デューン 砂の惑星〔新訳版〕 中 (ハヤカワ文庫SF デューン・シリーズ)
- 早川書房 (2016年1月22日発売)
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感想 : 57件
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150120504
感想・レビュー・書評
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映画を観て、マイ生涯Bestの一冊「指輪物語」に似ていると思い、2年前の12月に(上)を読み終えた。私の2つの合格基準の1つである「物語の最初から既に物語世界は完璧に出来上がっている」という事は確認した。そして、世界が作者によって作り込まれているからこそ、本来ならば答え切ることが難しい種類の「問いかけ」がなされても、作者はこのファンタジー世界の中でなら、明確にその答えを出すことができるのである。その事がもう一つの合格基準なのであるが、(中)を読んだ限りでは、その「問いかけ」とは「世界の平和」ということになるのだろうか?未だわからない。
西暦102世紀の宇宙の彼方、既にAIは捨て去られ、その作業の多くは演算能力者(メンタート)という国に1人いるかいないかの人間に託されているようだ。ラスボスらしき(?)ハルコンネン男爵は、自国のメンタートを失ったあと、敵国のメンタートを巧妙な嘘で取り込む事を画策する。とりあえず(中)に於いては、主人公ポールの父・レト公爵を謀殺し、アラキス(砂の惑星)の統治権を得た男爵の、綱上を渡るが如き政治が描かれた。一方、惑星住民フレメンと合流したポールとジェシカ母子は、フレメン世界の思いの外の広がりと豊かさと伝統を目にし、尚且つ母子には、その持つ特異な能力が花開きつつある。というのが簡単過ぎる概略ではある。
途中何度も後世の史書であるプリンセス・イルーランの著書の一節が挿入される。これがこの物語の大きな特徴である。「銀河英雄伝説」における「後世の歴史家」の位置付けだろうか。〈未来から物語る過去〉という構造は、多くのファンタジーが採る「仕掛け」だ。ただし、イルーランはムアッディップ(ポール)の伝記やこぼれ話、談話などを著していたので、てっきり主人公ポールの娘だとばかり思っていたのだが、今回違っていたことが判明した。未だ登場していない、「あの人」の娘だったのである。これは驚きだった。だとすると、ポールの運命が突然不安定に見えてくる。ポールの未来には、プリンセスはいないのか?
(上)に於いて、この物語は、レト公爵の息子たるポールが、砂の惑星の救世主となり(そういう伝説がフレメンにも伝わっている)安寧をもたらす物語だと思っていた。しかし、イルーラン問題然り、(中)途中で、何度も予知能力を持つポールが、「予知は完全ではない」と呟くように、単なる救世主物語ではない可能性も大きくなった。
だとすると、「平和」の話ではなく、「運命」の話なのかもしれない。来年公開の映画「デューン砂の惑星パート2」の為に24年3月までには(下)を読んでおきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「神はアラキスを創りたもうた―――信仰厚き者どもを鍛えるために。―――プリンセス・イルーラン『ムアッディブの英知』より(中巻P253から引用)
上巻で、わたしはアトレイデス家の家臣として鍛えられ、中巻ではポールやジェシカとともに、砂漠の民フレメンに鍛えられました。とってもおもしろいです。
上巻では不可解な言葉・人名に困りました。助けとなったのは下巻の附録と用語集、映画などのネタバレサイトでした。
特に下巻の「附録Ⅳ アルマナーク・エン=アシュラーフ(王侯貴族名鑑より抜粋)」は、物語の全体像を把握するのに役立ちました。
最初に引用させていただいた文のなかにある人名「プリンセス・イルーラン」「ムアッディブ」が誰なのか、これを読むことでようやく知ることができました。
惑星アラキスに慣れてきたら、なぜ「香料」なのかわかりました。
