紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

制作 : 伊藤 彰剛  古沢 嘉通 
  • 早川書房
3.91
  • (59)
  • (57)
  • (43)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 716
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150121211

作品紹介・あらすじ

第一短篇集である単行本『紙の動物園』から、母と息子の絆を描いて史上初のSF賞3冠に輝いた表題作など、7篇を収録した短篇集

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 理系理系していてるネタ料理SFで、こういうの読みたいよねうんうん、と好感。ニューディール政策でアメリカ国内を振興するのではなく、太平洋トンネルを建設していたらという話が、まるっきりフィクションなのにおもしろかった。

  • SFっぽくない表紙の雰囲気に惹かれてのジャケ買いだったのですが、予想以上に自分好みの短編集でした。

    7編の短編はいずれも、中国で生まれ少年時代にアメリカに移住した著者の文化的背景が感じられる作品です。
    SFというよりはファンタジー要素が強い感じでした。
    強い印象を残す表題作や「文字占い師」もよかったですが、個人的には「結縄」がとても印象的でした。
    アジアの奥地の村に伝わる結縄文字と最先端の医療研究がつながる過程に静かな興奮を覚えます。
    その一方で、村長と若き白人研究者とのあいだに育つのではないか、いや育ってほしいと期待していた友情がしおれていく結末の、怒りにも似た寂しさ。
    やり場のない切なさに、しゅんとしてしまいます。

    また、「心智五行」は短い中に映画のようなエンターテイメント性がつまっていてわくわくしました。
    主人公の最後の一言が心にくい。

    本書は単行本を2冊に分冊刊行したうちの1冊とのこと。
    もう1冊もぜひ読まねば。

  • 表題作がグッときた

  • 訳あってSF系の視野を広げたい意欲があったので、今の拙者は勧められたものをなんでも手に取る侍。
    SFってやっぱり、科学だのなんだのっていうサイエンスな知識があることでより楽しめる分野だと思っていて、生まれも育ちも文系でしかない自分の身近なジャンルではないという自覚はあるんですよ。でも、世に言わせれば君の名は。だってSFだそうじゃないですか(一番好きな映画ね)。そうなってくると、何となくでしか意味を飲み込めないカタカナと漢字の羅列に終始する、理屈だらけの物語に顔をしかめてしまう自分みたいな学のない人間でも、楽しめるSFってのはきっと世にいくらでもあるはずなんですよ。本格SF派の人から見てカジュアルと表現されるようなものこそ、自分との相性がいいと思っている。そのうちの一冊が、まさにこの本でした。
    最初に「紙の動物園」を読んだ時に、確かに理系じゃなくても楽しめる系SFだとは思いつつ、今度は中国が辿ってきた歴史の知識が必要じゃねえかって思い知りました。中国と台湾の関係がどうだとか、そういうのも今日まで生きてきて全く知らなかったので、こういう機会を得ることで、学びの意欲に繋がるってのはとてもいい連鎖だと思う。
    自分が惹かれたのは表題作よりも「愛のアルゴリズム」と「文字占い師」だった。前者は自分の思うストレートなSFで、内容も好き。そして何より後者。この短編集のラストを飾る「文字占い師」は今作の中で一番好き。ボロボロに泣いた。それだけなら星5をつけたいくらいに感情を揺さぶられた。漢字の成り立ちに興味を惹かれ、登場人物達の心温まる関係性に惹かれ、と思いきや……。主人公の女の子が放つ最後の一言がたまらない。
    フレーズ機能に、「せめて自分はこういう言い訳を口にしないで生きていきたい」という思いを込めて残しときます。大人になったらそういう場面って山ほどあるけど、口に出したくはないよ。
    この物語がSFというジャンルの枠に入るのなら、だいぶ救われた気持ちになれる。てか野球絡めてくるのズルいでしょ……好きなんだって……。

  • ケンリュウさんの作品はどうしてこんなに愛しいんだろう。読後に引きずるような重いテーマを、リアルに、だけど優しく描いてくれる。考えるんだ。SFはもはやSFじゃなくて現実だということを教えてくれる。宝物。

  • 著者の名前に親近感が湧いたので購入したのが、私の趣味にぴったりと一致したので嬉しい驚きとなりました。
    少しの不思議と強い郷愁、切なさに心を大きく振るわせられた表題作や、今現在の仕事との個人的なオーバーラップがあって興味深かった「月へ」などが非常に面白かったです。

  • 中国、アメリカ、少しだけ日本。SF、ファンタジーの形をした物語の中に、相容れない文化感をふんだんに盛り込んでて少しだけ、寂しくなった。アイデアとしては、学術論文を引用した「結縄」「心智五行」がなるほど、と感じさせてくれて良かった。

  • 予備知識なく、ハヤカワ文庫SFっぽくないタイトルと表紙につられて購入した短編集。

    著者は1976年中国生まれ、パロアルト育ち。ハーバードを卒業しマイクロソフトで勤務したのちにハーバード・ロースクールを卒業したという経歴。

    どの話も簡単に読めるショート・ストーリーだけど、世界観や視点が独特なものとなっている。それぞれの物語の終わりを過度に引っ張りすぎることなく、その後の展開を読者が想像することとなる。この本に収録されている話のほとんどが、中国・アジア・漢字といったアジア要素を取り込んだサンエンスフィクション物語となっている。

    別の単行本も読んでみたい。

  • SF界で話題のケン・リュウ、読んでみたいとずっと思っていた本だったけど… わたしにとっては期待はずれでした。(やっぱりSFとか奇想系は好みじゃないんだなぁ)

    表題作の「紙の動物園」はとても良かった…!空想の世界が美しく映像的だし、ラストは涙が出た…のだけど… うーん、暗い話が多いからかほかはなかなか読み進まず、全体的にはいまひとつ好きになれずに終わった。

    中国系としてのアイデンティティの発露は良いのだけど、悲劇が前に出すぎると読むのがしんどい。

  • 大泣き。素晴らしい短編集。

全80件中 1 - 10件を表示

ケン・リュウの作品

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)を本棚に登録しているひと

ツイートする