トータル・リコール (ディック短篇傑作選)

制作 : 大森 望  大森望  浅倉久志  深町眞理子 
  • 早川書房 (2012年7月5日発売)
4.04
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  • 本棚登録 :403
  • レビュー :36
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150118631

トータル・リコール (ディック短篇傑作選)の感想・レビュー・書評

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  • 映画化された「トータルリコール」、「マイノリティー・リポート」含む10篇の傑作短編集。

    ディックの映画化されたものは「ブレードランナー」を除いてつまらないので、この短編集も期待しないで読み始めたのですが・・・

    やるではないですか!ディックにサイエンスは期待しませんが、人間(自分)は何をもってして人間(自分)と呼べるのか?という観点でいろいろな要素に分解して執拗に描くことにかけてはディックは最高です。これは、確かに精神を病んでしまうでしょう。

    3.11後の現在に読んでも古びた感じがしないばかりか、今読むからこそ実感できる作品があるということはすごいことです。

  • 短いから内容が薄いというのは嘘だと思える作品群。短いのに凄い。

  • フィリップ・K・ディックのSF短編集。ディックは初めてだったが、生協で「トータル・リコール」を立ち読みしてハマったので買ったのがたぶん一年前くらい。やっと読んだ。

    SFはあまり読んだことがないけど、この「そうくるか」というか、思わずニヤッとさせられてしまうラストはたまらなく好き。面白かった。

    次は(ディックの作品では)やっぱり「アンドロイドは〜」か、もしくはこれと同じく生協で気になった「時は乱れて」「ヴァリス」を読みたい。短編もいいかも。

  • ■トータルリコール
    「自分の記憶は本物なのか」誰もが一度は考えたことがあるようなことが設定となっている話。
    何が本物で偽物か?フィリップ・K・ディック作品に通ずるテーマが本書にも埋め込まれています。

    ■出口はどこかへの入り口
    自分の夢を、正しいことをせず、ただ権力に従う。その結果としての評価が「いい人」である。
    「いい人」という評価は誰の視点からかのものか、それが内包する意味は?
    この評価はむしろ「くそったれ!」なものではないかと考えさせるお話

    ■地球防衛軍
    設定としては米ソによる世界戦争という、作品の書かれた当時の冷戦の影響を強く受けている。
    人類は永遠と戦争を続けるがそれは人類が一つになる過程で必要であったものであると語られる。
    人類が人類自身では戦争を終わらせられないであろう諦めと、全人類が一つになったときに何を成しえるかという希望の両方を感じさせる。

    ■訪問者
    核戦争後の世界を描く話。もはや”人間”にとっては故郷は帰る場所ではなく訪れる場所となる。
    なんとなく切なくなるラスト。

    ■世界をわが手に
    孤独な世界は諦めと狂気を育むだけか。
    この世界も誰かの娯楽のために作られただけなのでは?

    ■ミスター・スペースシップ
    機械の体に人間の精神。ありがちな話ではありますが、面白い。

    ■非O
    この作品は正直理解できなかった。特に非Oの存在と設定が。
    論理的であるということが正しいことではないといういうことか。

    ■フード・メーカー
    他人に思考を読まれる息苦しさを感じる。
    インターネットの検索内容や個人を特定できない情報としてでも思考を読まれるというのはいい気分じゃないよね。
    そして情報が集まるところに権力が形成される。
    秘密とは弱さであり、武器である。

    ■吊るされたよそ者
    始まりには終わっていて、終わりにまた始まる。

    ■マイノリティ・リポート
    抽象化されされ生み出された「多数」という結果は真実を表しているのか。
    神は細部に宿る。

  • 2017/2/28購入

  • 映画化されたトータルリコール、マイノリティレポートを含む短編集。名作と言われているのは聞いていたが、読むのは初めて。面白い。時代背景からか、核戦争に絡んだ話が多いのも興味深い。
    子供の頃、SFはよく読んだが、ここしばらくはご無沙汰。人生後半にたくさんの楽しみが残されている感じがして嬉しいかも。

  • 全体的に読みやすい。翻訳がこなれているからだろう。古い作品なのだがどれも古さを感じさせない。元のアイデアが良いからだ。個人的に印象に残ったのは、「出口はどこかへの入口」「地球防衛軍」「訪問者」「世界をわが手に」の4作品。人の良心を試されているかのようなもの作品が多い。

