デューン 砂の惑星〔新訳版〕 下 (ハヤカワ文庫SF デューン・シリーズ)

  • 早川書房 (2016年1月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150120511

みんなの感想まとめ

緻密に練られたストーリーと圧倒的な世界観が魅力のこの作品は、読者をポール・ムアディップと共に旅する感覚に引き込み、まるで歴史を追体験しているかのような錯覚を与えます。下巻では物語が一気に動き出し、主人...

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み終えた。新作映画鑑賞から約半年、当初の予定からは遅れたが、とっても満足した。映画を見た人は原作も読んだ方がいい。マイオールタイムベストファンタジーである「指輪物語」に匹敵するSF小説になった。

    (中)で延々と描かれるハルコンネン家の権力争いは、単なる前振りに過ぎなかった。映画のクライマックスで描かれる戦いの場面はほとんど無視される。重要な人物の死も活躍も、尺の関係か映画では描かれていない。映画は素晴らしかったが、なんかもう、もう一度映画化してもらいたいとさえ思う程、原作には未だ映像では描かれていない多くの要素がある。全然詳しく描かれてはないけれども、この9800年間に及ぶ(地球発祥の)人類の歴史を垣間見たことは、ドキドキする体験だった。

    そして(下)の圧巻は、(知らなかったので歓喜したが)3篇の「この時代」に関する「後世」の論文と、「指輪物語」に匹敵する「用語解説」である。
    レディ・ジェシカの生年没年を明らかにしたり、アリアの没年を明らかにしていなかったり、もう、それだけで想像が掻き立てられた。当然未だ物語は続くので、ポールの人物紹介などは出てこない。

    期待していた「平和とは何か」とか「運命とは何か」とかいう、(ファンタジー或いはSFだから開陳可能な)究極の答は、けれども(下)には展開されない。まだ物語は続くからである。

    (下)は、本の半分近くで物語は終結するが、安心してください。3冊の中でもっとも起伏に富み、かつ哲学的だった。世界三大SF雑誌「ローカス」の、12年ごとに行われるオールタイムベストで、4回とも本書が常に一位に輝いたという。おそらく今年の発表でも、「三体」はこの牙城を崩すことは叶わないだろう(←あとで調べると前回からベストを20世紀と21世紀とに分けていた。これなら今回も問題なく本書が一位になる)。

    以下マイメモ。(スルーしてください)

    息子は〈クウィサッツ・ハデラック〉──いちどきに多数の場所に遍在できる存在にほかならない、ということだ。ポールはまさに、ベネ・ゲセリットの夢を体現する存在だったのである。(略)「ひとりひとりの人間の中には、太古からふたつの力が存在する。奪う力と、与える力だ。男の場合、奪う力が宿る場所を認識するのはそうむずかしいことじゃない。が、与える力が宿る場所を認識するのは、男ではないものに変わらないかぎり、ほぼ不可能事だといえる。女の場合、この状況は逆になる」  
     ジェシカは顔をあげた。チェイニーがポールのことばを聞きながら、自分を見つめていた。「いまいった意味、わかりますね、母上?」ポールがたずねた。 ジェシカにはうなずくことしかできなかった。(略)「そして、あなたは、息子よ──」ジェシカは問いかけた。「──あなたはどちらなの?  〈与える者〉なの、〈奪う者〉なの?」「その中間に位置する者です。奪わずに与えることはできず、与えずに奪うことはできない……」
    ←当時は男性は奪う者、女性は与える者という概念が一般的である、ということを前提に会話が成立している。半世紀経って、この概念そのものが崩れつつあるということを作者も予想していなかったのだろう。そして究極の預言者(?)になったポールは、その中間に位置するという。

    「香料がなくなったら、ギルドの航宙士はもう、なにも見えなくなってしまうんですよ!」  チェイニーはようやく声を出せるようになった。
    ←(下)に至って、ようやく大宇宙航海時代における、コンピュータを介在しない時代の航海の方法が明らかになる。砂の惑星の香料に、そういう決定的な役割があるとすれば、確かにこの大宇宙を統べる決定的な契機になるはずである。(下)になって初めて、惑星地上での戦いのみでなく、既にギルドの戦隊が惑星周りに集結していることも明らかになる。なかなかドキドキする展開である。

