辺境の惑星 (ハヤカワ文庫SF)

制作 : Ursula K. Le Guin  脇 明子 
  • 早川書房
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本棚登録 : 81
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150108311

感想・レビュー・書評

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  • ル・グィンの若さを感じられる作品
    表紙   5点岡野 玲子
    展開   7点1966年著作
    文章   7点
    内容 700点
    合計 719点

  • ル・グィンの作品って好きです。
    さらにいえば、ル・グィンのSFをよんで、SFがもっと好きになったし、興味を持つようになりました。知人に言わせれば、「高尚なSF」らしいル・グィンのSFですが、ロマンティックでなんだかキラキラしていて、甘くもほろ苦いこの頃のル・グィンの作品は、巡り合えてよかったと思えるような素敵なものです。

    「ロカノンの世界」に続く長編第二段で、ロカノン~とゆるくゆるくつながっています。
    5000日もの間冬が続く竜座の第三惑星で暮らすヒルフという種族と、異種族である(彼らからしてみれば)人間であるファーボーンという種族が同盟を組み、共通の敵に立ち向かう、みたいなお話ですが、あらすじを書くと仰々しいですが、実際はもっと静かで、非常にロマンティックな一冊です。
    私はル・グィンの描く恋愛描写が好き! という多分少数派な人間ですが、この作品に出てくるヒルフの族長の娘ロルリーと、ファーボーンの頭の一人、アガト(二人はいとこにあたる)のロマンスは、彼女の作品の中でもかなり糖度が高く、愛によって、従順と献身をみせるようになったロルリーに心寄せてしまいます。
    異種族間で起こる様々な価値観の違いなどの相克はもちろん、男女間の相克、世代間の相克、季節や自然と人間との相克、様々な物を描き、問題提起しているように思えます。

    冬のお話なのですが、読後感は夏の様に爽やかなように思えます。
    非常に静かでありながら、瑞々しいSF小説で、ますますル・グィンが好きになってしまいました。
    主役の二人のほかに、ヒルフの族長ウォルトがいい味出していたのが善いですね。
    年代の違いにおけるディスコミュニケーション、というかディスコミュニケーションというのは、SF小説の永遠のテーマかもしれないな、などと思いました。

    岡野玲子さんの描く表紙のロルリーが素敵です。
    ル・グィンの描くSFの世界に、まだまだしばらくの間は、おぼれてしまいそうです。

  • ル=グウィンの初期の長編とのこと。古本屋で見つけて、読んでみた。
    おもしろかった。
    その後のル=グウィンの作品でもしばしば使われる手法、すなわち肌の色の違いをうまく使って世界観を作っている。
    ル=グウィンを読むたびに、なぜ自分がこんなにも白人が物語の中心にいることを当然のことだと思ってしまうのだろう、と不思議な気持ちになる。
    この小説では、白、黒、黄色と3つの人種が登場する。
    互いに、自らを「人間」だとし、他は類人猿とまでは言わないものの、遺伝的に別種の生き物だとしている。
    対立と滅亡と、そして、相互理解の物語。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル=グウィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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