順列都市 (上) (ハヤカワ文庫 SF イ 2-1)

  • 早川書房
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本棚登録 : 1217
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150112899

感想・レビュー・書評

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  • SF作家の中でイーガンは特に興味があり、最初に読むものとしてこの初期作品を選んだ。イーガンは「難解」と言われたりするが、彼が作品中で設定している根本的なロジックさえ納得できれば、読み進める事はそれほど難しいとは思わなかった。この作品では主人公が「塵理論」を元に純粋な情報のレベルで世界を作るというもので、線型代数学の基礎知識がある程度の私だがなんとなく理解はできた。作者が設定するロジックを面白いと感じるかどうかが好き嫌いの分け目かと思う。私はこういったロジカルな作風はSF表現の一つとしてとても面白いと思う。

  • うーん、とても難解だった!w それでも総体として面白かったという印象を残すのだから、やっぱりグレッグ・イーガンはすごい。

    オートヴァース内の化学的な描写は、正直なところ難しくて飛ばし読みしてしまった。あと、コピーのポールが真相?に至るまでの考察も。

    だけど、そんな初心者をも楽しませてくれるのだから、イーガンはすごい。上級者向けの細部を披露しつつも、初心者を振り落とさない。しっかりとストーリーの道案内をしてくれる。
    だから読んでいる方も必死になってしがみつくことができて、タフな読書体験を獲得できる。

    話の核となるのは、人間のコピーを作成してコンピュータ上で走らせるというもの。
    単なるSF的アイデアの披露に留まらないのは、話が多層的だからだ。コピーという存在について、経済・法律・哲学などの複数の視点から語られる。だから、のめり込んでしまう。

    コピー以外にも、ささやかなSF的エッセンスが散りばめられている。手の込んだ迷惑メールとか、新しいライブ鑑賞のスタイルとか。それ単体で短編小説になり得るレベルのギミックが差し込まれる。SF小説として非常に贅沢。

    また、上巻としての終わり方がすごくサスペンスドラマ的で下巻が気になってしまう感じ。

  • とにかく好き。理屈じゃないんだ、理屈あっての小説だけどでも理屈じゃないんだ。「創造主が創造物に否定される」ってのはシビアながら笑いどころのような気もする。で、私の考え方は90年代生まれのママンに似ている…年上だから当たり前。

  • 2022-08-05 感想は下巻

  • 仮想空間に人格を<コピー>できたらどうなるか、という思考実験が基になるやや難解なSF。オリジナルとコピーの同一性や、VR世界と現実世界とのリンクが、哲学や倫理の問題にも切り込んでくる。「塵理論」あたりの、ハードSF全開の文章は文系にはツラかったけど、ストーリー全体としては面白い。えっ、マジで?となる上巻終わりの引き方がお見事。下巻も読まざるをえない。

  • この難解な本が理解できるようなり、この本を通して自分の成長を感じる。

    読まないからと売ったり捨てたりせずに残してて良かった。

    はっきり言って、用語について調べながら読まなければ、面白さよりも苦しさが勝ると思う。

    私がこの本を購入したのは、7年前。私はまだ高校生でした。当時放送が始まったソードアートオンラインをきっかけに「仮想世界」について興味をもち、この分野について調べていくうちにグレッグイーガンに辿り着きました。

  • 一言で言うと難解。
    仮想現実の中で実体をスキャンして、それを元にしてコピーとして生きる人々。コピーなのに感情を持ち、あたかも生きているように振る舞う。
    更に人工宇宙まで作り出し、そこに惑星と生命を作り出し、進化させるとは。
    これだけのことをこなすコンピュータパワーがあるとは現状を考えると考えづらい。そして電力も。
    でも、コピーとして生き続け、実体のある人々を支配している?と言う姿はある意味ホラーでしかないかもね。
    そんな未来が来るのか?と思いながら読んだので、内容が今ひとつ入ってこなかった。

  • 自分をスキャンし、架空都市に配置した「コピー」の人格は自分なのか。処理速度の低下で17分の1に、30分の1に、5万分の1の「主観時間」で遅くなった、さらに逆再生、ランダム化された意識は、自分の体感と思考は、自分のままなのか。分子より大きな段階でモデル化され学習され調整された「反応」と「行動」は、果たして本当の自分なのか。
    コピーされた自我とオリジナルの同一性で悩む人々。オートヴァースで再現された進化生活環。真の目的と、永遠の自我。将来たしかにこういう技術が生まれ、こういう問題が起きるかもしれない。
    それを考えるのも楽しいけど、問題に直面した人の心理的な葛藤よりも、その技術を元にどんな社会と大衆の行動が生まれるのか、そういうSFを読みたいのです。

  • 順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 感想は下巻で

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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