    「なにが使用の禁だ!」ポールは怒鳴った。「領家の連中がたがいに核兵器を使わないのは、禁止されてるからじゃない、怖いからだ。だいたい、〈大協約〉にはっきりと書いてある。〝人類に核兵器を使用する者は、惑星ごと消去されてもやむをえない〟、とな。おれたちがこれからやろうとしているのは、〈防嵐壁〉に穴をあけることで、人類に使うわけじゃないだろうが」
    ←執筆当時、核兵器が究極の兵器だった。9800年の間に、おそらく惑星ひとつ(地球?)が消滅する様な悲劇を経ての〈大協約〉なのだろう。それが数千年間守られていることに、どういう悲劇があったんだろ?と想像は広がる。でもね、〈防嵐壁〉を破壊した時、大砂嵐で放射能はハッキリ皇帝側に吹きつのったのだから、あのとき「全員」が被爆しているんですよ。

    (左腰だったのか!  欺瞞の中の欺瞞の中の欺瞞ということか)  ベネ・ゲセリットの修業がものをいい、反射的に筋肉が動いて難を逃れはした
    ←物語は、戦争ではなく、この個人的決闘をクライマックスに置く。小説と映画の違いではある。面白いのは「◯◯の中の◯◯の中の◯◯」という描写が数回使われていること。裏の裏の裏をかく、という「戦闘技術」が、「コンピュータが否定された」とき洗練される時代になるだろう、という世界認識は、それはそれで教訓的だ。

    やがて〈バトラーの聖戦〉が勃発し──二世代にわたる混沌がつづいた。その結果として、機械と機械論理の神は大量のガラクタの山に投げ捨てられ、ここに新たな概念が興隆した。すなわち──。〝人類がなにものかに取って代わられることを看過してはならない〟  (論文「デューンの宗教」より)
    ←遂に「バトラーの聖戦」が、どの時代に起きたのか、見つけることはできなかった。その詳しい内容もわからない。けれども、この物々しい書き方そのものが、私的にはツボ。

    ベネ・ゲセリットの人類血統改良計画は、選択的な婚姻を通じて、彼らが〈クウィサッツ・ハデラック〉なる名称で呼ぶ人間を生みだすことを目標とするものである。この名称は、〝同時に多数の場所に存在できる者〟を意味している。もっとわかりやすく表現するならば、彼らの目的は、〝より高次の次元を理解し、利用しうる、強大な精神パワーを持った人間を生みだすこと〟にあったといえる。(論文「ベネ・ゲセリットの動機と目的に関する報告書」より)
    ←ポールが〈クウィサッツ・ハデラック〉になるというのが、「砂の惑星」の簡単な粗筋ではあるのだが、結局〈クウィサッツ・ハデラック〉とは何者なのか、はとうとうハッキリしない。その辺りが本書の"面白さ”でもある。

    【用語集より】
    〈産砂〉──〈小産砂〉 Little Maker    半植物半動物の深砂棲息性媒介生物。アラキスの砂蟲はその最終形態。〈小産砂〉の排泄物が前香料塊となる。
    ←ここにやっと、「風の谷のナウシカ」における王蟲登場に多大な影響を与えた「砂蟲」の正体が明かされる。「王蟲」は死んで、環境を浄化するものたちだったが、「砂蟲」はその排泄物が「香料」をつくる。正反対である。

    保水スーツ Stillsuit    アラキスで開発された、全身をすっぽり包みこむスーツ。スーツの生地はマイクロ・サンドウィッチ構造になっており、体熱を外に放散するいっぽう、排泄物から水分を濾過・蒸留する機能を持つ。回収された水分は、蓄水ポケットに蓄えられ、チューブで飲むことができる。
    ←「砂の惑星」の秀逸なオリジナル機械。マイクロ・サンドウィッチ構造って。

