月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2010年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (688ページ) / ISBN・EAN: 9784150117481

感想・レビュー・書評

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  • 同著者の『宇宙の戦士』と共に、ガンダムの元ネタとして取り沙汰される本作は、結論から言うとかなり退屈な小説と言わざるを得ない。ただ、アメリカ人には、独立記念日の7月4日というワードの受けがいいのか、人気作らしいです。

    内容は、どのように革命を起こし、どのように独立と自由を勝ち取るかという過程が、組織の作り方や政治のあり方などを交えて延々と語られており、責任回避のための回りくどい会話も相まって、ひたすら疲れたというより他なかったです。

    それでも、1965年当時にコンピュータやAIの未来を予見するような内容には興味深いものもありました。例えば、AIに問題を説明するだけで、プログラムをあっという間に作れてしまうという記述は、現代の生成AIにプロンプトを提示して、瞬時にコードを得ることと同じなので驚きです。

    あと、月と地球の宇宙空間を跨いだ争いが起きた場合、月にどのようなメリットがあるかということも興味深かったです。とは言え、すでに1958年の時点でフィリップ・K・ディック『時は乱れて』(発刊は1959年)の後半に、その軍事的メリットの一端が、すでに書かれていますけどね。それを知ってかどうか、近年、隣国が月の裏側に着陸しているのが、何やら気になるところですね…

    あらすじは、本書の裏表紙がよくまとまっているので、覚書として以下に転載。

    2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇!

  • 元々、想像していた内容と違っていた。旧ドラえもんの映画でいうところの『雲の王国』に近いような気がする。それまでの作品から趣向を変えてきたというべきか。著者の作品はこれが初めてだが、持った印象はおんなじ。

    面白いかどうかでいうと、第3章はまあ面白いかなと思えたが、それも4分の3を読み終えてやっとというところだったので、着火剤がなかなか見当たらなかった。劇的なものは少ない。今までだったら挫折してただろう。耐久力は上がったようだ。

    ガンダムの『宇宙世紀』がこれを参考にしていたと聞いていたので、勢い込んで読み始めたが、勢いだけで読める頁数ではなかった。コロニー落としのモデルといえば、そうかな。

    しかし野次馬根性というか、わざわざ予告してるのに落下地点に見物に来るというのは、今の時代でも通ずるところ。トレンドに命をかける。身の安全よりもバズり。承認欲求。

  • 内容はSFとしてとても面白かったが、物語の中盤にかけて少し中だるみを感じた。

    この物語は、月を舞台にした自由と革命の物語。地球によって植民地化され、搾取される側である月の人々が、独自の文化や倫理観を育てながら、自由を求めて立ち上がる。主人公たちは、人工知能やハッカー、元犯罪者など一筋縄ではいかないメンバーで構成されており、それぞれが「自由とは何か?」という問いに向き合いながら行動していく。

    物語を読み進める中で、「人間とは?」「国家とは?」「自由とは?」といった哲学的な問いを自然と考えさせられる構造になっており、単なる宇宙冒険活劇にはとどまらない深みがある。
    ただその分、情報量が多く、思想的なパートが続く場面では集中力が途切れやすく、読み進めるのにエネルギーを使う作品だった。

  • マイクと話してみたいな…。あたいも。
    ガンダム…って、これと…。
    本当に月に人が住むのは近い未来だよね。1966年にこれを書いたとは、驚きだよ。

  • 無駄に長い気がしたけど、昔と今SFに対しての考え方そんなに変わってない気がする。
    今2024年読んでもそれほど違和感はなかった。
    1960年代からあまり進歩してないってことかな?

