- 早川書房 (1998年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150112523
みんなの感想まとめ
人類の愚行や科学技術の進展に対する深い考察が描かれている本作は、1936年に書かれたにもかかわらず、今なお新鮮で面白いと多くの読者に評価されています。特に、赤道直下のタナ・マサ島に登場する不気味な怪物...
感想・レビュー・書評
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山椒魚なんて見たこともなくて正直よくわかりません!? 手の生えた巨大なおたまじゃくし? でかいイモリかな? やれやれ……こんな頓珍漢で読み始めてみました。
こちらの談話室で教えてもらったチェコの作家カレル・チャペック(1890~1938年)。彼の戯曲『ロボット』も面白い作品ですが、『山椒魚戦争』はさらに読みごたえ満載です! はじめの視点だったヴァントフ船長がいつのまにかフェイドアウトしたり、山椒魚の生態に絡めた興味深い記述の数々などは、さながらメルヴィル『白鯨』のよう。物語はSF仕立てで、時系列的にすすみながら洒脱で読みやすい、でも中身は濃厚で私好みですが(笑)。
「私がこの作品で描いたのは、ユートピアではなく、現代なのです。……今われわれが生きている世界を、鏡に映しだしたものなのです……私にとって問題なのは、現実だったのです。……現実で実際に起こっていることに気を配らない文学、言葉と思想にできるかぎりのあらゆる力をふりしぼって、そういうことに反応しない文学――私の目指す文学はそんなものではないのです」 (「作者の言葉」より)
当時のチェコを含めた中央欧州の小国が、イギリス、フランス、旧ソ連、ドイツなどの列強に虐げられていく歴史的背景や、人類の愚かさや滑稽味がおもしろ可笑しく織り込まれています。「山椒魚」をして織りなしていく、ジョージ・オーウェル『動物農場』風のディストピア小説といってもいいかもしれません。
「……なによりおそろしいのは、この従順で、愚鈍で自己満足している文明化された平均的しろものが、大量に繁殖して、何百万、何十億もの同じ山椒魚が生まれている、という事実である」
当時のチャペック作品は、ナチスドイツに狙われるほど過激なもので、秘密警察の魔の手を逃れることができたのはまさに奇跡……その直前のクリスマスの日、チャペックは急病でこの世を去ったよう……。
歴史という怪物に呑み込まれてきた現在のチェコには、フランツ・カフカ、ヤロスラフ・ハシェク、ミラン・クンデラといった魅力的な作家が多くて、読むたびに驚きの連続です。カレル・チャペックのこの作品も秀逸で、翻訳もよく、解説も丁寧です。しかも表紙の山椒魚くん、Win-Win微笑よろしくその手にはナイフと真珠貝……でもそれほんと!?
★★★
以前からチェコの作家にはまって読み漁るものの、あまりにも凄まじい歴史の荒波に打ちひしがれてしまいます(-_-;)
1933年――ドイツ・ナチス党が第一党になり、国境を接していた旧チェコスロバキアに対し、ズデーデン地方の割譲を強要
1935年――『山椒魚戦争』発刊
1938年――「ミュンヘン会議」イギリス、フランス、ナチスドイツ、ファシストイタリアが、ズデーデン地方の割譲を決め、旧チェコスロバキアは国土の重要地を失う
1939年――それを契機にナチスドイツのチェコ侵攻、以降、占領が続く
1945年――ナチスドイツの敗戦により占領から解放されるも、こんどは「ヤルタ会談」(スターリン、ルーズヴェルト、チャーチル)により、東ヨーロッパ全体がソ連圏に組み込まれる
1968年――「プラハの春」民主化運動の高まり。ソ連が武力介入。最悪の監視社会・警察国家となる
1989年――民主革命により、約41年の独裁政権が崩壊
1993年――スロヴァキア独立。チェコは多党制民主主義国家に戻る詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もし、文明を築き得る知性を持つ動物が人類以外にも存在したら・・・。
そんなifが設定の大前提となっている古典的SFの名作。
この作品が書かれた時代背景(1935年のチェコ)が本作に多大な影響を与えていることは間違いないが、今さら感あるので、あえて現代人の目線で単純に本作の中身ついてだけ書いておく。
さて、本作は、冒頭のたった一つの仮定をもとに驚くべき想像力を働かせて、限りなくリアリティに富んだ山椒魚繁栄の歴史を語っていく。
知性の高い山椒魚に遭遇したのは単なる偶然かもしれない。しかし、その後、人類が自らの手によって山椒魚を大いに繫栄させるに至ったのは必然だった、と確かに納得せしめる。
即ち、現代社会を支配する資本主義の論理によって、山椒魚を便利に利活用するうちに、気づいたときには行き過ぎていて、しかも行き過ぎていると気付いていながら殆どの国がチキンレースから降りられずに事態を悪化させていく様は、寒気がするほどにリアルだ。
しかし「想像力を働かせ」と書いたが、実際はそういうわけでもないのかもしれない。
第一章の山椒魚発見から人類による利用のくだりは、奴隷貿易の歴史を踏襲していると言えるし、第二、第三章はそのまま当時の欧州の政治・経済情勢をもとに書き起こしているだけともいえる。
登場人物による語りだけでなく、新聞や各種の記録を"語り手"が紐解いていくかたちで山椒魚の歴史が語られていく手法もまた、リアリティを与えるのに効果を生んでいる。山椒魚に関する各国の反応の違いもまた面白い。
さて、個人的には第一章はとても面白かったが、第二、第三章は正直勢いを失ったように感じた。
第一章では、まだ個としての山椒魚の生態そのものに焦点があたっていて、想像・創造の世界とリアルな人間の世界が交錯して実に読ませたものだが、第二章以降、山椒魚が集団として扱われてくるようになってくると、これはもう殆ど人間の歴史の語り直しのような様相を呈してきてしまっているように思う。
第三章の締めくくりも、訳者は上手いこと着地させたかのように解説で書き綴っていたが、私には単に「話の収拾がつかなくなってぶん投げた」エンドにしか思えなかった。笑
知性をもった山椒魚、というSF素材を徹底的にリアリスティックに描き、最終的には人間そのものを結局描くことになる・・・という構成は見事とも言えるだろうとは思うけど、もう少しSFしてほしかったなあとも思う次第。 -
園芸家、庭仕事の達人でもあるカレル・チャペック氏の代表作。1936年の作品とはとても信じられず、普通に読めてとても面白い。
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名作たる所以がところどころにあって、面白かった。
本当にあった出来事ではないかと思ってしまうほど、さすがカレル・チャペック! -
NDC(9版) 989.53 : その他のスラヴ文学
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山椒魚と人間の関係が変容していくにつれ、そこに生まれる問題の質がめまぐるしく変貌していく様にぞくぞくした。
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1936年の作品 まさに古典である
表紙 7点竹内 通雅 来栖 継訳
展開 5点1936年著作
文章 5点
内容 750点
合計 767点 -
様々な風刺が含まれているのはわかる。特に後半は面白かった。なんか『白鯨』みたいな構成で。
でもねえ、ちょっと長かったなあ。途中で若干倦んできてしまったってのが正直なところ。あと、最後はちょっと端折りすぎじゃない?いやまあ、面白かったんだけどね。 -
岩波・創元・ハヤカワのこれに小学館版地球人ライブラリーまでなぜか持っている
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この本を初めて読んだのは高2の夏、衝撃だった。
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2008年4月22日
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05/11/19読了。
カレル・チャペックという人は何故こんなことが思いつくのか?今なお読み続けられているというのは、それだけ素晴らしい作品だということだ。
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カレル・チャペックの作品
