- 本 ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150116002
感想・レビュー・書評
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老人と宇宙(そら)。タイトルは知っていてずっと気になっていたけど、ついに手に取ってみた。
やはり必読書として挙げられるだけあり、面白い。
内容をざっくりと紹介すると、75歳を超えた地球の老人たちが、宇宙軍に入隊するという。非常に分かりやすいストーリー。
だけど、感情をしっかりと書いてくれる。まさか自分が老人に感情移入する日が来るとは…。そして宇宙やエイリアン、そして戦闘についてもしっかりと描かれる。宇宙戦闘系の王道SFとして非常に読み応えがあった。
宇宙戦争とは言え、老人たちはどこか飄々としており、サラサラと読めてしまう。シリアスとユーモアのバランスが良い。
老人たちが宇宙軍から期待されていることについて、先輩から説明がある。それは少し泣けた。
また、「特殊部隊」という宇宙で生まれた人々との対比は面白い。彼らにとって、老人たちは地球での「前世」がある。そう、老人たちにとっては、宇宙軍での生活は第二の人生。地球との隔絶も手伝って、まるで死後の世界のような、夢っぽさを感じさせた。
ラストシーンは男性作家っぽいというか。ふーんと言った感じw
それから、読みにくいところが一切ない。スラスラと読めてしまう。翻訳が良いのだと思う。
SF初心者に強くオススメできる1冊。
(書評ブログの方も宜しくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E7%8E%8B%E9%81%93%E5%AE%87%E5%AE%99%E7%B3%BBSF_%E8%80%81%E4%BA%BA%E3%81%A8%E5%AE%87%E5%AE%99_%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%BC詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本作、ヨボヨボ老人が足手まといになりながらも人生の知恵で宇宙での戦闘を生き延びるコミカルな作品なんだろうなあ、と想像しながら読み始めたのだが、意外にもかなりハードな内容だった。
75歳になってコロニー防衛軍に志願した主人公ジョン・ペリーは、改造を施された若く強靭な肉体(皮膚は緑色)意識を転送され、バリバリの戦闘員として死と隣り合わせの激しい戦闘に駆り出されていく。何と、入隊から10年のうちにその4分の3は命を落とすというタフさ(まあ、75年生きてきたんだから、この先長く生きられなくても受け入れられるよね、という割り切りの良さ!)。実際、同期の仲間は次々と死んでいく。
コロニー建設を巡って様々なエイリアン達とあちこちの星系で激しい競争を繰り広げるコロニー防衛軍は、常に未知のエイリアンとの紛争リスクに晒されているのだ。
本作、宇宙空間でのハードな戦闘シーンも読み応えがあったが、やはり、肉体の衰えた老人達が若く美しい肉体を得てはしゃぐ姿や、人生経験豊富な老人達が新兵になるというギャップが面白かった。
巻末解説の、「宇宙の戦士」や「終わりなき戦い」(未読)、「エンダーのゲーム」につらなる正統派戦争SF、という評価に納得。シリーズもののようなので、続きも読んでみたい。 -
SF小説のよくある王道的な展開なのかと思ったがよく話が作り込まれており、とても面白かった
時々話の中のジョークでもクスッと笑い面白かった -
久々に、コテコテのスペースオペラである。
75歳になったら、男女ともに宇宙軍に志願することができる。入隊したら、最先端の遺伝子工学による「若い体」が手に入る。青春を思い出して同僚とHしたりする。「気持ち悪い」エイリアンとのドンパチが出て来る。エイリアンから見たら人間だってよっぽど気持ち悪かろうに、いい加減老人やエイリアンで遊ぶなよと、つい悪態をつきたくなる。
なぜ「老人」が戦いに赴くといいかなどの理屈づけ(哲学)も饒舌に語られるが、今イチ説得力を感じないし、むしろ腹立たしささえ覚える。年取った証拠であろうか(笑)。
ところが、後半になると少しだけ様子が変わり、郷愁と未来が交錯するユニークなラブ・ロマンスが入り交じる。ちょっとムネアツになったりして。
結果的には、最後まで読んでよかった。年取ったからと言って、気短に投げ出したりしてはいけないのである。 -
SF作品。人類が他の星系の惑星に植民した時代が舞台である。人類は文明を持った異星人を戦争をしていた。老人はコロニー防衛軍に志願すれば、若返った体に転移することができる。
