夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
4.03
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本棚登録 : 5269
レビュー : 552
  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150117429

作品紹介・あらすじ

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 主君カラバ公爵のために命も厭わず怪物にたちむかった猫。
    大好きだったペローの童話『長靴をはいた猫』を思い出している。

    粉挽きの三男坊が死んだ親父の形見分けとしてもらったのが猫一匹。
    明日の当てもなく途方に暮れる男。
    しかし猫は持ち前の機知と行動力で、男の窮地を救うのである。
    いま考えればけっこう無茶苦茶でブラックな話だった気がする。

    時間SFの名作と呼び声高い『夏への扉』
    いつかは読まねばと思いつつようやく手に取ったが、こちらもタイトルと可愛らしい猫の表紙からは想像だにしないサスペンスフルな展開が待っていた。

    なんとも魅力的な時間移動の方法。
    一足飛びに時を駆け抜ける描写は、主人公と共に自分が体験しているかのよう。
    目の前にひろがる懐かしい未来(レトロ・フューチャー)。
    1970年から2000年に飛ぶ話が1950年代に書かれている。
    ハインラインにとっては物語内での現在の事象さえ未来。そして、物語の未来の事象さえすでに過去となっている2013年の僕がこの本を読んでいる不思議。
    文化女中器(ハイヤード・ガール)なんて、ぐっとくる言い回しに「メイド・ロボ」的なものを想像していたら、
    「それ『ルンバ』じゃーん」
    僕は立派な未来人。
    実生活では、スマホよりも3D映像よりも、納豆の「大豆(遺伝子組み換えではない)」表示に一番未来を感じている。

    ヒロインは『がんばれ!ベアーズ』のテイタム・オニールで脳内再生された。こういうのも遠距離恋愛になるのだろうか。

    伏線が少しずつ回収されていく終盤は、やはり時間SFの醍醐味。
    「でもまてよ。こう、うまくいくと前に来ていたあの人はどうなるの?」
    一瞬不安になったが、そこはそれ。博士のポケットの中の五ドル貨。読みのがした新聞。
    シュレディンガーの猫。
    そう、タイムパラドックスの帳尻を合わせて主君を護るのも「猫」の役目。
    さすがは「護民官ピート」なのである。

    • 円軌道の外さん

      またお邪魔します!(笑)
      今、「10代の頃に読んだ作家を再読しよう」企画をやってまして、
      ちょうどコレも候補に上げて
      新しく買って...

      またお邪魔します!(笑)
      今、「10代の頃に読んだ作家を再読しよう」企画をやってまして、
      ちょうどコレも候補に上げて
      新しく買って手元に置いてます。
      (今はポール・オースターの『ムーンパレス』を再読中です)

      ほとんどが高校時代に読んでそれっきりだったので、
      学生時代とは感動できるポイントも違うし(笑)
      そもそもこんな話だっけ?って
      自分の記憶の曖昧さにビックリしたり(笑)、
      いやぁ~、毎回いろんな発見があって面白いです。

      これも当時は未来だった2000年の話を
      2015年の今読むんやから、
      違う意味でかなり面白いギャップがあるんやろな~(笑)

      つか、実はレビュー読ませてもらって一番反応したのは

      “ヒロインは『がんばれ!ベアーズ』のテイタム・オニールで脳内再生された。”

      ってとこです(笑)
      僕は坊主頭の中学時代に初めて『スクリーン』という映画雑誌を買って映画にハマっていくんですが、
      テイタム・オニールとダイアン・レインとソフィー・マルソーとメアリー・スチュワート・マスターソンが大好きで(笑)
      グラビア切り抜いてオリジナルのスクラップブックを作って、
      ひとりで悦に入ってた封印した記憶が
      今急速に蘇ってきました(笑)
      (もう少し後にはクリスティーナ・リッチとフェイ・ウォンとペ・ドゥナにハマるんやけど笑)

      スピッツの『スーベニア』というアルバムにも
      『テイタム・オニール』という曲があるんやけど、
      草野さんが小さい頃に憧れてた女優やからタイトルにしたらしいですね(笑)

      僕も子供の頃に『がんばれ!ベアーズ』に出てた彼女を観て、
      表情豊かでなんてキュートな女の子なんやろって虜になったし、
      『ペーパー・ムーン』を観て、なんて上手い子役なんやろって、ドギモを抜かれました。
      ソバカスホッペに生意気な瞳がホンマ魅力的でしたよね(^^)

      ちなみにkwosaさんにとって学生時代のアイドルって誰でしたか?



