宇宙の眼 (ハヤカワ文庫SF)

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  • 早川書房 (2014年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150119751

作品紹介・あらすじ

巨大な陽子ビーム偏光装置の事故に巻きこまれた8人の男女は……鬼才初期の名作登場!

みんなの感想まとめ

異なる世界観の中で、意識が他者の思考に囚われるという独特のテーマが描かれています。主人公たちは陽子ビームの事故に巻き込まれ、様々な異次元の世界を体験することになります。各世界はそれぞれ異なるルールや価...

感想・レビュー・書評

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  • 著者自身の言葉として、「非現実に対するわたしの不安はこの作品から始まっている。」と解説の最後に引用されています。つまり、後の作品群のいわゆる”ディック感覚”と呼ばれる最初の作品ということができるでしょう。

    とはいえ、今まで読んだディック作品の中では、わかりやすくてとても面白かったです。仮想現実や多元世界に興味がある人にはツボでしょうね。ラストも、考え方によってはループ物を想起させますが、いい終わり方でした。

    内容に少し触れると、人それぞれが思い描く世界観がリアルに体現できたら…ということですが、それが自分の世界観ではなく、誰かのものだとしたら…という感じ。例えるなら、読書嫌いな人の思考にとらえられ、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』のような世界に放り込まれたら、ここの人たちは発狂ものですよね?しかもそこから別の世界に行けば、そこはそこで別の他人にとって心地よい世界だなんて悪夢ですね。それにしても、よくこんなストーリーを思いつくものだと感心したのでした。

    あらすじ:
    ジャックは、妻と楽しみにしていた陽子ビーム加速器の見学会に行く予定でした。しかし、直前に上司から呼び出され、妻が共産主義者であると嫌疑をかけられ、会社をクビになります。情報の出所は、同僚で会社の保安係のマクフィーフ。彼は罪滅ぼしに、二人を見学会に車で送ってゆき、自身も見学することに。しかし、そこに居合わせた他の見学者とあわせた8人が、陽子ビームの放射事故に巻き込まれてしまいます。そして、ジャックが病院で目覚めたとき、そこは彼の知っている世界とは何かが違っているのでした……。

    注意:猫好きな人へ。一部残酷なシーンあり。

  • 読むのが苦痛だった

  • 同僚の兄妹から借りて読んだ本。

    陽子ビームの試験運転中の事故で、原理はわからんけど居合わせた人たちの意識の中の世界に次々と迷いこんじゃう~というお話。
    それぞれの価値観や倫理観がこれでもかと反映された世界で、元の世界に戻るべく奮闘する。
    どこかシュールで不思議の国のアリスのような雰囲気を感じた。

    登場人物のキャラクターが掴みづらく、感情移入が難しかった。
    50年前の作品と知ってびっくり。
    自分が触れてきた本や映画に、この作品が少なからず影響を与えたものもあるんだろうな、と思った。

  • 最初の主観世界までは良かったけど3つ目あたりには飽きてしまった。ただ面白かったので⭐️は4

  • 陽子ビームの事故により、別の世界に行ってしまった人たちの話。
    別の世界ではなく、他の人たちの意識化の世界で、困難に立ち向かう。
    最初からテンポよく面白かった。

  • まあ、パラレルワールドもの。
    粒子加速器の事故に巻き込まれた8人が、相互の内面世界を体験することになる。
    最初は、退役軍人シルヴェスターの内面世界で、第二バーブ教なるカルトが支配していて、護符などが機能する宗教世界。次は、イーディス・プラチェットという保守的婦人の内面世界で、興味のないものとは不愉快なものはどんどん消していく。その次はリーズという地味な書店員の内面世界で、被害妄想、家が生きていて人を飲み込んだりする。最後は、主人公ハミルトンの妻マーシャをコミュニストとして訴えた警備員マックフィーフの内面世界で実は彼自身がコミュニストで、資本主義に対して戦いを挑んでいる。
    こういった世界を遍歴して、主人公は最後に〝現実〟に戻ってくるが、赤狩りで解雇された職場を見切って、協力して困難を乗り切ってきた黒人ロウズと企業するところで終わる。ロウズは物理学の学位を持っていて、主人公は電子工学の専門家である。

