ヴァリス 新訳版 (ハヤカワ文庫SF)

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  • 早川書房 (2014年5月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784150119591

作品紹介・あらすじ

ファットの日常はある日、姿を変え始めた。ディック最大の問題作が、山形浩生訳で登場

感想・レビュー・書評

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  • 神学に関する部分は100%理解不能でした。ただ…それ以外の部分でも色々と揺さぶられるものがありました。
    主題とは関係ないですが印象に残った表現を一つ抜粋します
    "「じゃあ宗教の真の名前は、死なんだ」「秘密の名前はね」「『おれのネコはなぜ死んだんですか?』答え『見当もつかんよ』。答えなんかない。道を渡ろうとした死んだ動物がいるだけ。ぼくらみんな、道を渡りたい動物で、でも途中でまったく気が付かなかった何かが僕たちをなぎ倒す。…」"

  • 今読んでいる最中なのだが、ふと、あることを思いだした。
    ****
    1993年2月、米国テキサス州ヒューストン近郊、某企業の倉庫で、高い天井に下記の落書きを見上げていた。“Kevin is Fat” …。 他愛もないいたずら書きだがなぜか今も鮮明に記憶している。
    シンクロニシティ? 何かの符合? 時空を超えて届いたメッセージ?

    ***** 
     読了した。
    「奇書」である。
    こんなぶっ飛んだ小説がロングセラーになっているのも驚くべきことだ。
    本作の内容を概略するのはなかなか難しい。
    前半はジャンキー小説の趣。後半から「神」の実体を巡る仮説仮構が展開してゆき、SFらしくなって来る。
    「神」は観念や理念ではなく、ある実体を伴う存在として描かれている。そしてその「神」は、時空を超えて存在し、ある時代ではキリストの姿で降臨し、別の時代ではブッダとして地上に存在していた…という。さらには、この「神」は情報の集積やネットワーク、データベースと近いイメージもある。(この読み方が間違っていないか、それも自信がない)

    この小説。2つの面で読みづらい。1つは、ストーリーテリングに雑な面があること(ぶっ飛んでいる)。そして2点目は、展開する神学論議の受け止めの難しさ。死海文書やクムラン洞窟のことは史実を含むと思うのだが、他の神学論議はどこからが作者PKDによる新説(SF)なのかよくわからない。
    つまり神学に関する知識教養がないために困惑を感じたのだ。例えばグノーシス主義という用語・概念についても勉強しないとよくわからない。

    いずれにしろ、PKDを読む1冊目に本書を選んではいけない、と進言しておきたい。

    難しい本なので、皆さんの受け止め/レビューを読みたいとつよく思うのであった。

    ※世界/宇宙は不完全で非理性的。それは創造主たる神自身が非理性的だから。一方でそれを矯正し補正する理性的な“もう一つの”神も存在する、とする。

    ※[ 「真言密教」✖︎「ヴァリス」の神 ]
     ( 先日「 真言密教 」の本を読んだ。密教は知と信仰のデータベースでもある、とか、仏は私の内にも在る とする。そんな密教の目線で“PKDヴァリス”を深められたら面白いかも)

  • 新訳版で再読です。結論から言うとかなり読みやすくて小説として楽しめた。旧訳版は結構前に読んでて(ディック作品10冊目読了以内)それからディックのSF作品を一通り読んだので感じ方も違ったのかも

  • 「あいつ」「ぼく」と主人公が分裂している。入れ替わりや統合、突然名前が出たりと、小説ならではの仕掛けがある。主人公のトラウマと薬物による精神崩壊が、古代ギリシア哲学やキリスト教神学を媒介として、神=宇宙につながる。正気と狂気、理性(ヌース)と非理性(偶然、アナンケ)の関係が逆転し、何が現実で妄想かわからなくなる。
    引用が古代ギリシアから近代哲学、夢判断・精神分析、詩など幅広く、言語も多様で論文のよう。思いつくだけでも、現象界、精神、弁証法、コイネギリシア語、ラテン語、ヘブライ語、アラビア語、ドイツ語、プラトン、フロイト、ユング、スピノザ 、ヘラクレイトス、ホメロス、パルメニデス、老子、アリストテレス、ワーグナー、ゲーテ、仏陀、ピタゴラス、エンペドクレス、ワレンティノスのグノーシス主義、エンテレケイア、道教など。
    この作品は、驚くことに作者の実体験をもとにした半自伝的小説だという。当時のインタビューでも奇怪な発言が多々あったらしく、その一方で、小説内では常に理性を保っている。著者の作風どおり、現実と空想が逆転してしまったと考えると、作品を人生で体現したといえる。

