宇宙へ (上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2020年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150122942

作品紹介・あらすじ

巨大隕石落下により人類は生き残りをかけて宇宙開発に乗り出すことに。星々を目指す女性パイロットを描く改変歴史/宇宙開発SF

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人類が巨大隕石の落下によって存続の危機に直面する中、宇宙開発に希望を見出す物語が描かれています。1950年代の歴史改変SFで、主人公は元女性パイロットの天才数学者。彼女は「人間コンピューター」として活...

感想・レビュー・書評

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  • あいかわらずSFも読みまくっているんですが、もちもちさんに自信をもってお勧めできるような大大大傑作には出会えておりません

    そんな中ヒューゴー賞、ネビュラ賞同時受賞のこやつを読んでみました
    もひとつおまけにローカス賞もとってますからね相当すごいことに違いありませんことよ!

    と、かなり期待して読み始めたんですが
    今のところ「うーん」って感じ
    面白いのよ、面白くなくはないのよ

    ただこの世界設定がどうしても飲み込めない
    時は第二次大戦直後、アメリカ東海岸に巨大隕石が落下し多くの人命とともに首都を含む広大な地が失われる
    しかしこの惨劇はさらなる悲劇の始まりでしかなく、巨大隕石の落下が引きおこす気候変化により地球は人が住めない星になってしまうことが判明
    人類(ほぼアメリカ)は宇宙を目指すというストーリー

    この第二次大戦直後という文化とか社会環境や世界情勢そして科学技術なんかがそのまんまで宇宙開発や宇宙移民ってのがアンマッチすぎてもうちょっとイライラしてきちゃうんです

    それがこの物語の核というか面白味なんだろうけどさ
    どうしてもしっくりこないんです
    物語の根底にある前時代的なものを抱えたま宇宙に行けんのよ、わいは

    下巻で色いろぶち壊してくれることに期待や!

  • 巨大隕石落下の影響で宇宙進出を余儀なくされた世界線の1950年代宇宙開発物語

    「わたしたちは、日々、たくさんの境目に遭遇しています―境目自体は問題ではありません。これからもつねに"以前"と"以後"はあるでしょう。問題は、その境目を越えたとき、自分がどう対処するかなのです」

  • 歴史改変もののSF。
    もし1950年代に巨大隕石が地球に落下し、アメリカの東海岸が全滅したら・・・というお話。

    1950年代というと、米ソが宇宙競争をしている状況であるが、本書ではまだアポロ計画にのっとった月への到達がなさ得れていないという状況である。

    本書では、元女性パイロットの天才数学者の女性が主人公であり、コンピューターが未だ発達していない状況で、「計算者」として、それこそ「人間コンピューター」として働く物語である。

    話はSFであるが、1950年代当時のアメリカをリアルに映し出し、黒人差別、女性蔑視等が激しい時代の状況を克明に反映させている。

    巨大隕石による気候変動のため、地球からの脱出を計画する人類。やっとロケット打ち上げは軌道に乗り始めたが・・・。
    下巻が楽しみ。

  • 米国2018年7月刊のThe caluculating starsを翻訳して、2020年8月ハヤカワSF文庫刊。Lady Astronautシリーズ1作目。長編の上巻。1952年3月隕石落下によりワシントンが壊滅した世界を現実感たっぷりに描く歴史改変もの。戦時中航空機パイロットであり、物理学者であり、現在は、NASAに務める女性が主人公。彼女自身が宇宙を目指すというストーリー。人、家族、仲間への想いと困難への対応が面白く、胸が踊ります。NASAの女性達を描いた映画「ドリーム」と一部重なるようなところもあり、とても楽しめました。

  • シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い。

    隕石の衝突と人類滅亡という、オールドファッションな題材を、1950年代というオールドファッションドな舞台で語られる。

    科学は未だ素朴であって、大量生産・大量消費というway of life の時代。

    科学はまだ手の届く範囲にあって、最新技術がIBM(パンチカード式計算機)だった時代だ。

    科学者は皆、暗算か筆算で計算するのが主だった。

    軌道計算も手計算がメインで計算機はサブに過ぎない。

    思えば実際の歴史でもよくこんな時代に宇宙開発なんてものに手を出したなぁという驚愕と共に、科学と科学者たちの苦労、アイデアがいまの時代につながっているんだなぁなんて改めて感慨深くもなる。

