銀色の恋人 (ハヤカワ文庫SF)

制作 : Tanith Lee  井辻 朱美 
  • 早川書房
3.77
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本棚登録 : 299
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150116064

感想・レビュー・書評

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  • 人間だけどロボットだった私が惹かれたロボットは、ロボットとは思えないロボットだった。

    確かにジェーンは短絡的で賢いとは言えないけれど、彼女の行動を幼稚なものであると決めつけ、自らを良き母であると思い込んでいるお母さんがとても悲しい。

  • 魅惑的なロボット、シルヴァーに一目ぼれした少女が、自分の置かれていた状況全てを棄ててロボットとの愛に生き抜いた物語。

    それまでは偉大な母親の庇護の下、何不自由ない裕福な暮らしをしていました彼女が、なにもかもを棄てて母親の支配から抜け出し、スラム街でシルヴァーとの暮らしを始めるという展開。

    女手一つでジェーンを育て上げた母親はかなりのグレートマザー。母親に従順だったジェーンが初めて逆らったきっかけが、シルヴァーでした。
    支配する母と自立しゆく娘という難しい関係をベースに、思春期の少女が恋に目覚めて親の庇護から抜け出すという流れがダイナミックに描かれます。

    十代の頃に読んだら、かなり心引きずられる恋人たちの純愛物語だったと思いますが、実際読んでみると、ヒロインの一目ぼれからのロボットへの入れ込みっぷりと、自分の意志を通すためにエキセントリックに大人をかき回す劇画調の大立ち回りが気になりました。

    未成年でありながら、シルヴァーの正式な所有者から半ば強引に自分のものにした経緯もあり、周りに迷惑をかけまくっています。お嬢のわがままをかなり発動しているといったところ。
    また、シルヴァーを愛するあまりですが、彼の機械であるという本質は尊重せずに、人間としてのふるまいを求める彼女は、言い直せば自己満足の愛を押し付けているようにも思えます。

    それでも、そうした彼女の一途な願いが不思議な作用を及ぼし、シルバーも次第に真実の愛を知っていくという流れ。また大きすぎる母親の影響力から必死に逃れて自立の道を選んだヒロインの行動力がなければ、そもそもこの物語は起こりませんでした。

    多分に人間らしいシルヴァーですが、製造されて3年しかたっていない経験の浅いマニュアル頼りのロボット。そしてヒロインは母親の巨額なお小遣いでやりくりしていた世間知らずの16歳のお嬢様。二人きりでひっそりと生きていこうとしても、どうしても社会の影響を受けずにいられません。

    そもそもロボットはメンテナンスに莫大な費用が掛かるのではないでしょうか。動力は電力でも原子力でもなさそうですが、なにも摂取しなくても駆動するわけではないと思いますが。気になるところです。

    交霊実験のシーンがありましたが、どんなものがよくわかりませんでした。黒魔術的なこっくりさんのようなものでしょうか?
    ロボットとのやり取りは恋人同士の甘いものですが、それ以外の人間同士の交流は逆にギスギスしており、落ち着きません。あえて対照的な書き方をしているのかもしれません。

    ジェーンはかなりひっかきまわしヒロインで、共感するのは難しかったのですが、彼女の友人クローヴィスの描写が魅力的。
    辛口の感想になってしまいましたが、泣ける甘い恋愛ものを探している人にはお勧め。
    この作品発刊後、長い年月を経て続編が出たようなので、そちらも読んでみようと思います。

  • あらすじと表紙に惹かれて購入したも、ずいぶん積読していた…やっと読了しました。最高。名作。沁み渡るようだった。泣き虫の甘やかされて育って自分の意見もほとんどない女の子ジェーン。彼女が恋に落ちたのは、銀色の肌をした美しい顔と歌声をもつロボットでした。
    恋を通してジェーンが成長する様や、自分で考えて行動するようになるのがいい。それに母から作られた姿じゃない、ありのままの自分の姿になっていくのが。シルヴァーはもうほんとに神秘的で魅力的だった…。彼とジェーンが貧乏暮らしする描写はすごくうっとりできるわ…。ラスト付近は気がついたら泣いていました。

