- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119386
作品紹介・あらすじ
「まれびとこぞりて」「女王様でも」ほか、SF界の女王のユーモア系代表短篇5篇を収録
感想・レビュー・書評
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シリアスなコニー・ウィリス(「空襲警報」)とファニーなコニー・ウィリス(こちら)ならわたしは絶対ファニーなほう、ってことでこっちを読んだ。中短編集。
短編苦手のわたしでもこのくらいの中編はいいな。
「まれびとここぞりて」がとびぬけて好きだった!
異星人が地球にやってくるんだけど、ただ突っ立ってしかめっつらしてるだけで、世界中が手を尽くしてもコミュニケーションがとれなくて、なんでやってきたんだかわかんない、っていう話。で、どうもクリスマスキャロルに鍵があるらしい、って調べていくんだけど、それがおかしくて、結局コミュニケーションがとれるのか、なぜ来たのか謎が解けるのかが知りたくてまさにページをめくるのももどかしいって感じになった。そして、謎がわかったときは感動さえした! いい話だ。
異星人、しかめっつらなんだけど、想像するとなんかかわいくて、にやにやしながら読んだ。
そしてコニー・ウィリスのロマコメ成分がここにも。これがいつもすごく好き。ほんとにキュートな話だった。
「女王様でも」は再読なんだけどそもそもアイデアが秀逸というか。共感しまくりだし、笑えるし。なんの話か知らないではじめて読んだとき、この話かってわかるのが新鮮というか。
ナチュラル派とか自然主義みたいの、日本でも流行ってるけど、考えてみると、どうなんだろうって思ったり。
「混沌ホテル」はいつもの「なかなかたどりつけない」パターン。せわしない。でもハリウッドに行きたくなる。古い映画とかに詳しかったらもっと楽しめるのかも。
チャネリングの嘘を暴こうとする話は元ネタがよくわからず、メンケンって実在した人?てなレベルだったせいか、なかなか読む進められず、しかも、ちゃんと読めてない自信がある(笑)。
エミリー・ディキンソンの話も、すみません教養がなくてエミリー・ディキンソンよく知らないので、そんなに……。ところどころ、とくに注とか、笑えたりもしたのだけれど。
この二つは、自分のついていけてなさぶりが悲しかった……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
《目次》
・「混沌[カオス]ホテル」
・「女王様でも」
・「インサイダー疑惑」
・「魂はみずからの社会を選ぶ」
――侵略と撃退:エミリー・ディキンスンの詩二編の執筆年代考:ウェルズ的視点
・「まれびとこぞりて」 -
ネタの潤色の仕方が面白い。そして奥深い。単なる物真似や剽窃じゃなく、こういう作品がパロディだ。
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コニー・ウィリスのくだけた方。
『空襲警報』よりもこちらの方が好み。
ラストの一編「まれびとこぞりて」のドタバタとSFの融合具合が自分が持っているコニー・ウィリスのイメージとどんぴしゃで楽しかった。 -
ウィリスはシリアスなお話よりラブコメのほうが好きなので(どの作品にも人の話を聞かない人たちが出てきますが、シリアスな話に出てこられると本気でイライラしてしまう)、この本をウィリス入門編として知り合いに布教していきたい。
『まれびとこぞりて』は、『スパイス・ポグロム』に似てるラブコメ。あれが好きな人はぜひどうぞ。知性とユーモアがあって紳士的に、けれど積極的に口説いてくるチャーミングな男性を書かせたらピカイチですね。
『女王様でも』と『インサイダー疑惑』は再録という形なので、従来からのウィリスファンは買うのをためらう方もいらっしゃるでしょうが、ウィリスによる前書きと解説だけでも読む価値あり。 -
海外(アメリカ?)の一般知識があればより一層楽しめるのかな?
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コニーウィルスお得意の、どたばた感満載の短編集です。続きの「空襲警報」はシリアスな話の短編集とあとがきにありましたので、そちらも読んでみようと思います。?
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ユーモラスなコニー・ウィリスの作品を楽しめる。気軽に読み進められるのが良い。コニー・ウィリス特有の足元がふわふわした感じで展開するストーリーが楽しい。個人的に気に入ったのは、表題作の「混沌ホテル」(量子物理学の学会の現場で物理をネタに笑わせる)と「まれびとこぞりて」(クリスマスキャロルでエイリアンとのファーストコンタクト)の2作品だ。特に「まれびとこぞりて」は、自分もゴスペルを歌っているので、馴染み深い曲が多くて、自分の行動がエイリアンとのきっかけになるのをリアルに感じられ、余計に楽しく読めた。
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SFをあまり読んだことのない私のSF小説のイメージは、「近未来・サイバーパンク・宇宙人・ディストピア」だ。しかし、今作に収められている短編は、勿論宇宙人も出てくるが、SFらしくない霊媒師を扱ったもの(インサイダー疑惑)もあり、SFの懐の深さを知った。また、各短編の終わりに筆者のコメントが載っているのだが、皮肉とユーモアに溢れており、そちらも読み応えがある。ユーモラス篇の今作とは別にシリアス篇の短編集もあるみたいなので、是非読んでみたい。