    使い古された題材に、リアルな記憶が残る時代背景。しかし、この物語は決してノスタルジーものではない。断じて。

    昨今の科学技術は素人というか多くの人にとって距離が離れてしまった。

    便利に使っているスマホの中身など知らないし、ましてやプログラムも高度で複雑だ。

    車のエンジンも家電製品も気密性(機密性)が高まっているからおいそれといじれない。

    技術や科学から人の存在を感じにくく、科学や技術と人との距離がどんどん広がっている気分になる。

    しかし、1950年代はというと、技術や科学は手が届く範囲にあって、テレビや雑誌で科学特集も多かっただろうし、車の調子が悪ければ近所の詳しいおじさんに話せばちゃちゃっとエンジンいじってくれたりもあっただろう。

    この物語の主人公は女性だ。

    当時の米国もというと公民権運動、黒人差別、女性蔑視と必ずしもユートピアではなかった。

    しかし、まだ科学や技術は手の届く範囲で、だからこそこの物語では、ロケットや軌道の説明セリフもシンプルで素朴だ。

    女性蔑視や人種差別という葛藤も、多数派(差別側)も被差別側も描かれ方はわかりやすい。

    さらに、隕石の衝突によって生じる気候変動も、シンプルに劇的で空恐ろしい。

    この物語で描かれている葛藤や問題は現在進行形の問題でもある。しかしそれらは複雑すぎて“手に負えない”という無力感・無関心、諦念を我々に引き起こしているのかもしれない。

    素朴でシンプルな時代が舞台である分、人種差別や女性蔑視、気候変動も未解決のままむしろ今は悪化しているのではないかということに気づかせる。

    これらは米国だけではなくて、日本だって同じなのだ。

    50年代については親さえ生まれてないから実際のことは知らない。

    しかし、少なくともテレビは芸人が叫んでいるバックに笑い声を被せているだけで中身のない番組ばっかりじゃなくて、ジャーナリズムや文化芸術、議論は機能していて、近所の車に詳しいおじさんは実は戦争中に戦車とか戦闘機に乗ってたり整備したり工場に動員されてたりしていたんだろう。

    決して当時はユートピアではない。しかし、少なくとも現在のようなディストピアではなかったのだろう。

    それはそれとして、物語としてこの本は面白い。SFにありがちなオタクっぽさは皆無。

    シンプルで素朴なSFだからこそ面白くて、考えさせる事も多い物語だ。

  • 1952年、巨大隕石の落下により絶滅の危機が迫る人類は、宇宙開発に希望をつなげるが……。歴史改変SF。

    落下してくるものを阻止しようというアルマゲドンやディープ・インパクトとは逆で、最初に隕石が落ちてしまってからの顛末。1952年の設定で、実在の人物も登場するが、歴史は現実とは大きく異なるものとなっていく。

    隕石落下の影響で、人類の存続が危ぶまれるのだが……。
    あれ?序盤のパニック的な危機感はどこへやら。宇宙開発のさなかで、女性の社会進出問題や黒人とかユダヤ人の人権問題、人間関係のあれこれや自身の弱点との戦いで物語は進んでいく。なんだか、肩すかしをくらったような感じを抱きながらも、主人公の心理描写がうまく、複合的な問題が逆に「宇宙飛行士」という目標に収束していく展開に、感情移入してしまう魅力がある。才知も欠点もある女性が奮闘する物語にどこか共感を覚えつつ、多様な要素を含むディティールに感嘆。

  •  映画『ドリーム(Hidden Figures)』を思い出した。こちらは、実話だが、1950年代のアメリカの宇宙開発に貢献した黒人女性達の話。ケビン.コスナーがいい味出してた。あいや、映画の感想ではなく、時代背景、人種差別、女性蔑視、さまざまな困難を乗り越えて、NASAの数学者としての地位を確立して行く主人公が、この本の主人公と重なって見えたのだ。
     次巻も楽しみ。

  • 宇宙飛行士を目指し奮闘を続けるエルマ。
    初の女性宇宙飛行士の苦悩や葛藤が丁寧に描かれている。個人的にはちょっと長いかな、と思った。
    宇宙開発チームの計算手なる人たちの存在を初めて知った!なるほど、こういう人達が沢山いて宇宙開発を支えていたんだ。
    表紙イラストの加藤直之氏の装丁は最高です。

