第二ファウンデーション 銀河帝国興亡史3 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (1984年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150105921

感想・レビュー・書評

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  • 惑星ターミナスのファウンデーションを占拠することに成功したミュールは、密かに状況に介入しているらしい「第二ファウンデーション」の存在に気づく。物理的科学技術の牙城であるターミナスのファウンデーションと対峙するそれは、新たなる銀河帝国の興隆を企図した社会歴史学者ハリ・セルダンいうところの「星海の果て(スターズ・エンド)」に位置するはずの、精神感応力を武器とする社会集団。最強の予測不能要因だったミュールを無効化することに成功した「第二ファウンデーション」は、その力を認識するに至ったターミナスのファウンデーション(いわば「第一ファウンデーション」)の注目を浴びることになる。第二ファウンデーションの存在は、セルダン計画の遂行に当たってどのような役割を果たすのか?そもそも彼らはどこに位置し、どのように世界の流れを司っているのか??

    SF御三家の一員として名高いアイザック・アシモフのもう一つの顔、それは洒脱で軽妙なミステリ作家としての側面です。
    本作ではそのアシモフのミステリ作家としての力量が如実に現れており、SFとしての驚きは正直言ってそれほどではないものの、「謎解き」の面白さが存分に表現されています。理系的な知識は、全く必要ありません。論理的に整えられた文書を読み解く力があれば、全く問題なし。「第二ファウンデーション」は何故存在するのか、どこにあるのか、誰が率いているのか?最後まで読み切ると、あーそういうことだったのか!という爽快感が味わえますヽ( ´ー`)ノ

    ファウンデーション・シリーズの初期3部作は、これにて終了。
    この後もファウンデーション・シリーズは形を変えて続いて行くわけですが、鴨的にはここで読了してもそれはそれでありかな、という感慨はあります。未来への希望を感じさせる、良い終わり方だと思います。

  • 系・院推薦図書 3系(情報・知能工学系)
    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 933||AS
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/474211

  • 第二ファウンデーションが宇宙のどこに存在するのか,を前半はミュールにより,後半は第一ファウンデーションにより追求される.話の構造が複雑で,かつ抽象的な内容だが,ミュール,第一/第二各ファウンデーションが,現実の世界の何と対応しているのか,と考えると,アシモフは知的生命体の存在意義を一般化しようと試みたのではないかと思える.

  • これはSFの殻をかぶったミステリだ
    アシモフは SFのSFらしさが足りない

  •  銀河帝国興亡史、3部作の完結編。

     本作の主軸は「第2ファウンデーションはどこにあるのか?」である。わかりやすくワンテーマで物語が展開されるため、これまでの2作に比べると格段に読みやすいが、作品としての質が低下しているわけではまったくない。むしろ、探索の標的になる第2ファウンデーションとはどのような存在なのか、という副次的な関心事項がかえって私たちに大きな問題意識を投げかけている。それは、「私たちの世界の中に『ほんとうのこと』というのは存在するのか?」という問題提起であると自分は受け取った。

     第1部ではミュールによる探索、第2部では第1ファウンデーションによる探索が描かれる。第1部は事実上、前作の続きであるが、ミュールと第2ファウンデーションとの鍔迫り合いには息を飲むような緊張感があり、一気に読まされる。第2部は、さしずめアーカディア・ダレルという少女によるロードムービーの様相であるが、本作における真の主役は誰か?という点に関しては最後に驚きの展開が待っている。SFというよりもミステリー小説を読んでいるかのような感覚を味わえるが、全体としては哲学的問いを投げかけているという点ではやはりSFの特質を放棄してはいない。本作では、人間の精神における作用が物事の趨勢に大きく影響を与えることが描かれているが、精神医学のことすらほとんど知られていなかった1940〜50年代にこのようなテーマについて考えていたことにただただ驚嘆するばかりである。1980年代に書かれた続編にもぜひとも触れてみたい。

  • ミュールと第一ファウンデーション残党それぞれの第二ファウンデーション探索。第二ファウンデーションの優位点である「匿名性」が崩れていく。精神作用力を用いた対決の描写が令和の世でも新鮮。
    ところでミュール、心静かで幸せな時間を過ごせただろうから、彼の望みはかなったと考えたい。
    セルダン千年圧縮プランの半分が経過した段階で終了し、その後再びシリーズ再開まで30年待たされず、次へどんどん進めることは、ジェネリック読書の利点だなぁ(*^_^*)