      2015/05/30
    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      「再読キャンペーン」いいですね。
      僕もやってみたいんですけど積読が多過ぎて......(『ムーンパレス』も積読です。...
      円軌道の外さん

      「再読キャンペーン」いいですね。
      僕もやってみたいんですけど積読が多過ぎて......(『ムーンパレス』も積読です。あっ『孤独の発明』も途中まで読んで......)

      でも、たしかに読む時期によって心に響くポイントが違うというのはありますよね。
      若い頃共感していた部分が妙に青臭く思えたり、昔は嫌な奴だと思っていた登場人物が愛おしくなったり。
      それが再読の楽しみですよね。

      僕は『ロードショー』派でした。
      近所のお姉さんから一ヶ月遅れの号をもらって、やっぱり切り抜いて。

      ソフィー・マルソー! わかります!!
      そして小学生のくせに『初体験リッジモンドハイ』のフィービー・ケイツ(笑)
      もうちょっと後で『シャルロット・フォーエバー』からシャルロット・ゲンズブール。
      親に隠れて深夜映画を録画したのはいい思い出(笑)
      でも、それをきっかけにフランス映画やフレンチ・ポップス、セルジュ・ゲンズブールからボリス・ヴィアンやジャズに興味が湧いていったんだから何が幸いするかわかりませんね。

      『1969』あたりからウィノナ・ライダーも追っかけてたなぁ。
      2015/05/30
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、いつも沢山のコメントありがとうございます!

      あはは(笑)「再読キャンペーン」いろんな発見があって楽しいですよ~(^...

      kwosaさん、いつも沢山のコメントありがとうございます!

      あはは(笑)「再読キャンペーン」いろんな発見があって楽しいですよ~(^^)
      『ムーンパレス』は学生時代あんなにハマったハズなのに
      おっさんになって再読すると
      思ってたよりアッサリな印象で(笑)、
      「あれ?こんなもんやったっけ!?」ってなんか拍子抜けでした。
      kwosaさんが仰るように
      まさに若い頃共感していた部分が妙に青臭く思えて(笑)なんか恥ずかしくなりましたよ~(^^;)
      同じ時期に読み直したチャンドラーの『さよなら愛しい人』は
      「やっぱりチャンドラーは今読んでもカッコいいわ~」って確信したのに、何が違うんですかね~(笑)
      (厳密に言えばチャンドラーを読んだのは村上春樹訳だったので、清水さんの訳とは違い新鮮ではあったんですけどね)

      あっ、『孤独の発明』は桜庭一樹が自分を作ってくれた本として挙げてたので、
      一応読みたいリスト入りしてます(笑)

      おおーっ! kwosaさんは『ロードショー』派でしたか(笑)

      わぁーっっ!
      フィービー・ケイツにシャルロット・ゲンズブールかぁ~(笑)
      僕もどちらも好きでした!
      フィービーは確か中国系とアメリカ人のハーフだったので、
      日本人好みの親しみやすい容姿で、当時アイドル並みに人気がありましたよね。
      僕は『グレムリン』を最初に観てハマったんかな。
      あと、ウィノナは『17歳のカルテ』と『リアリティ・バイツ』の頃が好きでした。
      シャルロットは最初はフレンチポップのアルバムから入って、
      次に映画を観てノックアウトされました(笑)

      当時僕の周りの友達はバンド仲間ばっかりで
      アイドル話なんて口が裂けてもできない環境だったので(笑)、
      ホンマはスクリーンに付いてたソフィー・マルソーのポスターを部屋に貼りたかったんやけど、
      硬派ぶってジェームス・ディーンや『明日に向かって撃て』なんかの映画ポスターでカムフラージュしてたな~(笑)

      あっ、深夜に録画もわかります!(笑)
      僕はラブシーンの多い『007』シリーズや『エマニエル夫人』なんかを
      深夜こっそり観てました(笑)(^^;)


      調子に乗ってアホなことばかり喋り過ぎましたが(汗)、
      僕の本棚の『シネマ食堂』『サンダーボルト』『人間みな兄弟』『ネオカル日和』『倒立する塔の殺人』『ごめんね青春!』にもまたまた返事書いてるので、
      また暇な時間にでも立ち寄ってみてくださいね~(^^)

      ではでは~♪


      2015/06/12
  • ようやく「猫が夏に通じるドアを探す」話に行き着いた。

    SFビギナーの私が読書仲間さん達に勧められて読んだ「タイムリープ」
    確かに面白かった。
    その中に、時間旅行をにおわせるアイテム
    ラベンダー、車のタイムマシン
    そして、猫が扉を探す話
    何の話だか全く見当のつかない私がそれを口にしたところ
    「あぁ、ハインラインですね。」
    どうやら、随分有名な話らしいと知った。