    • 青格子さん
      ジャケ買いをしました。加藤直之さんの絵はいい!
      映画『ドリーム』お勧めします。黒人女性の計算手の実話をもとにしたものです。『宇宙へ』の背景が...
      ジャケ買いをしました。加藤直之さんの絵はいい!
      映画『ドリーム』お勧めします。黒人女性の計算手の実話をもとにしたものです。『宇宙へ』の背景が良く分かるかも。
      2022/10/21
    • kazさん
      情報ありがとうございます!
      映画「ドリーム」ですね。まだ観ていない映画でした。今度時間を見つけてチェックしてみます。楽しみです。
      情報ありがとうございます!
      映画「ドリーム」ですね。まだ観ていない映画でした。今度時間を見つけてチェックしてみます。楽しみです。
      2022/10/21
  • 帯に色々章を取ったと書かれていたので購入。面白かった!隕石ってミーティアライトっていうのか~ 知らなかったな。
    1950年代(だったかな)に隕石が落ちたという設定も面白い。第二次世界大戦が終わって、アポロが月に降りる前辺りのNASAが盛り上がっていた頃に、人類が宇宙に進出する必要性がある、と持ってくるのは上手いなぁと思いました。

    今でこそ男女対等などと言われていますが(今も言われているということは実際対等ではないという事の証左だと思いますけど)50年代のアメリカでも女性の扱いというのはこんな感じだったのかな~と思いながら読みました。日本は今でも医大の入試に男子学生にゲタ履かせるなんてやってるんだからなぁ…昔はもっと悲惨な状況だったんだろうな。

  • 導入部から目が離せない❗️

  • 舞台は1950年代のアメリカ。地球に大型隕石が衝突したことにより将来的に大幅な気候変動が起こることが分かり、第二次大戦に従軍した元パイロットであり天才的な数学者でもある女性・エルマとその夫であるナサニエルは人類の生き残りをかけた宇宙開発に奮闘する…という歴史改変SF。

    性差別や人種差別が顕著だった時代背景、強さと弱さを併せ持つ主人公など、一筋縄ではいかないストーリー展開はページを繰る手を止めさせない。SFを読み慣れてない人でもサクサクと読めるはず。

  • 2020-09-01

  • 「もし」の世界観で進行するストーリーで描かれるのは単なるフィクションでなく、置き換えられた設定の中で浮き彫りになった現実の問題、差別。

    SFながら、主人公が闘う相手は異星の知性でも、過酷な天変地異でもなく(舞台設定は大きな天変地異ですが)、女性として、人間としての生きづらさであり、その困難に立ち向かう冒険。男性としては気がつかない(あるいは無視していた)事実に胸が苦しくなる。

  • (上下巻を通しての感想)
    巨大隕石の衝突を期に人類は宇宙を目指すことに。いきなりクライマックス級の描写が続いたため、宇宙でもこのアツさで冒険活劇をするのかと思いきや、宇宙進出「まで」の物語でびっくり。性や人種の差別に対する抗いが色濃く描かれており、SFというより社会派小説。読みやすかった。

  • 隕石が降ってきて温暖化危機発生。それを回避するための地球脱出計画の話だが、前半で月に無人機を送った程度でまだまだ先が長い。タイムスケールが長すぎて人間は本当の危機ととらえられないのはわかる気がする。

  • 読了済。
    感想は下巻にて。

  • 人類が、正史よりもずっと早く宇宙に進出した、もう一つの歴史を描いた並行歴史もの。
    正史では世界初の人工衛星スプートニク(ソ連)は1957年だが、この世界では1952年にアメリカはすでに人工衛星を打ち上げている。正史ではアポロ計画は1960年代に発動したが、この世界では1950年代にすでに月へ人間を送り込む計画がスタートしている。
    この対比は面白い。この調子で正史よりずっと早く宇宙開発が進んだら、今頃どうなっていたか。
    当時の技術では立ち向かうのが困難な問題に次々とぶつかり、いかに乗り越えて行くかと言うプロジェクトX的な物語を期待したのだか…
    読み進めるうちに、これ、なんか違うと思った。主人公がぶつかるのは当時の男性優位社会の壁。それをいかに乗り越えて女性宇宙飛行士になるか、と言う物語らしい。

