リングワールド (ハヤカワ文庫 SF 616)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150106164

感想・レビュー・書評

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  • ラリー・ニーヴンがシリーズ化していたノウンスペースを舞台とするSF小説。ヒューゴー賞・ネビュラ賞を受賞。

    すでに50年以上前の作品だが、いまもってSFらしいSFを代表するタイトルの一つではないか。途方もない人工構造物〈リングワールド〉のスケール感、個性的な異星人種たち、センス・オブ・ワンダーに満ちた冒険と探検。ストーリーテリング的にどうこうというよりも、未知の世界が少しずつ開けていく感覚に、終始ワクワクしっぱなしだった。

    200歳だが進歩した医療技術により青年の肉体のままの主人公、臆病ゆえにたちの悪い高度な科学力を持つパペッティア人、獣っぽい肉体派でありながら優れた知性を持つクジン人、物語の鍵を握る若きヒロイン。登場人物が魅力たっぷり。個人的に気に入ったのは、双頭の肉体を持つパペッティア人ネサスが、落ち込んだときに頭を丸めて引きこもるところ。かわいすぎでしょ(笑)。

    天体や異性人種、テクノロジーについて広範な設定があるようで、他のノウンスペースシリーズを読んでいないので詳しくはわからないが、宇宙船の設定一つとってもシリーズで積み重ねられたSFディティールに満ちており、世界観を引き立てている。

    しかし何よりも〈リングワールド〉のスケール、これが途方もなくて想像が追いつかない。リング状の人工構造物は表面積が地球の約300万倍――誰がいつこんなものを作ったのか?ここには文明が残っているのか――。探検のなかで次々に出くわす事物。これだけでずっと没頭してしまう。最後には物語的にもきれいにオチがつき、圧倒されるまま読み終わった。これは続きが気になるなぁ。

  • 200歳を迎えた地球人の探検家ルイス・ウーは、ノウンスペースから姿を消したはずのパペッティア人ネサスからとある話を持ちかけられる。一緒に探検してほしいと言われた目的地は、恒星の周りをリボン上の巨大構造物がぐるりと取り囲む圧倒的なスケールの世界「リングワールド」だった。ネサスの思惑で集められた他のメンバー、巨大な猫のようなクジン人”スピーカー・トゥ・アニマルズ”と「幸運の遺伝子を持つ」地球人の美女ティーラ・ブラウンと共に、リングワールドへと旅立つルイス。しかし、リングワールドが備えた謎の防御機構によって宇宙船が損傷を受けてしまい、4人は謎だらけのリングワールド上に取り残されてしまう。宇宙船を修理する手段を探るため、4人は文明の痕跡を求めてリングワールドを旅することになるが・・・

    いいですねー!SFですねー!
    地球人と異星人の混成チームによる、未知の世界での大冒険。簡単にまとめてしまえば要はそういう話で、世の中で一般的にイメージされる「SF」のエッセンスをぎゅっと凝縮したような、華やかで痛快で楽しい作品です。
    何と言っても特筆すべきは、舞台となる「リングワールド」のとんでもないスケール感。本の表紙に描かれているのが正にリングワールドですが、このリングの幅が地球の直径を軽く凌駕するサイズだということを念頭に置いた上で見ていただくと、多少なりともそのとんでもなさが実感できるかとヽ( ´ー`)ノどうやって大気を漏らさず維持できるのか?昼と夜はどう作るのか?離着陸はどこでどのようにするのか?などなど、SFならではの思考実験を楽しみつつ読み進められます。作中で何度も描写される、リングワールドの表面(リングの内側)から天空を見上げると目に入る、空を横断する青いアーチ。要するにリングのあちら側が見えるわけですが、そのあまりの巨大さに圧倒された登場人物が発狂しかける描写があったりして、実際にそんなもんを目にしたらそうなるかもしれないよなぁ、と納得してしまうワン・アンド・オンリーな舞台設定です。

