ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2005年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784150115395

みんなの感想まとめ

壮大な宇宙を舞台にしたこの作品は、キャプテン・フォン・レイと希少資源イリュリオンを巡る争いを描いたスペースオペラです。1960年代に書かれた本作は、科学的な考証にとらわれず、自由な発想で描かれる宇宙の...

感想・レビュー・書評

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  • 1960年代、アメリカのSF界においてニューウェーブの旗手として登場したサミュエル・R・ディレイニー。本作は彼が25歳の時に書いた壮大なスペースオペラであり、絶大な権力を持つキャプテン・フォン・レイを筆頭に、希少資源イリュリオンをめぐってルビー&プリンスきょうだいと熾烈な争いを繰り広げノヴァ(恒星が大爆発を起こすこと)の瞬間を目指す、というもの。
    大衆に受けやすいキャラクター像や、映画的な物語の流れ、壮大なヴィジョンなど。これぞスペオペって感じの作品でした。上記の簡単なあらすじからもわかる通り、SFにおける科学考証は実に大雑把です。それらしい理論を唱えてはいますけどね。まあ、本作において重要なのはそこではなく、フォン・レイの華麗な活躍と、彼の人生をご覧あれ!って側面が強いので、細かいことは置いといて、テンション高めの宇宙の旅を楽しみながら読むのが正解でしょう。
    作品内には「聖杯伝説」や「タロットカード」など色んなシンボルが配置されていて、単純なスペオペという読み方以上の「神話的」な読み方も提示。前半と後半で二部された構成はシンメトリックに状況を描き……とまあ段階を分けて楽しめるようになっています。
    ただ個人的にはその隠されたシンボルとかの部分に対してさほど興味をそそられなかったというのが本音で、フォン・レイの過去話とかタロットカードの長々とした解説はどうでもいいから、もっと宇宙を探索せいや。もっときょうだいとバチバチに対決せいやと思っちゃいました。
    どちらかと言えば脇役であるマウスの話の方がよっぽど、現代的なSFのマインド、そして私が欲している「物語」に通じる部分がある気がしていて、マウスが「物語を書きたい」「物語とは何なのか」「何のために物語はあるのか」ということを、旅を通して追求していく部分をもっと見せてほしかった。というかあれか、この壮大で(一面的には)大雑把な宇宙の旅こそが、彼が物語を描く種子となったはずなんだから、それこそが本作の要となる部分と考えた方がいいのか。うん、私にとっては「マウスが物語を得る物語」だった。『ノヴァ』はそんな物語だ。

  • 1960年代に書かれた32世紀の気宇壮大なスペースオペラは、科学的事実に窮屈にしばられた感じがしない自由奔放な感じがいい。主人公たちが訪れる星々の歓楽街や、そこに集う人々たちの嬌声が聞こえるような風景描写、昨今のアニメを思わせるような、肉体が物質的に破壊されるような暴力的なアクションシーンなど、イメージの洪水を楽しめる作品。自分の読んだのは古い装丁のハヤカワ文庫で、生頼範義氏のイラストがまたTHE SFって感じで気に入っている。

  • なんだか不必要なエピソードをちょこちょこ挟んだスペースオペラ、という訳ではないらしい。聖杯伝説を下敷きに、分かる人には分かる要素が散りばめられているらしいが、私は分からなかった!そしてそれを理解するための調査と再読とをするほどまでは頑張れず・・・。ディレイニー 、いつか本気で読解するから、もう少し待っていてくれ・・・。ナボコフとか好きな人、一冊の読解に三冊分くらい時間をかけられる人、研究気質の人に向いてそう。(でも普通に読んでも面白く読めるよ!)

  • タロット、聖杯伝説、様々な神話や伝承を重層的に
    ちりばめられ、様々な角度から楽しむことが出来る
    スペースオペラ。深読みしようと思えばいくらでも
    深読みできそうだが、タロットやオカルトについて
    ある程度の知識のある私にもさほど響いてこなかった
    ので、普通にスペオペとして楽しむ、でいいと思う。
    ロークとマウス、あるいはカティンまで、誰が主人公
    かはっきりとせず、感情移入がしにくいのが難点か。
    最後のオチは面白いけどね。

    次はいよいよ本命、タイガー!タイガー!であります。

  • 旧版の表紙のがよかったなぁ。あと最近、どの文庫も活字大きすぎないか?

  •  『ノヴァ』(原著初版1968)は、日本で最も愛されているサミュエル・R・ディレイニー著作ではないでしょうか?
    『バベル-17』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4150102481)に似たコミック調のエンタメ小説で、アメリカっぽくもあるけど日本のSFアニメ的にも視えて、親近感を抱きました★

     架空の32世紀、銀河系で覇権争いが繰り広げられているという、レトロフューチャーな時代設定。
     プレアデス連邦の権力者ローク・フォン・レイは、宿敵プリンス・レッド(どうでもいいのだが、名前の響きが少女マンガ風かも。恋愛モノに出てくるイケメンに合いそうです☆)を出し抜き、激レアな超エネルギー資源イリュリオンを採取しようとします★