    ムアッディブ Muad' Dib    アラキスに適応した小型のトビネズミのこと(地球が原産)。フレメンの〝大地の精霊〟神話は、アラキス第二の月の月面にあるトビネズミ様の模様と結びついた。大砂原における生存能力の高さから、トビネズミはフレメンが敬意を捧げる対象となっている。
    ←ポールの別称。「トビネズミ」は実際、地球上に存在するらしい。こういう「設定」大好き。

    バトラーの聖戦、Jihad, Butlerian    (「大反乱」の項も参照)コンピュータ、思考機械、自意識あるロボットに対する聖戦。 BG二〇一年に勃発し、 BG一〇八年に終結を迎えた。当時の戒めは、つぎの形で『オレンジ・カトリック聖典』に残っている。「汝、人心を持つがごとき機械を造るなかれ」」
    ←「BG」って何?約100年間続いた、大きな「戦争」だったわけだ。誰かこれを小説化してくれないかな。

    演算能力者 Mentat (メンタート)   帝国の市民階級のひとつ。きわめて高度な論理演算ができるように訓練された者たち。別名〝人間コンピュータ〟。
    ←私の好きな「設定」の一つ。



    • けよしさん
      kumaさん
      こんにちは♪

      とっても面白そうです。ぜひ読んでみたいです。
      わたしが興味を持ったのは、些末なことで申し訳ありませんが...
      kumaさん
      こんにちは♪

      とっても面白そうです。ぜひ読んでみたいです。
      わたしが興味を持ったのは、些末なことで申し訳ありませんが、「香料」です。ちょっとびっくり、田崎信也氏も困惑するのかな、などと思ってしまします。人間コンピューターもいい感じですけど。
      死ぬだいぶ前に読みたいです(^^)
      2024/09/24
    • 土瓶さん
      超大作ですね。手を出してみたい気持ちも半分。恐れも半分。
      でも俺にはハードル高いかな~。
      SFはあんまりピンとこないほうだし。
      いつか...
      超大作ですね。手を出してみたい気持ちも半分。恐れも半分。
      でも俺にはハードル高いかな~。
      SFはあんまりピンとこないほうだし。
      いつか、そのうちに……、がんばろう。
      2024/09/24
    • kuma0504さん
      おはようございます。

      けよしさん、コメントありがとうございます♪
      香料は、普通の香料じゃなくて、麻薬みたいな役割も持つし、書いた様に摂取す...
      おはようございます。

      けよしさん、コメントありがとうございます♪
      香料は、普通の香料じゃなくて、麻薬みたいな役割も持つし、書いた様に摂取すると超人的な機能も持つ様になる特殊なものらしく、恐ろしく高価で、あのハルコンネン家がアトレイディス家を騙し討ちにして権益を奪い取ったのもムベなるかな、です。

      土瓶さん、
      「指輪物語」が好きな人ならば、きっと好きになる。でも、あれが退屈ならば、難しいかも(^。^;)。
      2024/09/25
  •  いよいよ反撃開始!おもしろい~!惑星アラキスの周りの宇宙空間には大艦隊が集結!地上では決着をつける戦いがはじまります。よッ!元祖スターウォーズ!
     そんななかで予知能力をもつポールは、帝国宇宙全体を巻き込む破滅的な「聖戦」を避ける道を探ります。

     物語は、今から約8000年先の未来が舞台ですが、そこから更にちょっと未来の歴史家が振り返る、という構図です。だから未来のお話でありながら、歴史ものになっています。
     その、歴史の振り返りが、上中下通して各場面の冒頭に書かれている歴史書からの引用です。そして、その歴史書を書いたのがプリンセス・イルーランなのです。
     プリンセス・イルーラン、どんだけ歴史書や本書くねんと思っていました。下巻になってようやく本人登場し、本を書きまくった真相があきらかに・・・涙です。

     わたしがこの本を選んだ理由のひとつである「演算能力者(メンタート)」(別名人間コンピューター)もでてきてがんばりました。
     上中下通して、演算能力者はわたしが思ってたのとはちょっと違ってました。
     読む前、わたしは5人くらいの集団で(マルチCPU)、アニメの一休さんみたいに考え(ポクポク)、電話でFAX受けたときみたいな「ピ~、じぇ~ピーガが~」みたいな音声でデータをやり取りすると思ってました。
     しかし、文章で読むかんじでは、ホントに考えてるんだかよくわからず、普通の諸葛孔明的存在でちょっと残念。演算結果の文字が、ひたいに浮かび上がるくらいやってほしかったです。

