虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

  • 早川書房
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感想 : 176
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150116347

感想・レビュー・書評

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  • 条件付きだが望む場所へのテレポートを可能とする「ジョウント」や、サイボーグ009の元ネタと思われる「加速装置」など、後のSF作品に多大な影響を与えた本作。壮大なスペースオペラとしてはもちろん、巌窟王を元ネタにしているだけあり、復讐譚としても非常に魅力的なストーリーで読み応え抜群でした。

    ただ、復讐の動機がちょっと弱いかなと思ったのと、オリヴィアに惹かれる流れがあまりにも唐突だったことなど、その他にも「え?なんで?」と思う展開が多く、少し残念な点もありました。この辺りは半世紀前の作品ということで、そういうものと割り切ったほうがいいのかもしれませんが。

  • 昔のSF。子供の頃にジュニア版で読んでいた本たちはこんなのだったかも。評価が高いのは分かるが、いまいちノリきれず。ドラマチックというよりも大袈裟と感じられてしまうからかな。

  • 「私は常にパターンとリズムとテンポに憑かれている」とあとがきで著者であるベスターの一言が紹介されている通り、物語全体が疾走感に溢れていて、どんどん展開していく。そして主人公であるガリー・フォイルの鬼のような力強さがそこにプラスされ、文書の行と行の隙間から凄まじい情景が浮かび上がるような錯覚にとらわれてしまう。まさにまさにSFの名作の名に相応しい魅力溢れる大作だと感じたが、惜しい点として、翻訳のせいかところどころに滑稽なセリフや言い回しなどがあり、感情移入の妨げになることも多かった。

  • 正直に言うと二部の始まりでギブアップ寸前になり他の方の終盤での伏線回収が良かったとのレビューに励まされて何とか読了まで迎えることが出来た。レビューを書いた方にまず感謝したい。

    ひたすらに訳がよろしくない。が、それは脇において冷静に振り返ると物語としてはギミックや伏線、黒幕、ラストの展開等要所要所はお手本のようにキッチリしており誤読感がいい。1950年代に書かれ現在もリスペクトされていることには納得できる。歯に仕込んだスイッチを押すと加速装置で無敵状態になるチートはいきなり過ぎて置いてきぼりを喰らったが好きな人にはたまらないだろうし、想い人が実は復讐を誓った黒幕でしたとか一歩間違えば世界を滅ぼす物質を世界にバラ撒いてその行く末は人類に一任するとか主人公が永劫回帰して序盤の自分の名付け場所に戻って来るとか他にも挙げられるのはいくつもある展開が目白押しでこれらを終盤に一気に詰め込んでいるから良い意味でたまらない。とりわけ未来の主人公が時空間移動して過去の自分のところに来て手助けするのは思わずニヤけた。ぶっちゃけ分かっていた、物語の所々で主人公に似たやつが現れた時点で分からないわけがないが、話が進んで改めて主人公視点でそれをやられるとドーパミンが出る。私この展開好き(パーンってなるのは男の子だからだろうか。

    最後まで読んで良かったと思う。が、他の人に勧めるまでにはいかない最大の障壁が日本語訳なのはどうにかならないのか。訳者には申し訳ないが2008年に再出版したときに見直すべきだったと、出版社に言いたい。SF作品に需要を見込めなかったのかもしれないが過去の名作と名を打つのなら誰にでも読みやすいようにするのも出版の役割ではないかと。今からでも良いので是非改訳をお願いしたい。その時はもう一度読んでみたい。

  • うーんって感じ。多分その当時のSFの不文律(宇宙旅行とアクションそしてドラマ)を踏まえて、新鮮で面白い作品だったんだろうなと思う。共感覚のシーンは草野心平の詩みたいだなぁと感じた。

  • あの漫画もこのアニメもコレが元ネタかという面白み。

  • 主人公のフォイルの勢いというかめちゃくちゃ加減には、なかなかついていくのが難しかった。テレポーテーションを誰もができるようになった近未来というSF設定が想像力を掻き立てられます。

  • 石ノ森先生、加速装置、丸パクリじゃないっすか笑
    多分色んな作品に影響を与えたであろう古典SFの名作。
    伏線回収も見事でした。
    ラストはなんじゃそりゃって感じでしたが。

  • ハードボイルド的、復讐譚と思いきや最後は宗教的、哲学的な方向へ。
    SF的、仕掛けなどは面白かったな。奥歯が加速装置のスイッチなのどは、まんま009にパクられている。のちのSF作品に影響を与えてる。でも「ささやきライン」なんて、ご都合主義な現象があったり、どうやってフォーマイルとして大金を手にいれたのか、よく分からなっかった(ジョウントで略奪でもした?)

     それと自分を見捨てた「ヴォーガ」に復讐する気持ちは解らなくもないけど、「ノーマッド」を攻撃した宇宙船の方に復讐しようと思うのが普通じゃないかな?

    「ヴォーガ」を破壊する事が復讐と思っていて、復讐する相手が違う事を指摘されるまで気が付かないフォイルって、かなりマヌケだよね。結構、真剣に取り組んでいるけど、何故か滑稽な主人公だよ。

     女性蔑視、軽視は時代だから、しょうがないよね。この時代では、これでも女性に対して進歩的な考え方と評する人もいるようだけど。

     ジズも酷い目に合ってるけど、この女性の感情の揺れの振り方が凄くて、気持ちを理解出来ない。

    「パイア」の価値もフォイルは最後の方まで知らないし、復習すると言っても、酷い目に合わせたのは、巨悪ではなく、末端の乗組員だけだったり、ちぐはぐな感じが否めない。

    まぁ、60年以上前のスぺオペだと思えば、こんな物かな。
    ジョウントが最大の売りだと思うけど、あまり意味が無い感じだしな。
    10年に一度の傑作との事だけど、まあ、仕方が無いかな。

  • SF版モンテ・クリスト伯。
    ジョウント(テレポート)、ノーマッド号を見捨てたヴォーガ号、パイア(核融合?超新星?)、時空ジョウント。

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