- 早川書房 (2017年4月20日発売)
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感想 : 22件
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784150121228
作品紹介・あらすじ
地獄の扉が開き、希代の犯罪者たちが逃亡した時、ヒトラーは……表題作ほか、SF界のレジェンドによる本邦初訳を含む全13篇を収録
感想・レビュー・書評
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内容的にはSFとダークファンタジーが半々といったところか。絶望したり、反発したり、どこかもの寂しいあるいは満足感がにじむ余韻を残したりといろいろで面白かったが、圧倒的な暴力もさることながら、理不尽なものに抗おうとする内なる熱量に気圧された。また、中にはとても美しい場面があり、残酷なシーンさえ鮮やかで惹きつけられた一方、表題作等に見られるような神性の否定的な描き方が興味深かった。
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作品全体を通して、風刺や皮肉、怒りや苦悩を感じさせる短編集。
SFで有名なハーラン・エリスン作品なのだが、あまりSF感は無く、サスペンス色が強かったり、ダークファンタジー風だったりと、飽きさせない。
特に「バシリスク」は理不尽で暴力的だが、不思議なカタルシスを感じた。 -
1957年から87に書かれた作品が発表順に掲載されている。
エリスンを読んだのは初めてだけれど、解説にあるように、どれも理不尽なものに対する怒りと絶望が伝わってくる。
とりわけ古い作品にその傾向が強く、私はどちらかというと、そういった不条理さに満ちた最初の方の作品のほうが好きだ。
特に、「恐怖の夜」は読んでいて痛く刺さりすぎて目をそむけたくなる激しい衝動に駆られた。
けれど、こういう作品こそ、読まなければならないんだと思う。
どれも、祝福や幸せからは程遠く、人間が犯してきた罪悪について書かれているように感じる。
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2021/11/29購入
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60〜70年代の作品はエリスンの社会に対する怒りが強烈にぶつけられています。表題作「ヒトラーの描いた薔薇」では、主人公は理不尽に地獄に落とされ、神様に怒りをぶつけますがそんな中、ヒトラーは地獄の門に黙々とバラを美しく描き続けています。なかなか解釈が難しいですね。
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カタルシスを味わえるエンターテイメントは、無い。尖ってるなぁ〜、ハーラン・エリスン。
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ロボット外科医
恐怖の夜
苦痛神
死人の眼から消えた銀貨
バシリスク -
アメリカSF界の巨匠ハーラン・エリスンの短編集だが、エリスンってこんな情緒的なSFを書く人だっけ…?と違和感を覚えてしまった。ブラッドベリの作風が好きな人には合うと思う。個人的に一番好きな話は「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」。
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日本ではエリスンの短編集はハヤカワ文庫からこれより前に2冊出てまして、どちらも傑作です。本邦3冊目の短編集となる本作、通読しての印象は割と玉石混淆な感じ。SFでは無い通俗小説やファンタジーよりの作品も多く、かつ明確な起承転結が無い話もあり、これまでの2冊に比べるとちょっと取っ付きにくいイメージです。
が、所々にもの凄く純度の高い「エリスン節」が含まれている作品がありまして、なかなか巧く表現できないのですが「神秘性を帯びた暴力」とでも言いましょうか。世間一般の常識とはかけ離れ理屈や道徳は一切通用しない、ある種神話めいた独特の世界観の中で繰り広げられる暴力と怒りの爆発。すっきりした話・気持ちの良い話が読みたい人は、絶対近づいてはいけない世界ですヽ( ´ー`)ノ