    経営している会社と恋人を同時に失い、トラブルに巻き込まれた
    失意の主人公は冷凍睡眠により30年の眠りにつく。
    2000年に目覚めた彼は、眠っていた30年に何が起こっていたのかを調べ始めるが、
    どうしても理解しがたい事実にぶつかり、再び1970年を目指す。

    時間に追われる彼にとって柔らかな猫の背中や首筋を撫でた時に感じる
    体温やなめらかさは、決して手放したくない大切な実感だろう。


    それにしても、タイムマシンでやってきた未来が2000年とは。
    現在が追い越してしまった不思議。
    本の中の未来は現実となった。
    今の私が想像する未来は、とりあえず満たされていて渇望するものがないからなのか、
    想像力の欠如からか、一昔前の人たちが望んだような進歩は思いつかない。

    それでも、

    過去は非常の場合だけだ。そして未来は、いずれにしろ過去にまさる。
    誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりまさりつつあるのだ。(P367)

    私もこの言葉を強く信じる。
    過去を懐かしく思い出すこともあるけれど、
    今日を精一杯楽しみ、その先にまた新たな楽しみが待っていると信じている。
    全てが未来につながっていると思えば、
    失敗したことも含めて過去の出来事を肯定できる。

    • 円軌道の外さん

      わぁ〜皆さんお邪魔します(笑)

      ブクログ仲間の輪が
      ここでも繋がってますね(^O^)


      SFにうとい自分が
      この作品...

      わぁ〜皆さんお邪魔します(笑)

      ブクログ仲間の輪が
      ここでも繋がってますね(^O^)


      SFにうとい自分が
      この作品を知ったのは
      恥ずかしながら
      先頃紹介した
      『草子ブックガイド』という漫画からでした。

      そこで描かれる
      この作品に対する
      主人公である草子のレビューが、
      nico314さんのレビューに勝るとも劣らないほど素晴らしくて、
      コレは絶対読まなければと
      固く誓ったのでした(笑)


      いつもいつもタイミングが遅くて(汗)
      皆さんにいい作品を教えられてばかりですが、
      無事読了した暁には
      ここでまた熱く語らせてくださいね(笑)

      併せて『草子ブックガイド』も
      nico314さんには
      是非とも読んでみてもらいたいなぁ〜♪
      (ホンマ心からオススメします!)


      2013/05/02
    • nico314さん
      円軌道の外さん、こんにちは!

      >ブクログ仲間の輪が
      ここでも繋がってますね(^O^)

      そうなんですよ!!
      円軌道の外さんは...
      円軌道の外さん、こんにちは!

      >ブクログ仲間の輪が
      ここでも繋がってますね(^O^)

      そうなんですよ!!
      円軌道の外さんはじめ、本をきっかけにみなさんと交流させていただいて、
      楽しみが広がっていくのがたまりません!

      「草子ブックガイド」大変気になります!
      おもしろそうですね。

      自分で選ぶ本だけだと、どうしてもお気に入りの作家さんの追っかけや
      新聞などの書評欄からの情報が中心になってしまうのですが、
      みなさんのオススメやレビューからの情報のおかげで、
      以前なら恐らく手に取らなかった本を楽しめるようになっています。
      ありがとうございます!!
      2013/05/03
    • nico314さん
      追記

      ネットの海を彷徨っていたら、山下達郎が「夏への扉」という歌を歌っていると知った。
      youtubeで聞いてびっくり!
      タイトル...
      追記

      ネットの海を彷徨っていたら、山下達郎が「夏への扉」という歌を歌っていると知った。
      youtubeで聞いてびっくり!
      タイトルは知らなかったが、確かにその歌を以前よく聴いていた。
      そして歌詞の内容は、まさに「夏への扉」を唄っていた。
      聴いていたのに、口ずさんでいたのに、まったく気付かなかった。

      かのこちゃんには劣りますが、「知が啓けた」瞬間でした!
      2013/05/03
  • 私にとって初めてのハインライン。夏の楽しみにとっておこうと思って本棚で寝かせておいたのだ。『夏への扉(The Door into Summer)』、なんて素敵なタイトルだろう! 個人的には『ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)』に次ぐ、ナイスな日本語タイトルだ。

    ところが内容はというと、ちょっと微妙…といったところ。「タイムトラベルもの」なのだが、冗長さやツメの甘さが目立つのだ。例えばタイム・パラドックスについての考証が甘い。「造物主が作った人間の技術で行うことにパラドックスなどあり得ない」という説明には思わず脱力してしまった。神様持ち出したらSFの醍醐味なくなっちゃうじゃん~!