  • 70年も前の大戦前後の時代に、これだけの想像力を発揮したSF小説がすでに出ているのが驚嘆。
    古い単行本で読んだが今でも色褪せることのない名作。  ついに映像化されるということで話題にもなっていた

  • シリーズ第三作。今までで一番SFらしく、内容も良い。話としては完全に前作の続きなので、続けて読むべき。第一部も第二部も、ミステリ的サプライズが楽しい。綺麗に終わっているので、読むのはひとまずここで止めて良さそう。

  • これまでのシリーズにおける「セルダン危機」は、その原因も解決法もどこか地球の歴史が透けて見えた。だが、今作で第一ファウンデーションが相対する「敵」は、一味違う。彼らは他人の感情を操作する技術を持ち、何よりもう一つのファウンデーションなのだから!
    自由意思を否定するような感情操作の技術は「セルダン・プラン」の影の面を浮き彫りにする。その点が全編を通じて問われるが、その問いかけの流れがそのまま感情操作の光の面も表していることが最後の最後に判明する構成となっている。
    これまで以上に予測不可能な展開に圧倒され、見事と言うほかない。

  • 図書館で借りた。予測はしてたが

  • 人類がいずれ作品内と同じ未来を辿るとはもはや思えないが、壮大な物語として楽しめた。
    数十年前の遠未来SF最高峰の作品。
    解説欄にてこの後のシリーズの概要が書かれてたのは抗議レベルの嫌がらせ

  • ファウンデーションシリーズの中で今のところ一番読みやすく、わかりやすい作品。
    「シリーズ」としてる為に全て話が繋がっているのだけど、前作の疑問が一章で解決され、二章では逆転に次ぐ逆転の冒険譚が語られるので飽きる事なく読み進められた。
    根底にあるセルダン・ブランが最終的にどのようになるのかはまだ掴めないが、それを信じてる人の力の流れを最終目標に誘うまでセルダンは考えているだろうというのは分かっているけど、具体的にどうなるのかはこれからの楽しみ。

  • 盛り沢山の三作目だった。ミュールと第二ファウンデーションの対決から始まり、アーカディアの大冒険へ。急にジュブナイルになっちゃった?と思わせといて、終盤はまたシリアスな展開に。二転三転のどんでん返し(?)の末、ついに第二ファウンデーションの秘密が明かされる。そしてラストで思わず嘆息。ひとまずこれで三部作は読み終わり。続編もいつか読みたい。

  • 万能でファウンデーションを征服したミュールでさえ、一つの不安に悩まされていた、それが第二ファウンデーションである。

    第二ファウンデーションを精力的に探すミュール。第二ファウンデーションもそのミュールに陰謀を仕掛ける。ミュールが第二ファウンデーションを打ち倒したと思った瞬間に、全てが覆る。

    第二ファウンデーションは、再びセルダン・プランを維持するために活動している。ミュールを失い、また立ち上がった第一ファウンデーションの「良識を持つ人々」は、第二ファウンデーションの脅威を除くべく、陰謀を巡らせる。「銀河の逆の端」という第二ファウンデーションの位置を確かめ、第二ファウンデーションの影響力を除外した。しかし、それはかつて第一ファウンデーションの英雄の孫娘に仕込んでいた安全装置だった。そして第二ファウンデーションは、「銀河の端」で、再び地下に潜っていく。

  • 前期 銀河帝国興亡史の結び 私にとってはバイブル
    表紙   6点鶴田 一郎
    展開   8点1953年著作
    文章   8点
    内容 780点
    合計 802点

  • アシモフのファウンデーションシリーズ三巻。

    やっぱり第二ファウンデーションはあそこだったのね。

  • 再読したが、恐ろしいほど覚えておらず新鮮な気持ちで読めた。1章は、前書の続編で登場人物もほぼ同じまま、ミュールによる第二ファウンデーションの探索とその結果を描いている。2章は、第二ファウンデーションによる心理学的な支配を危惧する第一ファウンデーションによる探索を描いている。アシモフらしくどんでん返しがある訳だが、なんと精神を操られて全てのことが第二ファウンデーションの手のひらで転がされていた!っていうのはご都合主義的やしないかと感じた.続編発表まで、長い時間かかったのはアシモフもご都合主義の塊のような第二ファウンデーションの扱いに苦労したからではと邪推した.

