エンダーのゲーム〔新訳版〕(下) (ハヤカワ文庫 SF カ 1-25)
- 早川書房 (2013年11月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119287
感想・レビュー・書評
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SF小説の必読本として名高い本書。下巻では、上巻以上の物語の広がりを見せ、どんでん返しで結末を迎える。
上巻ではエンダーは1人の戦士として成長していき、それが物語の主眼だったように思う。 しかし下巻では、エンダーは指揮官となりチームメイトを教育する立場に立つ。
ビーンと言う小柄な新米戦士に対して、エンダーはかつての自分を見いだす。彼を追い詰めるような態度を取ったりするが、最終的には大きな信頼関係を持っていたのが熱かった。
それからいちど地球に戻ってすべてのモチベーションを失ってしまうが、 世界政府のお膳立てによってバレンタインが再度登場し、エンダーに戦うように鼓舞する。なんというか、とても王道のストーリー展開。
それからエンダーは、正式に宇宙艦隊に入隊する。 上巻まででは、ひょっとしたら宇宙戦争やバガーが作り話だった…という展開も予想できたけれど、あくまで王道。バガーを追い詰め、殲滅するというストーリーは継続する。
前回の宇宙戦争で活躍したメイザー・ラッカムが満を持して登場。彼がエンダーの師匠となって手ほどきを行う様も、これまた王道。
そしてエンダーのゲームは結末を迎える。壮大な物語を期待していただけに、少しあっさりと終わった感じもあるが、見事に騙されてしまった。なるほど、エンダーのゲームとは、エンダーにとってゲームだったと言うことなのだと理解した。
面白かった。SFの必読書として数えられるだけの事はある。ただ、三体が出版されてしまったいま、少し霞んでしまう感はどうしてもある。 それでもSF小説を読んでみたい読者にとっては、充分お勧めできる本だと思える。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/05/05/%E3%80%90%E8%A6%8B%E4%BA%8B%E3%81%AB%E7%B5%90%E6%9C%AB%E3%81%AB%E9%A8%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%91%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0_-_%E3%82%AA詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
田中一江による新訳版『エンダーのゲーム(下) 』
指揮するものの孤独。
そして、戦いの意味と無意味さが表現されたSF。
エヴァンゲリオンの原点とされるこの作品、単純なドンパチではなくて、少年エンダーの心理が見事に描かれていた!
このエンダーのゲームには、事後の物語とかスピンアウト的な物語も在るようなので、ちょっとハマってしまいそう!
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【内容(「BOOK」データベースより)】
三年にわたる苛酷な訓練で、つねに戦績表のトップを守り続けてきたエンダーは、バトル・スクールはじまって以来の最年少で竜隊の指揮官となった。だが、集合した隊員をみて愕然とした。ラーンチイ・グループから直行してきた戦闘未経験者がほとんどで、数少ない古参兵もエンダーより年下の者ばかりだったのだ!厳しい戦いの訓練をくぐり抜け、やがて人類の運命を握る存在へと成長していくエンダーの活躍を描いた傑作。
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アメリカの作家「オースン・スコット・カード」の長篇SF作品『エンダーのゲーム〈上〉〈下〉(原題:Ender's Game)』を読みました。
ここのところ、SF作品が続いています。
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〈上〉
2014年、正月第二弾全国ロードショー
地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。
容赦なく人々を殺戮し、地球人の呼びかけにまったく答えようとしない昆虫型異星人バガー。
その第三次攻撃に備え、優秀な艦隊指揮官を育成すべく、バトル・スクールは設立された。
そこで、コンピュータ・ゲームから無重力訓練エリアでの模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最高の成績をおさめた天才少年「エンダー」の成長を描いた、ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞作!
〈下〉
三年にわたる苛酷な訓練で、つねに戦績表のトップを守り続けてきた「エンダー」は、バトル・スクールはじまって以来の最年少で竜隊の指揮官となった。
だが、集合した隊員をみて愕然とした。
ラーンチイ・グループから直行してきた戦闘未経験者がほとんどで、数少ない古参兵も「エンダー」より年下の者ばかりだったのだ!
