ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫 SF イ 2-11)

制作 : 山岸 真 
  • 早川書房
3.69
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本棚登録 : 276
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150122232

作品紹介・あらすじ

重力が変化した世界で目覚めた主人公を待っていたものを描く表題作など6篇収録、ハードSFの雄イーガンの日本オリジナル短篇集

感想・レビュー・書評

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  • グレッグ・イーガンによるSF短編集。6つのそれぞれ領域の異なるストーリーが収録されている。

    SF的な紹介をするなら、以下の通りになる。

    - 七色覚: 身体拡張、超常感覚
    - 不気味の谷: 死後の人格コピー
    - ビット・プレーヤー: ゲームエンジン、AI
    - 失われた大陸: 時間旅行
    - 鰐乗り: 宇宙航行、ファーストコンタクト
    - 孤児惑星: 惑星探査、歴史解明

    総括としては、決して初心者向けではないと思う。中上級者向けと言った印象。けれど、グレッグ・イーガンの世界観をしっかりと感じられる6編だった。SFファンなら1読の価値あり、かな。

    (書評ブログの方もよろしくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%B8%AD%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E8%80%85%E5%90%91%E3%81%91SF%E7%9F%AD%E7%B7%A8%E9%9B%86_%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A4%E3%83%BC_%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B0%E3%83%BB

  • 「あれ、これ読みやすいんじゃ・・・」と思ったのはつかの間、やっぱりイーガンはイーガンでしたヽ( ´ー`)ノ
    牧真司氏の解説「物語だけを取り出せばまるでラリイ・ニーヴン作品」に激しく同意。

    鴨如きの浅薄な知識では、イーガン作品の神髄は感じ取れません。それでも肌感覚で理解できる、問答無用のポジティヴさ。
    何だろう、この前向き感。このご時世だからこそ感じ取れる、「とにかく前を向いて行こう!」という(知識とかスキルとかは関係のない)姿勢に感動いたしました。
    不肖鴨、いつかイーガン作品を理解できるようになるんだろうか。SF者として精進いたします。

  • イーガンについて私などが何を申すことがありましょう…まあ、何をいってもイイガン!と私の米子弁魂が主張しますので展開しますと、まんず文系女子には科学・天文・IT的設定説明はいっさい意味をなさず、ただ流れ行くものを立派じゃのうとうっとり眺めているにすぎない。でもその中で描かれる人間性が、感情が、とてもリアルで胸を打つので、その世界に私も属するもののように感じるのです。

    未知の世界に足を踏み入れるとき、愛する人にかたわらにいてほしい。まるで相容れない世界で助けてくれた誰かのために隠れて泣く。
    データとなって深宇宙を渡ろうが、ゲーム世界の登場人物として目覚めようが、生きよう、謎を解こうとする人間の魂が変わらぬことが深く深く響いてくる。

    だーかーらーSFが好きだし励まされるし、SFがないと生きていけないよう!

  • 前半はちょっと中途半端な話が多かった。もっと世界観広げてもよかったのに。

    最後の孤児惑星はとてもおもしろかった。

  •  2005-2017年のグレッグ・イーガンのSF短編を集めたもの。
     以前テッド・チャンの『息吹』(2019)を読んだときなかなかに感銘を受け、このチャンさんがグレッグ・イーガンなる作家を推賞していたので、本書を手に取った。
     ハードSFというものだろう。最新の科学やテクノロジーについての知識を基盤にし、そこから果てしなく想像を繰り広げていく作風は、確かにテッド・チャンに似ている。
     SFといえば中学・高校の頃は幾らか読んでいたが、ややこしい科学の話が頻出するような高度なハードSFは苦手だった。私が一番好きなのは、H. G. ウェルズのような古典か、崩壊感覚が素敵なフィリップ・K・ディック辺りだ。
     この種のSF小説を読む際、冒頭の1章に多大な集中力が要る。現在の我々が住む世界からは大きくかけ離れた天体や異次元、遙か彼方の未来のような環境の設定を呑み込んでいく必要があるからだ。特に本書中の「鰐乗り」「孤児惑星」などで舞台となる超遠未来では、人類は従来からの物質・肉体の世界とデジタルな仮想空間の世界とを行き来し、後者では肉体の無い意識が浮遊しているらしいのだが、他者と面接する際には何やらカラクリを使って自在に視覚イメージ?を身にまとったりしていて、もはやここまで来ると私には訳が分からない異質さで、戸惑いまくった。
     様々な意匠は貪欲に渉猟された科学的知識に基づいているらしく、それを遥か先まで延長して未聞の異様な未来像を構築するという、この恐ろしく理知的な創作行為には感嘆するが、何となく理系ずくめな知性で、私にはあんまり向かないかも、と思ってしまった。
     SF的な道具立ての中で、人間性を追究するような文学であれば感動するだろうが、そこまでは行ってないし、そもそも、人間の意識が肉体を置き去りにしてデジタルな世界を飛び回り、なおかつそんな領域と物質界が「融合」しているといったぶっとんだ世界では、我々が意味するような「人間性」それ自体がすっかり変容してしまっているのかもしれないが。

  • グレッグ・イーガン『ビット・プレイヤー』読了。
    表題作の短編は日本の異世界転生とか中国の穿越小説と似た構造が描かれるけれど同じモチーフでもイーガンが書けば理論的な解像度や作中人物の実存を問う深みが一枚も二枚も違うなと。
    中長編「孤児惑星」も未知の惑星の探訪、謎の先進テクノロジーとの邂逅からの意表をつかれる展開に引き込まれるようにして読んだ。細かいややこい理屈はともかくとして読ませるなあ

  • 「鰐乗り」に価値あり。
    死が穏やかな眠りとしか語られていない。
    冒頭で濃厚な人生をいくら語られようが、
    融合世界で生まれ育った人達にとって1万年は、
    神の存在しない死へと向かうのに充分な時間なのか。

  • 短篇集。おおぅ…難解だった…。あまり理解できていないかも。異星人とのコンタクト、タイムトラベルものなどテーマはさまざま。とはいえ現代の難民政策などにつながる部分があったりと、読んでいて考えさせられるところはさすがイーガン。

  • 「白熱光」と通ずる2篇がお気に入り。なんのことかわからないけど、面白いって何故だろうと思っていたら、解説を読んで納得。

  • イーガンの作品を完全に理解するのはかなり難しい。特に科学的な説明はよほど知見がないと理解できない。でも、作品は面白く感じる。それは、物語のベースがしっかりしているから。物語の根底にある人間ドラマ(人間ではない生命もいるけれど)があるからだと思う。現代の問題を切り取って、それをSFにしている感じだ。「七色覚」は自分の視覚を拡張するアプリの話だし、「不気味の谷」は未来の相続問題のように思える。とはいえ、難しいのは難しい。雰囲気で読む中短編集である。

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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