- 早川書房 (2009年2月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784150117009
みんなの感想まとめ
物語は、自由意志や運命をテーマにしたシニカルなSFで、荒唐無稽な展開が特徴です。読者は、丁寧に考えながらも言葉が入ってこない難しさを感じつつ、やりきれない悲しさや虚しさを体験しますが、最後には感動的な...
感想・レビュー・書評
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友人のおすすめで読みはじめましたが、丁寧に考えながら読んでいたんですが、言葉が自然と入ってこない為大変でした。
物語の中で沢山、やりきれない悲しさやどうにもならない虚しさを感じていましたが、最後は良かったと思える終わり方だったのかなと、。
また数年後にこの本を読んだ自分は全く違う読後感を得られるのかなぁ、。
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81冊目『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット・ジュニア 著、浅倉久志 著、2009年2月、早川書房)
初出は1959年。1972年に単行本、1977年に文庫本として翻訳され、本書はその文庫本の新装版である。爆笑問題の太田光は予てからファンを公言しており、本書に後書きを寄せている。
荒唐無稽なSFだが、その中で人間の自由意志や運命についてがシニカルな語り口で展開される。翻訳が古いこともあり要点が掴みにくいのだが、エピローグは非常に感動的。
〈「だがな、天にいるだれかさんはおまえが気に入ってるんだよ」〉 -
1959年に書かれた古典的SF小説です。
ストーリーがあちこちに飛ぶので難解なところがありますが、最後につながるので気にせず読むと良いと思います。
でも、思っていたものとは違っていて、全体的には難解でした。 -
未来が見える男による予言とそれに巻き込まれる主人公たち、最後に明かされる答えまでの道筋がきちんと整えられていて、最後まで読み終えたときに点と点が繋がるような感覚があって心地よかったです。個人的にラムファード氏のおもしろおじさんな感じが好きです。
ただ古典SFあるあるなのか(もしくは私が小説初心者だからなのか?)、少し設定描写に走りすぎたり時間軸が飛びとびでわかりにくかったりで、読み切るまで少し根気が要るように感じました(不思議の国のアリス風の門ってなんだ…?)。あんまり細かいところを気にせず読むのがいいのかなーと思います。 -
この本はあとがきや太田光の解説があってのものと自分は思った。「ワケがわからない」を肯定してくれるのは非常にありがたいと思った。時代背景やラムファードのモデルが確認できて始めて、やっと多少の理解が及ぶようになった。第二次大戦下〜冷戦あたりを踏まえての、ってことみたいだ。
自分の時間とーーここではあえてそう言うがーー労力を使って読み終えた作品に対して、時間の無駄だったと認めるということは非常に勇気がいるものだ。実際はその感想や体験も含めての読書であることはわかっていながらも、現代を生きる我々にとって時間を割くことは非常にリスクを伴うものである。
主語が大きいか?
要するに「なんなんだこれ?理解できんな」の言い訳を水増しすると上になるってうもんで、文章ってやろうと思えばやるだけ贅肉を付けられるよな。ダイエットする方が難しい。
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今時の「見事な伏線回収!」とか「今年一番泣ける小説!」「衝撃のラストにあなたは震える」などおよそそういった小説たちに最近どっぷり浸かっていた自分にとってはなんじゃこりゃ?と、どう解釈していいのか、どう感情移入していいのやらよく分からず眉間にシワを寄せながら読んでました。ただ読んでる途中で太田光さんが書いてたあとがきをふと読んだら格段に読みやすくなった。この小説は訳わからない、ただ訳わからないままでいいじゃないか。そう思って読むとなんだか素敵な物語に思えてきた。万人にはおすすめできないが、万人に読んでほしい小説。かな(笑)
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ヴォネガットは、まったく、ぜんぜん、ほんの少しも生きる価値のないようなくだらなくて愚かで怠惰な人間が、それでも生きがいを探しているのだということを書いてくれる。
けれども、本当に怠惰な人間は、本当に何もできないし、さらに言えばそもそもきちんとした良心さえ持っていないかもしれないのだ。
何をどうすればいいのかわからず、自分が何をしたいのかもわからないまま、愚かなままで生き続ける。そんな人間が生きていて、いったい何の価値があるのだろう?
