星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫SF)

制作 : Jr. Tiptree James  伊藤 典夫  浅倉 久志 
  • 早川書房
3.64
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本棚登録 : 200
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150112677

作品紹介・あらすじ

遙か深宇宙で進化した生命体グレックス-エンギという名の幼仔が冒険を求めて行方をくらました時、群れは大騒ぎとなった。ただちに2体の斥候が選ばれ、その跡を追った。だが怖るべき捕食生物「大食らい」もまた、その仔を狙っていたのだ。やがて未熟なエンギは、とある恒星の磁力流に捕えられ、地球という名の惑星に…感動の表題作ほか、ネビュラ賞受賞作「ラセンウジバエ解決法」など、全10篇を収録した傑作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫SF)

  • 「われら<夢>を盗みし者」が、「輝くもの天より墜ち」の訳者あとがきで紹介されていたので、読んでみようと思った。なんと既に絶版ではないかとがっかりしたが、ありがたいことに市の図書館で借りられた。「ラセンウジバエ解決法」は、1977年度のネビュラ賞を受賞しただけのことはある。「天国の門」と「時分割の天使」もおもしろかった。「星ぼしの荒野から」は、「たった一つの冴えたやり方」に通じるところがあると感じたが、解説にも似たようなことが書いてあった。解説によれば、「スロー・ミュージック」は、「SFマガジン一九八九年十二月号にすでに今村徹氏の訳が発表されている」そうだが、とんと記憶にない。当時は毎月買っていたはずなのに。
    収録作品:「天国の門」(浅倉久志訳)、「ビーバーの涙」(浅倉久志訳)、「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」(浅倉久志訳)、「ラセンウジバエ解決法」(浅倉久志訳)、「時分割の天使」(浅倉久志訳)、「われら<夢>を盗みし者」(伊藤典夫訳)、「スロー・ミュージック」(伊藤典夫訳)、「汚れなき戯れ」(伊藤典夫訳)、「星ぼしの荒野から」(伊藤典夫訳)、「たおやかな狂える手に」(伊藤典夫訳)、「もう一羽のよだか」(伊藤典夫による解説)

  • SF。中短編集。
    ティプトリー3冊目。1981年の作品。著者が性別を公表してから出版。ラクーナ・シェルドン名義で発表された作品が4作品が好み。
    「ラセンウジバエ解決法」は文句なしの傑作。
    「天使の門」はコンタクトもの。好きなジャンルです。
    「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」はファンタジックなSFホラー。主人公の狂いっぷりが良い。
    ティプトリー名義の作品では「スロー・ミュージック」が、ワクワクする冒険と何とも言えない読後感が魅力的。
    全体として非常に満足。絶版になっているであろう他作品も含め、新しい表紙での復刊を強く希望。

  • 読みにくいが味がある短編集
    表紙   7点たまいまきこ  伊藤 典夫 朝倉 久志訳
    展開   5点1981年著作
    文章   5点
    内容 650点
    合計 667点

  • (後で書きます。所謂作風の変化は描写の増加により速度がゆるやかになったため。そこへ愛や思いやりが入り込む余地が生じる。相変わらずモチーフは恐ろしいほど一貫している)

  • ティプトリーってやっぱりおもしろい!!

    彼女の描く小説は、どうしてこんなにも刺激的なのでしょうか。「愛はさだめ、さだめは死」にみられるギラギラとした凄みたっぷりの作品も中毒性があっていいけれど、「たったひとつの冴えたやりかた」のように情感にふるえる作品も信念が感じられて頼もしい。

    本書は、そんな趣向の異なる作品をバランスよく取り揃えた短編集です(どちらかというと後者より)。
    すべての作品を楽しめたのですが、とりわけ次の作品が印象的。

    「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」
    なんだこれは、と悪態をつきたいところですが、次第にそのしっちゃかめっちゃかな展開に惹きこまれていきます。こういった読者を突き放した(でも、実際は救いの手をさしのべている)作品になんだか中毒性があると思うのですが…

