輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2007年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784150116231

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

物語は、昆虫から進化した美しいダミエム人と、その存在を巡るサディスティックな謀略を描いたミステリ色の強いSFです。舞台は、戦争の影響でノヴァとなった惑星ヴリラコーチャ星の最後のガス殻が訪れるダミエム。...

感想・レビュー・書評

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  •  ジェイムズ・ティプトリー・Jrの作品で、買い逃していた本を中古で購入した。ミステリ色が強いSFだ。舞台となる惑星ダミエムには、昆虫から進化した美しいダミエム人が住んでいる。そして、ダミエム人を拷問・虐殺することにより得られる麻薬<星ぼしの涙>の存在が物語の鍵となる。現在はダミエム人は厳重に保護され、惑星には3人の保護官が駐在するのみである。

     そのダミエムに、戦争時の破壊によりノヴァとなった20光年離れた<殺された星>ヴリラコーチャ星の最後のガス殻が到来する。その壮麗な光を見物しに訪問客が訪れる。その中には、図らずもダミエル星を訪れることなった者もいる、これは典型的な孤島ミステリーの設定といえる。
     
     物語の前半は登場人物も多く整理がつかないためか、まどろっこしく感じる。ただ後半に入ると、アクションシーン満載で怒涛の展開となる。ここまでガマンして読んだ方が良い。やはりジェイムズ・ティプトリー・Jr は、中・短編にその才能を発揮する作家だと感じた。

  • 前半は、昆虫から進化し天使のようなダミエム人、戦争時の破壊によりノヴァとなった20光年離れたヴリラコーチャ星の最後のガス殻が到来し空に及ぼす美しい律動、孤立したホステルでのリゾートと美しい描写が続く。その中で孤島ミステリーとしての伏線が展開される。
     後半一転して、ダミエム人を拷問することにより採取できる麻薬をめぐる策謀とサディスティックな場面となる。ガス殻が及ぼす時間揺動により時間が揺れ遡り(物理的説明はないが)、解決に向かう。
     一気に読める。

  • 次から次へと事件が起こって、結末までまっしぐら。読み終わった後、これが一日の出来事だったことに気づいて驚く。幸せな未来が待っていそうな登場人物が何人もいる一方で、主人公の一人、コリソン・エストリエル=コルソの死は、訳者が解説で書いているように、作者の境遇の投影のように思えて苦い思いが残る。「たったひとつの冴えたやりかた」の巻頭で、有名な歴史の一部として語られている事件を描いた作品。浅倉久志訳。

  • 文庫本を作者名毎に整理してたらSFテ3-5、3-7
    これは買い逃してる!と思って古書で見つけた

  • 登場人物紹介が冒頭になくて、人があまりにも多すぎて前半把握するのが大変だった。

    後半は天体ショーから展開される怒涛の事件の波に引き込まれた。SFは、舞台を宇宙に添えたミステリーなのか、と改めて思ったり。

    ダニエル人の積極性が、失われた星の人たちに影響を及ぼしたものと無関係ではないのでは、とも思わせるラスト。
    そして優しく残酷なエイリアン。一思いに死ぬのと、親しい人と別れを告げる時間を設けるのと、どっちが残酷か。考えさせられるミステリーだった。

  • 生きているうちは、存分に生きろ。そして死を前にした時は、死に向かって飛べ……という2つのフレーズに心を揺さぶられた。
    解説にあるように、田舎の別荘ミステリーをSFにした話だった。前半の長い導入に読む気が削がれたが、本の中ごろからの展開に夢中になってしまい、後半はあっという間に読んでしまった。
    ダミエム人は本当に美しいのかどうか、リニックスは今後生きていられるのか、レディーPの正気は戻るのか、などの残尿感があって、必ずしもハッピーエンドではないあたりが良かった。老化の描写がすごかった。

  • 購入して読み。
    『たったひとつの冴えたやりかた』のジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの著書なので。