  • 「狂気と正気の区別はカミソリの刃よりも細く、犬の歯よりも鋭く、牡鹿よりも身軽だ」
    自伝的要素を含むディック晩年の宗教的・哲学的小説。
    精神病者の魂の放浪?のようなストーリーだが、主人公は2人??? 一人称なのか三人称なのかわかりにくい叙述が混乱をまねく上、繰り返される神学談義が難解。この方面の知識がないとついていけないのかもしれないが、ディックという作家が持つテーマを掘り下げる内容になっているのはわかる気がする。
    とある映画に誘われるところから物語は急展開。登場人物たちの反応は、アニメ「エヴァンゲリオン」を見た時の感覚を彷彿とさせる。あまりにも情報量の多い映像を何度も反芻して真意を汲み取ろうとする、あの体験を思い出した。仏陀、ゾロアスター、イエス、モハメットに続く第五の救済者を探し求める主人公が見出すものとは何か。結末をむかえても消化不良で、繰り返し読まなければならない本だと感じた。
    作中で引用される釈義「トラクタテ」は巻末に全文が載っているが、あまりに難解で、ざっと読み飛ばした(汗)。いつか再読に挑戦したい。

  • めちゃくちゃ難解なカルト小説だった。チャットのグループの読書会で皆で考察し合えたのが楽しかった。自分の考察を書いておきます(正しいか間違えてるかは置いといて)。登場人物皆狂ってますが色んな解釈ができて楽しめる作品です。読むのキツいですけど。

    ヴァリスとは生きた情報システムであり、時間の概念を持たず色んな時代、空間を行き来できるものだと思っています。時間だけでなく空間も存在しないとは、色んな場所を行き来できるということだと解釈しました。

    個人的に思うことだけどファットによる世界の考察は割と始めに集約されていると思う。
    この世界全体は非理性で構成されており、理性的なものはヴァリスだけ。多分我々人間が時間があって空間があるように感じられるのはこの世界が非理性で支配されているから。それから抜け出すためにはどうすればいいか?
    全ての初期キリスト教徒が知っていたように、凡我一如。第三の目を開くことである。ヴァリスはその為に作られた生きた情報システム。そしてヴァリスのみが理性的であり、ヴァリスから色のついた光を放射されることによって世界の真理について気づくことができる(これは放射線でミニはピンクの光を受けすぎたことで癌疾患に罹ってしまった)。この非理性の迷路から抜け出すことができれば時間と空間を超越できるようになる。
    ーーーーーーーーーーー
    梵我一如(ぼんがいちにょ)とは、梵(ブラフマン:宇宙を支配する原理)と我(アートマン:個人を支配する原理)が同一であること、または、これらが同一であることを知ることにより、永遠の至福に到達しようとする思想。古代インドにおけるヴェーダの究極の悟りとされる。
    宇宙の全てを司るブラフマンは不滅のものであり、それとアートマンが同一であるのなら、当然にアートマンも不滅のものである。すなわち個人の肉体が死を迎えても、アートマンは永遠に存続するということであり[1]、またアートマンが死後に新しい肉体を得る輪廻の根拠でもある。
    Wikipedia「梵我一如」
    ーーーーーーーーーーー

  • 30年前にサンリオ版を読んで、全く理解できず。いつかは再読をと誓っていた。
    新訳のkindleがセール価格だったので購入。英語版を対照しながら読了。新訳のせいですっきりした印象。途中ダレて読みにくなったときには、英語版を確認したほうがわかりやすかった。なにより30年の間に、神話・宗教がらみの用語がアニメやラノベで使われ、馴染みあるものになったのが、抵抗を減らして最後まで読めた最大の要因だろう。気をゆるすと「セカイ系」に読めてしまう弊害もあるが。
    ささいなことだが、「電子ノイズ除去のスタックスのヘッドフォン」とはスタックスの「静電型ヘッドフォン」のことではなかろうか。

