- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150106720
作品紹介・あらすじ
ケイスは、コンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だが、その能力を再生させる代償に、ヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた。きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けたケイスは、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく。話題のサイバーパンクSF登場!
感想・レビュー・書評
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癖のある翻訳の文体は評価されているんでしょうか? 「時計仕掛けのオレンジ」も癖強いけど、ここまでではなかった。
癖のある文体が、退廃的な世の中や、人なのか人工物なのか曖昧な存在を表すのに一役買っているような気もするけど…。
内容は読み進めながら、ラノベみたいな話だなと思いつつ、これが最初なんだと思うと、当時の人は興奮しただろうなと思う。
人物紹介と語句の説明がすこしでもあれば、もう少し読みやすかったかなと思う。
いまだに「転じた(フリップ)」の意味がわからず…。
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「港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。」という冒頭の一文だけは憶えていた。その昔、空きチャンネルに合わせたテレビの画面はいわゆる砂嵐になったものだが、それと空の色が結びつかなくて困惑したような気がする。刊行直後に読んだはずなのにまったく記憶にないのは、面白くなかったからに違いない。巻末の解説で山岸真はべた褒めだし、ヒューゴー、ネビュラ両賞を独占した作品だが、趣味に合わないものは仕方がない。黒丸尚訳、昭和六十一年七月十五日発行、定価560円。
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サイバーパンクの記念碑的作品とのことだが、読後感はどちらかというと実験小説、バロウズみを物凄く感じた。近未来「っぽい」単語が並びまくり、確かにパンクだが果たしてサイバーなのか??
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ドラマ化する、という情報を見て久々に再読。
再読によって一回目よりはイメージしやすくなっているような…ないよう、な…。
キッチュ、或いはパンキッシュなキャラクター達は魅力的、しかしスピード感重視のストーリーと説明が少なくイメージの難しいガジェット群が細部のイメージ構築を難しくする。
セリフも特徴的かつ暗喩が多いので理解しきれない部分も多く…この流されるまま進む感覚も楽しいと言えば楽しいけれども、ちゃんとは理解できてないんだろうな、というモヤモヤ感も残ってしまう。
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初めは訳わからないが、後半に連れて徐々に世界観が分かっていくタイプ。
細かい発想が非常に奇抜で、キャラクターもパンク。めちゃくちゃ好き。 -
読了。
意味がよくわからないのに読み進めるという不思議な体験。
読みながらあれ?あれ?という感じでストーリーに置いていかれることしばしば。でもなんだか面白い。
スピード感に飲み込まれてしまうのかもしれない。
用語が独特で、パッと読むだけでは理解できない言葉がどんどん出てくるので、一つ一つ引っかかる人は読めなくなってしまうんじゃないだろうか。理解不能な言葉はある程度読み飛ばすくらいで先に進んだ方が雰囲気を味わうことができる。
自分は一旦最後まで読んでから今度はゆっくりと再読し理解。
世界観が素晴らしい。
おそらく今読んだ人の大多数は同じことを連想したと思うが、『マトリックス』と『攻殻機動隊』を思い出した。マトリックスはウォシャウスキー兄弟(当時)が『攻殻機動隊』をモチーフ(だったかインスパイアだったか)に作ったと聞いたことがあったが、本当に映像化したかったのは当作品だったという話も。
『攻殻機動隊』はどうなんだろう。電極なんかは似ているけれど。
『ブレードランナー』もそうだけれど、当時の日本はなんだかサイバーパンクと相性が良かったのか。ちょっとした場末感。
時代を感じさせないセンスが良い。
ウィリアム・ギブソンの他の作品は読んだことがないれけど、ぜひ読んでみたい。せめて三部作は。
多くの作家はデビュー作がベストだったりするが、ウィリアム・ギブソンはそうでないことを祈る。 -
アメリカ出身でカナダ在住の作家「ウィリアム・ギブスン」の長篇SF作品『ニューロマンサー(原題:Neuromancer)』を読みました。
ここのところ、SF作品が続いています。
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〔ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞〕
ハイテクと汚濁の都、千葉シティの空の下、コンピュータ・ネットワークの織りなす電脳空間を飛翔できた頃に思いを馳せ、「ケイス」は空虚な日々を送っていた。
今の「ケイス」はコンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。
だがその能力再生を代償に、ヤバい仕事の話が舞いこんできた。
依頼を受けた「ケイス」は、電脳未来の暗黒面へと引きこまれていくが……新鋭が華麗かつ電撃的文体を駆使して放つ衝撃のサイバーパンクSF!