    もともと海外文学が苦手(登場人物の名前が覚えられない…)なので、序盤は読み進めるのが辛かった。もう一回読み返したい。

  • 少し古さを感じてしまった。

  • (後で書きます。孤島ミステリ的な舞台設定の中で、ゆるやかな速度で徐々に明かされていく戦争の蛮行、悪人たちのなす悪、良き植民地官僚の欺瞞、個々人の罪と勇気、同時に別の解釈…の苦さと苦しさ、緊密な展開)

  • 壮大な『ザ・スター』の天空ショー。
    その下で暴かれる罪。
    疑い、憤り、ハラハラして、絶望し、一縷の望みに賭け形成逆転、大団円のフィナーレへ。
    物語に没入したひとときでした。
    ダミエム人の文明開化は吉とでるのか、凶とでるのか。
    黄昏の時代を生きる者には必ずしも輝かしいことばかりではないとわかっています。

  • 古典的なクローズド・サークルものの体裁を利用したSF小説。SF的なところも多数あるが、ストーリーの流れはミステリの『お約束』に則って進む。
    SFパートは兎も角、ミステリ的には強引さが目立ち、やや不満の残る仕上がり。しかしラストシーンは素晴らしい。ティプトリーはミステリを書こうとはしていなかっただろうし、そこを云々するのは野暮なのかも……うーん。でももうちょっと何とか……。

  • 読み始めてまず面くらったのが、辺境の惑星ダミエムにあるホステルを舞台にし、訪れる観光客の中には予期しない来訪者が存在するという、あまりにも古典的な絶海の孤島&館ものミステリの変奏であったこと。
    どうしてティプトリーはこうした形式を持ち込んだのか?
    それが最後になって、なんとなく自分のなかで理由がついたような気がする。
    美しいもの、はかないものが壊れるまで、そして壊れた場面を描きたかったのではないか?

    今にも何か事件が起こりそうな状況が続く中、登場人物たちの思いが描かれ、ダミエム人の美しさと儚さと合わせて、こうしたものたちが崩れる場面をどこか見たくないと読みながら感じた。執拗なフラグ立てが不安を次々と煽る。ミステリにおけるクローズドサークルがもつ物語面での効果に着目したのが本作なのかもしれない。
    ダミエム人の彼女、そして作者自身を連想してしまう彼女の姿、それにダミエム人の真実と合わせて、一貫したものがあるように思う。

  • たった一つの冴えたやり方の作者の本でタイトルがかっこいいなあと思い図書館で借りて読みました。設定は面白いし引き込まれる感じはあるのですがちょっとこれ、杜撰すぎない?と思う点が多くその不満から作品の世界にどっぷりと浸かれなかったのが残念です。

    とりあえずお客さんがホストの数より多い時点でびっくり。保護管が観光案内とホテルのマネージメントと食事の用意と銀河でもココでしか見られない現象の観測まで行うって…。無理でしょう、どう考えても(笑)。うそでも観光客の対応をするスタッフを急遽雇ったとかいう設定にしておけばよかったのに。その方が自然だ。そして警備隊も常駐している訳ではなく孤立した星には天文的価値のある原住民が住んでいる。その保護管がこの有様?キップって保護管じゃなくてただのペンションのオーナーじゃない?と最初からあまりの緊張感のなさに読んでいてびっくり。事件が起こるのが前提ですが事件を起こす為に観光客を呼んだとしか思えない。保護観察中の惑星に立ち入る人々があまりにノーチェックで入りこむのもどうなの?と思うし。大体学者でもない彼らが惑星に立ち入るのに選別とかそういうことはしてなかったのかなあ?という訳でミステリーとしてはあまりに杜撰でした。
    そして主人公が章ごとに色々と入れ替わるのでついて行くのが難しかったです。実はこの作品の主役はバラムさんだったのか~と後半まで読んで思いました。

