花粉戦争 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (1997年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784150111991

みんなの感想まとめ

近未来のサイバーパンク世界を舞台に、精神感応能力者や異種交配した存在が共存する独特な設定が魅力の作品です。人々は「羽」を使って通信や疑似体験を楽しむ一方、人工知能搭載の自動車やサイケデリックな要素も登...

感想・レビュー・書評

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  • 精神感応能力者が暮らし、人・犬・ロボット・死体(!!?)の異種交配が進んだ近未来世界サイバーパンク。人工知能搭載の自動車なんかも出てくるが、脳内チップのような一般的な(?)ガジェットが『羽』に置き換えられているのが特徴的。人々は専用の『羽』を口にくわえることで通信をしたりドラッグの替わりにしたり疑似世界に遊んだりする。故にか、どちらかというとスピリチュアル方面の要素が強い印象だった。SFにおいては『人工物の反乱』というのはわりとよくあるテーマなのだけれど、この小説もその変奏で、しかし前述のように設定が独特なので、雰囲気はあまりハードでマッチョな感じではなく、むしろゴシックホラー的な耽美とサイケデリックの混合。実はシリーズ二作目のようだが、単体で充分楽しめた。誠実だったチャーリーの魂に安らぎあらんことを。

  • 再読

    「ヴァート」の続編であるが、一応単体でも読めるサイケデリックパンクSF。作中登場する麻薬的物質「ヴァート」の説明については薄いので、前作を読んでからの方が分かりやすいかも

    人間と死者と犬とロボが交わり多民族社会となった近未来世界。生者と死者の両親を持ち「シャドウ・ガール」と呼ばれる種族として生まれた女警官シビルは口から花を生やした奇妙な犬人間の死体が見つかる事件の捜査にかかる。しかしそれは世界を脅かす「花粉侵入」事件の始まりに過ぎず…。

    前作は現実から夢(ヴァート)の世界へ、だったが今作は夢(ヴァート)が現実を侵食しようとする話である。世界に花が溢れむせ返るような極彩色、飛び交う花粉で一部免疫を持つドードー(夢不能者)以外は花粉症に苦しみ、人や犬だけでなくロボや何なら車まで盛大なくしゃみを飛ばす辺りは植物SFとしての奇想は良い。
    読みやすさやキャラクターはこちらの方が好きだが、後半〜終盤はちょっと作者都合で動きすぎている感が否めない。結末は綺麗にまとめたような雰囲気を出しているが…。

  •  前作『ヴァート』の世界で明かされていなかった、多種族が産まれたきっかけが語られたり、新たな種族であるゾンビが出てきたりと前作より世界観が広がった気がします。その所為か視点もシャドウ・コップのシビルとタクシードライバーのボーダの視点で行ったり来たりしていて、マンチェスターの街を縦横無尽に駆けている気になりました。
     そして、なにより花粉症が植物による生殖行動として書かれたり、植物による地図が作り上げられたりと、前作以上に混迷とした世界観が見れて面白かったです。

  • 前作ヴォートより分かりやすくてよかった 
    表紙   7点古田 忠男
    展開   5点1995年著作
    文章   5点
    内容 629点
    合計 646点

  • 近未来のマンチェスターが舞台。犬人間のタクシードライバーが何者かによって殺された。死因は「花」。被害者の口から咲く花は死体の肺にまで根を下ろしていた。死体から産まれた女警官シビルはテレパシー能力「シャドウ」を使い捜査を始める。時を同じくして町中に花粉があふれ出し…。種を超えた交配が可能となった未来を描いたSF作品。
    サイバー・パンクと言うよりも、愛と性とドラッグ、極彩色のおとぎ話。夢と現実を行き来する世界。

    フラワーチルドレンの文化を引きずる小道具立ては、人によって好き嫌いが分かれるところだと思います。個人的には、ヒッピー文化の要素はあまり好まないのだけれど、雑多な交配から産まれた混血児達の設定はとても面白く、こういうところは好きです。犬と人間、死体と人間、機械と犬の交配、そして夢の世界である「ヴァート」の子供達。彼らは皆、化け物じみているにも関わらず、それぞれの種の特徴も残したとても可愛らしい生きもの達です。彼らの交配に関する論理的な説明は一切無く、この辺りがSFと言うより「おとぎ話」特有の違和感を醸し出していて、いい感じだと思います。

    後半になるにつれて、この「おとぎ話」度はヒートアップ。夢と現実を行ったり来たりしながら、物語の狂気が進んでいきます。話全体のトーンが明るいため、気軽に楽しめます。理屈のいらない人におすすめ。花粉の季節ならなお良し。

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