    実際、評価は二極化しているようだ。SFオールタイム・ベストを募ると、日本では『夏への扉』は上位にランクインするが、本国アメリカでは名前すら挙がらない。日本でも一般読者の人気は非常に高いが、書評家の評価はそうでもないという状況だ。

    では何が日本の読者にウケるのかというと、多分サイエンス以外の要素だ。まず、猫のピートの存在。我々は理屈ぬきでマスコットキャラクターに弱い民族だからだ(ピカチュウ、ジバニャン然り)。さらに、裏切られた主人公が一発逆転すること。少女とのロマンス。そう、この作品はSFというより、ハッピーエンド至上主義の娯楽小説なのだ。ロジックよりも爽快感を楽しむ物語なのである。

    まあ、ピートが可愛かったから私は良しとしよう。タイトルとプロローグとエピローグだけは詩的で冴えまくりなのだが、それはひとえにピートのおかげだからだ。本作が「猫SF」と呼ばれる所以である。

  • 久しぶりの再読です。
    猫好きにはたまらない傑作SFですが、私にとってはもう1つ惹かれる要素があるのです。
    それはこのストーリーが自分の誕生日から始まること。(…西暦は違うのですがw)
    初めて読んだときから、愛着のある1冊です。

    主人公のダンの頭のよさと口の上手さも、たまらなく小気味よいです。
    恋人と親友に裏切られ、会社も追い出され、画期的な発明までも取り上げられた人生のどん底にいても、30年後に目覚めた世界の変化に戸惑いや不満があっても、彼は自分の信じる道を自分のやり方で突き進んでいく。
    常に前向きでタフな姿に「行けー!」とエールを送りつつ、実は彼から励まされてばかりだったりします。
    愛猫・ピートとのチームワークも最高!

    • 8minaさん
      すずめさん、これ大好きな1冊です。はるか昔に読んだ本。表紙の扉の向こうを見つめる、ピートの後ろ姿が印象的。
      すずめさん、これ大好きな1冊です。はるか昔に読んだ本。表紙の扉の向こうを見つめる、ピートの後ろ姿が印象的。
      2016/02/10
  • 山下達郎の同タイトル曲がこの本をモチーフにしてかかれた、というので興味を持って読んでみたんだけど、冒頭3ページの文章でぐっとつかまれる。だって猫の紹介で、「彼は、人間用のドアの、少なくともどれかひとつが、夏に通じているという固い信念を持っていたのである」ってこれだけで著者の文章に惹き込まれる。
    訳が古くて読みにくい、という感想もあるそうだが、全くそんなことを感じず、もしかして新訳の方を読んだのかな、と思ったけど、1979年の新装版ってことは訳は1979年なのかな。全く読みにくくなかったし、この文章、表現の仕方はものすごい好き。確かにたまに古い表現があったりして、読んでる途中にしっくりいかず、止まってしまう箇所もあったけど、そんなのはほんの数箇所のみ。
    猫好きにおすすめ、ともされているみたいだけど、どうだろう…確かに猫の気持ちをとても理解している(思い込みなだけかもしれないが)主人公を通して、猫のかわいさときまぐれさが満載に詰め込まれているけど、何しろこの猫中盤は全く出てこないんで…(ネタバレ)

    で、肝心のストーリー。
    舞台は1970年。といっても私の知っている1970年ではない。そこを割り切らないと、冷凍睡眠?文化女中器って何?てなるので少し注意。(文化女中器が何なのかはすぐに明らかになるし、かなり重要なもの)
    終盤で主人公に言わせている通り、確かにいろいろなつじつまはおかしいところはあるんだけど、(ダンが倒れている間ダンの車はどこにいったのか、というのを倒れているダンは既に知っていた?とか、リッキーが結婚しているとわかった時点で相手の名前も聞かないか、とかもろもろ)、でもそれを上回るタイムトラベルものの傑作と言っていいと思う。
    確かに女にとっては歳を取らせるだけで十分な復讐かも。

