虚空のリング 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 9-4)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150111434

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  • ジーリーのまとめだが結局ジーリーは何者なのか・・
    表紙   4点クリス
    展開   6点1994年著作
    文章   6点
    内容 650点
    合計 666点

  • 超硬質・超壮大

     アシモフのファウンデーションがナノ単位に見える。とにかくスケールが圧倒的にでかい。しかも、超ハードSFだ。

     アイデアは抜群だが、小説としてのできがお世辞にもよいとは言えないことも手伝って、すらすらと読み進むことができない。それでもすばらしいハードSFだ。バクスター恐るべし。




     人類の未来を見据えるために千年の時間の旅に出るエンジニア達。宇宙が崩壊していく原因を探るために自らAIとなって、ワームホールを用い太陽の中に調査に向かう一人の女性(名はリゼール・・・アインシュタインの娘の名前だ)。この2つの集団から物語は始まる。

     もちろん、時間の旅はワープを利用するし、太陽の観察は時空のホールを利用する。500万年後、2つの集団は出会うことになる。そして、人類の&宇宙の未来を見ることになる。そこは、暗黒物質と通常物質(バリオン物質)の戦いの場だった。

     暗黒物質は太陽を破壊し、宇宙全体を破壊する。人類よりはるかに高い文明を持つ種族<ジーリー>は自らの生き残りをかけて自身を構成するバリオン物質側についたが、暗黒物質には勝てなかった。結末は、ジーリーの敗北だったのだ。

     人類は時間的無限大の主人公であり、そのラストで知性体となった<プール>の力を借りて、ジーリーがまだ暗黒物質と戦っている時代に戻ることにする。そこでは、ジーリー(バリオン物質)対暗黒物質の最終戦争が行われていた。暗黒物質の兵器は銀河そのもの。ジーリーは時空を破って別の宇宙に脱出しようとする。それがリングだ。

     リングは宇宙ひもで作られ、すべての銀河を引きつけている。つまり、リングこそがグレート・アトラクターの正体だった。

     人類はジーリーが建設したリングを使って別宇宙へと脱出する。新しい宇宙は若い宇宙だった。リゼールは再びワームホールを用いて新しい太陽を観察し、エンジニア達は新しい地球を作っていく。ちょうどそのとき、プールは残った方の宇宙で完全な死を迎えるというエンディング。

     バリオン、宇宙ひも、暗黒物質、グレート・アトラクターはいずれも現代の学問用語だ。

     とてもおもしろかった。バクスターの次回作はO.ウェルズのタイムマシンの続編だそうだ。それはそれでおもしろそうなのだが、やはりこのジーリー・シリーズをもっと読みたい。すべての歴史を読みたい。次がとても楽しみな作家だ。

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