SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 267
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119607

作品紹介・あらすじ

創刊時掲載の巨匠から現代SFの最先端まで、オール短篇集初収録作12篇で構成する傑作選

感想・レビュー・書評

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  • 読む前と読んだ後とでは、物の考え方、感じ方だけでなく、自分の今いる座標軸さえ変わってしまったことがわかる、そんなSF作品が好きだ。

    昔思い描いたようには、作家にも翻訳家にもなれなかった半生だとはいえ、名作揃いの本書を(図書館から借りて、ではなく)買って読めて、しかも感動でき、こんなサイバースペースに感想まで書き込めていることに、とりあえず満足している。

    SFという座標軸がくれた、私という点(存在)。

    PS.
    アーサーCクラークで始まる構成には作品を読む前から、泣ける。
    シェクリイの「危険の報酬」は何度も既読だがその度に世界がこの作品に近づいている、と感じる。
    ジョージ・R・R・マーティンは知らなかったが、美しく心に染みた。
    ホール・マン、未読。
    スターリングの「江戸の花」も、新江戸周辺にすむ身としては味わい深かった。
    グレッグ・イーガン「対称(シンメトリー)」。日本語なのに半分もわからず、わからないながらも良くわかった。これを英日訳した訳者には、最大限の敬意を贈ります。
    UKル・グゥィンの「孤独」を、文化人類学者の娘に生れ、自身も娘の母である作者の、「アカシアの種子に残された文章の書き手」「冬の王」「ゲド戦記」 を経由した現在の到達点なのだと、読んだ。制御された語による制御された文体が美しい。買うべき本だった。
    コニー・ウィリス未読。
    パオロ・バチガルビ、そうだろうと思う。「孤独」の最終行へと読後感はループする。
    テッド・チャン「息吹」。この世界観、この宇宙観こそ、私がSFに(無意識のうちに)求めているものなのだと、これを求めるように(SFマガジンに?ハヤカワ文庫に?)育てられて来たのだと実感する。この本を読む読者諸氏と、言葉と空気を共有できた幸せに(新たな涙ともに)感謝します。

  • 創刊700号記念アンソロジーというだけのことはあって、さすがの内容。SFマガジンに載ったもので、短篇集初収録となる作品が並んでいる。好みはあるだろうが、いずれ劣らぬ傑作揃いだ。

    何をおいても語りたいのは、テッド・チャンの「息吹」。これは創刊50周年記念特大号で読んだのだが、その時の感動は忘れられない。今回も真っ先に読んで、前と同じく、いやそれ以上に心うたれた。SFって本当に素晴らしい!とつくづく思う。並みの想像力がとても及ばないような異世界が目の前に差し出されて、それだけでもすごいのだが、圧巻はラストの数十行。冷静に淡々と綴られている言葉が、「真実」のオーラを放っている。なんだか厭世的な気分になったら(時々なる)、このページを思い出すことにしよう。

    好きだなあと思うのは、やっぱりル・グィン。「孤独」はハイニッシュシリーズに連なるものだ。研究者である母親に連れられて、異星にやってきた少女が、その星の人として成長していく。後退した文明と見なされているこの星の人々のありようが、不思議な魅力で迫ってくる。母や兄、元の世界の人たちと隔たっていく少女の姿が、切なくも凜として美しい。

    ジョージ・R・R・マーティンの「夜明けとともに霧は沈み」でも、遠い辺境の星が美しく描かれていて心に残る。特に目新しいテーマではないのに、読ませるんだなあ。

    ブルース・スターリングの「江戸の花」にはちょっとびっくり。すごくそれらしい(明治の初めの感じ)のは、訳のおかげ? ラストがぴたりと決まっている。イアン・マクドナルド「耳を澄まして」の静謐な世界も良かった。イーガンは例によって、よくわからないけど面白い。バチカルビは印象的なんだけど、やっぱり好きじゃないと再認識。

