- Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150113988
感想・レビュー・書評
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クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)
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長いが面白い、どこがSFか分からない作品
表紙 4点佐伯 経多 中原 尚哉訳
展開 6点1999年著作
文章 7点
内容 660点
合計 677点 -
映画「イミテーション・ゲーム」を見て、チューリングが登場する小説ということで読んでみた。表紙の絵が古くさく、こんなの面白いのかなと不安であったが、読んでいて止まらなくなった。コンピュータが好きな私なので、暗号や数学、コンピュータそのものが出てくるだけで楽しめるのだ。物語は、現代と第二次世界大戦が並行して進む。第二次世界大戦のパートでは、もちろんチューリング博士が登場する。第二次世界大戦時代に登場する人物の子供や孫が現代パートで登場する。過去と現代が微妙なリンクをしつつ、どちらも通信の暗号や解読に関わっており、冒険小説のようでハラハラドキドキする。さて、本作は4作品で1つの大長編だ。第2作の「クリプトノミコン〈2〉エニグマ」までは入手済みだが、残りの2作品も必ずゲットしなければ。第1作でこれから回収されるであろう伏線がたっぷりとちりばめられているように思えた。題材が暗号なだけに最後にはどのように謎が解かれているのか楽しめである。
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まだ全体像見えない…
そしてどこがSFなのかもわからない…
でも徐々に引き込まれつつはある… -
全4巻の1冊目。
暗号解読をテーマに第二次大戦中と現代の話が平行されて語られる。大戦中の方はさらにアラン・チューリングとローレンス・プリチャード・ウォーターハウスらの暗号に関する頭脳戦を繰り広げる話と戦場がメインとなる下士官ボビー・シャフトーの話の二つに分けられるので、3つの話が展開されていることになる。現代パートはローレンスの孫ランディのコンピュータ系のビジネスの話。
「スノウ・クラッシュ」もそうだけどこの作家、柱になる話がどっしりあるタイプではなく、様々なエピソードが連なって進行する。ただそれら薀蓄に富んだエピソードがどれも滅茶苦茶面白い。硬軟取り混ぜ色んなこと知ってるんだよなー。この人が短篇を書くのが苦手というのも(解説に書いてある)興味深い。例えばそれぞれのエピソードをブツ切りにすると一応短篇になるような気がするが、それだと小説を書いている気がしないんだろう。エピソードの羅列に一見なりそうな書き方なんだけど、全体を貫くイメージがあるんだろう(それはまだ1巻目なのではっきり見えない)。とにかくボビーのロマンスの話とかランディの破局の話なんかを掘り下げるともっと盛り上がりそうなんだけどそれをしないのがこの作家流(もっと長くなっちゃうか)。何はともあれ続きが楽しみ。 -
オタクと天才と脳筋マッチョの大冒険。
こんなにわくわくする冒険譚はひさしぶり、いや初めてかも。
4巻まで一気読みでした。 -
第二次世界大戦中の暗号に隠された謎とは?
海底ケーブルの事業で窮地に陥った暗号解読者の子孫たちが、その謎に挑む。
大戦中と現代が、暗号(クリプト)によって絡み合う。
題名の「暗号書(クリプトノミコン)」は、もちろん「ネクロノミコン」のもじり。
いやー、毎度ながら、物語はブツ切れで終わってますな。
あれですね、この人の小説は、読み終わってから、「あ〜おもしろかった」と思うものではないです。
いろいろ考えながら読んでいく過程がおもしろい。
筋道きっちり立てた小説が好き…というヒトには向かないかもしれんね。
しかし、SF…というには、無理があるかも。かといって、どこのジャンルに入れるかと問われると、これも困ってしまう。
第二次世界大戦の暗号戦の話、高度な数学の話、ITビジネスの話が出てきたかと思うと、神話の話やTRPGの話やオタクあれこれ、電気街の頃のアキハバラまで出てきますから。
本当に何でもあり。
オタクのオタクのための小説だよなー。話をきっちりまとめられないところもオタク臭くてよいです。
暗号てのは数学の世界です。確率やら素数やら関数やらいろいろ出てきましたが、……えーと、さっぱり分かりませんでした。
数学はものすごく苦手な人間です。100点満点中2点とか取ったことありますからね。
それでも、こうやってパソコンに向かって字を書いてネットに上げるという作業のうちに、そういうわけの分からん数学のお世話になっているわけなんですね。
高度な暗号技術のおかげで、安心してメールのやりとりをしたりネットで本を買ったりもできるわけで。
サイモン・シン「暗号解読」とかを読んでおくととっつきやすいかもです。