    色々と不満を言いましたがなかなか色々な要素が絡み合い最後までよまさせられた感があります。個人的にはキップとコーリー夫妻の危機管理能力の無さすぎにイライラさせられ通しでしたが。それを考えると犯罪の報道をバカ正直に手口まで報道することの善し悪しと言った議論を思い出しました。キップが滔々と星々の涙の採取法について語る場面はこいつは天然バカに違いないと思いました。(作者の意図がどうであれ)それか実は誰かほかにも裏切るのかも?そんな単純な話じゃないかも、と裏を読み過ぎて損しました。

    という訳で最後感動的?なのかもしれませんがちょっと上記のこともあり、心を動かされなかったです。

  •  彼女の長編。楽しみにしていた作品。しかし、疲れていたせいかななめ読みで終わってしまった。どこが悪いということではないのだが、舞台が限られていることや登場人物があまり魅力的に見えなかったことから、立見席で見る狂言のような感覚がぬぐいきれず、途中からななめ読みした次第。

     シャープな切れ味は、やはり短編のほうがいいのかなぁ。

  • 後半を支配する様々な「死」のイメージに圧倒される。ノるまでが長く感じるが、登場人物が出揃ってからはひたすらノンストップ。

  • ミステリ好きとしても楽しめる作品。

  •  「たったひとつの冴えたやりかた」「愛はさだめ、さだめは死」のJ・ディプトリー・JRの長編。
     
     美しい有翼種が住む辺境の惑星、ダミエム。
     「殺された星」のもたらす壮麗な光を見学するために、ヒューマンたちが降り立つ。


     すごい。
     も、打ちのめされます。
     「たったひとつの冴えたやりかた」もすごかった。でも、あれがすごすぎたから、勝手にディプトリー・JRは短編の人かと思っていた。さにあらず。美しく、クールで、優しく、残酷で、切ない。多分「物語」の要素が全て凝縮されている。
     とても複雑に編まれたレースのよう。
     白一色のようで、起伏がはっきりしていて、ほんの少し視点が変わったときに、その文様の美しさに愕然とする。そんな感じ。

     キャラクターの造詣が深いです。
     連邦行政官としてダミエムに赴任している、コーリーとその夫キップ、そして医者のバラム。単にストーリーテーラーとしての存在かと思わせておきながら、これだ。
     最後の2Pは、もう涙涙で、たいへんでした。

     ディプトリー・ジュニアは、1987年にアルツハイマーの夫をショットガンで射殺し、直後に自分も拳銃自殺をした。
     この作品は、1985年の刊行。
     彼女は、夫を心から愛していたんだな、だからああいう選択をしたんだなと、これを読んで強く感じた。

     人を愛することは、時に残酷なのだ。

     眼福という言葉があるが、これは、魂福といえるだろう。

  • なんかやっと読み終えた。もうちょっと圧縮出来たんでは?と思わなくもない。いろいろと伏線が張ってあるんだねぇ。最後にわかる多少意外な事実は「たった一つの冴えたやり方」を思わせる。ミステリチックなとこはあんまないかなぁ。犯人と目されてた人物がまんま犯人だったんだから。どっちかというとサスペンス的な要素か。それにしても最後の「付録」の登場人物一覧は最初のほうにつけといてほしかったなぁ。登場人物多くてわかりにくいから自分で一覧作る羽目になったよ

  • ラストがやっぱり好き。
    あとキャラにわりと萌えてしまってびっくり。
    女性が強く男の人は可愛い(情けな系…)印象。(プリンス&スターリームは万能少年と年上ぽややん少女で、これまた王道な感じ)
    この辺りの萌えは万国共通なのかしら…。

  • 買ったけどまだ読んでないです。(^^;

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著者プロフィール

1930年生。英米文学翻訳家。大阪外国語大学卒。主訳書にヴォネガット『タイタンの妖女』、ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、ラファティ『九百人のお祖母さん』、ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』(以上ハヤカワ文庫SF)、著書に『ぼくがカンガルーに出会ったころ』(国書刊行会)。2010年没。

「2022年 『SFの気恥ずかしさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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