     最後になりますけど、物語の重要設定にもふれておきたいです。
     それは、思考機械(AI)の支配に対する人類の大反逆(バトラーの聖戦、約100年間続いた)です。人類はかろうじて勝利しました。「考える」とは何かは置いといて、以後AI禁止の宇宙世界になります。その流れから演算能力者など、人間能力を拡張したひとたちが登場するようです。
     用語集にバトラーの聖戦は、BG201年からBG108年、と書いてあります。この「G」が何か、何時なのかわかりません。わたしは、おそらく帝国の始まりに関わるものだと思います。
     また、下巻P310「附録Ⅱ デューンの宗教」の「航宙!」はじめの「深宇宙をゆく人類の行動は、〈バトラーの聖戦〉に先立つこと110世紀間というもの、・・・」とありますが、「110世紀間」は長すぎでは?
     一方、「魔女」と呼ばれる女性集団ベネ・ゲセリットは、2000年間くらい極秘計画を進めているようです。ベネ・ゲセリットもバトラーの聖戦後にできた組織のようです。これで考えると、わたしは大変大雑把ですけど、2025年から5000年後の7000年前後にバトラーの聖戦が起きたと推察しました。

     かようにいろいろ楽しめる本でしたよ。

    • スパチカさん
      デューンの世界観、最高ですよね。高校生の時ハマって読んで、当時の文庫がまだ手元にあります。なんと石ノ森章太郎の装丁です。
      ちなみに、このシリ...
      デューンの世界観、最高ですよね。高校生の時ハマって読んで、当時の文庫がまだ手元にあります。なんと石ノ森章太郎の装丁です。
      ちなみに、このシリーズの映画 DUNE はご覧になりましたか? 原作に忠実でとてもいい出来です。よろしければぜひ見てみてください!
      2025/01/18
    • けよしさん
      スパチカさん
      コメントありがとうございます♪

      映画みてないんですよ~、ぜひみたいです!
      ドラマだと、みてから原作読むと楽しめないこ...
      スパチカさん
      コメントありがとうございます♪

      映画みてないんですよ~、ぜひみたいです!
      ドラマだと、みてから原作読むと楽しめないことがありますが、この本は映画みてから読んだほうがいいとおもいました。
      何しろ、この人たち何言ってんだろうと、思うことが多くて困りましたので。特にポール、ジェシカ関係ですね。
      そういう意味では、言ってることが分かりやすいハルコンネン男爵が好きです。
      スパチカさん、高校生で読まれているのはすごいですね。
      わたしだったら無理です。投げ出してました。
      年取ってからでも、読めてよかったです。
      2025/01/18
  • 緻密に練られたストーリーと世界観は最高でした。
    さらに、人間の普遍的な部分についても考えさせられる所も多く、何度も読みたい本のうちの一つで間違い無いでしょう!!

    個人的には下巻巻末の「附録」から先に目を通すと内容が入って来やすいかと思います。自分はそうしました。

  • 『デューン砂の惑星』新訳復刊 早川書房70周年 - TOPICS - webDICE
    http://www.webdice.jp/topics/detail/4632/

    「デューン 砂の惑星」石ノ森章太郎版の話 - 白亜森音楽雑感+
    https://hakuasin.hatenablog.com/entry/2018/12/30/040758

    デューン 砂の惑星〔新訳版〕 下 | 著訳者,ハ行,ハ,ハーバート, フランク | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013135/author_HAgyo_HA_2889/page1/order/