厳しい戦いの訓練をくぐり抜け、やがて人類の運命を握る存在へと成長していく「エンダー」の活躍を描いた傑作。
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1977年(昭和52年)に短篇版が発表された後、1985年(昭和60年)に長篇化されて出版されたエンダーシリーズ (Ender Wiggins Saga) の第1作… 1985年(昭和60年)にネビュラ賞、1986年(昭和61年)にヒューゴー賞を受賞した作品で、2013年(平成25年)には「ギャヴィン・フッド監督」により映画化されているらしいです。
■1 サード
■2 ピーター
■3 グラッフ
■4 発進
■5 ゲーム
■6 巨人の飲み物
■7 火蜥蜴(サラマンダー)
■8 鼠(ラット)
■9 ロックとデモステネス
■10 ドラゴン
■11 来た、見た、勝った(ヴェニ・ヴィディ・ヴィチ)
■12 ボンソー
■13 ヴァレンタイン
■14 エンダーの師
■15 死者の代弁者
■解説 堺三保
時は未来… 人類は、異星人バガーの二度にわたる太陽系への侵攻を退けた、、、
そして三度目の侵略に備えるため、地球の衛星軌道上にバトル・スクールと呼ばれる施設を設置し、「戦いを終わらせるもの」を養成することに決定した… その頃、地球では人口抑制政策により、一家族で2子までしか子供をもうけられなくなっていたが、長男「ピーター」と長女「ヴァレンタイン」の優秀さから、「ウィッギン家」には特別に3人目の出産が許された。
その3人目こそ、運命の子「アンドルー(エンダー)・ウィッギン」だった… 天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補としてわずか6歳でバトル・スクールに編入させられた「エンダー」は、世界中から集められた優秀な子供たちの中でも桁違いの成績を残し、成長していく、、、
時を同じくして、「ピーター」と「ヴァレンタイン」もネットを利用して、地球上で勢力を広げていた……。
天才少年「エンダー」の成長を描いた物語… 徐々に難易度の上がるゲーム形式の訓練(コンピュータ・ゲームから無重力訓練エリアでの模擬戦闘)を経て指揮官となり、その後も過酷な訓練が続くが、その訓練が実は、、、
少年にゲームの達人に仕立て上げ、ゲームをやっていると思わせて実際には… 大人に利用されてしまったんですねー
バーチャルな空間での戦闘や、インターネット上での情報発信による世論誘導等、この時代に予見できていたのは凄い先見の明だと思いますね… そして、異生物とのファーストコンタクトものとしても興味深かったです、、、
終盤、「エンダー」がバガーの気持ちにシンクロしていく様が印象的でした… 意外と面白かったです。 -
最後の仕掛けに関しては他の作品のレビューで知ってしまっていたのであまりピンと来なかった。個人的には退屈で長ったらしいシーンが延々と続くのみで合わない作品だった。
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名作SFという事で読んだ。80年代の作品と読み終わってから知って驚いた。インターネット的なものが前提となっておりSFの世界観は進んでいたのだなあと思った。主人公がひたすら厳しい状況にあるので読んでてシンドイけど、面白く読めます。
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異星人バガーの侵攻に対抗できる="人類の救世主"となる指揮官を育て上げるための施設<バトル・スクール>で、過酷な訓練を受ける幼い少年エンダーの物語、下巻。
大人たちによって画策された過酷な環境下においても次々と結果を残していくエンダー。飛び級でコマンド・スクール(司令官訓練基地)への移籍を命じられ、"ゲーム"の過酷度は更に増していく。そして明かされる異星人バガーとの戦いの真相―――。
ヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞し、タイトルも有名な作品で期待していたのだが、個人的には琴線に触れる内容ではなかった。やはりエンダーが11歳という年齢設定で、主人公の視点で物語を追うには感情移入が難しかったか。また、舞台が養成施設で訓練描写が大半を占めるのだが、イマイチ盛り上がらず面白味に欠ける。これは、自分がテキストから上手く脳内映像を作り出すことができなかったことが大きそうなので、映画版を観てイメージを補間しよう・・・なんか評価低いけど。。。 -
昆虫型異星人バガーの第三次攻撃に備えて、優秀な艦隊指揮官にすべく過酷な訓練を課せられた少年・エンダーの苦悩と成長を描いたSF小説。
下巻は、人類の命運を握る存在であるエンダーの苦悩と成長、周囲の思惑と世界情勢の変化が描かれています。