    主人公については、ベルがあかんようになったらすぐにリッキーに乗り換えるんかい、て感じるところはあるが、まあリッキーが大人になるのを待ってるからロリコンではないような気もするし、(大人になってもダンおじさんのことを想っているか、という意見もあるようだけど、確かにそれまでに魅力的な男性に出会っていればわからないが、肉親不在のなかではダンおじさんの存在はかなり大きいのではないかと推測する)、一番主人公について好ましいのは、主人公がいつも未来に対して期待を持ち、未来はきっと今よりもよくなっていて、そして自分はその未来を気にいるはずだ、と思っているところ。主人公が技術屋だからかもしれないが、なかなか簡単に過去を捨てられるものではないし、過去もよかったなあ、と思うこともあるだろうに、まあ小説だからうまく過去に戻れるんだけど、もし30年後の未来にいってしまっていたとしても、失望しつつもきっとうまくやって、そしてきっとどうにかして1970年に戻ってくるんだろうなあ。

    日本ではハインラインというとこの小説が一番人気らしいが、詳しい人に言わせるとこれが代表作ではないらしいので、他のもぜひ読んでみたい。

  • SF初心者は読むべき。猫好きは読むべき。夏なら読むべき。ハッピーエンド好きなら読むべき。とにかく読むべき。読んどくべき。愛しい。

  •  名作SFと名高いこのタイトル、SF好きを名乗る以上は押さえておかねばと手を出しましたが……いや、名作と言われるには、やはりそれだけの理由がありますね。面白さにぐいぐい吸い付けられて、のんびり読むつもりが二日で一気読みでした。
     話の巧さ、面白さは言わずもがな。何より、今更になって読むからこそ、六十年以上?前に書かれたこの作品に出てくる筆者の想像力と先見の明に感服させられます。ル●バが……こんな時代からすでに、●ンバの着想がこんなにしっかりと……!

  • なにより猫のピートが可愛い!
    コールドスリープまではドロドロ展開だけど、その後からSF的なアイテムや謎が生き生きと描かれて心を奪われた。
    今から60年も前の作品とは思えない。
    パラドックスは深く描かれないけれど、そのシンプルさがよかったと思う。

  • 『あなたならどんな気持ちになるだろう?
    もし、最愛の恋人にはうらぎられ、仕事は取り上げられ生命から二番目の発明さえも騙しとられてしまったとしたら・・・。』
    裏表紙のこんな内容説明に惹かれて読もうと思った本。
    ジャンルとしてはSF小説となります。
    SF小説を読んだのはホント久々だし、海外の小説も苦手なので、個人的にはちょっと入りにくい所のある小説でした。

    あらすじは裏表紙の説明にあったように、
    発明家の男性が恋人と仕事仲間に裏切られ、職を失い、恋人を失い、発明も取りあげられる。
    その事を知り、自分を裏切った恋人と仕事仲間に抗議に行った彼は打たれると相手の言う事を何でも聞いてしまうという薬を注射され、冷凍睡眠する事となる。
    30年間の冷凍睡眠の後、目覚めた彼はその時代を気に入り適応する。
    だがその時の彼は財産を無くしていた上に、気がかりな事があった。
    それは飼い猫の行方と株券を預けていた女性の行方。
    やがてタイムマシンの存在を知った彼は過去へ時間旅行する。
    という話。

    これを読んでいて思ったのは、時間旅行をして未来や過去に行くなら若い時に限る、という事です。
    主人公の男性は30代ですが、何もかも無くしたと知っても力強く前を向いて歩こうとしている。
    その姿を見て、これが年々守りに入っていく年代になっていたらかなり厳しいだろう・・・と思いました。
    何もかもなくても立て直せると思えるのはやはり若さのなせるワザだな~と・・・妙な所に感心しました。
    この本を読んでこんな事を思うのは私くらいかな・・・。

    あまりなじみのないジャンルの本だったせいか、どうも後半は話の進行がまだるっこしく感じられました。
    大体のあらすじをもう知っていたからかな。

  • 恋人に裏切られ会社も失ってしまった発明家が体験した時間移動を描くSF小説。

    前半の発明品の話や主人公がいろいろなものを失うまでの話は、面白いものの思ったよりも事細かく書かれていたので、少し読むのに疲れてしまいました。

    しかし登場人物たちが魅力的で、主人公を助けてくれる脇役はもちろん、悪役のどこかぬけている感じやまた作中のユーモアも笑えました。

    ある一場面から話の流れは読めてしまったものの、それでもやはり伏線の回収は鮮やか!名作はやはり先が読めても面白いものなんですね。

    1950年代の時点で著者が2001年の世界をどのように想像していたかも分かりその点も興味深いです。

    猫のピートの見せ場は思ったよりも少なかったものも、それでもピートの男前っぷりやかわいらしさには一読の価値ありです。

    ピートが主人公に扉を開けさせるのは夏へとつながる扉を探すためだ、という出だしはとてもロマンチックでした。

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