  • 盛り上がってまいりましたの三部作下巻完結編。正直独白ばかりであまり物事が動かない上中巻に、面白いながらも飽いてきた感否めない状態からの読書開始だったものの、下巻は一気に物事が動き始め、あれよあれよと主人公ポール・ムアディップが救世主に上り詰める過程を、飽くことなく堪能できる(基本線は同じものの映画DUNE2はかなり内容を精査して、時系列や設定を変えてでも映画用に再構成して成功をおさめていると思える)。巻末には惑星アラキスの歴史やデューン世界の宗教史、用語集など、歴史書さながらの付録が付いていて、世界観の徹底ぶりに笑ってしまった。そして忘れてはならないのが、これが55年以上前に刊行された作品ということ。すごすぎる。
    続編も読んでみよう。

  • 圧倒的な世界観!これぞSFの金字塔!
    あまりに緻密に練られた設定だったので、単に本を読むのではなく、まるでポールと一緒に旅をしており、史実を追体験しているかのような錯覚に陥りました。

    そして何より個人的に刺さったのが欲望渦巻く権謀術数の世界!
    様々な作品で描こうとされるものの、一歩設定を誤ると浅い印象を与えかねない諸刃の剣という認識があったので、変に冷めてしまわないかドキドキしながら読んでいたのですが・・・これだけ熱狂的な人気を博している理由を垣間見た気がします。

    ただ、この物語は設定が深すぎるが故に、初めて読む人には少々難解に感じられるかも。。。実際、自分は設定を理解するまで、「???」となる瞬間が何度もあったので、下巻巻末の付録を見ながら読み進めることをお勧めします・・・笑

  • 矢野徹氏が翻訳した旧版を中学生の時に読んで、途中で挫折した記憶がある(^_^;「デューン砂の惑星」。酒井昭伸氏の新訳が登場したので、わくわくしながら発売日に上中下巻買い揃えました。長い話だけど、読み始めると本当にあっという間。
    いやー、おもしろかった!

    良いところのお坊っちゃんが地位を追われて他郷を彷徨い、不遇の状況の中で新たな力を身につけて、最後は英雄となって敵を倒す。
    エッセンスを思い切り要約すると要はそういう話で、典型的な貴種流離譚にして復讐譚。物語のフォーマットとして、本当に昔っからある「よくある話」です。

    SFの古典的名作として名高いこの作品、「生態系SFの先駆け」と評されたり冒頭から独特なジャーゴンの嵐が説明無しに飛び交いまくったりして、SF初心者にはちょっとハードルの高いイメージがあるかもしれません。が、ストーリーの根幹は先に述べた通りの大時代的なよくある話ですので、わからないところは少々飛ばし読みしつつ「血湧き肉踊る冒険譚」としてシンプルに楽しんでしまえばこんな面白い作品はなかなかないですよ!数多い登場人物(メインキャラだけで何人いることやらヽ( ´ー`)ノ)の個性極まるキャラ立ちぶりも素晴らしい。

    もちろん、全球がほぼ不毛の砂漠に覆われている惑星アラキスになぜ酸素が大量に存在し、動物が問題なく活動できるのかという生態学的な世界構築のユニークさ、機械に頼らず人間自身の精神力を極限まで高めることで繁栄を極めた異形の未来社会のグロテスクな魅力、意識の拡張を爆発的に押し進める「命の水」をはじめとする精神世界のサイケデリックな描写(作品の発表時代に鑑みて、ヒッピーのドラッグ文化の影響も感じ取れます)といった、SFならではの世界観とガジェットを深く堪能する楽しみ方もできます。誰が読んでもその人なりの視点で楽しめる、一大エンターテインメントだと思います。

  • ずっと読みたかったけど敷居が高かった。
    新訳なので読んでみたら映画のおかげもあって
    びっくりするほど読みやすくて分かりやすかったです。
    でもあれだけみんなが絶対と思っているユエの炎の良心をどうやって
    ハルコンネンが解いたのかとか、
    どんなふうにポールは産砂を殺して水を得たのか、とか
    ポールの息子はどうやって亡くなったのかとか
    ハワトはいかにして自分の間違いに気づいたのかとか
    ベネゲセはクゥイサッツ生み出してそれで何がしたかったのかとか
    描いてないのがもどかしかったです…とりあえず続編読むわ。