「香料」は麻薬的でり、抗老化作用があり、超常的能力が得られるものでありながら、料理に使うんです。コーヒー入れたりします。その香りはシナモンの香りに似たニオイがするそうです。そして惑星全体にほのかに漂うのです。
この情報から、わたしがイメージしたのは「カレー」です。だから「香料(スパイス)」かと納得できました。
中巻では惑星アラキスの砂漠の民フレメンを中心に動いていきます。砂漠の惑星アラキスは「水」が大変貴重です。フレメンの「水」に対する徹底ぶりがおもしろいです。
宇宙空間にひろがる帝国内は希少な「香料」利権がポイントですが、惑星アラキスでは「水」に関わる生態系が注目ポイントなのでした。 -
盛り上がってまいりましたな中巻。実は読む前に映画のPart2を観に行って、逆予習をして読み始めたわけだけど、進行具合も内容(設定と言うか)もけっこう原作と違っていて、映画は映画でPart1より見せ場が多くて楽しめた。一方原作は相変わらず心の声による独白がほぼほぼで、悪く言うとのそのそと進行するわけだけど(特にお母さんのジェシカ)、それでも飽きさせない世界観があり、且つ事前に映画で映像観てるから、内容多少違えど、ビジュアルとして連想できる補完効果で、しっかり楽しめた。下巻は映画のPart3待ってるわけにはいかないので、事前に読むことになるけど、さて、どうなるのか。
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※ 本作品のレビューは下巻にまとめて記載しています。
https://booklog.jp/users/ravster/archives/1/415012051X -
面白かった〜!!!映像が先行してインプットされていたおかげで、鮮明なイメージを持ちながら読み進めることができました。
それにしても情報量の多いこと!映画化にあたってビジュアルを重視したのは英断だった、と言わざるを得ないけれど、私はこの情報たちを知ることが出来て良かった。作品への愛が増します。
ポールもジェシカも、普通の人間らしからぬ思考を隠し持っているんだよ。そしてそれがかっこいい。SFって、堪らなくかっこいい。
圧倒的な“能力”を持ってしまったポールの恐怖や葛藤の描かれ方も最高です。幸薄貴公子すぎる主人公、、。
上巻を読んでから映画館でPart1を鑑賞し、直後に購入したものの2年半も積読していた中巻でした。いざ読み始めたらあっという間だった(面白いけど堅いので、スピードがつくまでに時間を要するの、、)。
下巻こそ、映画公開前に読み終わっていたいな〜〜 -
この中巻の半分ちょっとくらいまでが、
2021年の映画で描かれていた分だった。
SF不慣れの為、読むのに若干時間がかかるが、
面白いから読み進んじゃう。
映画を観たおかげで、登場人物と演者が見た目で直結、
頭の中で整理+映像化しやすいのも一因。
疑いを持ったままの親子や家臣との人間関係、
フェイド=ラウサとハルコンネン男爵の今後、
アトレイデス家とフレメンとの関係性、
フレメンの内部の今後、
ポールとチェイニーの関係、ポール自身の今後、
プリンセス・イルーラン(まだ出てきてない)との絡み、
ジハードとは…続きが気になりすぎる。
そして、早く映画観たい!!
↑ストライキが映画公開に影響しない事を祈るのみ。
オースティン・バトラーとフローレンス・ピューが、
フェイド=ラウサとプリンセス・イルーランをどう演じるか、想像しながら読み進むめられるのが楽しい。 -
む、難しい、、、❗️
割と読解力はあるつもりなのに、抽象的すぎてわからないところ多数。
よくこれを映画にしようと思ったな、という気持ち。それと、そんなに人気が出るほど、世間の人はこの小説を理解して楽しめたのかという驚き。翻訳が難解すぎるにかしら?
読み終わるのにえらい時間と努力を要するけど、下巻にもこのまま進みます -
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圧巻
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世界観!
