輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)

  • 早川書房
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (586ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150116231

作品紹介・あらすじ

翼をもつ美しい妖精のような種族が住む銀河辺境の惑星ダミエム。連邦行政官のコーリーとその夫で副行政官のキップ、医師バラムの三人は、ダミエム人を保護するため、その星に駐在していた。そこへ"殺された星"のもたらす壮麗な光を見物しようと観光客がやってくるが…オーロラのような光の到来とともに起こる思いもよらぬ事件とは?『たったひとつの冴えたやりかた』で言及されていたファン待望の物語、ついに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 文庫本を作者名毎に整理してたらSFテ3-5、3-7
    これは買い逃してる!と思って古書で見つけた

  • 登場人物紹介が冒頭になくて、人があまりにも多すぎて前半把握するのが大変だった。

    後半は天体ショーから展開される怒涛の事件の波に引き込まれた。SFは、舞台を宇宙に添えたミステリーなのか、と改めて思ったり。

    ダニエル人の積極性が、失われた星の人たちに影響を及ぼしたものと無関係ではないのでは、とも思わせるラスト。
    そして優しく残酷なエイリアン。一思いに死ぬのと、親しい人と別れを告げる時間を設けるのと、どっちが残酷か。考えさせられるミステリーだった。

  • 次から次へと事件が起こって、結末までまっしぐら。読み終わった後、これが一日の出来事だったことに気づいて驚く。幸せな未来が待っていそうな登場人物が何人もいる一方で、主人公の一人、コリソン・エストリエル=コルソの死は、訳者が解説で書いているように、作者の境遇の投影のように思えて苦い思いが残る。「たったひとつの冴えたやりかた」の巻頭で、有名な歴史の一部として語られている事件を描いた作品。浅倉久志訳。

  • 生きているうちは、存分に生きろ。そして死を前にした時は、死に向かって飛べ……という2つのフレーズに心を揺さぶられた。
    解説にあるように、田舎の別荘ミステリーをSFにした話だった。前半の長い導入に読む気が削がれたが、本の中ごろからの展開に夢中になってしまい、後半はあっという間に読んでしまった。
    ダミエム人は本当に美しいのかどうか、リニックスは今後生きていられるのか、レディーPの正気は戻るのか、などの残尿感があって、必ずしもハッピーエンドではないあたりが良かった。老化の描写がすごかった。

  • 購入して読み。
    『たったひとつの冴えたやりかた』のジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの著書なので。

    もともと海外文学が苦手(登場人物の名前が覚えられない…)なので、序盤は読み進めるのが辛かった。もう一回読み返したい。

  • 少し古さを感じてしまった。

  • (後で書きます。孤島ミステリ的な舞台設定の中で、ゆるやかな速度で徐々に明かされていく戦争の蛮行、悪人たちのなす悪、良き植民地官僚の欺瞞、個々人の罪と勇気、同時に別の解釈…の苦さと苦しさ、緊密な展開)

  • 壮大な『ザ・スター』の天空ショー。
    その下で暴かれる罪。
    疑い、憤り、ハラハラして、絶望し、一縷の望みに賭け形成逆転、大団円のフィナーレへ。
    物語に没入したひとときでした。
    ダミエム人の文明開化は吉とでるのか、凶とでるのか。
    黄昏の時代を生きる者には必ずしも輝かしいことばかりではないとわかっています。

  • 古典的なクローズド・サークルものの体裁を利用したSF小説。SF的なところも多数あるが、ストーリーの流れはミステリの『お約束』に則って進む。
    SFパートは兎も角、ミステリ的には強引さが目立ち、やや不満の残る仕上がり。しかしラストシーンは素晴らしい。ティプトリーはミステリを書こうとはしていなかっただろうし、そこを云々するのは野暮なのかも……うーん。でももうちょっと何とか……。

  • 読み始めてまず面くらったのが、辺境の惑星ダミエムにあるホステルを舞台にし、訪れる観光客の中には予期しない来訪者が存在するという、あまりにも古典的な絶海の孤島&館ものミステリの変奏であったこと。
    どうしてティプトリーはこうした形式を持ち込んだのか?
    それが最後になって、なんとなく自分のなかで理由がついたような気がする。
    美しいもの、はかないものが壊れるまで、そして壊れた場面を描きたかったのではないか?

    今にも何か事件が起こりそうな状況が続く中、登場人物たちの思いが描かれ、ダミエム人の美しさと儚さと合わせて、こうしたものたちが崩れる場面をどこか見たくないと読みながら感じた。執拗なフラグ立てが不安を次々と煽る。ミステリにおけるクローズドサークルがもつ物語面での効果に着目したのが本作なのかもしれない。
    ダミエム人の彼女、そして作者自身を連想してしまう彼女の姿、それにダミエム人の真実と合わせて、一貫したものがあるように思う。

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