- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150115388
感想・レビュー・書評
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SFの巨匠Philip K. Dick最期の作品。。。
彼らしく灰色が似合うフィルムノワール的世界が漂う。
スクランブル・スーツを纏ったあの麻薬おとり捜査官は、
彼らの冷笑によって殺されてしまったんだ。
腐敗、欺瞞、猜疑心、頽廃、堕落、
そしてわずかに残された使い捨ての希望と未来。
ニヒルも効いてるけれど、 きっと愛も在る。
その「きっと」感がとても切なく苦しかった。
いちばん危険な種類の人間は、自分の影にも怯える人間だぜ
〜アークター〜
自分が誰だか分からなくなってしまって、
それでも、、彼は抜け殻になった今も、
ドナを求めてる。。。
その「きっと」感..。
それがPhilipなりのハッピーエンド!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鬼才リチャード・リンクレイターがアニメ映画化した2006年に買ったはいいが、3分の1も読めずにほっぽらかしてあった。(映画も観たかったが、機会を失った)
通読して思ったのは、一字一句理解しようなどと思わずに、酔っぱらいのたわごとを受け流す感覚で読めばよかったのだということ。しょっぱなからして、ドラッグ中毒者の悲惨な幻覚描写。主人公のボブ・アークターだって、おとり捜査官とはいえ、ヤク中だ。同じくヤク中のダチ公どもとの会話ときたら、とことんナンセンス。信用できない語り手という言葉があるけど、ヤク中の語り手ほど信用できないものがあるだろうか?
共感も同情もできないまま、読み進めるのだが、しばらくするとアークターの気持ちがわかってくる。どん底生活において、友情ほどかけがえのないものはないということだ。どうしようもなくいかれた彼らだが、お互いを支え合うという一点において、その生に意味はあるのだ。
終盤はディックらしいあざやかな視点の変換もあり、それなりに満ち足りた読後感ではあるが、ディックのあとがきを読むと悲しい気持ちに襲われる。ヤク中の友人を家に出入りさせるアークターは、ディック自身だったという。有名なSF作家だからとかしこまらず、ストレートに接した若い友人たちをディックは愛し、次々と失った。ディックの沈痛な哀悼の念から書かれた反ドラッグ小説だ。 -
薬物依存症を実際に体験したF・K・ディックの著書。
本書は彼が薬を使わずにして書き上げた初めての作品です。
自分の体験から物質Dという架空の薬物に呑まれた
囮捜査官のロバートとその周りを取り巻く人々の物語を描きました。
SFに分類されるのでしょうが、現代的でもあります。
薬物を責める内容ではありませんが、薬物を使用した者たちの
生涯を見て恐怖と哀愁を感じずにはいられません。
どんな薬物防止ポスターよりも効きます。
映画にもなっていますので、
厚い本が苦手な方はそちらから入るのもオススメです。 -
雪のおかげで スキャナーダークリーを読了。本当、電車通勤の利点は本を読める事ですね。山形版を読んだ時とはまたニュアンスが違うような。でも浅倉さんの訳は読みやすいのでいいかな(笑)無理だと思いつつ…山形さんの訳を読み直したい気もする。
2005.12.26 -
2009/
2009/
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導入部は中毒患者の幻影を再現したかのような書きっぷり。自分が自分を追い詰めるというパラドックスをバランスよく破綻しながらは書いている。映像化されたアニメのようなトレース画像はこの小説を上手く表現しよかった。ヒットしなかったけどね。個人的にはサンリオ文庫版の表紙が好きだったのに。。。。
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友人に勧められて読んだ本。普段SFものはあまり読まないので、なかなか慣れなかったが、後半は力強い感じがした。麻薬をめぐる話。
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最後が泣ける…
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ディックの長編はやっぱりあんまり面白くないです。ドラッグがらみのせいもあるけどダラダラした話で、読んでて辛いから途中放棄しました。
こんなの映画化するらしいけど大丈夫なんだろうか? -
未読。映画も待ち遠しい。