その圧倒的虚無に対しての、ヴォネガットの優しくユーモアあふれる答えがこの本なのだろう。彼はこの本である種の読者の胸をかきむしらせ絶望させ、そして軽やかに救済する。
天国はとても穏やかでハッピーであり、そこは確かに存在するのだよと言われて安心したい人間は、しかしとても疑い深いので、なかなか説得に応じない。
彼らはこの世に疲れ果てていて、できることなら安らかに眠りたいと思っているのだ。でも、眠ることさえ怖いのである。悪夢を見るに違いないと思って。彼らはいい夢なんて、一度も見たことがないので。
世界中の誰もが幸せになっても、自分だけは幸せになれないと思っているタイプの人におすすめしたい本ですね。 -
前評価を気にして読むとそこまで面白くない。
作品としては程々に面白い。 -
カートヴォネガットの独特の世界観が存分に堪能できる。
冒頭から難解な用語が飛び出してくるのでとっつきにくさはあったが、人の実体化を見物するという特異な物語の書き出しから引き込まれる。
荒唐無稽なストーリーかと思いきや、伏線が張られており、綺麗に回収されていく。
作者の死生観、宗教観などがユーモア溢れる文章で表現される。 -
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ストーリーとして、私には感動はあまりないけど、
この世界観を作ったのが1959年だということが驚きです。SF好きな方には、是非読んで欲しい作品 -
超SF!うーん、やっぱり、翻訳されたものだと、しっくりこないんだなあ。なんか、作者と文化が違うから、「?」ってなりやすかった。ま、それは置いといて、設定・内容はバリ面白かった!すごいなぁ。人間を客観的に最初、書いていたのも、印象的だったなあ。ふむ。
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没落貴族がキャトルミューティレーションされ、仮面ライダーの如く宇宙戦争に巻き込まれるSF小説です
火星、水星、土星と拉致される様は、どの惑星も美しく宇宙旅行気分になれました
ロボトミー手術を受けた没落貴族の、少年時代から老衰するまでを描かれています
ヴォネガット作品を初めて読むのですが、宇宙人のモノローグが上手でした
謎の固有名詞がほぼ出てこず特有の倫理観が伝わりやすかったです
洗脳前後の没落貴族のモノローグも、本当に別人の様子が伝わってきてすごかったです
一番好きなパートは、火星に拉致された人々が指紋鑑定によってどのような地球人だったか答え合わせをする場面です
軍曹がふつうの警備員だったり、教師がカルト宗教の末端信者だったり、友達のいないナードだったり、指名手配犯だったり、正体が明るみにでるのは読んでて楽しかったです
地球人のまま人生を終えるより、火星人として矯正されていた自分のほうが、はるかに優れていた人生を過ごしていたのではないかと総括していたのは、残酷かつ美しいなと思いました
地球の歴史が、宇宙人たちのチャットに利用されてきたログだった解釈されていて面白かったです
地球がSNSアプリみたく使われていて、人々の運命は1つモジュールでしかなかったのは豊かな陰謀論でした
惑星を行き来していますが話が散らからず、読みやすいSF小説でした -
人類の色々な出来事、個人の行動が自分で選んだものではなく大きな存在から仕組まれたものだったりしたら・・・。
と、聞くと大いなる陰謀から逃れようとする人間の戦いが始まりそうですが、基本自分よりも上位の次元の存在だとしたら、その行動から逃れようとするのは至難の業だと思います。この本もそういう悲しみを湛えた本です。
読んだときはあまり好きではないと思ったのですが、数日置いたときに何故かじわじわと沁み込んできて、物語の意味を考えてしまう自分がいました。 -
村上春樹が最も影響を受けた作家の一人ですね。
米国文学史における重要な作家の一人です。
なんていうぼくは、米国文学にはほとんどなじみがなくて、読書の幅を広げたいと手を伸ばした次第。
難解でした。
いや、文章や内容が難解というのではなく、恐らくそこかしこに込められているであろう寓意を十分に汲み取るのが難しかったです。
それはひとえに、読み手である自分が、本書を読むに値する知性が不足しているから。
でも、分からないことを、分からないままに読む読書だってあっていい。
「分かりやすい」本ばかりじゃあ、つまらないし。
途中から、そう割り切って読みました。
物語自体は大変面白かったです。
本書はSF。
自家用宇宙船に乗ったラムファードは、火星付近で時間等曲率漏斗の中に飛び込んでしまいました。