  • 2017/2/28購入

  • ほとんどあっちの世界にいっちゃってるような妄想めいた神学論争だらけのお話
    あらゆる宗教を巻き取るような天文学的大風呂敷の様に見えて、実はとっても個人的な話で、「ぼく」が経験した喪失を埋めようとして救済を求める続けるあまりに分裂してしまう切ない物語なのかも

    1.神様なんて存在しない
    2.どのみち神様なんてアホだ

  • 周囲の人々の死をきっかけに作家ホースラヴァー・ファットは精神に異常を来たし始め、ある日啓示を受け独自の神学を記録し始める。そんな中友人と映画「ヴァリス」観ることにより世界の真実を知ることになり、カルトサークルを形成・・・。といった様な感じかな?
     まずトークショーでも指摘があったように新訳で読みやすく明晰になった。もっとも神学論争が頭に入りづらい身としては、明晰な分この独自な神学の訳の分からなさついていけなさがより際立ったような気もする(笑)話の流れとしては前半はディスカッション寄りで多少キツいのだが、映画「ヴァリス」の辺りから展開があって面白かった。終盤も一筋縄ではいかず、カルトな神学本と決めつけられない揺らぎもあり、神学と小説の間を行き来するようなところに創作においてのディックの苦心の跡を見ることが出来るのもまた不思議な持ち味になっている。また、前の訳では神学論争に関するシリアスなディスカッションに感じられた仲間とのやり取りが、ディックの作品でしばしばみられる「先の見えない仲間同士でグダグダ話している」と同じであることが分かり、なるほど『ヴァリス』だけが特別な作品ということでもないのだなあと感じられた。あと個人的には1970年代後半のアメリカ西海岸のこうしたニューエイジっぽい空気感も印象的で、この作品の興味深い点だと思う。
     それから、神学の原点を探るということからローマ時代が幻視され現代と重ねあわされるところがあるが、ディッシュ『334』(オムニバス短篇構成)の「後記ローマ帝国の日々」という短篇があって、これも作中の現代(未来社会)とローマ帝国のを行き来するような話があり、似ているなあと思った。また『ヴァリス』でディッシュの名も出てくるので、ヴァリス新訳版記念トークショーで「東海岸ディッシュと西海岸ディックの間にアイディアの交換といったことはあったのか」という質問をしてみたが、編集者テリー・カー辺りがそういった橋渡しになっていたかもしれないが、基本的には二人の年齢の差が大きく手紙のやり取りぐらいだったのでは?というお話だった。

    • 淳水堂さん
      こんばんは。淳水堂です。

      フィリップ・ディックは昔読み懐かしくなりコメントに参りました。
      アンドロ羊とヴァリスが印象的で、他のヴァリ...
      こんばんは。淳水堂です。

      フィリップ・ディックは昔読み懐かしくなりコメントに参りました。
      アンドロ羊とヴァリスが印象的で、他のヴァリス関連作品よりこれが一番じゃないかと。
      フィリップという名前って「ホースラヴァー(馬を愛する物、馬を飼う人、でしたっけ?)」だったのか!という豆知識も得たり(笑)
      ホースラヴァーはフィリップと同一人物だけどそれぞれ人格を持っているけれど、途中で同化…するんですよね(記憶が曖昧ですが)、この喪失感は堪らなかった。
      この作者は不思議ですよね。確かアンドロ羊の解説で「現実に生きられない自分や親しい友達のための世界を作る。普通なら現実に自分を合わせるけれど、現実に妥協しないことがSFを書くということ」と書いていて、この執筆姿勢は一歩間違えると独り善がりになってもおかしくないのに、ここまで作品に昇華できるとは。

      それでは失礼します。
      2014/09/24
  • シンプルに難しかった。
    自分に宗教的な知識があればもう少し印象変わってたのか?
    評価しようがないのでとりあえず星3つ!
    き、機会があれば再読してみよう

  • 泣く。

  • うーーん・・・これは評価が難しいですね・・・。

    主人公のホースラヴァー・ファットが、ディックの別人格であるというオチは、冒頭からそれとなく仄めかされているのでそれほどの驚きはありませんでした。ただ、その構造に気づいてしまうと、この物語は最初から最後まで「ヤク中の狂人が自分自身を相手に延々と戯言を述べるだけ」の話ということになって、気持ちを切らさずに読み進めることが極めて難しくなってきます。
    その他の登場人物も、正常な者はほぼいません。後半に登場する謎の映画「ヴァリス」によって、この世界の謎が解けそうな雰囲気になってはくるのですが、そもそもがディック一人の脳内で展開されている世界なのでそんなにうまくいくかなぁ・・・と思っていたら、案の定。というお話です。身も蓋もなくいってしまえば。

