第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 247
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119348

作品紹介・あらすじ

出生率の低下と痴呆化が進行した異形のニューヨークを下水ポンプ施設の職員の視点から描いたローカス賞受賞の表題作など、全10篇を収録した『ねじまき少女』著者の第一短篇集

感想・レビュー・書評

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  • これぞディストピア・オブ・ディストピアって感じ。「こんな未来は嫌だ」の大喜利のような暗い設定ばかり。絶対にこんな世界で生きたくはないが読み物としては好みだ。
    特に『イエローカードマン』の世界が一番暗くて嫌だったなー。
    『ポップ隊』の設定は映画化されそう。

    特に“科学技術による生命倫理への挑戦”みたいなテーマが好きな作家さんっぽい。
    人格をデータ化して小さなキューブに保存したり、楽器のように改造したり、遺伝子操作で不死身にしたり。
    環境破壊のせいで新たな格差社会が生じたり、人々が痴呆化したり。科学技術が部族間の争いに繋がったり。

    各短編の翻訳を中原尚哉さんと金子浩さんの2人が別々に担当されていて、なんとなくだけど、中原さんが翻訳したのは内省的な主人公の内面描写が多い作品で、金子さん翻訳の作品はそうでないものが多い気がした。
    どちらも甲乙つけ難く好きです。

    『カロリーマン』『イエローカードマン』と同じ世界観で描かれてるらしい『ねじまき少女』も是非読んでみたい。

  • 退廃的な短編が続きます。
    「ポップ隊」と「第六ポンプ」が特に好きでした。

    「賭けてみろ」

  • 世の中が文字も読めないバカばかりになってポンプのマニュアルも読めずに修理ができない世界で、唯一文字が読める天才の主人公の物語の表題作。現実をディフォルメすることで、現実の本質にピントが合うSF短篇ならではの面白さです。

  • 「ねじまき少女」世界の短編集。
    環境分野に携わる作者の描く、環境破壊の先にあるイヤ~な情景てんこ盛り。こんな未来は嫌だってのを堪能してしまいました。

  • 今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
    『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
    環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
    SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみたい。
    にしても作者のデビューは27才かぁ。いろいろ考えるなぁ

  • 短編集なので読みやすく、でも衝撃は大でした。
    特に表題作は「自分以外はみんな馬鹿!」と感じてイライラしているような人に読んでもらえたら面白いかも。
    この先世界はもっと悪くなるかもしれないけれどそれでも、と思える話ですごく良いです。
    他にも近未来の中国で食べる熱々の麻婆豆腐と山盛りの白ごはんのような食べ物がすごくおいしそう。
    (私今生きてる!)と実感でき、読み終わって目を上げた時に現実がそれまでよりも輝いて見える気がする本でした。

  • 第六ポンプ(ハヤカワ文庫SF)
    著作者:パオロ・バチガルピ
    発行者:早川書房
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    「SFの中の話」では済まされない。

  • 環境問題も下敷きにしたSF作品。「ねじまき少女」と同じ世界の作品も。

  • 失敗した猿の惑星とイディオクラシーのごった煮感。

  • SFマガジンで既読の短編がほとんどなんだけど、やっぱり好きな本は買いたいですね。暗い未来なのに読後感は悪くないんです。

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