そのことで、ラムファードと愛犬カザックは波動現象になり、宇宙のあちこちに存在し、まれに「実体化」することになります。
ラムファードは神のごとき力を持ち、地球と火星との戦争まで計画して、実際に成し遂げます。
ラムファードの最大の受難者が、本作の主人公である大富豪のコンスタント。
コンスタントは、実体化したラムファードから「君は火星から水星、地球、そしてタイタン(土星の衛星)へと旅することになり、火星では自分の妻とまぐわい男児をもうける」とのご託宣を受けます。
で、実際にその通りになります。
コンスタントは記憶を失い、水星ではアンクとして登場します。
登場人物はそれなりに多いので、注意深く読まないと混乱するから注意です。
全篇、スラップスティックのような趣がありますが、随所にシニカルなユーモアがあって、それも本書の魅力でしょう。
たとえば、ラムファード夫人のビアトリスの美しさの描写。
「彼女の顔はマラカイ・コンスタントの顔とおなじように唯一独特のものであり、なじみ深い主題の驚くべきヴァリエーションであった―つまり、その観察者たちに、『そうか―こういう美しさもあるわけだな』と思わせるようなヴァリエーションである。事実、ビアトリスが自分の顔にしたことは、どんな不美人にもできることだった。彼女はそれを威厳と、苦悩と、知性とで上塗りしてから、一刷毛のわがままさでわさびをきかせたのだ。」
元国税庁職員のファーン青年の「企業官僚」の定義も思わず吹き出しました。
「企業官僚というのは、物をなくし、まちがった書式を使い、新しい書式を作り、あらゆるものに五枚複写を要求し、いわれたことのおそらく三分の一だけを理解する連中です。いつも、考えるひまを手に入れるため脇道にそれた答えをし、強制されたときだけ判断をくだし、それから責任逃れの工作をする連中です。足し算引き算で悪意のないまちがいをやらかし、孤独を感じるたびに会議を開き、自分が好かれていないと感じるたびにメモを書く連中です。そうしなければクビになると思ったとき以外、絶対に物を捨てない連中です」
実に痛快ですね。
こういう行を読んでいる時、ぼくは読書の悦びを感じます。
それでいて、深いことがさらりと書いてあったりしますから油断できません。
たとえば、「時間等曲率漏斗」の説明で、こんな記述が出てきます。
二人の「正しいパパ」を紹介したうえで、「どっちのパパも正しいくせに、それでもたいへんなぎろんになるのは、いく通りもの正しさがあるからだ。」。
簡単に書いてあるけど、これを理解している人は、ぼくを含めて実に実に実に少ないと思いますよ。
そんなわけで読書の愉しさを十分に味わわせてくれます。
もっとも、冒頭に申しあげた通り、すべてが理解できたわけではありませんし、私にもっと教養があれば、もっと愉しい読書となったでしょう。
ちなみに、爆笑問題の太田光さんが本書の大ファンで、「今までに出会った中で、最高の物語」と公言するほど溺愛しているそう。
何たって自身の事務所に「タイタン」と名付けるくらいですから。 -
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「いろんな思いがあふれてくる。」
カート・ヴォネガットって、斜に構えた恥しがり屋ですね。。。「いろんな思いがあふれてくる。」
カート・ヴォネガットって、斜に構えた恥しがり屋ですね。。。2013/08/05
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爆笑問題の太田さんが、この本から所属事務所の名前に「タイタン」を名付けたと知り、興味を持った。
超ド真ん中のSFという感じ。ストーリーも読者の視野も、地球から火星、水星、タイタンへと押し広げていく。
過去も未来も知っているラムフォードが“神”のような存在に思えたが、その外側には、さらに高次の存在がいて、これまでのストーリーと人類の営みも歴史も全てちょっとしたお使い。余興程度にしてしまう。それを知った瞬間、コンスタントの苦労や痛みが、どこまでも虚ろに響いた。
1959年に書かれたとは思えないほど、いま読んでも古びない発想と構造。
むしろ、ここからSFというジャンルが広がっていったのだと実感させられる。
正直、これまでSFを読むと途中で眠くなってしまうことが多かった。本作はそんなこともなく、読んで良かった。人にも勧めたい。 -
最初は「これは本当に名作なのか…?」と思ってしまうほど、登場人物には共感しづらく、物語の展開にも乗れなかった。でも、終盤で一気に印象が変わった。まさか最後の2割で泣かされるとは!