鴨が気に入ったのは、「バシリスク」「冷たい友達」「クロウトウン」の3作。「バシリスク」「クロウトウン」は、正にエリスン神話としか言いようの無い理屈抜きの迫力が感じられ、頭で理解するよりもその迫力に圧倒されて酔いしれよ、というタイプの作品。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などに近い作風ですね。
でも、こうしたエリスン神話とは一風異なる「冷たい友達」が実は一番のお気に入りヽ( ´ー`)ノ乾いたユーモアに包まれた筆致で救いようの無い結末を描くという、後味の悪さにおいては随一といって過言ではあるまいヽ( ´ー`)ノ -
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モヤモヤ味わい比べセット。
並べられた十三種の珍酒について
「あれ、賞味期限切れてる…?」
「…固体…?」
「…隠し味…のみ…?」
など豊かなモヤモヤバリエーションを楽しめます。 -
短編集。
SFだけでなく、ホラーやファンタジーぽい作品も多々あり。
『死の鳥』よりとっつきやすい印象。
ベストは、よくある設定ながら著者らしい荒々しさが特徴的な「ロボット外科医」。
次いで、「クロウトウン」か。
「ロボット外科医」
ロボットが医師の仕事を奪う、まさにその様子を描いた作品。
「恐怖の夜」
人種差別。これを書いた作者は白人というのが良い。
「苦痛神」
神が主人公。苦痛の先にあるものは…。
「死人の眼から消えた銀貨」
人種差別。SFではないが、主人公が洒落てる。
「冷たい友達」
エリスン流ボーイ・ミーツ・ガール。舞台設定が特殊。
「クロウトウン」
地下都市。人間の環境への順応力が怖い。
「ヒトラーの描いた薔薇」
天国、地獄、神。サスペンス風。
他6作品。全13篇。 -
短篇集。三冊目の作品集。
前の『死の鳥』と比べるとわかりやすい短編が多い気がする。読みやすい。
表題作の「ヒトラーの描いた薔薇」はヒトラー全然出てこない。なんかおしゃれな作品。あと印象的だったのが「苦痛神」。苦痛を取り除くとされる神が苦痛を与える側になるの少し面白い。苦痛の考え方も好き。 -
★3.5
1957年から88年に書かれた13篇が収録された短篇集。ジャンル的にはSFに分類されているけれど、時にホラーで時にバイオレンス。が、その全てに共通しているのは、解説にも書かれていた“怒り”という感情。そして、差別や理不尽さに真っ向から立ち向かう姿勢。初めてのハーラン・エリスンは、そんな熱い印象が強く残った。中でも、「バシリスク」「血を流す石像」「冷たい友達」「解消日」がお気に入り。実のところ、表題作に惹かれて手に取ったものの、ヒトラーは冒頭と最後に少し姿を見せるだけで肩すかしを食らった感あり。 -
1957年から2017年の新作まで含んだ短編集です。Amazonとかで評価が高いのですが、わたしは好みではありませんでした。たぶんSFを期待して読んだからだと思います。実際はファンタジーとホラーでした。
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朝日新聞の書評に掲載されていた。ヒトラーということでドイツでの小説と想定していたら全く異なっていた。短編集の中でのひとつの小説である。最後の地獄の場面で、地獄に落ちたヒットラーが地獄の門にバラを描いているというだけであった。
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昔エヴァンゲリオンが流行った頃に『世界の中心で愛を叫んだけもの』を読んでみようかなと思いつつ流行りに乗っかるみたいだしそのうちいつか、とか言ってるうちにはや20数年(苦笑)結局読まずにきてしまったので初エリスン。
ざっくりSFだと思って読み始めたのだけれど、作品によってはほぼホラーというか(ジャンル分けはあくまで自己流)不条理というにはあまりにも血みどろスプラッタなものも多々あり、うまく説明できないのだけれど私が苦手な怖さのものが多くてちょっと涙目。なんていうか、見てはいけない暗黒面を見てしまった感じ。変な生き物とかもやたらと出てくるし、昔ラヴクラフト怖くて読めなくなったときの感じに近い。
いちばん怖かったのは「バシリスク」。敵につかまり拷問を受けて味方の情報を漏らしてしまったベトナム帰還兵は非国民扱いで家族もろとも迫害されるのだけれど、そのやり場のない恐怖や憤懣が異世界のバシリスクの力とリンクしてしまう。もう悲しいし怖いしどうしていいかわからない。
「血を流す石像」は突如教会の彫刻のガーゴイルたちが生命を持ち人間を大虐殺する、ただそれだけの話だけどなんかもう凄惨。
