ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)

  • 早川書房 (1997年5月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150111922

みんなの感想まとめ

テーマは人間の「魂」とその正体探求であり、SFとミステリが融合した魅力的なストーリーが展開されます。医学博士ホブスンは、老女の脳波測定中に魂のような電気フィールドを発見し、自らの精神を三通りに複製しま...

感想・レビュー・書評

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  • SFジャンルではあるが、ストーリーの構造は寧ろミステリ。後半のサスペンスフルな展開はハリウッド映画を見ているようだ……。
    引っ掛からない点が無いわけではないが、勢いで読ませ切るパワーはある作品だった。
    瀬名秀明の解説が、本作を的確に紹介していると思う。

  • まあまあだった。いや、面白くはあったんですが、私が求めているのは人間ドラマとかドキュメントじゃなくて、SF!スキャンされた人格の科学的な想像とか考察なんだ!と思ってた。とにかく寝取られた男が愛しい妻を思ってうだうだしている話が半分近くを占めて、もどかしかった。
    魂の考察、胎児の魂のありかなど、ソウヤーは、「人間」の境界に、特に生殖の方面で大胆に踏み込んでいくなーと思った。それは面白い。

    何が本物の人間なのか?父親の存在。魂は?ホルモンや肉体に左右されるのは人間ではないのか?不死性を持たせたシムは?魂波は何を示しているのか?

    p403 ほんもののピーターはどれなのだろう?毎朝ベッドから起きあがるときの、ものぐさで短気な男なのか?それとも、カフェインという薬が魔法のように作用したあとでオフィスに到着するときの、集中し、活力にあふれた男なのか?

    刺激物と抑制物、阻害因子、男性ホルモンと女性ホルモンを取り去ったら、人間にはなにが残るのだろう?(略)そうした病がその人物の実体をあらわすわけではないー問題は魂なのだから。


    自分をそのまま写しとったコントロール。新しい魅力的な連結、笑いを追い求めるスピリット。宇宙の続く限り学び続けるアンブロトス。

    p432だが、いずれは克服できる。広漠たる関係においては、広漠たる人生においては、あんなことはささいな事件にすぎない。

    p440 ピーターは、胸をどきどきさせながら、息を引き取るサンドラをじっと見つめて、魂波が部屋のなかを移動していくしるしを探しもとめた。
    なにも見つからなかった。

  • 古書購入

  • そもそもの始まりは、臓器移植のための献体は本当に死んでいるのか?という疑問から始まり、主人公は人間から魂が抜けていく状況を観測できる機械を発明する。そして次は、自分の精神をコピーして死後の世界を追求しようとするのだが。。。
    人の精神を取り出してコピーしてAI化するとどうなるかの部分や、嫁の父親が死んだからくりは納得できるのだが、嫁の同僚を殺した犯人と刑事を襲った犯人については描写不足かと。犯人が使った武器もそんなにSFチックな物である必要はあるのか?
    この物語が2011年という設定は無理すぎてどうでもいいが、全体に発想はよくてもいろいろ詰め込みすぎで消化不良なネタが多い感じ。

  • う〜〜ん、初読だと思って買ったのに、読み始めたとたんに再読と気付いた。もっとも幾つかのシチュエーションを覚えているくらいで、ストーリーそのものはすっかり忘れてしまってるので、楽しく読めました。
    コンピューター中に再生された人格が出てくるところなど、半ばサイバーSFに分類されるのかもしれません。しかし、この作家らしく余りSFっぽい小難しさも無く(本当にハードSFが好きな人から見れば、多分いい加減な設定なのでしょうが)、ミステリー仕立ての非常に読みやすい作品です。
    今回読んで、所々の章末に挿入されるニュース報道の上手さと、エンディングの爽やかさが妙に印象に残りました。

  • 面白いがロビン・クックが書きたいような作品
    表紙   6点小倉敏夫 カバー造形 松野光洋 
    展開   5点1995年著作
    文章   6点
    内容 500点
    合計 516点