    誰かの意志のなかで生きているという感覚は、赤狩りや文化大革命などを生きた人々はもっていたのかもしれないなと思う。現代のネット世論に忖度する生活を送る人々も誰かの意志のなかで生きているのかもしれない。

  • ディックの出世作となる初期長編。
    目に見えている現実が崩れていくような、ホラーじみた感覚から読者を引きずり込んでいく作風はこの時点ですでに強烈だ。主人公が目的を達するために戦いを挑む、全体としてはつかみやすいストーリー展開。ワクワクのピークはタイトル回収のところまで、中盤以降はイメージを奔放にぶちまけたような描写が続き、やりたい放題感に少し笑ってしまった。
    読んでいて思い出した映画は『インセプション』。ラストの不安感は様式美?

  • ディックの小説の中でも好きな作品になった。
    時に難解な(というか破綻している(そしてそれが魅力だったりする))他作品とは一線を画し、物語は分かりやすく、SFとしての魅力も十二分な世界観である。
    事故にあった人々の理想世界に転移していくのだが、それぞれが思う理想郷がいかに他者にとってのディストピアとなるのか、そこに宗教や共産主義、はたまた人種差別などの要素をシニカルに描くあたりがディックらしい。
    最後は後日譚の様相であるが、果たして現実に戻ったのか。よほど大きな事故にあったであろう当事者たちが元の元気な姿になるとは思えない。やはりこの世界は誰かの夢の中?

  • 陽子ビーム偏向装置が暴発し、ガイドや見学に来ていた8人が事故に巻き込まれる。意識を失い、気付いたら世界が何だかおかしい。それは8人のうちの誰かの精神世界に入り込んでしまったためだった。現実に戻るために色々な世界を彷徨うことになる。8人が協力したり敵対したり、人間関係の変化が面白い。ディックお得意の畳み掛ける様な世界変化が楽しめる。

  • 宇宙の眼 ハヤカワ文庫SF

  • ディックの小説で初めて「面白い!」と思えたし、ハミルトンはディックの小説の主人公で初めて好感を持てた。

  • 意外にも良心的な結末にちょっとビックリ(…ハッピーエンドですよね?)。
    先日読んだ「発狂した宇宙」と並び多元宇宙の金字塔と評される本書です。どちらも現実と異なる世界に迷い込み、四苦八苦するという点では同じですが、「発狂した宇宙」における多元宇宙が無限にある宇宙のひとつだとすると、こちらは極端な考え方をする誰かの意識(しかも複数)に迷い込みます。また、「発狂した宇宙」で訪れる宇宙がSFオタクの空想ものだとすると、こちらは現実の主義主張の地続きの異世界が舞台。だから甲乙つくわけではありませんが、楽観的に読み進められた発狂した宇宙に対し、不安と疑心がつきまとう本書でした。

    読み終わって改めて思うことは、ディックの作品ってやっかいだなぁということ。大雑把に物語を掴むことはできるのですが、細かなところで「なんでこんな展開?」と思うことが多くて、腑に落ちない。表面の物語に隠れたメッセージの存在を察知するのですが、どうも要領を得ない。まぁ単に読解力がないと言われればそこまでですが、やっかいだなぁと思うことしばしば。短編は解りやすいんですけどね。とはいえ、こんな悶々とすることも含めて、ディックの作品に漂う魅力は間違いなくて、だから周期的に彼の作品を読みたくなるんですねぇ。

  • 「多元宇宙」なんていう帯の言葉にヤラレて購入。これまでディックさんの本を数冊買って、なぜだか読み通せなかったけど、これは、最後までイケました。
    ところどころ笑えます。この世界の成り立ちを疑う視点や、信じきれないモヤモヤはとても大切なモンだと思ってます。
    作品としては、もっと面白くもなるんじゃないの、と言いたいような感じですけど、面白かったデスよ。

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著者プロフィール

1928年、東京生まれ。明治大学卒業。作家、評論家。女子美術大学教授。著書『マリリン・モンロー論考』『ルネサンスの肖像』『異端作家のアラベスク』『鞭打ちの文化史』(いずれも青弓社)、『ルクレツィア・ボルジア』『メディチ家の人びと』『おお季節よ城よ』ほか多数。翻訳家としても知られ、ロバート・ブロック『夢魔』(青弓社)ほか多数。

「年 『殺人コレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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