何人もの女性を関係を持ち、子供ができるたびに中絶させていたやちりんクソ男が地下の下水に流された胎児を探しにいく「クロウトウン」とかもう、地下でそんなものに会ったらキャーって感じだし、冥界との繋がりという点では最後の「睡眠時の夢の効用」も、イザナギとイザナミの神話を思い出してぞっとさせられる。イザナギは黄泉の国まで妻を迎えにいきながらも、腐乱した醜悪なイザナミを見てダッシュで逃げたけど、そのまま一緒に連れ帰ってきてたら・・・。
表題作「ヒトラーの描いた薔薇」も一種の冥界ものというか、地獄の窯の蓋がうっかり開いちゃって、歴代の凶悪犯たちがどんどん逃げるのだけど、その中のひとり、一家惨殺事件の犯人として私刑にされた女性が実は・・・という話。タイトルになっているのにヒトラー、ほぼ出てきませんでした(苦笑)でも天国にも醜いものがあり、裁判官たる神は自分の過ちを認めないし、地獄にも美しいものがある、というテーマはとてもわかりやすい。そして発作のように殺戮はじめる真犯人がとても気持ち悪い。
ある日突然地上に落ちてきた巨大なひとつ目の生物の死体・・・「大理石の上に」は展示されたその謎の生物のビジュアルイメージがなぜか脳内でロンギヌスの槍の刺さったリリス(ひとつ目じゃないけど)と重なりました(エヴァつながり)。巨大な鳥がやってきて、彼の内臓を食い散らかし始めるにあたり、作中の人間も読者も彼の正体に気づくのだけれど、なんかもうほんと映像的には無駄にグロいので怖い。
いちばんSFらしいSF「ロボット外科医」は、ロボットの医者が普及して人間の医者が不要になる未来の話で、最終的には機械より人間性大事だよね、というありがちなオチなのだけど、個人的には主人公の医者が怒りっぽく自己中心的で苦手なタイプだったため共感できず、え、私このヒステリックなお医者さんよりロボットに手術してもらうほうがずっといい、と思ってしまった駄目な読者でした。
※収録作品
ロボット外科医/恐怖の夜/苦痛神/死人の眼から消えた銀貨/バシリスク/血を流す石像/冷たい友達/クロウトウン/解消日/ヒトラーの描いた薔薇/大理石の上に/ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ/睡眠時の夢の効用 -
『世界の中心で愛を叫んだけもの』のタイトルがぱくられました!という事で変な風に名を馳せたハーラン・エリスンですが、SFファン、それもオールドSFファンには嬉しい短篇集。
エリスンの小説はSFというにはちょっとテイストが違って、ロアルド・ダールなどの作品に近いようなところもあると思う。
今回印象に残ったのは、まず冒頭にある『ロボット外科医』。雰囲気的にはレトロというか、ああ古いな、と思うところもあるけど、機械化による人間排除、それによる影響などが鋭く洞察されているのが面白い。エリスン作品にしては珍しく、ラストが爽快でもある。
『バシリスク』はかなり痛い。ベトナム帰還兵問題を扱った作品で、この時期は米国でも(でさえ)兵士は人殺しのように言われ、ひどい扱いを受ける事があったのだなあ、と感じさせられる。今、日本ではとうとう憲法9条の改正が叫ばれている。日本をとりまく情勢からして、当然の話だけど、いまだに9条信者の声も高い。憲法9条では国は守れない。そして、半端な改憲で、自衛隊員が悪者みたいに一部の人たちから糾弾されるようなセキュリティホールを法律上遺してはならないと思う。
『ヒトラーの描いた薔薇』では、神がなんと誤謬を犯し、しかもそれを押し通そうとするといういや~な話。確かに、キリスト教会にはそんなようなところも歴史上あった、と思う。またそういう部分が私は嫌いである。
しかし、福音書に続く使徒行伝など、いや、はっきり言って、使徒行伝を読む限りにおいて、そんな風に教会を変えてしまったのは、イエスより後の人たちなのだ。彼らが従来もっていた、ユダヤ的な倫理(そこには強烈な男尊女卑も含まれる)が教会を支配するようになった。特にパウロ!パウロがいけません。……いや、話を戻しますw
『睡眠時の夢の効用』は一番奇妙な後味がする。当時流行りの心理学や心理療法などをテーマにしているのだろうけれども、とある神に魅入られ、道具に使われた者というところがいかにもエリスンらしい。にしても、体に大きな口が開き、そこから何かが風のように出ていく、というイメージは奇妙でぞくりとする。 -
ハーラン・エリスン=毒舌な批評家なイメージがあったのだが、いったいどこから入った記憶だったのか???
著者プロフィール
ハーラン・エリスンの作品