  • ポールの成長と覚醒が凄まじい。
    そしてこの上中下でストーリーは終わらない(知らなかった)。

    しかし、原作が書かれた当時、この想像力は圧巻。
    附録が凄い。
    ストーリーの中での世の中のバックグラウンドが
    ワード解説とともに語られている。
    解説と翻訳者によるあとがきもおもしろい。

    ハリウッドのストの煽りを受け、
    DUNE: PART TWOの公開が来年になりそう…で、
    読むモチベとスピードがダダ下がり。
    ミッションインポシブルを観に行った時映画館で、
    フル IMAXのDUNE2の予告編を観て読む気を取り戻す。

    映画はどう・どこまで描かれるのか、楽しみすぎる。
    続編『砂漠の救世主 上下』は恵比寿有隣堂に取り寄せ依頼。

  • 読み始めてからやや時間をおいてしまった。

    異惑星の壮大な叙事詩。SF大作。その世界観、設定に魅了された。
    やや回りくどい説明も、古典作品として味わうべきか。

  • 惑星アラキスをめぐるハルコンネン家とフレメン家との争い。未知なる惑星に水が無く、大嵐もあり、震動もある。しかしこのSFの世界はいずれ我々が住める世界となるとわくわくしてくる。55年前に書かれたことに驚く。素晴らしいものを読んだ気がする。

  • 最後まで読みやすかった新訳版。
    旧訳版を読んだときに、終盤の「そんなことはいうものか」のくだりが今ひとつ理解しがたかったのですが、新訳では「そんなことば、いってたまるか」になっており、前後の文脈も分かりやすくなっており、すっきり理解できました。
    解説では「指輪物語」が挙げられていましたが、異世界の構築という意味では、本書はファンタジーに近いものなのかもしれません。
    そう考えると、ベネ・ゲセリットのやっていることは魔術的だし、砂蟲という巨大怪獣や、ヨーロッパ中世風の封建制度も、剣と魔法の世界の方がフィットしそうではあります。
    ただ、そうした舞台装置に科学的な(あるいは科学っぽい)裏付けを与えるべく、緻密に設定を考えているところが、ファンタジーとの差なのでしょう。

    そういえば、映画版デューンを撮ったヴィルヌーヴ監督が、「スフィル・ハワトの出番は泣く泣く全カットした」(意訳)と言っていましたが、たしかに本巻終盤のスフィル・ハワトに関するエピソードは、ほろりとするもので、カットするのは惜しいように思いました。
    ただ、タイトルは忘れましたがある映画のDVDのオーディオコメンタリーで、某監督が「気に入ったシーンをカットできるようになったら監督として一人前」というようなことを言ってましたので、スフィル・ハワトが出てこない方が、映画としての完成度が上がったということなのでしょう。

  • 独特な文化圏を持つアラキスとフレメンたちを知ることが、実在する部族で暮らす人々の文化を知るような体験に感じ他の小説にない貴重な経験だった。SF要素の他、宗教観についても説明が細かいが、博識な作者の知識に追いつけず意味は理解できなかったが雰囲気は楽しめた。全ての設定説明がしつくされた後半は文章はすっと頭に入ってくる。だが後半は唐突に終わった感がある。

  • 人類文明が大宇宙に広がる遥かな未来。
    思考機械、超コンピュータ群への従属を良しとしない【バトラーの聖戦】を経て幾星霜、人々は中世的な社会の中で、機械に頼らず自らの肉体精神性を拡張した文明を築いている。
                   解説より抜粋

    もうこの設定に痺れてしまった。
    人類の歴史は何周もして、遥かな未来では中世的な世の中になってしまうのか。
    そこで起こっているのは、利権をめぐる戦争であり民族への弾圧である。高度な武器は高度なシールドに阻まれ使い物にならないし、巨大な砂嵐や凶暴な生物の前で人々は、息を殺してやり過ごすしかない。そしていつの世もヒーローの出現を待つのだ。

  • 読了。結局そうなるかぁって感じで、続編も読みます。

  • フレメンの一員と認められたポールは、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場となっていた。ポール指揮下のフレメンの復讐の時は来た。Duneの管理権を巡り、皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れふたたび惑星へと降り立つ。