    この舞台設定だけでも十分面白いんですが、登場する2種類の異星人がまたキャラ立ちまくりで面白い!どちらも地球人とはかけ離れた価値観とモラルの持ち主で、その「ブレなさ」加減が素晴らしい。彼らと地球人2名との、それぞれの利害を掛けた丁々発止のやり取りも、この作品の魅力の一つです。
    残念なのが、地球人2名がどちらもお馬鹿過ぎてまったく共感できないこと(^_^;まぁでも、ここで地球人が変に高潔で誇り高い人物だったら嫌みな作品になってしまうので、これぐらいが絶妙なバランスと言えるのかもしれませんね。

  • 「2850年、ある恒星をリング状に取り囲む巨大な謎の人工構造物「リングワールド」への探検隊が組織された。選ばれたのは2人の人類と2人の宇宙人。テレポーテーションや絶対に壊れない宇宙船船殻などを実現した、非常に科学技術が進歩した世界が舞台!」

    「ハードSF(ハード・コア・SF)。ハードSFというのは、ある程度まで判明している知見ーいわば物理・化学・生物等の最先端知識、場合によっては単なる理論や現実性のある仮説も含むーをもとに、その発展形態を含めてフィクションに仕上げた分野のこと。
     この本は長編だが、おもしろくすっきり読める。周囲三億㎞(およそ地球が太陽を回る軌道くらい)のリング状との大建造物というだけでワクワク。リング状なのは、回転して重力を得るため?登場人物も多彩!」(『SFはこれを読め!』谷岡一郎著 より)

  • あまりものを知らないので、セカイ系になにかしらの理屈をつけた作品は、これまで涼宮ハルヒシリーズしか知らなかった。既知とした順で本書は二番目となる。しかもセカイ系を脇役に据えている。

    ラリー・ニーヴンで大好きな仕掛けといえば「ウォーロックの円盤」で、ハイティーンの頃に知って、ものすごい衝撃を受けた。魔法というものを理屈抜きのファンタジーとしてだけではなく、理屈ありのファンタジーとして見つめることもできると教えられたからだ。
    「ティーラ・ブラウンの幸運」は、それに続く。先に述べたセカイ系を説明する仕掛けだ。あるいはパーフェクトソルジャーの元ネタかもしれない。

    好きな作家であるはずなのに代表作ともいえる『リングワールド』を未読だったのはどうでもいい個人的事情によるもので、どういうわけか『九百人のお祖母さん』を氏の作品と誤解し続けていて、それが好みでなかったという理由による。つまらない理由で機会喪失を継続してしまったものだが、縁があってよかったということにしておこう。

    なんとなくだが、菊地秀行氏の初期作品は意外にラリー・ニーヴンの影響を受けているのではないかと思ったり思わなかったり。

  • リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

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  • 【要約】


    【ノート】

  • リングワールドの造形は素晴らしい。人間や異星人たちのグループが未知の世界を探険する様はワクワクする。お気に入りはパペッティア人のネサス。頭が2つあり、とっても臆病で怖いことがあるとすぐに丸まってしまう。好きな点も多いけど、ただ女性の扱いがひどすぎる。文明が発達した未来でも女はセックスの道具で、男に売買される奴隷扱いされても何とも思わないアホの扱い。書かれた時代が古いとは言え、面白さが激減しちゃうよ。

  • んで、結局なんだったの。

    知性化戦争のようで、スタープレックスのようで、その他もろもろ。
    幸運を能力にしてしまうなんてとってもラッキーマンのようで良いんだけど、いろんなことの舞台にこのリングワールドってのを設定したのも判るんだけど。

    なんだったの、結局。

    個人的には消化不良。

  • 正直に言うと、前半はつまらなかった。えらい冗長で読み進めるのが苦痛だったなあ。
    一点、後半からメキメキと面白さがそそり立ってくる。徐々に徐々に面白くなってきて、最後の「謎解き」あたりはうなるしかないね。
    余韻を残す終わり方もよし。

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