末期について含蓄のある台詞がある。「"末期"というのはいささか不明確な表現ですね。長い目で見れば、われわれはみんな末期の患者といえます」(76頁)。末期であることを根拠に治療中止や過少医療を正当化する見解があるが、危険である。命の選別になる上、やがては治療レベルの低い方がデフォルトになるだろう。
異星人には人肉を好んで食う者もいる。それは問答無用の殺し合いを正当化するが、人間同士の争いでもコロニー防衛軍は使われる。石油堀削作業員がストライキを起こしたが、軍隊がスト破りのための労働者を輸送し、スト指導者達を虐殺した(261頁以下)。
尋問官に調子はどうかと聞かれて主人公は「バラバラです」と答えた。これに対して尋問官は「われわれはジョークに付き合う気分ではないのだ」と切り捨てた(299頁)。主人公は惑星コーラルへの遠征で重症となり、ようやく話せるようになったばかりである。「バラバラです」との回答は正直なものだろう。尋問官はアリバイ作りのために質問し、単に「大丈夫です」と言わせたいだけである。
一方で友達との会話は味がある。
「だいじょうぶ?」とジェシー。
「肋骨が折れたみたいだ」
「そんなことをいいたいんじゃないわ」
「いいたいことはわかってるよ。たしかに、なにかほかのものも折れたみたいだ」(321頁)
ここでは「大丈夫?」の質問は「大丈夫です」との回答を期待した公務員的なアリバイ作りではない。反対に「身体的にも精神的にも大丈夫ではない」と回答しないと許さないくらいの雰囲気である。本当に相手を心配している質問である。
公務員組織の公式発表が操作されたものであることを示す台詞もある。
「いっておくが、これはみんな噂やゴシップのたぐいでしかない」
「つまり、まずまちがいなく、公式な情報よりずっと正確だということか」(311頁) -
図書館で借りた。
何度も噴きだした。すっごくおもしろくて、げらげら笑いながら読んだ。
かと思えば、胸にじーんとくるシーンもあって、読後感が良かった。
あと、これは誤訳??404p「ニワトリを植えたり。トウモロコシを飼育したり」
主人公が愛妻家というのも、よかった。 -
今様ハイラインですかね。
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『怪獣保護協会』が面白かったので同著者の作品を深堀り。こちらの作品も非常に軽快な感じで書かれているので一気読みできる。
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妻に先立たれた主人公が75歳以上限定の軍隊に入り、異星人と戦うSF。
戦争なので味方が異星人に惨殺されるシーンもあるが、全体的にエンタメ寄りでジョークも多くスラスラ読める。
テクノロジーが圧倒的な異星人を相手に人類の行く末も気になるが、主人公にはぜひとも幸せな老後を過ごしてもらいたいところ…と言っても、すでに75歳なわけだが。 -
ジョン・スコルジーは、ブログやノンフィクションでの鋭い洞察力でも知られるアメリカのSF作家です。彼の代表作である『老人と宇宙』は、2005年に刊行された後、その斬新さでヒューゴー賞の候補に上がるほどの注目を集めました。この作品の魅力は、宇宙という無限の舞台上で繰り広げられる、人間ドラマの深さにあります。
『老人と宇宙』の中心となるテーマは、「歳を重ねた人々が未知の領域でどのように振る舞うか」という点です。主人公である75歳のジョン・ペリーが、地球を離れ人類コロニーを守る軍隊に参加するという物語は、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』にインスピレーションを受けつつも、独自の哲学と人生観を交えたスコルジー独自の作品に昇華されています。
本書のおすすめポイントは、痛快なアクションと人間ドラマのバランスの良さです。登場する老人たちの会話は、彼らの人生経験を反映しており、時に辛辣でありながらも温かみを持っています。戦闘シーンでは、エイリアンや武器、戦術が斬新で想像力をかきたてられるものとなっており、読者は主人公ジョン・ペリーと共に宇宙の冒険と戦争を味わうことができるでしょう。
SFを好む読者だけでなく、人生の晩年にあっても新たな挑戦を恐れない精神に共感する人々にもお勧めできます。老いというテーマを通して、生と死、愛と友情、戦争と平和などの普遍的な問題が繊細に描かれています。また、本作はシリーズ化されており、ジョン・ペリーのさらなる物語が追体験できる点も見逃せません。
総評として、この小説は、老人と宇宙という斬新な発想で、SFの魅力を存分に味わわせてくれる作品です。
ジョン・スコルジーの作品