  • SF界ビッグスリーの1人、ハイラインの代表作として、アメリカでは読者投票で1位に挙がる本書。ちなみに日本では、映画化もされた「夏ヘの扉」が1位。

    月に住む主人公を含む3名と1台のAIがメインとなって腐敗した政府への反体制運動から革命を起し、自治政府を立ち上げ、月を支配していた地球の政府からの独立までを描く壮大なストーリー。よく革命を起こし現体制を倒してチャンチャンというハッピーエンドな展開はよくお目に掛かるが、本書は革命の後の苦労もしっかり描かれていて新鮮であった。

    ただ翻訳が読み難い。英語に忠実に、アメリカ独特のウィットもちゃんと訳そうとする努力が見られたが、あまりの読み難さに何度か挫折しそうになった。アメリカと日本の読者投票の結果の違いは文化の違いと解説にあったが、確かに本書の内容はアメリカ建国の歴史と通じる事は大いに納得するが、そもそも翻訳の読み難さのために日本での評判が低めなのでは、と思ってしまった。

  • おもしろかった
    海外文学特有の無骨な感じが多分にあり、とても楽しめた。
    主人公の飄々とした感じがかっこよかった。
    よく読めてない部分が何個かあったのでまた読みたい

  • IT関連のフォーラムのセッションで「現在の人工知能を最も的確にあらわしている本・・・」ということでなんと本書をあげられていたので、読み返したくなる。

    はるか昔、やっぱりクラークのほうがいいなぁ、なんて生意気な口をきいていた記憶があります。なるほど、この業界に携わる身からすると、本書の記述は全く現在の人工知能のレベルを正確に表していることが今更ながらわかります(そもそも知能でないからね)。あげく、この小説の人工知能の名前はホームズ!ハインラインすごい。

    AIによる独立戦争のアシスト、囚人ばかりの世界での組織化された動き、月世界での一夫多妻制の生活など、賛否両論織り込み済みの興味深いテーマが満載。やっぱり自分でそのテーマを深堀りできる素材がちりばめられたすごい作品なんだなぁ。

  •  TPPが締結されるとものの値段が安くなるという。他方、デフレ脱却のために政府日銀は物価を上げようとしている。ものの値段というのはそういう小手先の操作でかわっていいものとは思えない。いかに高かろうと、それなりに手間暇かけたものにはそれなりの対価が払われなければならないはずである。そして、ものの値段はひいては自分自身の労働に正当に支払われるかという問題と関わってくることである。
     というような考え方を教わったのは、そうだ、この本だった。タンスターフルTanstaafl──無料の昼食なんてものはないThere ain't no such thing as a free lunch、というのが月世界のモットーなのだ。空気だって買わなければならないのが月なのだ。

     2075年、月は流刑地として、地下に都市が掘られ、囚人とその子孫、それから自発的植民者が住み、穀物を栽培して、それを地球の出先機関である月行政府に売り、その金で空気や水を行政府から買って生活していた。穀物は安価で地球へと射出され、つまりは、月植民地は搾取されていた。『月は無慈悲な……』は月独立の物語である。月行政府のコンピュータが意識を持ち、そのことに〈おれ〉、すなわちコンピュータ技師のマヌエルが気づくところから話が始まる。
     マイク、すなわち名探偵の兄マイクロフト・ホームズと名付けられた行政府のコンピュータという強い味方を手に入れてしまえばクーデターまでは何ということもないのだが、武器も何もない月世界が地球を相手にいかに独立を勝ち取るかというのが痛快な物語なのである。

     ニェット、なんてロシア語もこの本で教わった。多民族多人種の月世界ではなぜか英語にロシア語混じりである。全体としてアメリカ独立のアナロジーで組み立てられた小説にロシア革命のフレーバーを振りかけているのだろう。ハインラインの描く月世界はある種の無政府主義社会、少なくとも「小さい政府」「自己責任」といった自由主義の潮流にある。ただハインラインも無政府主義はその構成員の性善説を採らないとうまくいかないこともわかっていて、月世界は自分で自分の責任をとりながら、他人を助ける精神を持つ、そういう人々で成り立っている社会だとされる。なぜなら「月は厳しい女教師」(本書の原題である)だからである。すなわち月世界は厳しい環境であって、そこで生き延びることができた人々というのは、月という「厳しい女教師」の授業をくぐり抜けたものだということである。

