パーキー・パットの日々 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-9 ディック傑作集 1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150109103

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  • ディックの短編集。デビュー作などを含み、ファンであれば、地味ながら充実の一冊

  • ディック傑作集〈1〉パーキー・パットの日々 (ハヤカワ文庫SF)

  • ディック傑作集〈1〉パーキー・パットの日々 (ハヤカワ文庫SF)

  • 2018年4月19日読了。荒廃した近未来で奇妙な「ゲーム」に勤しむ人々の姿を描く表題作ほか、アイデア・サスペンスともに脂の乗り切ったように見えるディックのSF短編集。おすすめ本を妻に紹介するプロジェクトとして図書館から借りてきたが自分がはまって再読してしまった。傑作ぞろいの短編集、「変種第二号」の映画がつまらなかったのは残念でならない。(ペイチェック、はそこそこだったか)私がはまったのは高校の頃だったが家族を持つ身になってみると「フォスター、お前死んでるところだぞ」の短編などに見られる苦さ、セールスマン経験からくるディックの経済感、少年と大人の視点の違い(改めて、ディックは少年の視点を書くのがうまい、と感じた)などグッとくるところも多かった。他の短編集も再読しよう…。

  • ディックの短編集1 この暗さがいいと思います
    表紙   8点野中 昇
    展開   7点1977年著作
    文章   7点
    内容 770点
    合計 792点

  • 表題作が好き。あと「ウーブ」はやはり良い。ディック短編集は出過ぎてどれに何が入っているかわからなくなってしまう。

  • 「フィリップ・K・ディックの現実」/ジョン・ブラナー 的確にディックの魅力を紹介した序文でコンパクトな形としては現在でもつけくわえることも特にないのではないか。さすがである。
    「ウーブ身重く横たわる」 原住民から安価で買った豚が宇宙船内にやってくる。不気味で愛嬌のあるキャラクターづくりの巧さがこの作品でもよく現れている。<奇妙な味>っぽさも感じられる。
    「ルーグ」 いきなり犬が呼びかけている場面からはじまる。こうした説明を省いた場面の描写で徐々に背景を明らかにしていくのも得意としている。しかもそのテンポが素晴らしい。
    「変種二号」 米ソに戦争が起き荒廃しロボット兵器が日常化してる世界。ソ連じょり緊急事態の発生についての直接会談の要請が飛びこむ。言わずと知れた名作。誰が味方かといういかにも冷戦らしい強迫観念が描かれている。
    「報酬」 多額の報酬と引き換えに2年間の記憶を失った男。しかしその欠落した2年の間に自らは報酬を得る代わりにいくつかの手掛かりを残していたのだ…。「ペイチェック消された記憶」で映画化。非常に引き締まった展開の良質のSFミステリ。
    「にせもの」 主人公はある日突然宇宙からのスパイ容疑で拘束されてしまう。死んだ人間の記憶を植え付けられその人物になりすましているのだと言われ、自らの潔白を証明しなければならなくなる。オールタイムベストSF短篇部門の2位に選んだ大好きな作品。タイトルがぴしっと決まっているところが素晴らしい。
    「植民地」 周囲の物が襲ってくる星。幻覚かそれとも現実なのか。顕微鏡が人を襲ったりするところに奇妙なユーモアがあり、ディックらしさである。星新一作品の様な切れ味もある。
    「消耗員」 これまた蜘蛛が主人公に語りかける場面から始まる。不気味でユーモラスなシチュエーション、妄想に囚われた主人公ともとらえられ得るシチュエーションの描き方が上手いんだよね。「植民地」もそうなんだけど基本は1950年代SFの典型的なアイディアストーリーの骨組みや道具立てなんだけど、そこからアイデンティティの揺るがすような悪夢的な世界を現出させ全く別物を作り上げてしまい、同年代の凡百の古びてしまった作品の数々とは全く違う時代を超越した人間の本質を突く作品にしてしまう手腕をひしひしと感じる。
    「パーキー・パットの日々」 核戦争後生き残った人々はそれぞれの穴に閉じこもる小さいコミュニティに別れて暮らし、人形遊びにいそしんでいる。これもディックの特質が十二分に生かされた名作だろう。ケア・ボーイ、まぐれ穴、パーキー・パット等、独特のスタイリッシュな言語感覚で読者がつい口ずさみたくなる造語を説明抜きにどんどん入れてスピーディに展開するカッコよさはディックならでは。またこの人形遊びのルールは良く分からないところが多いのだが、読んでいる間読者に全くそんなことは感じさせない。例えば勝負の相手がコニー・コンパニオンという成熟した女性設定の人形を持っていることで、「相手は強い、負けそうだ」と主人公が感じるんだけど、よく考えるとその人形設定と勝負の結びつきが分からない(笑)。ところがそれを他の作家には見られない強い腕っ節でそういった悪夢の世界に強引に引きずり込まれてしまうのだ。それは主人公の生活描写だとか細部や本人の強迫観念に圧倒的な説得力があるからだろう。
    「たそがれの朝食」 米ソの全面戦争で終末感漂う世界。そこからの脱出を主人公が図るが…。これもアイディアストーリーのつくりなんだが、印象に残るのはその苦さの方。
    「フォスター、おまえ、死んでるところだぞ」 戦争が常態化した世界で、軍備への積極的関与が美徳とされている中、反体制的な父親との関係に苦しむ主人公。しみじみとした良さがある。

  • 収録作

    フィリップ・K・ディックの現実 ジョン・ブラナー/著
    ウーブ身重く横たわる
    ルーグ
    変種第二号
    報酬
    にせもの
    植民地
    消耗員
    パーキー・パットの日々
    たそがれの朝食
    フォスター、おまえ、死んでるところだぞ

  • ディックが神林に影響を与えたって言うのはよくわかる。舞台装置、背景がかなり神林に似ている。が、神林の初期作品だろう。火星3部作は近いものがあった。で、本作であるがなんとも言えない暗さがある小説である。全て明るい世界ではない。まえがきにもあったが、こんな世界にはなってほしくないと思うものである。

  • ディック傑作集驪

     まさしく傑作集である。一気に読みきった。一部重複作品(後述)があるものの、「変種第二号」「植民地」などはまさにSFミステリータッチで最高だし、SF映画の原作である「報酬」「にせもの」も収録されている。「たそがれの朝食」も描写が豊かですばらしい。
     表題作品はイマイチ理解に苦しむところであるが、ディックはやはりすばらしいと感じざるを得ない。

     作品は以下の通り。

    ・ウーブ身重く横たわる
      食用宇宙豚が食べられた船長をのっとる(重複収録)
    ・ルーグ
      異星人が来たってな感じだが、イマイチ
    ・変種第二号
      人工物が人間に化けているという得意のタッチ
    ・報酬
      映画ペイチェックの原作だが映画のほうがいい
    ・にせもの
      映画クローンの原作だが映画のほうがはるかにいい
    ・植民地
      異星で未知の生物が無機物に擬態して人類を襲う
    ・消耗員
      たった一人の人類と蟻との戦い
    ・パーキー・パットの日々
      絶滅寸前の人類が人形ごっこ・・・だが意味不明
    ・たそがれの朝食
      漂流教室の家族版(重複収録)
    ・フォスター、おまえ、死んでいるところだぞ
      シェルター好き?なこどものお話だが・・・?

     なお、「重複掲載」はタイトルこそ違えど、4/15投稿分「地図のない町」で収録されているものと同じ作品である。タイトルはそれぞれ「ウーブ身重く横たわる」は「輪廻の豚」、「たそがれの朝食」は「薄明の朝食」と訳されている。

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