混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)

  • 早川書房
3.83
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本棚登録 : 275
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119386

作品紹介・あらすじ

「まれびとこぞりて」「女王様でも」ほか、SF界の女王のユーモア系代表短篇5篇を収録

感想・レビュー・書評

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  • シリアスなコニー・ウィリス(「空襲警報」)とファニーなコニー・ウィリス(こちら)ならわたしは絶対ファニーなほう、ってことでこっちを読んだ。中短編集。
    短編苦手のわたしでもこのくらいの中編はいいな。

    「まれびとここぞりて」がとびぬけて好きだった! 
    異星人が地球にやってくるんだけど、ただ突っ立ってしかめっつらしてるだけで、世界中が手を尽くしてもコミュニケーションがとれなくて、なんでやってきたんだかわかんない、っていう話。で、どうもクリスマスキャロルに鍵があるらしい、って調べていくんだけど、それがおかしくて、結局コミュニケーションがとれるのか、なぜ来たのか謎が解けるのかが知りたくてまさにページをめくるのももどかしいって感じになった。そして、謎がわかったときは感動さえした! いい話だ。 
    異星人、しかめっつらなんだけど、想像するとなんかかわいくて、にやにやしながら読んだ。
    そしてコニー・ウィリスのロマコメ成分がここにも。これがいつもすごく好き。ほんとにキュートな話だった。

    「女王様でも」は再読なんだけどそもそもアイデアが秀逸というか。共感しまくりだし、笑えるし。なんの話か知らないではじめて読んだとき、この話かってわかるのが新鮮というか。
    ナチュラル派とか自然主義みたいの、日本でも流行ってるけど、考えてみると、どうなんだろうって思ったり。

    「混沌ホテル」はいつもの「なかなかたどりつけない」パターン。せわしない。でもハリウッドに行きたくなる。古い映画とかに詳しかったらもっと楽しめるのかも。

    チャネリングの嘘を暴こうとする話は元ネタがよくわからず、メンケンって実在した人?てなレベルだったせいか、なかなか読む進められず、しかも、ちゃんと読めてない自信がある(笑)。
    エミリー・ディキンソンの話も、すみません教養がなくてエミリー・ディキンソンよく知らないので、そんなに……。ところどころ、とくに注とか、笑えたりもしたのだけれど。
    この二つは、自分のついていけてなさぶりが悲しかった……。

  • 《目次》
    ・「混沌[カオス]ホテル」
    ・「女王様でも」
    ・「インサイダー疑惑」
    ・「魂はみずからの社会を選ぶ」
     ――侵略と撃退:エミリー・ディキンスンの詩二編の執筆年代考:ウェルズ的視点
    ・「まれびとこぞりて」

  • ネタの潤色の仕方が面白い。そして奥深い。単なる物真似や剽窃じゃなく、こういう作品がパロディだ。

  • コニー・ウィリスのくだけた方。
    『空襲警報』よりもこちらの方が好み。
    ラストの一編「まれびとこぞりて」のドタバタとSFの融合具合が自分が持っているコニー・ウィリスのイメージとどんぴしゃで楽しかった。

  • ウィリスはシリアスなお話よりラブコメのほうが好きなので(どの作品にも人の話を聞かない人たちが出てきますが、シリアスな話に出てこられると本気でイライラしてしまう)、この本をウィリス入門編として知り合いに布教していきたい。
    『まれびとこぞりて』は、『スパイス・ポグロム』に似てるラブコメ。あれが好きな人はぜひどうぞ。知性とユーモアがあって紳士的に、けれど積極的に口説いてくるチャーミングな男性を書かせたらピカイチですね。
    『女王様でも』と『インサイダー疑惑』は再録という形なので、従来からのウィリスファンは買うのをためらう方もいらっしゃるでしょうが、ウィリスによる前書きと解説だけでも読む価値あり。

  • 海外(アメリカ?)の一般知識があればより一層楽しめるのかな?

