夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF)

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  • 早川書房 (2020年12月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784150123093

作品紹介・あらすじ

1970年、なにもかもを失ったぼくは、飼い猫のピートと一緒に"夏への扉"を探しにいくことにしたーー。永遠の名作、新版で登場!

みんなの感想まとめ

時間旅行をテーマにしたこの物語は、主人公ダンが失ったものを取り戻すために奮闘する姿を描いています。1956年に発表されたこの作品は、長い年月を経ても色あせることなく、多くの読者に愛され続けています。ダ...

感想・レビュー・書評

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  •  1970年、アメリカ コネチカット州、家事ロボットなどを開発してきた優秀なエンジニア、ダンは自分の会社を共同経営者であった友人のマイルズと元フィアンセのベルに乗っ取られた。30歳だったダンは失意のうちに生命保険会社に自分の資産を託して、当時流行していた「冷凍睡眠(コールドスリープ)」に入った。期限は、30年後の2000年。
     30年後、30歳の若さのまま、目覚めてみるとそこには見たことない様式の服を着た人たちがいて、自分が冷凍睡眠前に制作した、家事ロボットの進化系のロボットが自分の身の回りの世話をしていた。外に出てみると、自分が冷凍睡眠前に頭の中だけで作っていて、制作は叶わなかった「電動タイプライター式製図機」などが世の中に流通して活躍していた。 
     余談だが、私は1970年生まれ。ちょうど、主人公のダンが30歳で冷凍睡眠に入った年に生まれ、ダンが30歳のまま目覚めた2000年にはダンと同じ30歳だった(^^)v
     だから、ダンが眠っていた間の30年間を知っているわけだけど、まあ色々ちょっとこの小説とは違うかな。ついでにいうとこの小説は1956年に刊行されたものなので、ダンが冷凍睡眠に入った1970年も当時から見て「未来」だった。だから、1970年に「六週間戦争」というのがアメリカであって、東部の大都市は壊滅し、デンバーが首都になっているという設定。そして、主人公のダンはロボット制作の天才で、掃除や皿洗いなど色んな家事を助けるロボットを制作し、目覚めた2000年にはそれらの進化系が活躍し、ダンが夢見た「電動タイプライター式製図機」も活躍していたわけだが、実際の2000年はもっとスマートだった。ゴツい家事ロボットが動き回るのではなく、食洗機やルンバ(はもう少し後?)などそれぞれの家事をITに制御された高性能な機械が助けてくれるようになり、「電動タイプライター式製図機」ではなく、パソコンで製図出来るソフト(CAD?)が一般的になっている。
     過去の作家が書いたSFの中の「未来」を実際に知っている現代人が読むと面白い。
     科学技術方面だけでなく、2000年には金(gold)の貴金属としての価値が二束三文になっていて、ダンは機械の部品としての金は貴重だからと買い集めるシーンなども面白い。あと、服装は2000年の服は何かドラえもんの「セワシくん」の服みたいに書かれているが、実際には古着ブームとかあってデザインはそんなに一方通行に進化していなかった。
     そういえば、子供の頃、ニュースだったか、ドキュメンタリーだったかで、確かアメリカで「冷凍睡眠」に入る人が何人かいるというのを見た記憶があるが、まだ、冷凍睡眠から実際に生還した人はいないそうだ。
     冷凍睡眠から何十年前の記憶をそのままに安全に目覚める医学の進歩については詳しくは技術されていなかったが、他にも子供の頃から見てきたアニメや映画に大きな影響を与えてきたSFの金字塔なのかな?あんまりSF読んでないから知らんけど、1956年に書かれた重厚感のあるSFです。

    • Macomi55さん
      ひまわりめろんさん
      ありがと^ ^「われはロボット」買ってたかも!
      ひまわりめろんさん
      ありがと^ ^「われはロボット」買ってたかも!
      2025/03/09
    • ひまわりめろんさん
      うーん、でもどれも『夏への扉』ほどポップじゃないよ
      あんまり向いてない気もするなー
      SFあんま読んだことない人にわいがいつもすすめてるのはア...
      うーん、でもどれも『夏への扉』ほどポップじゃないよ
      あんまり向いてない気もするなー
      SFあんま読んだことない人にわいがいつもすすめてるのはアンディー・ウィアーです

      『火星の人』と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』どっちも超面白いんだけど、まこみはんには『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が合ってる気がすーる
      2025/03/10
    • Macomi55さん
      ひまわりめろんさん
      「プロジェクト・ヘイル・メアリー」評価高いので気になってました。読んでみます!
      ありがとうございます!!
      ひまわりめろんさん
      「プロジェクト・ヘイル・メアリー」評価高いので気になってました。読んでみます!
      ありがとうございます!!
      2025/03/10
  •  1956年の刊行から日本での翻訳バージョンも版を重ね、これだけ長きに亘って読み継がれているのも、色褪せぬ不朽の名作たる所以なのでしょう。  
     設定が1970年のロスアンゼル、そこからさらに30年後の世界へというSF小説ですが、ミステリー色、爽快さも併せ持つ物語でした。

     個人的には、時代の隔たりもあってか、海外文学独特の言い回し、さらには形容や引用など簡潔明瞭さに欠ける文章の冗長さが気になり、話がすんなり入ってきませんでした。
     これにSF特有の設定の難解さ、主人公・ダンの(特に前半の)融通の利かないこだわりの強さもあり、読み進めるのに忍耐が必要でした。