  • ・第一部 ミュールによる探索
    第一ファウンデーションを降伏させたミュールは、自らの銀河帝国設立の妨げとなるであろう第二ファウンデーションの探索を開始した。ミュールによって精神をコントロールされたハン・プリッチャー大尉とコントロールを受けていないベイル・チャニスが探索の任を受けた。チャニスは第二ファウンデーションの場所をタゼンダという星だと推理し、そこへ向かう。タゼンダ近くのロッセムという星で調査を開始したが、そこでプリッチャーはチャニスが第二ファウンデーションのスパイだとして逮捕しようとした。しかし、チャニスはプリッチャーが第二ファウンデーションによって干渉を受けていると言った。そこにミュール本人が現れチャニスこそ第二ファウンデーションの一人だと見破る。しかし、チャニスはプリッチャーのミュールによるコントロールを解除し、ミュールを襲わせようとした。二体一となったミュールは不利と思われたがミュールは宇宙艦隊による攻撃で第二ファウンデーションを滅ぼす準備をしていた。そこに第二ファウンデーションの第一発言者が現れミュールの精神をコントロールした。ミュールはこれ以降、平和愛好家となり帝国を保持した。

    ・第二部 ファウンデーションによる探索
    トランとベイタの孫であるアーカディ・ダレルは父のダレル博士とその友人の話を盗聴器を使って盗み聞きしていた。電子神経学者であるダレル博士とその同僚の教え子であるペレアス・アンソーアにより、一部の人間が第二ファウンデーションから精神に干渉をうけていると報告された。そこで第二ファウンデーションの情報を求めてミュールの宮殿での調査を行うことにした。ホマー・マンはミュール研究科として有名であるためこの任に当たることとなった。ミュール宮殿のあるカルガンへ出発したホマー・マンはその途中ロケットに隠れていたアーカディを見つけた。盗聴した内容からロケットに潜り込み、結局、共にカルガンに到着した。アーカディの機転もありカルガンの君主ステッティン卿に会い、ホマー・マンはミュール宮殿の調査の許可を得た。しかし、ステッティン卿は第一ファウンデーションへ戦争を起こし、ホマー・マンとアーカディを拘束しようとした。ホマー・マンは捕らえられたが、アーカディはステッティン卿の愛人のカリアによって助けられトランターへ逃げることができた。その途中、トランター人であるプリーム・パルヴァーとその妻と出会い、姪として警察から逃れるのを助けてもらいトランターまで同行することとなった。カルガンと第一ファウンデーションの戦争は、カルガン人の第一と第二ファウンデーションに対する恐れにより士気が下がり、カルガンの敗北として幕を閉じた。無事カルガンから帰還したホマー・マンは第二ファウンデーションは存在しないと言った。しかし、ホマー・マンは精神に干渉を受けていることがわかった。ペレアス・アンソーアは第二ファウンデーションはカルガンにあると言った。ダレル博士は第二ファウンデーションはターミナスにあると言った。ダレル博士が開発した精神の干渉を防ぐ装置である精神空電装置を用いて第二ファウンデーションの人間に攻撃をかけることが可能であり、これを行った結果、アンソーアが苦しみだした。アンソーアは第二ファウンデーションの人間であり、ダレル博士をスパイしていた。精神空電装置により第二ファウンデーションの脅威は取り払われた。最後にすべては第二ファウンデーションの計画通りだった。今回の件で第一ファウンデーションは自らの独自性を信じ、第二ファウンデーションを恐れることがなくなった。結果、セルダンプランは守られることとなった。また、第二ファウンデーションの第一発言者はプリーム・パルヴァーであった。

  • 『ミュールによる探索』
    第二ファウンデーションの場所を探すミュール。ミュール配下の将軍プリッチャーとチャニスの探索。惑星ロッセンでプリッチャーが第二ファウンデーションの干渉を受けていると話すチャニス。二人の前に現れたミュール。第二ファウンデーションの第一発言者の登場。精神制御戦。

    『ファウンデーションによる探索』
    ミュールの死後独立を果たしたファウンデーション。第二ファウンデーションに対する反感。第二ファウンデーションの場所を特定する為に反対派のダレルがカルガンへ送ったホマー・マン。彼に勝手に着いていってしまったダレルの娘アーカディア。カルガンの第一市民ステッティン卿の野望。銀河帝国の皇帝になるためにアーカディアとの結婚を画策。アーカディアの逃亡。カルガン軍によるファウンデーション攻撃。ファウンデーションの勝利。明かされた第二ファウンデーションの場所。

  • 初期シリーズ3作目で最終です。ミュールに敗北したファウンデーション。銀河の反対にあるという第二ファウンデーションの探索。そして最終対決。はでなドンパチはありません。陰謀戦です。ミュールの出現により破綻したように思えた歴史は元に戻り伏線は全て?回収されてます。見事。

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著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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