- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150106805
感想・レビュー・書評
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夏のハインライン祭。残りは厚いのばっかり。
遺伝子操作が可能になり、病気が無くなった世界。優秀な遺伝子を持った家系であるハミルトンは、その子孫を残すように迫られる。一方で遺伝子操作で生まれた、ハミルトンの友人、モンロー=アルファは、妻から「新しい出会いを持ちなさい」と突然の離婚宣告を受ける。彼らはそれぞれの目的を持って、遺伝子操作に反発する「生き残りクラブ」に近づくが…。
矢野徹訳でないハインライン作品なので、ちょっと期待はしたものの、ベッタリしたメリハリのない訳で、ちょっと期待ハズレ。まあ、冗長だらけのストーリーなので、多少読み飛ばしてしまっても、また一から説明してくれるため、ストーリーを踏み外してしまうことはないだろう。
典型的な未来都市でのゴタゴタ。遺伝子管理施設のやりとり、生き残りクラブと、ストーリーのほとんどは、よく言えばわかりやすく、悪く言えば一本調子という感じで進む。終盤のハミルトンの子供の話は、正直なところ必要だったのかよくわからない。無駄なゴタゴタに見える。
まだDNAがどういう形だったかわからなかった頃に、遺伝子や染色体についてよく勉強して書いたものだと関心はすれど、それ以外は褒められた点もない作品と言える。でもまあ、今の小説家には、これくらいは勉強してから書いてほしいものではある。
訳の割に読みやすいし、ストーリーも追いやすい。そんなところから、変な教訓を得てしまう人もいるかもしれない。そういう作品ではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハイラインの長編第一作らしいが展開がいまいち
表紙 4点野中 昇
展開 6点1948年著作
文章 6点
内容 600点
合計 616点 -
ハインライン第2弾。設定は面白いし、架空世界の洞察は見事。でも話が中途半端。全体としては星2つどまりだが、以下で面白い点を長々と語れるぐらいに世界が良い。
●面白かった点
世界設定はとても面白い。たまに語られる大汗帝国の設定が、この世界に落ち着くまでの経緯をサラリと示していて、世界に深みを与えている。これが1948年の小説だとは・・・遺伝子テーマでこれより面白そうな設定は今でも少ないと思う。
●気になった点
主人公が2人だが2人の意味がわからん。一応、前半は進歩的なハミルトンと保守的なモンロー=アルファで対比があるので意義があるが、後半では完全に無駄。
話が前半と後半で完全に別物(聞くところによると、2回に分けて雑誌に掲載されたらしいが、あまりに非道い)。前半で書かれたハミルトンの鬱屈や物語の緊迫感が台無し。