  • 映画(前編)を見た後に読み始めた下巻。
    下巻は上中巻に比べて展開がダイナミックで読みスピードも自然と早まった。大きく期待を裏切られるような結末ではないが、細かく描かれた世界観にひたってストーリーを追うことや、生態系や権力闘争や宗教に想いを馳せるのを楽しむような作品だなと思った。

    上中巻で登場するもあまり正体が明らかにされていなかった人物たちを知っていくのが面白いし、散り散りになったアトレイデス家に属する人々の今も知れて、特にモヤっとする点が残るようなことはなかった。最後の付録も、ストーリーの中では盛り込めなかったであろう背景や用語を説明していて、読みがいがある。

    ようやくポールと皇帝が同じ地に立っている場面を見れた(読めた)のは嬉しいポイントだった。

    また優生学的な要素(おそらくわざと描いたんだろうが)や女性たちへの認識、帝国の統治など21世紀では良くないとされてることもこの中では当たり前なこととして進んでいくが、それもある意味、異世界にひたれる要素のひとつであるし、ふっと離れて見た時に考えさせられる。

    アラキスの生態系については、おぉ〜〜!とワクワクすることが多く、文明はすごいという浅はかな感想しか言えないくらいには、フィクションに科学を取り込んでいて、とても面白かった。

    世界観は本当によく作られている…と思う。

  • 映画の鑑賞後に読了。
    映画は中巻の真ん中辺りで終わっていたので以降はネタバレ。
    それでも映像化を期待しています。
    SFとしても、サーガ物としても読めてとても面白かった。

  • 何度も第一巻の途中で挫折していたけど、やっと読み終えた。それもこれもヴィルヌーヴのDUNEのおかげです。イルーランによる聖典の抜粋が各章の冒頭にある形で、ある意味結果が分かっている(ポールは死なない、または死んでいたとしても崇められている)最後まで読むと、イルーランが不憫な気持ちにはなる。ここに拠り所を見出したのだなあ…。ポールの全部持ちのヒーローというところや、ギルドのあり方とかなんかもう全ての宇宙SFの大元だった。ただやっぱり何だか読みづらい…。褥「しとね)とかルビ振っておいて…。

  • 年末年始になると、番組表ぶち抜きの「大河ドラマ」が目に付きますよね(最近減ったかな)。

    もちろんテレビ局の「大人の事情」もあるだろうけど、きっと変わり映えしない一年の締めくくりにはスケールの大きな物語で視聴者の心を「リセット」して、来る年への希望を目覚めさせるのでは……なんてね。

    ならば、この物語は絶好のリセット「ドラマ」です。

    新人類としての力を持った主人公が、虐げられてきた種族が持つ救世主への願望を背景に、砂漠の惑星アラキスを舞台に戦いを繰り広げ、新しい時代へ扉を開こうとする。
    宗教、政治、権力、武力、愛情、などなど幾重にも織り込まれる登場人物たちの思惑が、壮大なスケールを背景に爆発するも、本筋はわかりやすい冒険劇としての面白さが満点。
    もちろん、宗教問題、レイシズム、マイノリティ問題、SDGSなど、あれこれ考えていただくのに素材はたっぷり提供されているけど、やはりここは純粋に楽しむことが一番。

    まるで、宇宙スケールで描く戦国時代的冒険大活劇なんだから(最上級の誉め言葉です!)

    ハヤカワSFマガジン12月号にフランク・ハーバード「砂の惑星」シリーズ全編のあらすじが掲載されています。この物語の伏線回収を希望する方は、目指せ全篇読破!(ガンバって~)

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著者プロフィール

『デューン 砂の惑星』とその続編5作品の著者。『デューン 砂の惑星』は40を超える言語で出版され、2000万部を売り上げ、映画化・テレビシリーズ化された。また『デューン 砂の惑星』はSF小説の中でオールタイム・ベストと称される作品のひとつであり、このシリーズはその後のSF作品の原型であると広く考えられている。1986年の逝去により、デューンの物語はいったん未完で中断した。

「2024年 『デューン 砂の惑星 グラフィックノベル2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フランク・ハーバートの作品

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