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1984年(昭和59年)に発表された「ウィリアム・ギブスン」の処女長篇… 文学的なサイバーパンクの起源ともいわれ、同年のネビュラ賞とフィリップ・K・ディック賞、翌年のヒューゴー賞を受賞した作品です。
■第一部 千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルーズ)
■第二部 買物遠征(ショッピング・エクスペディション)
■第三部 真夜中(ミッドナイト)のジュール・ヴェルヌ通り
■第四部 迷光仕掛け(ストレイライト・ラン)
■結尾(コーダ) 出発(デパーチャ)と到着(アライヴァル)
■解説 山岸真
サイバネティクス技術と超巨大電脳ネットワークが地球を覆いつくし、財閥(ザイバツ)と呼ばれる巨大企業、そして「ヤクザ」が経済を牛耳る近未来… かつては、「マトリックス」と呼ばれる電脳空間(サイバースペース)に意識ごと没入(ジャック・イン)して企業情報を盗み出すコンピューター・カウボーイであり、伝説のハッカー「ディクシー・フラットライン」の弟子であった「ケイス」は、依頼主との契約違反の制裁として、脳神経を焼かれてジャック・イン能力を失い、電脳都市千葉市(チバ・シティ)でドラッグ浸りのチンピラ暮らしを送っていた、、、
その「ケイス」に、能力を再生させる代償にヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた… きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けた「ケイス」は、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく……。
超ハイテクなコンピュータ世界と化した時代の変貌した日常生活と、AIや電脳空間が人々とって極日常的となった未来社会… 現実世界から電脳空間への没入(ジャック・イン)! そして転じる(フリップ)! 無事に離脱(ジャック・アウト)! と、想像を超える社会が舞台なので、なかなか想像力が追い付いていけず、独特の世界観を頭の中で構築できませんでしたねー
映画で『ブレードランナー』や『マトリックス』を観ていれば、少しは違ったかも… SF的発想力、想像力が欠如しているので、存分に愉しむことができなかったなー 雰囲気だけ愉しんだ感じです。
以下、主な登場人物です。
「ケイス」
ヘンリー・ドーセット・ケイス。24歳。コンピューター・カウボーイ(ハッカー)。
伝説的ハッカーであるボビー・クワイン(クローム襲撃)とディクシー・フラットライン(後述)の弟子。
依頼主が盗ませた情報をさらに盗むという愚を犯し、その制裁として脳神経を焼かれ、
ジャックイン不可能な体となったあとは、
千葉シティで「仲介屋」の仕事をして糊口を凌いでいた。
「モリイ」
モリイ・ミリオンズ。女サムライ(用心棒)。あだ名は「段々剃刀」(だんだんかみそり)等。
神経の高速化、眼窩に埋め込んだミラーシェードのサングラス兼ディスプレイ、
あだ名の由来となった指の爪の下から飛び出す薄刃など、さまざまな身体改造を施している。
爪の刃と"短針銃"(フレッチャー)が主要な武装。
「アーミテジ」
ケイス、モリイ、フィン、リヴィエラを雇い、冬寂(ウィンターミュート)への潜入を行わせようとする謎の人物。
「ウィリス・コート大佐」
アーミテジの正体と思しい元陸軍大佐。
最初期のハッキングである極秘作戦スクリーミング・フィストに関わっていたが、作戦は失敗。
重傷を負って半ば廃人となり、再起不能に陥ったと言われている。
「リヴィエラ」
ピーター・リヴィエラ。
巧みな美容整形による優美な容貌と、一度折れたのを不器用に直した鼻といった容姿。
麻薬中毒者。
身体改造による、他人の視覚に自分が望む視覚象を投影する能力をもった芸術家。
その強度も自由に調節可能で、網膜を焼くこともできる。
「フィン」
情報屋兼機材屋。ケイス、モリイをサポートする。
「フラットライン」
マコイ・ポーリー、通称ディクシー・フラットライン。
ボビー・クワインと並ぶ伝説的ハッカーでケイスの師。
作中ではすでに故人であり、生前の情報がROM構造物(メモリ)として記録された擬似人格として登場する。
"フラットライン"の呼び名は、かつてジャック・イン時に脳死状態になったにもかかわらず生還したことに由来する。
「マエルクム」
ザイオン人。曳航船(タグ)「マーカス・ガーヴィ」を操縦してケイス達をサポートする。
「3ジェイン」
レイディ・3ジェイン・マリー=フランス・テスィエ・アシュプール。
軌道上に暮らす閉鎖的な財閥「テスィエ=アシュプール」の一族。
同族に「8ジャン」もいるが、ぜんぶで何人いるのかは不明。
「ヒデオ」
3ジェインの部下のクローン忍者。
身体改造を施したモリイを圧倒するほどの超人的な戦闘能力をもつ。
「老アシュプール」
ジョン・ハーネス・アシュプール。
テスィエ=アシュプール一族の創始者。
冷凍睡眠で寿命を保っているが、狂気に侵されている。
「マリー=フランス」
マリー=フランス・テスィエ。
テスィエ=アシュプール一族の創始者。
AIの冬寂(ウィンターミュート)とニューロマンサーを作ったが、夫に殺害された。
「冬寂(ウィンターミュート)」
たびたびケイスの前に現れるAI(人工知能)。
潜入の標的にして雇い主。
ベルンに本体(メインフレーム)があり、限定的スイス市民権を所有している。
「ニューロマンサー」
冬寂(ウィンターミュート)の脳の半身。ニューロは神経。
夢想家(ロマンサー)、魔道師(ネクロマンサー)。
本体(メインフレーム)はリオにある。
「リンダ」
リンダ・リー。20歳。ケイスの千葉シティでのガールフレンド。 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99517797 -
SFへの興味に自覚的になったので意を決して読んでみた。
世界設定のようなものはなんとか理解できたものの、電脳に関するものがあまり理解できなかった…あとは読んでいる最中、何が起こっているのかふわっとした説明を考えながら繋いでストーリーを作っていくので、忙しい時期に読むものではなかったなと思ってしまった。逆にいうと次に何が起きるのか本当に予想できないのでそこに対する面白みがあった。
毒を含んだ銀色の空や自由界にある偽物の自然の描写が読んでて一番印象に残った。
不自然な自然の模倣。公害によって自然が崩壊した世界。そこでは自然が何よりも高級調度となっており、日焼けのような自然との関わりがあるという証明がリッチであることを示している。その一方で、そのために作られた模造の自然は人にとって過ごしやすいような、いわば不自然な自然。ちょうど、青い薔薇のようなものばかり。そうしたものが格差の根拠とも視えるとかそこに対して人々は何をさらに見出すのかとか考えて読んでしまう自分は、アンドロイドは電気羊の夢を見るか?のが好きなんだなと思ってしまった。
攻殻機動隊を観たあとのこれはあぁでこうなのかとかを長い月日をかけて考える問いがあまり見出だせなかった自分の読み込みの甘さを感じた。