    「ラセンウジバエ解決法」
    サスペンスフルな傑作です。この作品もそうなのですが、ティプトリーの作品には、ときに底抜けのやるせなさを感じる一方で、どこか正しい信念の潜在を感じます。どんな問題提起をしても、どんな不安をあおっても、どこかに進むべき正しい道があるような… ティプトリーを好きなのは、そういう二面性にあるのかもしれません。

    「スロー・ミュージック」
    本作で登場するヒロインのピーチシーフ。彼女からは、いわゆる男性から見た女性像を顕著に感じるのですが… こういうところもティプトリーらしさなのでしょうか。

    「星ぼしの荒野から」
    プロットだけを追うと、とてもやるせない作品です。だけど、確かにやり切れない思いでいっぱいなのだけれども、これが間違いとは思わない。これで良かったのだという納得感。ティプトリーの情感への訴え方は、どこか悲壮さを感じます。

    「たやかな狂える手に」
    どう疑っても主人公が作者自身としか思えません。以下、訳者あとがきでのティプトリーのインタビューを抜粋。
    「星をみるときは、いつもすばらしい無意味さと無関心さの感覚にひたるのよ。完全な自由-それが、地球、わたし、シリウスという偉大でとことん無頓着な太陽がつくる構図のなかにあるから」
    なんだか、ティプトリーが好きな理由がいまひとつ解ったような気がします。

  • ティプトリーの作品集で二番目に好き。(一番目は『愛はさだめ〜』)『おお、わが姉妹よ〜』『ラセンウジバエ解決法』『たおやかな狂える手に』が良い。

  • 人間という種の中の一個体である/でしかない個人、という孤独を堪能できるSF短編集。設定を存分に活かしきりつつ、物語としての完成度も高いと感じられる。前半の幾分軽妙でブラックな数編からラスト『たおやかな狂える手に』までの落差が激しく、特に『われら<夢>を盗みし者』『スロー・ミュージック』『たおやかな~』は、「こう終わって欲しい」という期待を情け容赦なく払い除けるようなオチに涙した。だってさあ、ジョイラニたちは、ピーチシーフはジャッコはCPは、幸せになってもよかったじゃないか!!うわああああ!!!という昂り。

  • 図書館で借り。
    「たったひとつの冴えたやりかた」を読んで以来、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアのほかの著作を読みたかったので。


    短編集。
    救いがない、というかバッドエンドのものが多かったなあ。あと性やセクロスに関する物語が結構あったなあ(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの経歴を読んでなんとなく納得)。

    「ラセンウジバエ解決法」が面白かった。

    人類はもしかして、どっかの地球外生命体の手のひらの上で踊ってるだけだったりしてな。などと考えたりした。

  • 収録作
    「天国の門」
    「ビーバーの涙」
    「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」
    「ラセンウジバエ解決法」
    「時分割の天使」
    「われら〈夢〉を盗みし者」
    「スロー・ミュージック」
    「汚れなき戯れ」
    「星ぼしの荒野から」
    「たおやかな狂える手に」

    SFとしては「ラセンウジバエ解決法」が凄まじい。
    女性殺し(フェミサイド)が、どこか現実の延長線上にあるような感覚がした。
    一番好きなのは「たおやかな狂える手に」。

    しかし全体的に色々語れそう&語られてそうな作品ばかり。男は外部で、エイリアンで、犬で、いらない存在なのか。
    収録作の中だと「スロー・ミュージック」だけ、男女の描き方が違うと思った。
    救いでもなく、わかりあえるわけでもなく、常に移り変わるけど、なんとなく同じとこにいれそう。
    「たおやかな~」は主人公の選定理由とか扱われかたがあまりにもって感じが。宇宙船の乗組員を描くにあたってこういう視点はなかったのかも、と思う。

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