    これ、わざわざ並行歴史SFでやりますか?(笑)

    しかも、宇宙開発を加速させるきっかけになったのが「巨大隕石」の衝突による地球環境の破壊。この設定いる?!
    「きっかけ」として扱うには、重いのだけど。これだけで本一冊書けるくらいです。
    女性の地位向上ものなら、架空の世界の話ではなく、現実の世界の話として書くべきかと。物語の中でどんなに成功したとしても、結局は架空の世界の話で終わってしまうから。

    但し、あえて並行歴史の世界の話として書くことで検証したかったテーマがあるのかもしれない。この調子で正史よりずっと早く男女平等社会が実現していたら、今頃どうなっていたか、とか?

    いずれにしても、まだ上巻なので。
    読みやすい文章で読むのに苦労することない。下巻に期待したいです。

  • 太平洋戦争終結後間もない1952年、アメリカワシントン近海に巨大隕石が落下、辛くも生き延びた主人公 天才数学者 元米軍パイロット“エルマ“と、その良き伴侶 ロケット工学者の夫”ナサニエル“は、環境の激変により海が沸騰、人が住めない惑星となる地球を計算予測し、ロケット開発、宇宙移住計画を邁進する歴史改変SF
    数多の艱難辛苦を超えるアツいヒューマンドラマです

  • 「天才でさえ、怯えているときには愚行に走るものさ」


    さて、数字である。数字は心を安らがせる。計算には論理と秩序がある。計算により、まったく共通性のない事象同士からも意味を引き出すことができる。


    「素数はきみの友だちだ。割りきれない気持ちのときは唱えるといい」

  • そもそもこの本が目に留まったのはタイトル『宇宙(そら)へ』
    竹宮惠子の絵が、ダ・カーポの歌声が、瞬時にして脳内で再生されたわけよ。
    『地球(テラ)へ…』
    よく考えたら、方向逆だけどね。


    巨大隕石が地球に落下。
    地球に到達するまで気づけなかったの?
    ミサイルか何かで隕石のルートを変更させるとか、粉々にするとか、できなかったの?
    って思ったのですが、舞台は1950年代のアメリカなのでした。
    つまりアポロ計画の前なのです。

    IBM(つまりコンピュータ)がないわけではないのですが、巨大すぎるしそもそも使える人がほとんどいない状況で、難しい計算は、人が計算尺を使って計算していた時代です。
    でも、隕石落下の影響で、地球は数年寒波に覆われたあと、人類が生きていけない程の温暖化に見舞われることが計算で明らかになり、人類は宇宙を目指すことになる。

    ここで、1950年代が効いてくる。
    この時代のアメリカは、人種差別、男女差別がまかり通るというか、一体何の問題が?ってな時代だ。
    避難民が運ばれてくる飛行機から次々に降りてくるのは白人ばかり。
    作品中には出てこなかったが、津波が起こったということは、海沿い川沿いの低湿地帯にしか居住を認められていなかった南部の黒人たちは、真っ先に流されていっただろう。

    主人公は元従軍パイロットであるにもかかわらず、宇宙への移住に先立つロケットに乗り込むことができない。
    女性が宇宙飛行士?ダメ、ダメ。
    女は非力だし、知能も男より低いし、何よりヒステリーだから。
    という、男性側のヒステリックな論調により。

    主人公はロケットの軌道を計算するかたわら、女性にもチャンスを!と声をあげるのだけど、彼女にも問題がある。
    幼いころから優秀だった彼女は、飛び級をするたびに男性たちから嫌がらせを受けたり無視されたり心無い言葉を浴びせられたりし続けた。
    だから、人前に立つと震えが来て、吐き気がする。
    精神科の受診を進められるが、「私は病気ではない!」と頑なに受診を拒み続けるのもまた、現在の読者の目から見たら病的である。
    でも、そういう時代だったんだよね。

    航空ショーを見た少女たちは、主人公・エルマに憧れ、女性でもパイロットに、宇宙飛行士に、博士になれるのだと夢を語る。
    そんな少女たちの後押しもあって、エルマたちは女性も宇宙飛行士にさせろと運動する。
    「だって、移住した先の宇宙で子どもを産むのは女なのよ」

    ところが、宇宙なんぞに関わるまえに被災地の復興が大事じゃないかという声も高まりつつあり、不穏な空気のまま下巻に続く。

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