感想は下巻で -
デューンはハルコネン男爵の手に落ちる。公爵の後継者ポールは巨大な砂蟲が跋扈する砂漠へ母ジェシカ、砂漠の民フレメンと共に身を隠す。過酷な環境と香料の大量摂取が超常能力をポールにもたらし、フレメンの伝説の救世主ムアッディブとして歩みだす。
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映画を見たのでずっと積んでた原作を読んだ。大体この巻の真ん中ぐらいまでが映画で話が進んだ範囲。
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"フレメン"の生活や文化にかなりフォーカスされていて、新鮮な場面が多かった。またリエトはじめフレメンの夢について掘り下げられていて、水や太陽と生き物(動物植物)の関係性や日本みたいな人間が過ごしやすい環境ではない世界に想いを馳せることができて面白かった。
フレメンにこれだけページを割いているからどういうふうに下巻に繋がっていくか、ジハードは本当に起こされるのか、展開が楽しみ。ハルコンネンや皇帝についてはいまだあまり掴めなかった。
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上巻ほどの疾走感は無いけど、変化の途上をちゃんと見えるようにしてもらってる感じでとても良い。
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2022/04/11〜2022/07/07
いつも小説を読むときは文字情報を追いかけるだけだが、映画を観たことで各キャラのビジュアルイメージが鮮明に刻み込まれているだけに非常に画が浮かぶ作品だった。
最も複雑なボードゲームと称された囲碁ですら人間の最上位の碁打ちをAIが打ち負かす現代においては、人間が機械に勝るという思考そのものが失われている。
しかし本作の1作目が発表されたのは1965年。
メンタートや教母など、人間という存在が担うには余りにも大きすぎる情報の処理を担わせているところに時代感を味わうことができる。
同時に、現代に生きる僕にとって本作は「人間讃歌」の風合いを強く感じた。 -
中巻は上巻より読みやすく、ぐいぐいとDUNEの世界に溺れる。
フレメンの儀式や文化が興味深い。
下巻が楽しみ! -
フランク・ハーバートによるSF大河、第2巻。
ハルコンネン男爵による奇襲から辛くも逃れた、ポールとその母・ジェシカ。惑星アラキスで産出される香料メラジンの効力で、"未来の可能性"を"視る"ことが出来るようになったポールは、「アトレイデス家を旗印に、狂信的で戦火と流血に塗れた宇宙規模の"聖戦"が繰り広げられる未来」を目にする。「そのような未来は何としても避けなければならない」――――決意するポール。
砂漠の民・フレメンと合流する道筋を"視た"ポールは、母・ジェシカとともにフレメンの居住区を目指し、過酷な砂漠地帯を進む中、フレメンの一団と遭遇する。慣習も価値観も全く異なる彼らに認めてもらうため、様々な"試練"に挑むポールとジェシカ。その行方は――――。
本巻では、前当主である父・レトの死を受け、新たに当主(公爵)となったポールとその母・ジェシカが、砂漠の民・フレメンの助力を得るため、フレメンの一団と合流し、その中で地位を確立していく様子を中心に描いている。砂漠に覆われた過酷な環境下に身を置くフレメンの、独特な慣習や価値観に惑いながらも、磨き上げられた武術、"読真師"<ベネ・ゲゼリット>仕込みの特殊な話術と鋭い洞察力、そして"未来の可能性"を"視る"力を見せることで、伝承にある救世主"リサーン・アル=ガイブ"として、フレメンらに受け入れられていく。
本巻は、「強大な敵に敗れたヒーローがリベンジするための準備期間」にあたるので、大規模な戦闘シーンはお預け。人によっては少々退屈な場面になっているかもしれないが、これがあるからこそ次に待ち構えている壮大な反攻劇が映えるのである。ここは辛抱の時間。
さて、次巻は決着の最終巻。フレメンを率いてハルコンネン男爵家にリベンジすることになると思うのだが、果たしてポールは、「アトレイデス家を旗印に、狂信的で戦火と流血に塗れた宇宙規模の"聖戦"が繰り広げられる未来」を阻止することができるのか―――。
著者プロフィール
フランク・ハーバートの作品
