
孤独じゃなくなる。
どんなわかりあえないひとでも、なにか共通点を見つけること。 -
「作家の読書道」でたくさんの作家さんがヴォネガットの作品を取り上げていました。以前「青ひげ」にトライした時には全く読めなかったので、この作品で再トライ。
プロローグがなければ、何がなんだか分からない作品だったと思います。実のところプロローグがあっても、ほんの少ししか読み取れていいません。愛情ではなくありふれた親切で繋がった新しい「人工的な家族」を作り、運命と真剣に取り組む。その姿を「スラップスティック」としているようなんですが…。全然、ユーモアに思えなかったんです。自覚がないままに辛い体験をしてきた子供の話を聞いているような、寂しさや悲しさを感じてしまって。笑うとしたら、そんな自分の厚かましさや傲慢さでしょうか。緑死病やら重力の変動やら、どうやったって対処できないようなできごとの連続を受け入れて生きている人間たちは健気です。けど、ありふれた親切でどこまで対処していけるのか。実際の家族の間でも持ち得ない思いやりで人工家族を形成し続けられるのか。いやでも、そう思うのはコントの前提に真剣に突っ込んでるようなものなのか…。 -
SFというより昔話、民話の趣がある一冊。素晴らしかったです。色々なものが抽象化されて詰め込まれている気がする。特にお姉さんのくだり。
それにしても本の数十年前にはアメリカにもこんなに自由な思想があったのだ。アイロニックに見えて、今の視点から見ると逆にポジティブで牧歌的。
「(略)あなた方がもし諍いを起こしたときは、おたがいにこういってほしい。「どうか--愛をちょっぴり少なめに、ありふれた親切をちょっぴり多めに」」 -
この作品の「家族」ってのが心底ポジティブ。人類皆兄弟ってわけじゃないけど、ある程度多くの数の家族が必ずおり、必ず見捨てられない。そしてそれが相手を束縛する愛で成り立つのではなく、親切で成り立っているのが心地良い。
-
スローターハウス5以前の作品の方が好きなんですが、これは良かった!
優しい雰囲気に包まれた小説です
色んな場面が本当に秀逸
卒業記念パーティでの姉との再会シーンが素敵すぎる
前作のチャンピオン達の朝食は陰鬱とした雰囲気でしたが、こちらはほのぼのとしてます
ま、世界がほぼ終わる話なんですがね -
世界が終わり破壊されたあとにでも、人は家族として支えあいあるいは憎み合ったり離れたり、つまりは身内として生き、自分の血を新しい生命に託そうとする。末尾を締めくくるメロディの物語が示すように、たとえ世界が滅びてもその先にやはり希望はあるのだ
著者プロフィール
カート・ヴォネガットの作品