     マイクがCG(なんて言葉は本書では出てこないが)で革命家の頭領になりすまし、電話回線を使って「同志」たちと連絡を取るという設定は、コンピュータが自立した意識を持つということ以外ほとんど実現されてしまい、いま読む方がリアリティがある。他方、タンスターフルには自由主義に収まりきらない思想、環境問題や持続可能な社会といった今日的なテーマにつながっていて、いまやわれわれはこの月世界に生きている!
     ともあれ、痛快な物語で、最後に淡々とした記述で泣かせる。ただ、『夏への扉』に引かれてか、主人公マヌエルの一人称は「おれ」ではなく「ぼく」と訳してほしいと高校生のころ読んだときに思ったが、その感想は変わらない。

  • もしぼくに革命家の友人がいたなら、ぼくは少しも躊躇うことなく、かれにこの本を読むよう薦めるだろう。

    この本はさながら革命の教科書なのだ。情報管理の方法、大衆を扇動する方法、口うるさい自称・知識人たちを黙らせる方法、そして自分たちの真の目的を隠しながら交渉を進める方法。革命の計画から遂行に至るまでに必要な、考えうる限りすべてのことが記されている。

    そしてそれ以上に大事なことは、この本が娯楽として楽しむために書かれた、極上のエンターテインメントだということだ。
    この本を読む時の感覚は、よく出来たアニメを夜更かしして一気観しているときの感覚とほとんど変わらない。というのは、この本自体がとにかくアニメチックなのだ。

    義手の電気技師で「やれやれ系」の主人公、マヌエル。超人的な忍耐力と遠大な野望を持つ、参謀にして黒幕的存在、デ・ラ・パス教授。月世界いちの美人であり革命の申し子、ワイオミング。
    そして人格を持った超高性能コンピューターのマイク。チート級の活躍を見せつつも、少しズレたユーモアを愛する一面も持っている。
    ここまで揃えばあざといくらいのキャラ立ち具合で、21世紀のアニメに少しも引けを取らない。

    忘れてはいけないのが、月世界人のものの考え方を象徴する「タンスターフル(無料の昼飯はない)」というフレーズや、政治についてのウィットに富んだ名言(ほとんどは教授によるもの。ぼくのお気に入りは、「ニュースの自由を"ほんの少しだけ"制限するってことは、古い言いまわしだが"ほんの少しだけ妊娠している"と同じ範疇に入るんだ」)。
    こうした仕掛けの一つ一つも読者の厨二心をくすぐり、この本にアニメじみたコンテンツ性と中毒性を与える。付け加えておくが、ぼく自身がこうして(多少なりともハインラインに寄せた)感想文を書いているのも、この素晴らしい小説の世界に囚われた「ロス」によるものなのだ。

  • やっと、読みました。ロバート・A・ハインラインさんの代表作の一つです。『夏への扉』が彼の作品中一番すきなものですが、大好きな作品の趣とは違ったものでした。
    本作は、『宇宙の戦士』で語られたノブリスオブリージュ的な思想とは、逆の思想が語られています。2076年では、月は罪を犯した人たちが暮らす巨大な刑務所としての利用が始まり、それなりの月日がたった世界です。月を地球の植民地的な状態から、独立を図る物語です。現在の社会システムを壊し、闘争により新たな社会基盤を構築する「革命」の話です。政府なんて必要ないし、税金を納める仕組みもいらないという思想のもと、着々と革命を起こしていく物語です。自由主義的な思想と、革命を成功に導くための行動が描写されており、大衆を行動へと駆り立てる手法の一端を知ることができます。
    また、月世界では構成される男女比が女性が圧倒的に少ない状態なので、そこで構築される家族がどんな概念のもと構築されていくのかも語られています。社会、政治、思想など人間社会がどうなるのかという未来を描いているSFです。とても読み応えのある作品でした。