  • 余り周囲の人と分かり合えない主人公の少女が初めて恋をしたのはロボットだった。
    シルヴァーが、ジェーンにとってはただのロボットだったのか否か。
    一緒に過ごすことで得られた答えと、その答えにも拘わらず辿り着いた結末が残酷で切ない。

    ジェーンが、シルヴァーの事をただのロボットではないと思い、悩む過程がメインで、それはもちろんとてもいいのですが、
    シルヴァーの方がジェーンの事を想い、ただのロボットには無いはずの感情めいたものを自覚するシーンが一番心を打たれた。

    主人公の友達はエキセントリックだったり自己中でみんなイライラするけど、何より母親の描写が一番イライラした。ここまでイライラする人を描けるのはある意味凄い。

    翻訳物で用語が難解なのもあり、読むのに時間がかかりましたが、最後まで読んで良かったです。

  • 話が進むにつれて人間らしくなっていくロボットの彼。
    しかし結局人間としての厚みはなくて、人間が「こうありたい」と思うような、理想的で都合のよい存在でしかなかったと思う。
    二次元キャラクター的にキュンとするのはいいけど、感情移入はできない。
    ヒロインはじめ登場人物も、特に日本人の感覚からするとついていけない人ばかりだった。

    箱入り娘が次第に大人になっていく過程のほうは、まだ説得力があった。

  • 裕福な家で、何不自由ない生活を送ってきた少女ジェーン。
    彼女が初めて恋をしたのは、銀の肌をしたロボットだった。

    …というお話。
    世界観的にはSFに分類されると思いますが、
    少女とロボットの恋が焦点のお話なので、ファンタジーに分類してます。

    主人公の手記という形をとった小説なのですが、
    中盤までの主人公が情緒不安定すぎてちょっと感情移入しにくかったかな…。
    また、著者の癖なのか、文章に遠回しな表現が多くて理解しにくいところも。

    ただ、その欠点を補って余りある感動的な結末が待ってました。
    最終章はジェーンと一緒に泣いてしまいそうでした。

    私は表紙を見ずに買ってカバーをつけっぱなしだったので
    カバーが現代的なイラストだと初めて知りました。
    私のイメージと合っていたかといえばNOですが、
    心を許し合った2人の姿を描いた素敵な絵だと思います。

  • ファンタジーで有名なタニス・リーだけれども本作は初版が刊行された頃から随分と好評を博しているようなので、SFは基本そんなに好みではないのですが、思い切って読んでみました。ロボットと人間の少女との純愛というSFにロマンスの要素を組み入れたストーリー。未来世界が舞台なのに、リーならではの古典文学的な道具立てや装飾、説明的でない言辞でなされる、ロボットに魂ないしは心は宿りうるかという問いかけがまことに秀逸。そして、ファンタジー作品ほどではないけれど、文章が艶っぽいというか官能的というか……。ほんとこの作家が好きすぎて困ります。

  • うーん。主人公の女の子がイラっとする性格で、全然感情移入できずに終わった。

  • 初めて出来た彼氏が読んでいた本。
    でもちっとも興味なくて読まなかった。
    彼の感想も聞かないまま別れて、すっかり忘れていた。
    その後、とある劇団にハマり、その劇団関連の雑誌の読者のページで
    その劇団のトップスターに演じてほしいとこの本が紹介されていた。
    「あ、あの本だ!」と瞬く間に思い出した。
    そして読んだら、少女の頃から「こういうのが見たかった」と思う恋愛が描かれていて驚いた。
    読み終えて、自分が泣いていることに気付いて驚いた体験も初めてだった。
    泣いてるなんてもんじゃなかった。号泣。おうおう泣いた。
    私と感性の似ている友人にすぐに勧めた友人たちもおうおう泣いたみたいだ。
    もっと若い時に読んだらどうなっていたのか、しばらく抜け殻になってしまったと思う。
    万人向けではないけど、今も心に残る一冊で、きっとずっとそうなのだと思う。

    ちなみに、読者のページで勧められていたように、私もあのトップスターに演じて欲しいと願ったけど、それは叶わなかった。

  • とても大好きな小説です。やはり人間とロボットの恋愛モノは最高によいです。うっとりします。ラストはぼろぼろ泣きました。私のバイブルです。

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