  • さすがネビュラ賞受賞作品。
    1995年に受賞していて、作中の年代は2011年。
    生活のほとんどがコンピューター制御されている世界。
    主人公のピーター・ホブスン博士が、脳死という状態に疑問を抱き、死ぬ間際の人の脳波を計測して、魂が抜けていくかのような反応を発見する。
    それを魂波(ソウル・ウェーブ)と名付け、全世界に発表し、ものすごい反響を得る。 
    魂という非科学的な存在(概念?)を脳波計測という科学的なもので証明するという発想が面白い。
    そして、魂が存在するということになったら、人々が関心を寄せるのは死後の生。
    死んだ後も、存続する何かがあるという考えに至る。
    そしてそれを、生きている間に知りたいと思うようになる。
    そこで、人工知能を作って肉体的なものを削除し、どうなるかを試してみた結果……。
    なんと興味深い。
    SFを堪能できる。
    この作家のファンになること間違いなし。

  • 脳の活動をスキャンすることで自分の“魂”をコンピューターに展開できるようになっている世界。デジタル化された“魂”(人口生命のようなもの)と、そのオリジナル?の魂から寿命などの制限を取り除いた不死をシミュレートする魂と肉体の制限をすべて取り除いた死後の世界をシミュレートする純粋な魂を作成し、それらが意思を持ってネットワークに放たれたことで、殺人事件などの騒動が起こる。

    いろいろ話の展開に多少ひっかかるところがあったり、今となっては古い技術が使われていたりするものの、基本的には物語に引き込まれるように読み進められる。純粋にストーリーを楽しめた。

    本のジャンルとしてはSFなのだが、殺人事件の真犯人を探すところはミステリーになってくる。犯人がリアルな人間ではなく、コンピューターで動いているプログラム(魂のシミュレーション)だというのが面白い。舞台設定はサイバーパンクなSFなのだが、ミステリーをSFの世界にもっていくとこんな感じになるのかなというところ。2045年といわれている技術的特異点(シンギュラリティ)を迎えると、このような犯罪も発生するのだろうかと考えると、フィクションではなくなる日がくるのではないかと読み終えてから思った。

  • 学生時代、臓器摘出手術の立ち会いで、ひとの死の判定に疑問を抱いた若かりしピーター・ボブスン。彼は、医学博士となった後、観測対象である老女が死ぬ寸前に「魂」とおぼしき小さな電気信号が脳から抜け出ていくことを測定する。「魂」の正体を探るボブスンは、友人にして天才サカール・ムハメドの助けを借りて、自らの精神を三通り、コンピュータ上に複製する。
    ひとつ、肉体を持たず、死後の正をシミュレートした「スピリット」。ふたつ、肉体的に不滅であり、不死の正をシミュレートした「アンブロトス」。さいごは、変更を加えず、比較対象として複製した「コントロール」。
    複製の観察は、ボブスンに貴重な知見をもたらすが、なんと、複製の誰かが関与したとしか思えない殺人事件が発生する。果たして、犯人はどの「ボブスン」なのか…

    ネビュラ賞に輝く本書は、あらすじから解るとおり、とても面白そうなSFミステリーで、確かに、後半の疾走感は素晴らしいものがありました。とっつきやすい物語は決して揶揄されるものではなく、むしろ幅広い層に受け入られやすい良作に仕上がっているように思えます。

    ただ、これまで「フラッシュフォワード」や「さよならダイノサウルス」を読んできて思うのが、この著者、物語はキャッチャーで面白いのだけど、アイデアとドラマとビジョンのバランスがどうにも良くなくて、どれも中途半端に感じるのです。特にビジョンの差し込み方に違和感ばかり。これは本書でも感じられて、そのおかげで、どうもスッキリしない。というか、ビジョンを示す割りにインパクトが希薄すぎるんですよね。
    まあ、このあたりは相性かもしれませんが…物語は好きなんだけどなぁ。

  • 主人公の複製された意識3体のうちどれかが殺人をおかす。フーダニットの面白さと動機の意外性があるソウヤーのSFミステリ。仮にじぶんの意識が複製化されたとしてもあの理由が動機になることはないだろうと思いましたが、あの理由が動機になり得る可能性については頷けます。

  • 魂とは、人間の生とは、ってかなり高次元の問とちゃちな殺人事件が途中まではあまり混ざってない。まぁそれも意図的なもので、最後にはうまいまとめ方をする。解説にもあったけど、たぶん犯人違うね。そうじゃないと話が……。

