- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150116798
感想・レビュー・書評
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奇抜なアイデアや舞台設定がなくてもいい。大事なのは星を掴もうとすることであり、掴むべき星はたくさんあるってことなのだ。
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タイトルが素敵で好きです。英語では「The Lights In The Sky Aer Stars」。
バローズの「火星のプリンセス」が出てきて「おっ!知ってる!」と嬉しくなった。
また、難しい言葉がなく、スラスラと読めてしまった。
残念ながら、自分好みではない作品だったが。 -
美しい表題と装丁に惹かれて購入。
確かにSF作品には印象的な表題が多いけれども、本書は秀抜だ。
本棚に表向けて飾りたい衝動に駆られる。
そんな表題とは対照的に、内容はすこし地味に感じるかもしれない。
そこには、突飛なアイデアもSFらしいガジェットも存在しない。著者特有のやんちゃさも、どこか影を潜める。
だけど、途方もないロマンチシズムを感じる。奇才フレドリック・ブラウンは本書のおわりにどんな思いを込めたのだろう。
本書が世に出されたのが1953年だから、世は宇宙開発の黎明期。人工衛星スプートニクもアポロ計画もまだ未来の話。
そんな萌芽な世情に、当代随一のSF作家が心揺さぶられないはずがない。
つまりは、彼も"星屑"の仲間だったのだ。そして、遥か遠い未来、人類が星に辿りつく日を願って、意志の継承を施したのだろう。
まるで夢破れた"星屑"に残された、ただひとつの流儀のように。
特に味わい深い一節を紹介する。
その一節は、ひとが星や月、宇宙に憧れ続けるひとつの答えを示しているような気がするのだ。
物語は終盤、目にいっぱい"星屑"のきらめきをたたえた子供を横目に、いまに二次元の地表面から脱出していこうとするロケットを眺めてこう語るのだ。
「そうだ、脱出だ。このちっぽけな世界から、誰もかも脱出したくてうずうずしている。この願望こそ、肉体的な欲望を満たす以外の方向にむかって人間がやってきたことすべての原動力にほかならないのだ。それはさまざまの形をとり、さまざまの方向にむかって発散されてきた。それは芸術となり、宗教となり、苦行となり、占星術となり、舞踏となり、飲酒となり、詩となり、狂気となった。これまでの脱出はそういう方向をとってきた。というのは、本当の脱出の方向を人間たちがつい最近まで知らなかったからだ。その方向とは?──外へ!この小さな、平べったい、いや、丸いかもしれないけれど、とにかく生まれついて死ぬまでへばりついていなければならない地面を離れて、未知に、永遠にむかって。外へ!太陽系の中の塵の一片、宇宙の一原子にすぎないちっぽけな地球から、外へ!」
星や宇宙に理由なき憧れを抱く"星屑"の皆さまに是非とも一読いただきたい作品です。 -
星の魅力ににとり憑かれた中年男性の、情熱の物語。
その執念により、周りを味方につけて夢にどんどん近づいて行く。そして…
このタイトルと同じくらいラストが美しいから、どうか最後まで読んでほしい作品です。 -
恥ずかしながら、某アニメのタイトルとして取り上げられたとしか知らないまま読みはじめました。
私はとても好きです。目的に向かって真っ直ぐ進むマックス、好意的な周囲の人間、読んでいて何もストレスを感じない幸せな物語なのに……
とても感情移入してしまいました…… -
思ってたんと違う…!
でも、本当に星に行ったらその星はもう足もとにあって、光ってはいないんだから、マックスはこれで良かったんちゃう?とも思う。
タイトルがすごく好きです。 -
情熱は絶えてはいけないとおもった(月並)
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星に憧れた“永遠の少年”の物語。とてもロマンチックなSFだった。
夢を追い続けることの辛さ、苦しさ、難しさ、そして素晴らしさが凝縮されていると思った。マックスは年を取ってはいるけれど(物語開始時点で57歳だし)、憧れを手にするために走り続ける姿は青春真っ盛りとしか言いようがなかった。
恋もして、友情もあって。成功と挫折がある。これはひとつの青春物語だとも思った。
お話が上手く行き過ぎるところもあったけれど(途中までは単純なアメリカンドリームな物語なのかと思ってしまった)、終盤の展開を思えば些細なマイナス点にしかならない。
宇宙に憧れ、恒星に行くことを夢見る人たちを“星屑”と称すのが良い。
そしてこのタイトルと装画が素晴らしい。
著者プロフィール
フレドリック・ブラウンの作品