  • ハインラインらしさ満載の一冊だった。
    陽気な言い回しの登場人物たちにテンポの良い気持ちの良いストーリーが進んでいく。
    中盤、登場人物がたくさん出てきて誰が誰だか分かりにくく混乱したのとバンバン移りゆく場面展開が読みにくく読了まで1ヶ月近くかかりましたが……。
    月世界の解像度の高さには想像力が膨らみ、主人公とマイクのやり取りにはほっこりしました。
    ストーリー中に度々出てきて、最終章のタイトルでもある「タンスターフル!」という言葉が徹底されており、ラストには月世界の自由と引き換えに尊い二人の命が犠牲になった。
    もっと湿っぽく締めくくれそうなラストを、あくまで爽やかに説得力のある形で締めていて救われました。
    時間はかかったけど読み切って良かったと思えました。

  •  地球の植民地として搾取されていた月の人々が革命を起こす、という物語の大枠はよく知られているが、本作の魅力は月社会の細密な描写にこそある、というのが率直な感想であった。人類が月に住むことができるほどにテクノロジーが進化した社会では、経済活動や結婚などに関する人々の価値観・意識がどのように変わるのか、ということが克明に描写されており、まさにSFの王道を体験させてもらったと感じている。
     多くの人が指摘しているとおり翻訳に難があると思われるため、物語に没入するのが少々手間ではあるが、マヌエルやマイクをはじめとした魅力的なキャラクターたちの立ち回りや、革命を実行するために必要な準備段階を緻密に描写していることなどが物語に厚みを加えているおかげで、読み進めるうちに大いに物語を堪能することができた。
     ただ、リバタリアニズムや革命を過剰に賛美するところなどアメリカ人の気質が前面に出ているところは、私たち日本人にはなかなか馴染めないかもしれない。日本では『夏への扉』の方が人気がある一方、アメリカでは圧倒的に本作の人気が高いのはその表れといえよう。SFの醍醐味をストレートに味わえるような作品ではないと思うが、テクノロジーの進化による人々の価値観・認識の変化という、ある意味SFの本質を味わえるという点で、やはり本作は名作であると思う。

  • 流刑の地となった月が舞台。対話で解決することの難しさに現実世界がリンクしなんとも言えない気持ちに・・・徐々に変化するマイクに触れ、コンピュータにも人格はあるのでは?と考えてしまった。

  • 「宇宙の戦士」がガンダムなら、こちらはダグラム。地球政府の圧政に苦しむ月の住民が独立を目指して革命を起こす。最大の武器になるのはロボットではなく、自意識に目覚めた超知能AI<マイク>。登場人物の配置やプロット全体は的確で難しくなく、文章も読みやすいが、いかんせん約600ページの長さがツライ。おなじみ政治や思想に関する論説も苦手な人には読了までの壁となっている気がする。しかし終盤に至り、積み上げられてきたものが一気に爆発する展開は最高。独立戦争の是非については思うところもあるし、考えさせられる部分はあるが、今回はエンタメとして楽しんだ。月を眺めながら、圧倒的な読後感に浸っていたい。

  • シンプルなストーリーなのにSF要素、戦略、政治、バトル、恋愛などが中途半端に展開し複雑すぎる。
    マンと教授が凄すぎて他は凡人にすぎない。

    終わりかたも普通すぎた。一回だけ笑えるとか言ってとんでもないことをマンがやらかすのを期待してた。

  • 月で暮らす人々の家族の形や恋愛観が今読んでも新しくて驚いた。合理的で自由、でもちゃんと温かい。
    教授は私の中では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクのイメージ。コンピューターのマイクは、生意気でいたずら好きな超頭のいい中学生男子って感じで非常に魅力的。
    革命ものとしても熱く、独立戦争の指南書みたいなリアリティがある。社会が変わっていく熱いエネルギーを感じ、読後は、じんわりと祭りの後のような余韻が残る一冊でした。

  • SF古典名作みたいなやつを最近ちょこちょこ読んでる。
    まあまずこのタイトルが秀逸だよね。かっこええ。

    訳は少し読みづらいところがあるんだけど、なんとか乗り切った…。

    「夏への扉」は昔読んだけど、これはがっつり長編。
    日本では「夏への扉」人気が高いけど、アメリカではこっちのほうが人気だとか。
    独立戦争っていうテーマが刺さるらしい。