  • 目次
    ・混沌(カオス)ホテル
    ・女王様でも
    ・インサイダー疑惑
    ・魂はみずからの社会を選ぶ――侵略と撃退:エミリー・ディキンスンの詩二編の執筆年代再考:ウェルズ的視点
    ・まれびとこぞりて

    読んでたと思っていたのですが、本屋さんで見かけただけで、読んではいないことに図書館で気が付きました。
    これと「空襲警報」どっちも。
    でもね、わたしコニー・ウィリスは長編に限ると思っていたんですよ。
    だから読んでなかったのかなあ。

    『混沌ホテル』を読む。
    相変わらず人の話を聞かない人ばっかりの、すれ違い。
    予約したホテルに部屋はなく、国際量子物理学会の基調講演や分科会は一体どこでやっているのか。
    ホテルのフロントはあてにならない。
    そしてエントロピーは増大する。
    いかにもコニー・ウィリス的なドタバタで面白いのよ。
    でも、やっぱり長編を読みたいかな。

    『女王様でも』を読む。
    最初は何の話やらちんぷんかんぷんだったけど、あ、その話か、と気づいてからが面白い。
    母親がどんなに口うるさく言っても、子どもは「そんなの聞いてないよ」って、脱力。
    でも、短編小説って、私にとってはキレ味なのよね。
    説得力とはちょっと違う。

    『インサイダー疑惑』を読む。
    これが一番好き。
    オカルトというよりスピリチュアル。
    でも、ジャンルで言うとラブコメ?
    すっごく頭がいいのに懐疑主義的過ぎて鈍い主人公がおっかしいの。

    懐疑主義業界の基本法則が三つ。
    1.とてつもない主張にはとてつもない証拠が必要
    2.現実とは思えないほどすばらしいことは、多分現実ではない
    3.自問せよ、向こうはこれでどんな利益を得るか?

    この3原則で、いかがわしいスピリチュアルやチャネリングなどの欺瞞を暴く雑誌を出版している、主人公のロブ。
    社員はというと、とびきり美人で演技派の女優だったキルディ。
    おまけに彼女は大金持ちだ。
    ならなぜ彼女は、ロブの会社に雇われているのか。
    そして今、キルディはひとりのチャネラーの噓を暴くため、ロブを連れまわそうとしている。
    キルディの真意は?
    チャネラーの真実は?

    ドタバタなのに論理的で、真剣だから笑えてしまう。
    この作品だけでも読む価値あり。
    短編より長い中編小説

    残り2篇も面白かったのですが、やはり中編の『まれびとこぞりて』が良い。
    タイトルも上手いし、宇宙人の様子を想像すると面白かわいい。
    わたしの脳内でアルタイル人はピクミンでした。
    フレドリック・ブラウンの『火星人ゴーホーム』と真逆の話だけど、同じくらいばかばかしくて。(褒めてます)

    『混沌ホテル』で量子物理学のとんでもなさに笑ったのに、次の本は深刻に物理学濃度の高めのSF。
    もちろん量子物理学もあり。
    この振れ幅がSFの醍醐味よね。

  • コニーウィルスお得意の、どたばた感満載の短編集です。続きの「空襲警報」はシリアスな話の短編集とあとがきにありましたので、そちらも読んでみようと思います。?

  • ユーモラスなコニー・ウィリスの作品を楽しめる。気軽に読み進められるのが良い。コニー・ウィリス特有の足元がふわふわした感じで展開するストーリーが楽しい。個人的に気に入ったのは、表題作の「混沌ホテル」(量子物理学の学会の現場で物理をネタに笑わせる)と「まれびとこぞりて」(クリスマスキャロルでエイリアンとのファーストコンタクト)の2作品だ。特に「まれびとこぞりて」は、自分もゴスペルを歌っているので、馴染み深い曲が多くて、自分の行動がエイリアンとのきっかけになるのをリアルに感じられ、余計に楽しく読めた。

  • SFをあまり読んだことのない私のSF小説のイメージは、「近未来・サイバーパンク・宇宙人・ディストピア」だ。しかし、今作に収められている短編は、勿論宇宙人も出てくるが、SFらしくない霊媒師を扱ったもの(インサイダー疑惑)もあり、SFの懐の深さを知った。また、各短編の終わりに筆者のコメントが載っているのだが、皮肉とユーモアに溢れており、そちらも読み応えがある。ユーモラス篇の今作とは別にシリアス篇の短編集もあるみたいなので、是非読んでみたい。

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