    とまあ、それぞれにあれこれ語りたくなる作品ばっかり。私はSFマガジンと同い年。ずっと続いてほしいです。

  • 収録作の作家が超有名な方々ばかりなので、面白いかどうかは、あとはもう好みの問題では、と思う。さすがにハズレなし。

    特に印象に残った作品をいくつか。シェクリイ「危険の報酬」古い作品だが、面白かった!これが元ネタになっていそうな映画がいくつか頭に浮かぶ。マクドナルド「耳を澄まして」アンソロジー中、一番気に入った作品。長編で読みたかった。イーガン「対称」帯の記載通り、ガチハードSF。個人的にはこの手だと、もっとひねくれた変化球好み。短編だからかな。チャン「息吹」素晴らしい。

  • 短編だと取っ付きやすい。『いっしょに生きよう』が特に好き。SFって面白いね。

  • ルグィン目当てだったが…イーガンはまだ読めた

  • 全12篇からなるSFアンソロジー。
    個人的に良かったのは次の5篇。

    ジョージ・R・R・マーティン『夜明けとともに霧は沈み』
    イアン・マクドナルド『耳を澄まして』
    アーシュラ・K・ル・グィン『孤独』
    コニー・ウィリス『ポータルズ・ノンストップ』
    テッド・チャン『息吹』

  • テッド・チャン「息吹」

  • SFは大好きですが、これまで読んできた作家も時代もジャンルも偏りまくりでした(脳神経、人工知能、世紀末モノetc...)。なので、そろそろSFの歴史を体系的に読んでおきたいと思い、この本を手にしました。

    最初から通しで読んでみると、各時代でSFのジャンルが、どんなテーマに関心を持っていたかが分かるような感じがします。
    不届き者の私は、本書の収録作家の中ではアーサー・C・クラークとグレッグ・イーガン以外読んだことがありませんでしたが、これでようやく人並み程度の知識に近づいたと思います。

    一作一作感想を書くのは難しいですが、一読して特に印象的だったのは以下の通り。(掲載順)
    ●『夜明けとともに霧は沈み』(ジョージ・R・R・マーティン)……科学によって分かることと、人間が見出してしまう幻想。SFの立場から見た闘い。
    ●『江戸の花』(ブルース・スターリング)……読んでいくうちに、「これも確かにSFだ」となってくる。テクノロジーと、人間・社会との関係。
    ●『対称』(グレッグ・イーガン)……この作者で宇宙ものを読んだことが無かったので新鮮。
    ●『孤独』(アーシュラ・K・ル・グィン)……現実に存在する異文化の話のように読んでいた。
    ●『息吹』(テッド・チャン)……一番衝撃を受けた。全編メタファーしかないのに全部何のことか分かるし、この十数年の科学の発見を全て取り入れてまとめ上げ、未来を語ることに成功している。

  • 「遭難者」久しぶりに読むクラーク、透明感のある描写は変わらず大好き。掌編といってもいいページ数に何ものとも知れない生き物の死をみとる物悲しさが詰まっている。「江戸の花」明治初期の科学技術による変化をSFにする、解説にあった“変化の文学”に納得。落語に関する本数冊読んだだけでも頻繁に名が挙がっていたこの明治初期の三遊亭円朝、私の中でのイメージはしばらくこの作品にもとづきそう。「ポータルズ・ノンストップ」も好き。SF小説好きの心をくすぐるエピソード盛り込んだ謎かけからお約束の結末へ繋げる展開が小気味好い。

    収録作品:アーサー・C・クラーク「遭難者」/ロバート・シェクリイ「危険の報酬」/ジョージ・R・R・マーティン「夜明けとともに霧は沈み」/ラリイ・ニーヴン「ホール・マン」/ブルース・スターリング「江戸の花」/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「いっしょに生きよう」/イアン・マクドナルド「耳を澄まして」/グレッグ・イーガン「対称」/アーシュラ・K・ル・グィン 「孤独」/コニー・ウィリス「ポータルズ・ノンストップ」/パオロ・バチガルピ「小さき供物」/テッド・チャン「息吹」

  • 個人的なベスト3は
    スターリング『江戸の花』
    ウィルス『ポータルズ・ノンストップ』
    チャン『息吹』

    スターリングのサイバー・パンク落語にはやられた。

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