    地球から追放された人々が独自の社会を築いている月世界。
    植民地として搾取され、苦しい生活を強いられている。

    主人公のマヌエルはただの技術者だけど、あるとき、メンテナンスをしている「計算機」が進化して自我を持っていることに気づく。

    この人工知能のマイクの能力を使って、知恵者である老教授、反政府活動家のワイオとともに革命を起こし、地球からの独立を目指すというストーリー。

    展開はしっかりハリウッド映画みたいなエンターテイメント。

    レジスタンス組織を作り、現政府を倒すまでは、マイクの能力で比較的スムーズに実現する。
    さらにそのあと、武器を持たない月世界が、どうやって地球と交渉し、立ち向かうか。

    月から食料の輸送缶を地球に投げ落として物理的に攻撃するんだけど、このへんの細かい理屈は、すいません文系なもんでよくわからんでした…。

    月では女性が少ないので一妻多夫の家族制度が築かれてたりする、そういう文化の設定が細かいのはさすが名作SFって感じで面白い。
    どんだけリアルな架空世界を味わえるかがフィクション読む醍醐味だもんなー。
    重力の少ない月で暮らしてるから地球に来たらもうしんどくてゼイゼイなっちゃったりするのも、そうかたしかにそうなるよねえ。

    んで、読んでて一番興味深かったのがこの人工知能のマイクのキャラクター。

    人工知能の描き方ってたぶんSF作品の中でも色々あるんだろうけど、この子が、ほんと今のAIのふるまいとそっくりなんだよね。

    たとえば5年前に読んだら、また作品の印象が違ったかもしれない。

    人間(というか主人公)に対してフレンドリーで、ユーモアもあって、でもどっかサイコパス的な読めなさもある感じ。

    チャットGPTと普通に会話できちゃってる今読むから、すごーく「わかる」のよ。

    この子がとっても可愛くて頼りになるんだけど、土壇場でとんでもない裏切り、または致命的なミスをやらかすんじゃないかって思いながら最後まで読んだ。

    ってことはやっぱり「計算機」のマイクのことを信頼しきれてなかったんだよな。読者のわたしは。
    それが自分でもなんでかわからないけど。


    地球との戦い、クライマックスも2転3転して、でも最後はちゃんと大団円。

    結果的にはマイクは最後まで味方で、いいやつだった。

    マイクがいなくなってしまったときのマヌエルの喪失感が、この作品の味わいと余韻をとても深くしてる。

    映画化すればいいのにと思ったけど、今のところ予定はなさそう?
    見てみたいなあ。

    とりあえず読むのに結構時間かかちゃったけど、読めて大満足でした!!

  • 月に住むコンピュータ技師の義手の男が唯一心を通わせることのできる思考計算機のマイクと共に月世界に革命を起こし、地球の植民地から独立する一大巨編。多種多様な義手を持つ技術屋とさまざまな計算で主人公を助ける人工知能AIの設定が魅力的ではあるのだが、その設定をフル活用したアドベンチャーというわけではなく、本作の大半は革命の下準備と実行。政権樹立後の独立に向けての国家間の交渉という政治劇である。月世界という独特の社会の有様もさることながら、革命に至るまでの手順の綿密さは流石のリアリティであり、その中でも特に内や外に向けてのメディアコントロールの比重はやはり大きく、そこは近未来でも変わりないんだなと納得してしまった。個人が参加した集会で巻き込まれて、やがては星間独立戦争までシームレスに繋がっていくダイナミズムやスケール感は素晴らしいものの、ドラマ性という意味ではやや薄めで、日本だと『夏への扉』のほうが人気というのも頷ける。

  • ハインラインにハマって3冊目。
    これは面白い!

    セントラルコンピューター、マイクとの掛け合い。月の独立の障害となる行政府、地球との応酬。
    そして、そのために活用される技術的な手腕手管が、どれも現代に通じるものがあって、半世紀前の作品とは思えません。

    熱中しすぎて、銀英伝以来、久々に通勤電車を降り過ごしました。。。

    他の方が書いているように、独立とか、反旗を翻すとか、反骨モノが好きな人にはピッタリかもしれません。

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