去年を待ちながら〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2017年9月21日発売)
3.45
  • (4)
  • (5)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 200
感想 : 12
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784150121457

作品紹介・あらすじ

星間戦争のさなか、人工臓器移植医エリックは、国連事務総長モリナーリの主治医に任命されるが……。ディック中期の傑作、新訳版

みんなの感想まとめ

複雑な心理描写と夫婦間の微妙な関係を描いたこの作品は、星間戦争という壮大な背景の中で展開されるドラマです。主人公エリックは、妻に騙されて軍用兵器のドラッグを摂取し、未来へと飛ばされます。冷え切った夫婦...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • SF。サスペンス。
    タイムトラベル・惑星間戦争・ドラッグ・家族。
    なかなか複雑なストーリーで、他の本と並行して読んでいたせいもあり、ストーリーを把握するのが難しかった。
    随所に面白いと思うシーンはあったので、一気読みしていたら評価は変わるかも。
    わりとポジティブな結末は予想外で好印象。

  • 30年ほど前に読み終わらず、出張の途中でどこかに行ってしまった「去年を待ちながら」やっと読破しました。
    歳をとったせいか、ディックの複雑な心理、夫婦間の微妙な関係、わかりすぎるぐらいに分かった。これは30年前にはわからないことだった。

    内容は妻にだまされ軍用兵器のドラッグを飲まされ、未来に行く男の話。

  • 異星人(リーグ星人/リリスター星人)、人工臓器、時間を移動できる謎のドラッグや、独裁者や…とにかくモチーフが詰め込んであって、読んでいて楽しい。これぞ、ディック作品に求めているものなんだよなーと思う。

    ストーリーラインは2つ。
    1つは、ディック自身の当時の奥さん(3人目のアン。浪費家だったというけど…圧倒的にディックの方がおかしいし、、)との状況を表していて、つまり、先行きが良くないことが明らかな夫婦関係をどうするのか?という葛藤。
    もう1つは、人類が侵略されてしまいそうな状況。

    ものすごく個人的なお話と、人類の存亡がかかった大きいお話が並行して進む。
    最後、主人公はドラッグで脳がやられてしまって介護が必要な妻…しかも関係は劣悪…に対してどうするべきかをアンドロイド(厳密には自律機構というもので…違うけどまぁ一旦)に尋ねる。機械の答えは、自分なら離婚はしないと。その理由は
    人生はそういうふうに構築された現実設定で構成されているから。彼女を見捨てるというのは、そういう現実に耐えられないというに等しいから。独特のもっと優しい条件を与えてもらわないとダメだというに等しいから。

    とのこと…
    主人公のエリックは、確かにその通り。妻と別れずにいようと思うと答える。機械は、素晴らしいですね。あなたは良い人ですねと返し、エリックはありがとうと答えて妻の元へ向かう。

    実際には、主人公は結局どうしたのか、までは描かれてはいない。ちなみに、アンとディックは離婚した。
    要は人生をあるがままに受け入れて耐えなさい、良い人でいなさいというド正論をぶつけてくる機械。無性の愛(アガペー)、人生の苦難を受容すること。つまり、キリスト教的な回答に思える。
    エリックが無機物から神託を得た…人間性を機械によって与えられた、とまでは読みすぎてるのかな?

    怪しいドラッグ、発達した未来の文明、キーキーやかましくて感情をコントロールできない女。翻弄されまくった主人公の決意。意味ありげに出てきた割に特に解説されないあれこれ。ディックらしい内容。だから好き。
    まぁ、わたしなら即離婚。