    以下、個別作品の感想。

    ◎トータル・リコール
    同名の映画の原作。主に映画の前半部分が本編である。この作品では記憶を取り戻した後のストーリーが異なる。淡々とした感じではあるが、しっかりとしていて面白い。昔のSFだなと感じるのは、記憶媒体にテープを使っていること。火星に人類が行ける時代になれば、テープは一般的な記憶媒体ではなくなってると思う。

    ◎出口はどこかへの入口
    素直に楽しめた。サイバーパンクではないブレードランナー(『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』ではない)の世界観に近いかもしれない。人を試す展開がたまらない。

    ◎地球防衛軍
    読み始めて戦争の目的に疑問を持った。戦争によって地表が放射能で汚染され、人類は地下で生活するようになり、戦争は完全にロボット兵士が続行するようになった。ある日、地表から放射能汚染されていないロボットが見つかった。それをきっかけに人類が動く。地球を守ったのは誰だろうか、地球を破壊しようとしたのは誰なのか、考えさせる作品だ。

    ◎訪問者
    人間は地球を破壊しなければ気がすまないのかと思わせる作品だ。ただ破壊しても生き物はしぶとく生き残る。それがかつて人類と呼ばれていた種だとしても。また破壊しても新天地を求める行動を人類はするだろう。フロンティアを求める行動と言えば聞こえはいいが、新たに破壊するものを探しているだけかもしれない。懲りないなあ、人類は。

    ◎世界をわが手に
    多元宇宙論が元ネタだと思われる。人々が盆栽を育てるように宇宙を育てる機械を持っている世界。人々はまるで神のように宇宙を育て、破壊する。やはり天罰がくだるよね。

    ◎ミスター・スペースシップ
    膠着状態になっている戦争を打開するために人間の脳をコンピュータ代わりに宇宙船に載せるプロジェクトが実行された。ネタバレになってしまうが、ノアの方舟のような話だ。いい話だと思う。

    ◎非(ナル)0
    すべてのモノ(オブジェクト)を破壊することが論理的だというのはあまり理解できなかった。非0はストートレックのバルカン人と似たような考えを持つ人々だと自分は考えたが、バルカンがすべてを破壊する行動に出るとは思えないので、あくまでも作者の思考実験と思うことにした。

    ◎フード・メーカー
    先の展開ができるようにしたある程度見えてしまったので、特筆するのものはない。

    ◎吊るされたよそ者
    電車の車内で気持ち悪そうにしている人などに手を差し出した方がいいかなと思うときがあるが、何もしないで通りすぎることがある。この話を読んで、もしかするとエイリアンに試されているのかも知れないと考えたら何もしないのが正解となる。冷たい世の中というが、もしかしたら我々はすでにエイリアンの支配下にあるのかもしれない。

    ◎マイノリティ・リポート
    未来予知ができるようになり、犯罪者を事を起こす前に逮捕できるようになった。一見、素晴らしいように思えるが、使いようによっては人を陥れることもできる。アイデアとして面白く、ストーリー展開もテンポがいいので読みやすい。まあ、未来予知ができなくても、今の政治家は政敵を嵌めるために何でも工作するからなあ。現代の方がよっぽどマイノリティ・レポートを必要としているのかもしれない。

  • 1990年のほうのトータル・リコールと、マイノリティー・リポートは映画を先に観ていたので比較しながらとなった。全編面白かった。マイノリティー・リポートが特に面白かったかな、予言に振り回される主人公、そして結末も意外だった。

  •  侘びしさとやるせなさと、争いか何かに対する強い憎しみとほんの少しの希望に見えるなにかを織り交ぜたような短編が詰まっていたなーという印象。
     一つ一つのお話から受け取れるメッセージが多くて、とても充実した一冊だったと思う。翻訳もとても綺麗で読んでいて心地よかった。
     侘びしくてSFらしい理不尽さもあるのに、なんとなく主人公がいつも少し高いところにいるのがディックの作風なのかなーとぼんやり思った。いつも何か主人公である以上に特別さを持っているような気がする。その辺が作品として親しみやすく感じる。好き。

    「出口はどこかへの入り口」「訪問者」「マイノリティ・リポート」が好き。
    「ミスター・スペースシップ」は話と言うより教授が好き。

  • 短編10編収録。短い文の賞の中で、死の灰に侵された世界や、行動をコントロールされていたりと、技術が進んでいるはずなのに、執筆当時よりも生きにくい世界を構築しているところが面白い。オチも深く悩むものからツッコミどころの多いものまで、よりどりみどり。

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