- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119430
作品紹介・あらすじ
深宇宙より太陽系に飛来した謎の巨大物体。その内部で探査隊が見た、驚異の数々とは!?
感想・レビュー・書評
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アーサー・C・クラークの想像力に圧倒される作品でした。
2130年、太陽系に突然現れた未知の超巨大飛行物体、通称“ラーマ”に挑む宇宙飛行士たちと人類を描いた長編SF小説です。
こう書いてしまうのもなんだけど、読んでいてけっこう序盤で情景が分からなくなってしまった。
重力がこうなって、宇宙飛行士たちの体がこうなって……、みたいな最序盤のラーマへの潜入シーンはなんとなく想像しながら読めましたが、ラーマの船内、さらに船の中に広がる海や都市の話になると、もう想像が追いつかなくなってしまいました。
これを書いたクラークと、文章だけで情景がパッと想像できる人は、もう人類を辞めているのでは……などと思ったり。
ラーマ内の探検の様子も、抑えめの筆勢で淡々と書かれていく印象が強いです。けっこうなイベントが起こっているので、いくらでも盛り上げられそうなものなのに。
そう考えるとこの作品は、読者の理解や単純なエンタメ要素を差し置いてでも、描きたかったものがあるのだろうと思います。
これだけの書き込みと作品世界の作り込み。想像力の極地の果てに訪れる人類と超文明の相克の結末。クラークならではの情緒というか、人間の小ささに対する視点と、宇宙の壮大さに不思議な趣を感じる作品でした。 -
途方もないスケール感に圧倒される内容だった。
時は22世紀、地球に飛来した大隕石を契機として、小惑星や彗星の活動を監視する宇宙システムが構築されたが、深宇宙から太陽系に向かってくる、ある飛翔体の異常さが見つかった。自然界のものではあり得ない完全な対称系の形状から、探査船がドッキングして調査することが決まる。地球の文明以前の百万年以上も前から飛び続けてきた時間のスケール感、長さ50kmで幅20kmという超巨大なサイズのスケール感、いずれも人智を超えた驚異であり、完全な円筒形という神秘さからも異星文明との遭遇が期待される。
この飛翔体はラーマ(インドの英雄神)と命名され、物語はラーマ内の探索へと進む。回転する遠心力から内部の重力分布が作られていくが、中心軸から外縁に向かっては重力が増していくという不思議な感覚のなか、驚くべき展開が待ち受けている。著者の類稀なる創造力から紡ぎ出される面白さに、ぐいぐい引き込まれながら、先へ先へと期待感が増す。どのような結末が控えているのか、一刻も早く読み終えたい気持ちが高まる。太陽に近過ぎる危険から近日点までにはラーマから離れなければならないが、その後の太陽に向かっていくラーマの運命はどうなるのか。異星文明の驚異、かくありなん、と驚くべき内容ではあるが、妙な納得感に包まれる。 -
科学的な設定の作り込みは少なめで、未知の世界への探検のワクワクとハラハラがメイン。地球人よりもずっと高度な知性を持つ異星人がいるとしたら、我々に対してきっとこんなふうに無関心なんだろう。
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なんかこの設定が面白いな、これ。
いや、分かるよ。例えば日本人とガボンの人は99%くらいお互いに無関心だろうけど、会ったら挨拶くらいするかな。でも同じ人類だからであって、じゃあガボンに行って当地の昆虫にいちいち興味を持たないだろうし、ましてや挨拶など。自分でやるのは良いけどやられるとしんどい、というやつだね。
という異文化コミュニケーションの難しさをあからさまにすることで将来やってくる移民の問題を予測しているという恐るべき一冊である。 -
情景がわたしの拙い読解力では浮かばない。
ネット検索でラーマの大きさは何となく想像できたが、内部構造は?の連続でした。
さすが巨匠ですね。 -
ラヴクラフト作品のような不穏さも感じる話でした。続きがあるようなのでそちらも読んでみたい。
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ファーストコンタクトの話。
ラーマの形状がいまいちイメージできなかったので映像化してほしい。 -
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/その他、燦然たる受賞歴を持つアーサー・C・クラークの傑作。西暦2130年、未知の人工物体が太陽系に進入し、宇宙船エンデヴァー号の調査隊が探索することになるが、「ラーマ」と名づけられたこの謎の宇宙船は驚異に満ちていた……。
いわゆるファーストコンタクトもので、王道ともいえるセンス・オブ・ワンダーにしびれ、終始ワクワクが止まらなかった。惑星連合や重婚制度など、さりげなく22世紀の未来社会を独自の世界観で描いているのも面白い。これほどのタイトルにもかかわらず、いまだ映画化されていないせいか、一般の知名度は今ひとつな気がする。初代プレイステーションでゲームにはなっているので気になるところ。
2017年に発見された、天体観測史上初となる太陽系外から飛来した恒星間天体オウムアムアのUFO説が、本書を想起させるとして話題になったようだ。