皮肉で満ちた世界のなかに、じわっと人間の強さや優しさが浮かび上がってくる。最後まで読んで初めてわかる“仕掛け”があって、そこに心を揺さぶられた。読み終えてから物語の構造を思い返すと、いろんなことがじわじわ効いてくるタイプの作品。 -
久しぶりにSF読もうと思って読んだ。
岡田斗司夫のオススメ作品だったが、最高だった。(芸人の太田さんも好きらしい)
ストーリーは、時間等曲率漏斗っていう宇宙上にある謎の物体に1人の男と犬が突っ込んでしまうところから始まる。
その中に入ったものは、時間と空間を超越するらしい。
とんでも設定だが、ロマンがある。
そしてその後のストーリーも、マジで予測不能だが、常にワクワクさせてくれる。
そしてドラマチックで、悲劇的だが、どこか可笑しさがある。
悲劇であり喜劇
と何処かにあったが、正にその通りである。
ああ、面白かった。
またSF読もう。 -
SFは設定が凝り過ぎていたり、作品に没入しないと理解ができない技術に話が立脚していたりと、自分にとっては満足に読めた経験がないのですが、本書は最初から最後まで面白く通読できました。
作品のコアとなる設定は、宇宙の特異点のような場所に突入して過去未来全てに行き渡る存在となったラムファードというオジサンが、未来を読める(作れる)ということを生かして、ある種のユートピアを作ろうと図るというお話です。物理に明るい方には、波動関数の解として得られるように、電子などがあまねく空間に確率勾配を持って同時に存在しているというのを、人物に適用したようなイメージですね。
エログロや妙に凝った科学技術のレトリックもなくシンプルで、ある意味星新一の描く世界観のようなところがあって、私のSF読者レベルにちょうどあっていたのかも。つまり子供でも楽しく読めます^ ^
こう書くと一見ラムファードが主人公に思えますがさにあらず。実際にはこのオジサンの描く「未来設計」のために翻弄される(いいように使われる)地球人たちの群像劇の方に焦点があります。その視点で追っていくと理不尽でやる方ない物語なのですが、先に述べたように妙な星新一感があるおかげ(?)で悲壮感はなくコミカルですらあります。読めてしまえばエンターテイメントとしてシンプルに楽しめる作品で、変に肩肘張った考察や解釈もいらない本です。
著者プロフィール
浅倉久志の作品

オイラはいつも「いいね」をいただいているのに、まめたカチカチパスタさんへなかなか「いいね」出来なくてごめ...
オイラはいつも「いいね」をいただいているのに、まめたカチカチパスタさんへなかなか「いいね」出来なくてごめんなさい。
この作品は星3つですが、まだ「いいね」をさせていただいてなかったのでポチりしました。
オイラもSFの分野はほとんど読んでいないんですよねぇ。
でもたまには読んでみようと思っています。
この作品、大好きな友人の影響で読みました。
最初の頃は本当に言葉の一つ一つが
入っ...
この作品、大好きな友人の影響で読みました。
最初の頃は本当に言葉の一つ一つが
入ってこなくて大変でした。
でも凄く高い評価をされる方も沢山いますし
私が原因だと思います。
知識不足が大きいと思いますが
こういう物語も楽しめたら私の本棚も
綺麗な色彩になるかも?です。
チャレンジに拍手ですよ!
全分野完全網羅なんて出来ない!
出来たら怖い笑。
チャレンジに拍手ですよ!
全分野完全網羅なんて出来ない!
出来たら怖い笑。