     成功すれば莫大な力を得られる一方で、唯一の入手方法は、超新星大爆発のど真ん中に突っ込んでいくこと。
     見た者は目がくらみ、視力を失う……。宇宙を舞台に、聖杯伝説、プロメテウス神話、タロットカード等々、多彩な暗喩を織りこんだ、危険な魅力の大冒険譚です☆

    「船で資源採取に行く」というアウトラインは、日本人読者にもつかみやすい。『アインシュタイン交点』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4150111480)のように意味不明ではないので、ラクと言えばラクです★
     とは言え、巧みな文章技法なのか、ぎこちないのか、果たしてどちらか……? 正直、初めは読みにくかったです。特異な文体で、慣れるまでは語順に手こずります。が、読み進めるうちに耐性がつき、最後は本を置くのが寂しくなるから不思議なものです★

     積極的に注ぎ込まれた大衆性の、チープな魅力もたまりません。
     お宝探しに星の大海をめぐるフォン・レイは、高貴な海賊みたいです。彼らが降りたつ星の街の眺め、ざわめき、俗なムードなんぞを想像するのも一興かと☆
     たとえて言えば、たまに恋しくなる即席麺の味や匂い。インスタントと言わせたい濃さやしょっぱさに、ノスタルジーを感じます。スピリチュアル系のことが理解できない私にも、単純に愉しさをもたらしてくれる本でした♪

  • 一見痛快なスペースオペラに見せかけて、多層的なテーマが寓意されている作品・・・らしいのだが、正直よく分からないというか話があちこち飛んでいくし、あんまり必要ないキャラがずっといるしで、単純に散漫な印象を受けてしまった。
    というか題名がノヴァで、まさに爆発する瞬間の太陽に突っ込むというのが盛り上がり所なのだが、なんかさらっと流されていて拍子抜けしてしまった。

  • 読んでよかった作家だと思う。
    様々な知見を広める事が出来た。
    SF (Speculative Fiction, 思弁小説)。
    タロー・カード。神話。聖杯伝説。
    シンボリズム、メタファー。
    欧米系言語とその文化。
    水面下の内的重層世界を捉えきれずに、
    表面のスペースオペラのみを読み進むと、
    評価が下がってしまう事が悲しい。
    深読み、裏読み、背景読みを出来る、
    立派な大人になりたいです(笑)。

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  • 通勤時の電車内でディレイニーを細切れで読むという暴挙を働きましたが、何とか玉砕せずにすみましたよ。怒濤のラスト・シーンを車内で読むのはさすがにもったいないので、本日自宅で読了しました。いやー、2ヶ月掛かったわ・・・(^_^;
    小説と言うよりも叙事詩と表現するのが相応しい、ディレイニーの作品。SF史的にはアメリカン・ニューウェーブの騎手、とでも言えばいいのでしょうか。まさにSpeculative FictionとしてのSFを王道で行く、単純明快で爽快感溢れるスペース・オペラの体裁を借りつつも恐ろしく重層的な文化的/言語的/社会的隠喩を散りばめた、一筋縄では行かない”歯ごたえのある”作品です。わかりやすい「黄金期SF」のイメージを求めて軽い気持ちで読み始めると、違和感があるかもしれません。SFの一言で彼の作品を括るのは、あまりに乱暴過ぎるかも。脳みそグルグル状態の読了後に伊藤典夫氏の解説(かなりイヤらしい(笑))を読んで、うひゃあぁと再度脳みそグルグルですよヽ( ´ー`)ノ奥深過ぎ。物語中に登場する独特な言語「プレアデス方言」を和訳する際の苦労談には「はぁぁそういう意味だったんですかあの表現は」と納得。読者の知識とセンスのレベルによって、なんぼでも異なるイメージを現出させることができる作品だと思います。10年後ぐらいに再読したいですね。

    しかし、ディレイニーの凄いところは、そうしたイヤらしい知識を特段持っていなくともシンプルなSFとして十分楽しめる、ということです。鴨もエラそうなこと書いてますけど、ディレイニーがこの作品に込めた象徴の1割すらも解読できていない自信があります、ハイ(^_^;それでも文句なく面白いんですよ。ド派手で華やかな世界観、詩編を読むかのような美しい文体(伊藤典夫氏の端正な訳文の力も大きいですね)、キャラ立ちまくりの登場人物・・・鴨の脳内ではキャラデザイン:萩尾望都で完璧ビジュアル化されてますがヽ( ´ー`)ノうん、ディレイニーの世界観は萩尾望都だな。決まり(-_☆きらーんと勝手に決めるヽ( ´ー`)ノ
    彼のもう一つの代表作「バベル-17」は、10代のガキの頃に読破して、100%理解はしていないんだけどとにかくむやみに面白かった記憶があります。もっとも、当時はディレイニー作品の重層的構造自体すら理解できてなかったんですけどね(^_^;そのうち再読したいですね。きっと新たな発見があるような気がします。

  • キャラ立ちとかすごく面白い、元ねた(多分)の『白鯨』に負けてない。描写のうつくしさも好き。

  • 実はディレイニーってはじめて読んだのかもしれない。ゼラズニー思い出した。

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