- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150116361
作品紹介・あらすじ
アメリカ西海岸沿いの小都市サンタ・マイラで、奇妙な現象が蔓延しつつあった。夫が妻を妻でないといい、子が親を、友人が友人を偽物だと思いはじめる。はじめ心理学者は、時おり発生するマス・ヒステリー現象と考えていた。だがある日、開業医のマイルズは友人の家で奇怪な物体を見せられた。それは人間そっくりに変貌しつつある謎の生命体-宇宙からの侵略者の姿だったのだ!奇才フィニィが放つ侵略テーマSFの名作。
感想・レビュー・書評
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恩田陸の「月の裏側」きっかけで知った本。後半の展開は得体の知れない恐怖と焦りとがあってとても面白かった。ラストシーンの想像させられる情景は鮮やかでとても好き。
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ある日突然、一緒に暮らし慣れ親しんだ人に違和感を感じる。
外見も中身も特に変わった箇所は見受けられず、ただただ何かが違うとモヤモヤする。
これはSFと言うよりホラーですね。
この作品のオマージュ、『月の裏側』も読みましたが
また違った恐怖を味わえて面白いです。
宇宙は広いんですもの。何があっても不思議ではない。 -
1955年発表後、ジャック・フィニイの名を一躍有名にした長編SF小説は我が国において、それまで出版界では商業的に成功しなかったSFを日本に定着させるため翻訳も兼ねた福島正実が早川書房に入社、1957年、都筑道夫とともに「ハヤカワ・ファンタジー」(のちの「ハヤカワSFシリーズ」)のブランドを立ち上げた際にリリースした作品であり、日本におけるSF小説の草創期に位置する古典的な作品である。
アメリカの片田舎にある町で肉親、知人が別人だと訴える者が現れ始める。やがてそれは奇妙な豆の莢から出現し、付近の人間に成り代わる異星生命体であることを知った主人公は恋人をつれ、町からの脱出を図る。次々に宇宙生命体に《複写》された人々によって徐々に人間社会が変貌し、やがて全世界を侵略していくであろう恐怖を描いたサスペンスタッチのSFホラー小説の傑作。
1956年の映画『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』の原作とされ、その後も1978年『SF/ボディ・スナッチャー』、1993年『ボディ・スナッチャーズ』、 2007年『インベージョン』と4回も映画化されるほどの高い人気の裏側には60年代アメリカ社会における共産主義思想に対する脅威、2000年代の9・11以降の隣人に対する疑心暗鬼があることが伺われ、ある日、突然に身の回りの人々が外見は同じで有っても全く相いれない別人(反思想)となる不安と恐怖が根底に視える。日本人なら多分に「受け入てしまう」っと思うと結構怖い。また、翻訳した福島正実は1963年8月に公開された東宝特撮ホラー映画『マタンゴ』の原案者であり、同作は洋上クルーズで遭難したグループが流れ着いた無人島のキノコを食べたことでキノコ人間に変異して行くというホラー作品。W.H.ホジスン著『夜の声』を始めとして、福島にとって『盗まれた街』へのオマージュであったことはあまり知られていない。 -
侵略SFの傑作中の傑作。不気味な「さや」から人間のコピーが生まれてくるビジュアルな描写が、クリエイターの想像力を刺激するのか、何度と無く映画化されている。著書のジャック・フィニィはSFのみならず、ファンタジー色の強い傑作短編集「ゲイルズバーグの春を愛す」や、ミステリーの「完全脱獄」でも知られる才人。本作では、他人が信じられなくなって行く不安感が迫真の筆致で描き出されている。それが堪らなく恐ろしい。怖い本が読みたければ凡百のホラーよりも本作がお勧めだ。
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じわじわと知らず知らずのうちに侵略される恐怖。UFOや宇宙人がドンっと出てきはしないけど、家の地下でこっそり増えて知らない間になりかわってる。ボーッとしてたら周りの変化に気づかないし、自分の変化にも気づかない。すごくこわいなぁと思った。
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月の裏側の下敷きになった話。
読もう読もうと思っていてようやく読めた。
郊外の街で人が盗まれ、取り替わっていくという点は同じ。
しかし話の展開がハリウッドのパニック映画みたいな。随所にアメリカっぽさが漂っていた。
なぜそこで無駄に陽気になるのか、なぜここで情事なのか、それどころじゃないだろう。戦うなら戦えよ、逃げるなら逃げろよ、と。
個人的には月の裏側の方がずっと好き。話全体に流れる空気感が違うもの。
起承転結があってちゃんと物事が説明されてて分かりやすいけど、分かりにくくても月の裏側の方がいいな。-
あのさ、まーこさん、思うんだ。貴女のコメント、もっと共有したほうがいいこと書いてる気がするよ。私ばっかり拝見できるの、もったいないような
気...あのさ、まーこさん、思うんだ。貴女のコメント、もっと共有したほうがいいこと書いてる気がするよ。私ばっかり拝見できるの、もったいないような
気がするよ。2012/08/28
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1955年刊行、79年和訳の本と考えるとアイディアも凄いし、するすると読める勢いもある。ただ、独身中年女性だからヒステリーなんだ~という描写、男性医師はそのヒステリー女性の話を軽んじて真に受けない …というありがちオープニングから入るためスムーズに飲み込めない残念さもある。また主人公一人称小説なので、主人公のことはわかるのだが、ヒロインは…もともと”盗まれている”のではと思うほどに中身がないのは伏線かと思ったがそうではなく…
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いまから70年近く前に出版されたとなると、当然ながら古臭いところがある。SFといっても言うほどSFでもないし(ホラーに近い)、妙に明るい。明るい、というのはストーリーというより筆致が明るい。いかにもアメリカのSF黄金期に書かれたといった感じの前向きさがある。
文化の発展は人口と経済に依るところが大きい。
特に黄金期のSFは無限の発展を前提してるところがある。日本のSFは高度経済成長期に黄金期を迎えて、いまは中国SFが熱い。
お金がなかったらひとは文化的な活動をしないし、ひとが多くないとムーブメントは起こらないという当たり前の幸福な条件の只中で書かれた感じがする。