われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

  • 早川書房
4.02
  • (196)
  • (195)
  • (164)
  • (4)
  • (5)
本棚登録 : 1911
レビュー : 171
  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150114855

作品紹介・あらすじ

ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない…これらロボット工学三原則には、すべてのロボットがかならず従うはずだった。この三原則の第一条を改変した事件にロボット心理学者キャルヴィンが挑む「迷子のロボット」をはじめ、少女グローリアの最愛の友である子守り用ロボットのロビイ、ひとの心を読むロボットのハービイなど、ロボット工学三原則を創案した巨匠が描くロボット開発史。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人類の辿った未来を、ロボットと工学の進化という視点から描く。形式は連作短篇集で、翻訳がごくごく自然。読みにくさはなく、さくさく読めてしまう。

    本書の前半は、良質なSF小説として楽しく読める。それぞれの物語で登場するロボットはとても愛くるく、登場する人間もまたハートフルで魅力的。読みながら、ロボットと人間への愛が溢れていることに気づく。

    しかし後半に進むにつれて、アシモフの突きつけた課題が迫ってくる。ロボットとマシンが優位となる未来において、人間はどうあるべきか。どう向き合っていくべきなのか。

    ロボット文学の金字塔であり、SF小説の必読本。すべてのSF好きに、自信を持ってオススメできる傑作だった。

    (長くなってしまうので省略。ネタバレを含む書評の全文は、書評ブログの方でどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88SF%E3%81%AE%E9%87%91%E5%AD%97%E5%A1%94_%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88_%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2

  • ロボットSFの金字塔的作品。USロボット社の主任ロボ心理学者スーザン・キャルヴィンの回顧録として展開する、未来の地球を描いた連作短編集。
    ロボットがロボットとして作られる際に、必ず設定される『ロボット工学三原則』。「人間への安全性」「命令への服従」「自己防衛」を目的として、ロボットと人間に一線を引いている。そんな中、人間にとって不本意な動きをするロボット。しかしロボットにとっては、三原則を守ろうとするゆえの動作だった。

    SFは現実感がなく読んでいる先から置いてけぼりを喰うことも多いのですが、あくまでも原因は人間の作ったロボット三原則にあるため、ミステリとしてその世界観に没頭できます。
    人型ロボットの実用化が目前に迫っている昨今、ロボットが人間の生活に深く関わっているこの作品の世界にさほど距離を感じません。作品中でも、少しづつロボットが人間に近付き、技術の進歩が伺えます。それと同時に人間らしく、さらには人間より優れたロボットを前に、人間らしさとは何か、ロボットとの違いは何かという問題を私たちに提示します。
    この小説で生まれたロボット三原則が現在のロボット技術分野に大きく影響していると思うと、今後も長く脚光を浴びる作品になるのだろうと思います。

    2004年「アイ・ロボット」として映画化され、映像としても楽しかったのを覚えています。こちらもまた観たくなりました。

  • ロボ心理学者のスーザン・キャルヴィン、ロボット技師のドノヴァンとパウエルが主人公の連作短編集。

    すべて、ロボット工学三原則にまつわる話になっている。以下簡略した三原則。
    第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない
    第二条 ロボットは人間の命令に服従しなければならない
    第三条 ロボットは第一条あるいは第二条に反する恐れのない限り、自己を守らねばならない。

    本書では子守ロボットを探したり、嘘をつくロボットを看破したり、掘削ロボットの故障を直したり、ロボット疑惑のある市長を調査したりする。なにか強大な敵がいてそれを倒すといったような話ではない。どれもロボット工学三原則が生み出してしまう些細なイレギュラーを想定して書かれている。アシモフは自らの作った設定の上で、さらに想像を広げて話を書いている印象を受けた。1950年に書かれたものらしいけど、今読んでも真新しいと思う。

    例えば嘘をつくロボットは、脳の周波数をキャッチして人の意識を読み取ることができてしまう。彼は人の気持ちが理解できるから、第一条の「ロボットは人間に危害を加えてはならない」を優先した結果、嘘をついてでも人の気持ちを害しないようになってしまう。

    「われはロボット」の世界では汎用人工知能を搭載した人型ロボットは民間には普及していない。おそらく反ロボット分子の反対に遭うという設定のためだと思うが、子守ロボットのように機能が限定されたものくらいしか民間では使われていない。反面、軍事的には様々な場面でロボットが活用されている。アシモフはきっと設定を細かく作っているんだろうと思った。未来の描き方ひとつとっても、「デトロイトビカムヒューマン」とかとの違いがあって面白いなぁと思った。