    ディック最大の問題作として名高い本作、おそらくディック自身には、これを一つの作品としてこじんまりとまとめ上げる気は、執筆を始めた当初からさらさらなかったのでしょうね。脳内に浮かぶよしなしごとを、そのまま綴った印象です。
    ディック好きとして一応読んではみましたが、他の方に軽々しくオススメは出来ないな〜。

  • ディック作品を読破したいので読了。
    今まで読んできたディック作品とは毛色の違うテイストで読んでいて正直かなり困惑した。
    これまで読んできたディック作品の中にもディック自身の宗教感や世界が何かに操られているような怪しさ、何が真実で何が虚構かわからない不安定さはあったがここまでアンバランスではなくSF作品として普遍的に楽しめる程度のものが殆どだった。
    ディックの実体験が元になっている作品とはいえディック自身があまりに物語に入り込んでしまっているせいでただのSFとして読むには濃度が高すぎるのではないかと読んでいて強く思った。
    作中では宗教学や哲学、心理学などのメンタリティと直結する学問が多く描写されており、なくてもギリ読めないことはないが100%読み切るのであればこれらの学問をある程度履修しておくことを強く推奨したい。

  • 新訳が出ていたのを知らなかった。

    アメリカ人の精神的崩壊感とディックの宗教観が絡み合って、複雑な味わい。

  • うーむ。超問題作といわれるだけある。
    まったくついていけず。。。

  • 【由来】
    ・札幌駅地下の文教堂で

    【ノート】
    ・PKディックはブレードランナーやトータル・リコールの原作者で、著名なアメリカのSF作家。そんなディックが死ぬ前に著した通称「ヴァリス三部作」。本書はその第1弾。

    ・読みたいと思った高校の時から30年。とうとう読了。導入から途中までは、単なる錯乱者のイッちゃってる神学談義かと思っていたら、実はイッてなくて、彼の言ってることは本当でしたというのが判明するのが中盤。この辺りから俄然SFらしくなってくる。元来、SFって妄想とは紙一重なところがあるわけで、しかもそれが神という超越的存在がメインテーマとなれば、その辺りの際どさはスリリングなものになる。ただ、そのスリリングさをディックが確信犯でやったのかどうかは、まだ自分には分からない。

    ・超越的存在が出てはくるが、最初っから最後までアメリカの普通の町でのお話であり、SF感は正直、薄い。ディックによる「暗闇のスキャナー」もSFというよりはドラッグ漬けの人びとの愛しくもキッツい日々という内容だった。それでも監視社会の設定や小道具なんかでSFしてたけど、本書ではそういうことは全くない。ちなみに「暗闇のスキャナー」は「スキャナー・ダークリー」というタイトルで、キアヌ・リーヴス主演で映画化もされた(ロバートダウニーJrも出てる)。

    ・どこかにデカルトと北欧の女王のエピソードがなかったっけ?

    【目次】

  • 神秘体験とそれに合致するシンクロニシティへの出会い、友人たちのサークルを巻き込みながら神性に到達しようと試みる壮大な物語。
    ある意味これを今の自分が読むこと自体が神秘体験的で、まさかのフィクションと現実の入れ子構造神秘体験。私もどっかの人工衛星からピンク色の光線を脳内に照射されているのかもしれない。

  • なかなか読み終わらないが、読むたびに新しい発見がある。
    ドラッグ体験、精神の壁を超越することからくる世界の歪み、社会からの枠組みから自由になる事を垣間見れるような文章。

    読み終わったらまた書くよ。

  • 初めて読んだ時は「釈義」の内容についていくのに必死だったけど、読み直す内に、これはディックにとって非常にパーソナルな小説だったのではないかと思うようになった。ソフィアがリピドン協会の三人に語る言葉(実に感動的!)は、書いている自らに檄を飛ばしているように見える。人間の可能性と、その善なるところを信じる。ディックからの人間讃歌、それが『ヴァリス』。

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