  • 3冊目のソウヤー。
    狙ってのことだと思うが、少しB級臭い設定でA級のエンターテインメントを見せてくれるのがソウヤーなのかなと思った。
    もし自分が脳スキャンのあと目を覚ますとシムになってたら……と思うとゾッとした。

  • "魂"とおぼしき存在を発見した医学博士のホブスンはその正体を探るため、自らの精神の複製を三通り作り出す。しかし、その三体のどれかの仕業らしき殺人が起こり……。
    最近ハマってるソウヤー4冊目。『ゴールデン・フリース』や『イリーガル・エイリアン』に比べるとミステリ度は低めかな。とはいえ、前半での「魂の実在」、「永遠の生」といった問題が、後半での謎解きに大きく関わってくる辺りはさすがの巧さ。意識の複製や臨死体験などの話題も興味深く、ラストの壮大さも感動的。

  • 読了。

    仮想人格と臨死体験と魂、これだけ聞くと手垢のつきまくった
    コテコテの設定だが、上手くまとめてあった。

    話自体はしっかりと作りこんであるものの、
    想定の範囲内で物事が進むので、意外性というものは感じなかった。


    時代設定が2011年であるものの、登場するPCのスペックがかなり時代遅れ。
    90年代の未来予想よりも、はるかに現実の技術の進歩のが進んでしまっているらしい。

  • SFというよりハイテク・スリラーに近い。 "意識を持ったコンピューターの暴走"というのは、 「2001年宇宙の旅」以降のありふれたモチーフだが、 "意識の複製"というアイデアが秀逸だし、「死の接吻」を思わせる叙述スタイルが効果的だ。 最後の女刑事の追跡シーンは泣けた。

  • 「ターミナル・エクスペリメント」ロバート・J.ソウヤー/内田昌之
    SFサスペンスミステリ。グレー。

    ちょっとばかりコンピュータまわりの描写は古めかしいというか前代的というか・・・違和感を感じる部分はありますが、全体的に完成度の高い作品だと思います。
    導入部はそれほど起伏もなく、まあ何というか普通に読み流した感じ。
    後半シム達が自立行動を始めたあたりからなかなか読ませられました。
    個人的にスピリットがやっていた人工生命プログラムと、解説が瀬名さんだったことに興味をひかれたかなあ。スケールは結構違うけど、題材は『BLAIN BALLAY』と似たところがあるかも。

    そうですね、「読み物」として面白かったは面白かったけれど、今ひとつなんだろ・・・スパイスが足りない気分でしょうか。
    おそらく好みの問題だと思いますが。(4)

  • ダイノサウルス→イリーガルと読んで来たからかちょっとソウヤーの無茶っぷりが物足りないかも

  • アイディアがいつも秀逸で、「これぞSF!」ってのを読ませてくれます。
    ただし、オチが大抵あっさりしていて、何故か記憶に残りにくい作家さんです個人的に。直な邦題もカタカナで覚え辛い。なんかちょっと惜しい。でも新刊見かけたら大概買う。
    この作品は、つまりは人間ってなあに?自分ってなあに?って話な訳で、永遠のテーマですよね。

  • 最高ですな

  • ロバート・J・ソウヤーの傑作。ネビュラ賞受賞。

    主人公は偶然、死んだ瞬間に魂と思われるものを発見してしまいます。
    と、普通ならここで魂の存在をめぐって政治宗教入り乱れた陰謀劇が展開されそうなものですが、そこはソウヤー、そんなの知らんとばかりに突き進みます。
    主人公は自分の脳をスキャンし、コンピューター内にシミュレーションとして構築します。一つはそのまま、一つは死を排除したもの、一つは死後の魂として。
    これにより、魂の正体を探ろうというのです。
    ところが、そのシミュレーションのうち一つが、現実とコンタクトを取って殺人(依頼)を始めたとわかります。
    その犯人は、そしてその動機はなんなのか…

    というわけで、犯人探しミステリに変身です。
    もともとSFとミステリは紙一重な部分がありますが、真相にテーマを上手く結び付けている点を考えるとやっぱりSFらしいSFと言えるでしょう。

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