  • 1950年に出版された本とは思えないほど新しい。ヒトの心を読むロボットは、AI技術で人の表情を読めば今でもできそうだが、本書の最後では、あたかも人間であるかのような姿でロボットが為政者として世を治める世界が描かれる。このような世界は、はたして人間にとって幸福なのかどうか。本書では、宇宙時代の地球が4つのブロック経済圏となっている世界が描かれてもいる。現在の世界情勢を見ていると、そんな方向に向かっているようにも思われたりと、いろいろと考えさせられる一冊であった。

  • 初アシモフ作品を読了。「ロボット工学三原則」をベースに考えられる可能性を論理的にストーリー展開した感じの短編集。 USロボット社が知能(心)を持ったロボットを開発し、人間社会で使用されていく過程を社員の目を通して語らせるという体裁で、初期段階から最終段階(?)まで数十年の歴史の流れがあり、短編集ながら一貫性があり長編の読後感も味わえる。 論理的展開を基本としつつ、人間の感情的な部分に関する洞察やユーモアや皮肉もあり、現代では古い表現等もあるものの、さすがにSF小説の金字塔といわれる内容だと思う。

  • おもしろい!
    SFなんて興味ないとか、ロボットなんて難しそうだなんて思っていたけれど、読んで本当によかった!

    ・短編集だけれど、博士の話をインタビューしていくという体で書かれていて、まるで映画を見ているみたいに感じた。一話一話は短くてストレスがないのに、そういう仕組みになっていることで、すごくドラマチック。
    ・登場するロボットの謎についても、ロボット三原則の制約の中でどういう展開になるのかワクワク読めた。
    ・翻訳の古さを心配していたけど、一文が簡潔で、むしろ日本作品より読みやすい。

  • 数十年前の人たちは、2015年には、人間が太陽系内のさまざまな惑星に行っていると思っていたんだなあ、というのが不思議だった。
    やっぱり宇宙へ行くのは、想像より難しいことだったんだと思う。

    難しい理論がなくて、どちらかというとロボットたちの心に重きが置かれていたのが、おもしろかった。
    ロボットも人間も、どっちでもいいかな、と思ってしまった。

  • SF古典。当時の感性に脱帽。

  •  ロボット開発において多大なる功績を残してきたスーザン・キャルヴィン博士の勇退が決まった。ライターのわたしはキャルヴィン博士にインタビューを試みる。キャルヴィン博士はわたしにロボットの歴史について語り始める。

     各短編ロボットが出てくるものの、同じ見た目で作り出されたロボットから一体だけ紛れ込んだ異種のロボットを探す「迷子のロボット」市長選に出馬した男はロボットか人間かを探る「証拠」
    他にもロボット三原則(ロボットは人間に危害を加えてはならない、ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない、ロボットは自己を守らなければならないなど)
    を巧みに使ったミステリ的な仕掛けやロジックなども読んでいて面白く、SFファンだけでなくミステリファンにもおススメの作品です。

     子守ロボットと女の子の絆という話から始まり、博士の話が進むごとに徐々にロボットたちが複雑な思考を手に入れていく様子が分かります。
    そして毎回人間たちがロボットが発展するとともにそれに戸惑いバタバタしている様子も印象的。ロボットたちは確実に成長していってるのに、人類は相変わらず、といった感じでしょうか。

     山本弘さんや小川一水さん、藤間千歳さんなど日本のSF作家さんの作品も最近は少しずつ読んでいるのですが、そうした作品を読んでいると、この作品で提唱されたロボットの概念がいかに後世に影響を与えたかが分かります。
    それでいてこの作品のアイディアや各短編の展開が読んでいて使い古された、という印象を受けないのもまたすごいです。

     キャルヴィン博士の話から浮かび上がってくるのは、ロボットへの信頼と可能性への期待、そして未来の技術への希望だと思います。

     ちなみにキャルヴィン博士が勇退したのは作品の記述からすると2058・59年あたり、そのころにはこの本通りロボットやアンドロイドたちが社会に存在しているのか、とても楽しみです。

  • 「ロボット工学の三原則」というプログラムを元に、倫理・政治・経済・哲学などのさまざまな状況に照らし合わせて答えを探す、問題集のような形式の短編集。まるで自分がロボットのメンテナンスに携わっているような気持ちになっていくのが楽しい。またロボットの心理や行動を組み立てるように考えているつもりが、同時に人間自身の倫理・社会・哲学を解体して考えさせられている。現状に対する批評と未来に対する前向きな提案の両方を兼ね備えた、まさにSFのクラシックとよべる作品。

全171件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アイザック・アシモフの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
ジェイムズ・P・...
宮部みゆき
アン・マキャフリ...
アイザック アシ...
有効な右矢印 無効な右矢印

われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×