  • 「いっしょに暮らさなくてはいけない人物と、とてもやっていけないと思うことはある?」
    日々お互いに不満をぶつけ合うしかない、冷え切った夫婦仲。妻が気晴らしに手を出したドラッグによって、とんでもない事態が引き起こされる。
    時は2055年、人類は異星人同士の星間戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった……。世界観を理解するまでが読みにくいのはSFにありがちなことだが、ドラッグによってある現象が起こると、そこから物語は加速していき、目が離せなくなる。
    後半は目まぐるしく展開される盛りだくさんのSFガジェット。見所はたくさんあるが、この小説の本質は夫婦のドラマだ。修復不能にまで陥った夫婦の関係にどう結末をつけるのか。星間戦争のはざまで奮闘するも、予想外の展開に翻弄される主人公が最後に出した決断に感動。
    伏線か?と思われるものやネタが回収しきれずに終わったのが惜しい部分もあるが、十分にお腹がふくれる一冊だ。

  • 当時のディックの奥さんが作品に影響を与えてるらしい作品。それをこんな面白い話に仕立てるんだからすごい。ちなみに途中で登場人物がこんがらがりましたが…

  • 去年を待ちながら〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

  • 異星間同士の戦争に巻き込まれ、リーグ星人と泥沼の交戦状態にあった人類。そんな人類の独裁的指導者モリナーリの主治医となったエリックは、妻キャシーに騙されて新型のドラッグJJ-180を飲んでしまう。ドラッグを飲んだエリックの意識は遠く1年後の未来に飛ばされ…

    物語の展開が継ぎ接ぎ的な印象だったり、回収されない伏線があったりと、正直腑に落ちないところもある本書ですが(むしろディックらしい?)、訳者あとがきで詳しく解説されており、理解の助けになりました。リーグ星人との異星間戦争という大きな動きに隠れて、エリックと妻キャシーとのとてもプライベートな問題に焦点をあてた本書。あらためて考えてみると、本書のような登場人物のプライベートな問題を物語の芯に据えた作品は、ディックのこれまで読んだ作品のなかでもあまり思いつきませんでした(読み足りないだけでしょうが…)。それだけ離婚寸前の状況が苦しかったのか、と愚察してしまうところですが、現実のディックと本書で示されるラストの示唆が対照的であることは、どうにも気になるところ。「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」でディックが示したような前向きさが本書でも表現されたのか、あるいは、現実逃避を本書で図ったのか。凡人には理解の及ぶところではありません。

  • ★3.5
    初フィリップ・K・ディック。2055年の近未来が舞台なことに加え、さらにドラッグによって過去にも未来にも行けるタイムスリップもの。が、設定はがっつりSFで異星との戦争真っ只中でありながら、主人公エリックを悩ませるのは妻キャシーの存在。結局のところ、いつの時代でも人を悩ませるのは人なんだな、と痛感する。ラストにエリックが出した答えは、実際の妻に対するディックの良心だったのかも。それはそうと、序盤に1930年代の映画等の話題が出てきて楽しかったけれど、以降ではほとんど活かされなかったのが少し残念。

  • 「時を越える新種のドラッグ」
    「昆虫型宇宙人との星間戦争」
    「×夫婦の不和・・・」
    「ディック的モチーフの乱舞」確かに帯にあるそのもの。
    ※予言能力のある登場人物(実際活用されず?)
    と未来への跳躍は、キャラ被りだなぁ

    マクロとミクロ泥沼の二つの戦いのなかで、
    並行する未来を見てなお、いまに変化の何かを見出そう、
    いや結局のところ、、、希望と諦めとが混濁
    ファンタジーという言葉が似合う幻想ではなく
    バッドトリップ臭が強く感じられる浮遊感。
    実は、まともに人間らしい素直な会話ができているのは
    タクシーとのみ!?

  • 原文がそうなのか翻訳のせいなのか序盤が読みづらく読み進めるのが辛かった。終盤は読みやすくなったが自分には話がややこしすぎたようでした。

  • ディック大好き。

全11件中 1 - 11件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

山形 浩生(やまがた・ひろお):1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。経済、文化、コンピュータなど、広範な分野で評論、執筆、翻訳活動を行う。訳書に『クルーグマン教授の経済入門』(ポール・クルーグマン著)、『21世紀の資本』(トマ・ピケティ著)、『ウンコな議論』『不平等論』(ハリー・フランクファート著)など多数。

「2025年 『自由は進化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山形浩生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×