空襲警報 (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)

  • 早川書房
3.56
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本棚登録 : 271
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119447

作品紹介・あらすじ

「最後のウィネベーゴ」「ナイルに死す」他、ウィリスのシリアス系代表短篇全5篇を収録

感想・レビュー・書評

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  • わたしはどうも、「しかけがある」っていう小説が苦手で。あと、「現状がどういう状態なのか説明がなされない」っていう小説も。絶対気づかない自信があるし、しかけがあるときいたら理解したと思っていてもいや気づいてないのかもって不安になるし。そういう意味で、「クリアリー家からの手紙」とか「最後のウィネベーゴ」とか「ナイルに死す」はけっこう苦手だった。よく理解できてないと思う……。
    「空襲警報」は、もともと「史学部シリーズ」のファンなのでおもしろく読めた。文章にユーモアがあって、「クリアリー家」や「ナイル」みたいにこわくないし。ただ、「オールクリア」につながる「しかけ」があるのかなあと気になって気づいてないんだろうなと不安で、「オールクリア」の1940年セントポール大聖堂の場面を読み返したりしたけど、新たな発見とかはなく……。

    いちばん好きなのは「マーブル・アーチの風」かな。ぜんぜんSFとしては読んでなくて、いやもう、あとがきで大森さんも書いているとおり、ただただ中年には身につまされる、という。ほんとに、もうこれからは「衰退と死」しかない、ってかなり苦しい気持ちになった。ラストになんとなく希望が見えて、さわやかで、それはよかったけれども。
    あと、コニー・ウィリスはロマコメ成分が多くて大好きだとつねづね思っていたけれど、若者の恋愛だけじゃなくて、こういう、夫婦とか渋い大人の恋愛成分もあるんだなー、とか思った。「ナイルに死す」もそういう話だと思って読むとけっこういいかも。

    それから、付録のコニー・ウィリスのスピーチがすごくよかった。本があったことへの感謝の気持ちとか、すごく共感する。コニー・ウィリスが挙げている本を読みたくなる。あと、ドラマとかにハマってるらしき姿とか、ほんとにキュートだし、友人が多くて明るい性格だってのがわかる。素敵ー。

  • つまらなさすぎ

  • コニー・ウィリスは『犬勘定』しか読んでいないんだけど、思いの外SFっぽくなかった(当社比)
    一番の好みは「最後のウィネベーゴ」かな。ミステリ読みなので。
    でもどれもじわじわくる面白さ。
    もっと長編を読んでいたらすとんとハマるのかな?

  • ベスト・オブ・コニー・ウィリスのシリアス篇。、ドタバタものより、こういう作風のほうがストーリーテリングや技巧の見事さが感じられる気がする。お気に入りは「クリアリー家からの手紙」、「最後のウィネベーゴ」かな。

  • 最高。読んだものが多いが、再読に値する。特に史学部シリーズ第1作は「オールクリア」後の今読むと感慨深い。付録として収録されてる各スピーチ原稿も涙ものや。

  • 目次
    ・クリアリー家からの手紙
    ・空襲警報
    ・マーブル・アーチの風
    ・ナイルに死す
    ・最後のウィネベーゴ
    ・二〇〇六年世界SF大会ゲスト・オブ・オナー・スピーチ
    ・グランド・マスター賞受賞スピーチ予備原稿
    ・グランド・マスター賞受賞スピーチ

    正直に言いましょう。
    『混沌ホテル』の方が好みでした。
    多分コニー・ウィリスの作品のシリアス系は長編が、ユーモア系は中編が好きなのだと思います。

    今回オックスフォード大学史学部シリーズの第1作である『空襲警報』が収録されていますが、主人公であるジョン・バーソロミューのルームメイトのキヴリンが主人公の『ドゥームズデイ・ブック』の方が断然面白いですし、『空襲警報』や『マーブル・アーチの風』で重要な出来事となるロンドン大空襲を描くなら『ブラックアウト』『オール・クリア』の方が読みごたえがある。

    逆に、すべての登場人物がめいめい勝手にしゃべり続けるコニー・ウィリスのユーモア小説のスタイルが、長編ではうるさくて、周辺くらいがちょうどいいような気がします。

    とか書きながら、やっぱり史学部シリーズである『空襲警報』は面白いのです。
    いくら本を読んで勉強しても、実際に行ってみなければわからないことが、この作品にはちゃんと書かれています。
    当時の常識過ぎて逆に本には書かれていないことも、たくさんあります。
    だから想定外のことばかりが起こってしまうので、歴史という決められた枠組みの中でそれにどう対処するのかが、このシリーズの醍醐味なのですよ。

    あとはシリアスというか、そこはかとなくホラーっぽい、ぞわぞわと不穏な空気を感じてしまうような作品でした。
    特に『クリアリー家からの手紙』は、徐々に明かされる真相によって、どんどん怖さが増してくるの。
    でもってなんか悲しくなりました。

  • 1作目と表題作と「ナイルに死す」まででいったん休憩。「ナイルに死す」はこれ悪夢だなあって焦りながら見ている夢みたい。二度寝したくないやつ。表題作は雰囲気は好きだけどよくわからなかった。

  • 混沌ホテルとあわせて新しい短篇集です。コニーウィルスの長篇は長すぎて辛いという人に、おすすめします。長編の要素や雰囲気がだいたい詰まってますね。?

  • 「クリアリー家からの手紙」ティーンエイジャーのありがちな日常、と見せかけたディストピア。騙し絵風の短編。
    「空襲警報」史学部シリーズの開幕編。このシリーズ、プロットは面白いと思うのだが、ロンドンの地名や事物に馴染みがないためかいつも十分満喫できていない感じがする。
    「マーブル・アーチの風」好奇心と元気に満ちた友人の老いを発見する場面に、ぐっと来たのは自分の年齢ゆえか。
    「ナイルに死す」異国を旅する不安と、覚めない悪夢がないまぜになったホラー。
    「最後のウィネベーゴ」これもディストピアになるのか。伝染病、犬を殺すことがタブーの世界、強大な力を持つ組織。
    2006年世界SF大会でのスピーチ、グランド・マスター賞受賞スピーチの原稿を収録。

  • 《目次》
    ・「クリアリー家からの手紙」
    ・「空襲警報」
    ・「マーブル・アーチの風」
    ・「ナイルに死す」
    ・「最後のウィネベーゴ」

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