犬は勘定に入れません 下―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-7)
- 早川書房 (2009年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150117085
作品紹介・あらすじ
時間旅行の無理がかさなり過労に陥ったネッドは、二週間の絶対安静を命じられるが、レイディ・シュラプネルのいる現代ではゆっくり休めるはずもない。そこで、指導教官ダンワージー教授はネッドをのどかな19世紀ヴィクトリア朝へ派遣する。だが、時間旅行ぼけでぼんやりしていたネッドは、自分に時空連続体の存亡を賭けた任務があるとは夢にも思っていなかった…ヒューゴー賞・ローカス賞受賞の時間旅行ユーモア小説。
感想・レビュー・書評
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あちこち寄り道しながらコネタの数々を散りばめつつ、結果それが寄り道でなく一気の展開は巧すぎる。
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2057年。タイムトラベルが可能になった未来で、一匹の猫の命を救ったことからはじまるドタバタ劇。
タイムトラベルにより時差ボケならぬ時代ボケ(タイムラグ)で、疲労困憊したネッド・ヘンリーの描写から物語は始まります。
そもそも主人公のネッドが冒頭から朦朧としているので、読んでいるこっちも何がどうなってるんだか分かりにくい始まりでした。
「主教の鳥株」がタイトルにある花瓶なんだろうなぁ、ネッドはこれを過去まで行って探してるんだろうなぁ、という曖昧な認識のまま読み進めていきましたが、ネッドの意識がしっかりしていき事態が見えてくるにつれて、こちらも物語にのめりこんでいきます。
イギリス文学の引用が多く、ミステリー小説のネタバレも若干していました(特に月長石)。イギリスの歴史と文学が楽しめます。
タイトルの「犬は勘定に入れません」はジェローム・Kジェロームのユーモア小説「ボートの三人の男」からとったようですが、本書を読み終えて、これだけ多くの人が、動物が、事象が複雑に絡み合ったタイムパラドックスでありながら、なるほど、この混乱に犬のシリルは勘定に入ってなかったなぁと思いました。
にも関わらずこのブルドッグのシリルの存在感は絶大です。他にも猫のプリンセス・アージュマンドや女傑・レイディ・シュラプネルなど登場人物達は一人残らず愉快です。
SFであり、ミステリーであり、恋愛小説であり、楽しくて面白いことがぎゅっと詰まった物語でした。 -
主人公がへたれでかわいそうで笑える。
猫も犬も可愛い。
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訳:大森望、原書名:TO SAY NOTHING OF THE DOG(Willis,Connie)
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2009-05-00
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時間旅行ユーモア小説!
本来は過去から何かを持ち帰ることは不可能なはず…
しかしある学生が川に溺れた猫を助けて連れ帰ってしまった。
この猫が原因で歴史に齟齬が生じたら?
齟齬を生じさせないから連れ帰れたのか?
とにかく猫を元のところに戻すために過去に送られたネッドだがそこでもまた歴史と異なる出来事が起こってしまう。
どうなる歴史!? いやぁ〜後半に進むにつれてどんどん面白くなっていって一気読みしました -
すったもんだは続き、戦時中にも飛んだりして、とても大変なんだけどずっとどこか牧歌的な雰囲気が流れていて、楽しかった。なんだろうな、この感覚。
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ドゥームズデイ・ブックと比べると感動がない
表紙 6点松尾 たいこ 大森 望訳
展開 6点1998年著作
文章 7点
内容 700点
合計 719点 -
タイムトラベルユーモア小説。
最高のしっちゃかめっちゃか。 -
長さを抜きにすれば、お気楽に読めるけど、
あちらこちらに散りばめられたヒントや、
複雑にしようとしていると思える仕掛けに
気づいて楽しむには、人物たちに惹きこまれて
じっくり読むのが一番。
引用を多用するテレンスも気取り屋ではなく
夢見がちで嫌味のないイイヤツだし。
19世紀の謎は、早くにわかるけど、
「そこと、掛かっていたいたか!」と。
イングランドの建築や美術、古典や詩だけではなく、
推理小説も知っているとより楽しめるのだろうが、
知らなくても、この世界を楽しめる。
前作に続きフィンチ君、抜群の安定感、癒し系。
天職を見つけます。