チャンピオンたちの朝食 (ハヤカワ文庫 SF ウ 4-11)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150108519

感想・レビュー・書評

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  • 初ヴォネガット。何だろうこのとっ散らかった文章は(困惑)ストーリーがあるにはあるが、途中で関係のあるような無いような話が様々な角度(しかも急角度)から入り込んでくる。当時のアメリカへ対する皮肉や批判をたっぷり込めた物語だ。終いには著者自身が登場して「私は創造主だ」と主人公と絡む始末。心に残った言葉は「ほかの作家たちには、混沌の中に秩序を持ちこませておけ。わたしは逆に、秩序の中へ混沌を持ちこもう。」頻繁に挿し込まれている著者の描いた挿絵はなかなか味があっていい。いずれにしても、私には早かったようだ。ちょっとどこかに本作の解説がないか探してみよう。

  • ベストオブヴォネガット

  • ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

  • 当時のアメリカへの批判が込められているらしいが、残念ながら知識不足のせいかあまりピンとこなかった。あと特にわからない点としては、ラストのイラストはどう捉えればよいのだろう。まえがきにもあるように、この作品でトラウトやローズウォーターなどの過去作登場人物たちを放り出してしまうわけだが、この先ヴォネガットがどこへ向かっていくのかが気になる。

  • 在庫なし

  • 半分くらいまで来たけどなんか先が見えなくなったりその他いろいろ(ヴォネガット節)で挫折。ヴォネガット、ぐいぐい読めるのと全然だめなのあるな。

  • 横道に逸れまくる話、文章の一部として組み込まれた挿絵、話の中にまで登場する作者

    こういったユニークな要素を織り交ぜながら、(ブラック)ユーモアたっぷりの語り口で2人の中年男性に関する物語が綴られていきます。

    独特の世界観に慣れてからは、物語に引き込まれてすごく面白かったです。ただ、ラストが少し腑に落ちませんでした。

  • 花粉症のため通勤時にはマスクが欠かせない。うっとおしいことこの上ないが、本書を読みながらついにやけてしまう顔を隠すのには大変便利。
    いつもの人たちがいつものようにわけわからない動きを見せて、今回もまともな感想は書けないけれど、やっぱりまたヴォネガットを読むだろう。

  • ⇒挑発的なまでにメッタメタかつシュール。馬鹿をまじめにやっている。
    ⇒訳者あとがきで触れられている「踊るあほう」はp.84。おならとタップダンス。ネジがぶっ飛んでいる。星新一の『おみやげ』を思い出した。
    ⇒p.176のカブト虫にも注目されたし。この酷さはひょっとしてギャグでやっているのか。
    ⇒「貨車一台分すっても咳が出ません!」
    ⇒その他いろいろ。

  • ヴォネガットの小説はいつも話の筋になかなか掴みどころがない。
    そしてこの作品は今までにましてストーリーが掴めなかった。
    読んでいて、いるのかいないのかも分からない透明のウナギを捕まえろ!と命令されている気分。
    狂った登場人物たちによる、でたらめな事実が箇条書きで続いていく。
    訳者のあとがきによると、“ヴォネガットが書いた最も直接的なアメリカ批判の書”なのだという。
    確かにその通りで、“ヴォネガットらしい”宇宙を感じさせられる途方もない視点から見たアメリカという国を、
    かなり痛烈な言葉で批判したり皮肉っている文章が多く目に付いた。
    例えば、コロンブスがアメリカ大陸を発見した“1492年”について…

    “先生たちはこの国にこの大陸が発見された、と子供たちに教える。ところが、1492年のこの大陸には、すでに何百人もの人間が、充実した、想像力豊かな生活を送っていたのだ。この年は、海賊たちが、その人間たちをだましたり、略奪したり、殺したりしはじめた年でしかない。”(p26)

    僕はヴォネガットのこういった、国や地球から飛び出したような、俯瞰的な視点から皮肉った文章が好きだ。
    読んでいる自分も一緒に異空間に連れて行ってくれる。見たことのない景色を見せてくれる。自分が宇宙人であるような気分すら味わえる。
    他にも、黒人奴隷問題やベトナム戦争についても、ブラックユーモアを交えて書いてある。


    そんなヴォネガットの伝えたいエネルギーは凄く感じられるのだけれど、いかんせんストーリーが意味不明。
    ついには語り手である作者自身も、創造主として小説の中に登場して、もはや『ソフィーの世界』的混乱状態。

    “なにがアメリカをこんなに危険で不幸な国、実生活でなにもすることのない人びとの集まった国にしているのか、いったんそれを理解したとき、わたしはストーリーテリングを避けようと決心した。人生について書こう。どの人物にも、ほかの人物とまったくおなじ重要性を与えよう。どの事実にもおなじ重みを持たせよう。なに一つなおざりにはすまい。ほかの作家たちには、混沌の中に秩序を持ちこませておけ。わたしは逆に、秩序の中へ混沌を持ちこもう。自分ではそうしたと思う。”(p264)

    こんな弁解めいた文章もあって、でもこの一節がこの作品をよく表してる。
    ヴォネガットの小説はどの登場人物も狂おしく、愛らしく描かれているのだ。

    なんじゃこりゃとしか言えないのは、まだ僕の読書経験、ヴォネガット経験の不足が致すところでもある。
    しかし、頻繁にはさまれる作者自身によるヘタウマな挿絵も一役買っているし、
    キルゴア・トラウトやローズウォーターといったほかの作品でなじみのある登場人物も出てくるし、
    他の作品も含めて何度か読めばヴォネガットの世界がより楽しめると思う。

    作中に出てくるトラウトの『いまこそ話そう』という架空の小説の、
    自分だけが自由意志を持っていて、他のみんなはなにも感じない機械だ(p317~)という表現は、
    現代社会の人間関係を言い当てているようで面白いけれど、怖さも感じる。

    ひと言じゃ言い表すことができない

    “その他いろいろ”

    そこに人生の実質があるのかなぁ?

    今まで読んだなかで良くも悪くもいちばんデタラメな小説だと思う。
    日本語では際どい(てかアウト!?な)ワードも多いので、原文で読んだほうが楽しめるかも。

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