     ダンは、親友のマイルズ、フィアンセのベルと会社を共同経営していたのですが、経営方針も家庭のことも2人と度重なる意見の相違が表出し、会社乗っ取りと婚約解消の裏切りで、どん底に落ちます。
     お人好しのダンでしたが、2人へ怒りの感情をもって宣戦布告をするも、騙し打ちにあい強制的に冷凍睡眠に送り込まれてしまいます。
     30年後に覚醒してからの壮大な逆転劇の展開が、本作の読みどころでしょう。

     心の中が冬となっていたダン。たくさんの扉から「夏への扉」を探し続けていた‥と、その通りに蘇生した後や過去へ戻ってから、これまで蓄積された情報・経験を基に、次々と手を打って行きます。
     また、猫への愛情、心を許した女の子の存在ダンへ勇気を与えて、前向きな行動につながったのは間違いありません。SF要素である過去の自分を救うという形も取りながら、猫とロマンスも魅力的でした。

     まさに試行錯誤、全ての扉を試せばそのうちの一つは夏に通ずるのですね。

  • 主人公は友人と婚約者の裏切りによって会社を奪われ、更に冷凍睡眠で30年後の2000年に送りこまれる。
    目覚めた未来で主人公は失ったものを取り戻すことができるのか?──

    タイムトラベル系の小説を探し求めて本書に辿り着いた。
    1958年に発売されて以降、愛され続ける不朽の名作らしい。知らなかった。

    SFミステリーの分類なのかな。
    めっちゃ面白かった。読みやすい。
    特に後半の展開は痛快。にやけながら夢中になって読んだ。

    30年前に起こったことが主人公を悩ませる。
    しかし過去と未来と現在との複雑なからみ合いを調整すべく、タイムトラベルや冷凍睡眠を駆使してひっくり返すのが見事!
    二度読みし、散りばめられた伏線の回収に納得。

    タイトルの「夏への扉」も素敵だ。
    冬になると飼い猫が扉は夏に通じていると信じ、“夏への扉”を探し始める。
    それと同じで、主人公も冷凍睡眠の夢の中で、この扉、いや次の扉こそあの人が待っている暖かい扉だと思いつづける。そしてその次の扉だと確信して目覚める。
    パァーっと開いたその先では何が待ってる?…と想像すると、読者としても逸る気持ちを抑えきれなかった。

    (追記)
    装画:まめふく

    • kuma0504さん
      なおなおさん、
      そこん所を突っ込むんですか!
      旅であるあるなんですが、
      長い話になるので言いたくなかったけど、
      実は同じ事が、今現在起きてい...
      なおなおさん、
      そこん所を突っ込むんですか!
      旅であるあるなんですが、
      長い話になるので言いたくなかったけど、
      実は同じ事が、今現在起きています。
      どうでもいいことを長く書いてすみません。と、書く前からあやまっておきます。

      「ちょい飲み手帳岡山」というクーポン雑誌(1100円)があります。ここに掲載されている店に行けば、1000円で1500〜2500円ほどの1杯とツマミが食せるというものです。2月から買って、今まで日帰りで岡山に行って数回利用しました。一昨年と昨年は、GoToトラベル制度を使って安く岡山市に泊まって一泊2日で4つほどの店をハシゴしたりして、かなりお得に飲み歩いたのですが、今年は数軒しか行けていません。今月で終わるので、思い切って安宿に泊まることにしました。
      家を出て、倉敷駅にたどり着くまでに思い出したのです。
      「そういえば、ちょい飲み手帳持ってこなかった!」
      まぁそんなこともある。
      あるあるです。
      いいんです。気分転換にホテルに泊まるのも、亦楽しからずや。
      ちょい飲み手帳は、Amazonには載っているのですが、ブクログ登録はできません。よって、レビュー登録しないのですが、こんなにもいろいろあった雑誌についてのレビューしないのは悔しいので、ここに書かせてもらいました。大変失礼しました(ᐢ._.ᐢ;)。
      2024/06/17
    • なおなおさん
      くまさん、そこん所を突っ込んじゃいました^^;
      だって面白いですもん……旅先のアクシデントはちょっとしたものなら楽しく語れるエピソードになり...
      くまさん、そこん所を突っ込んじゃいました^^;
      だって面白いですもん……旅先のアクシデントはちょっとしたものなら楽しく語れるエピソードになりますよね。皆さんの体験談を聞くのが好きです。
      どうぞ私のコメント欄を使ってくださいな^^;

      私は大きなやらかしはないのですが、つい最近、電車の網棚に大事な荷物を置き忘れました。
      幸い終点が次の駅でして…終点が更にもっと先だったらかなりヤバかったです(-_-;)

      そして「ちょい飲み手帖岡山版」、出てきましたよ!Vol12ですが。今なら登録できそうですが。
      これからもくまさんの旅レポを楽しみにしております。
      2024/06/19
    • kuma0504さん
      なおなおさん、
      ホントだ!21年版だけ登録できる!
      でも、これを登録して24年の食べ歩きの記録を書いても反感買うだけのようなきもする。みんな...
      なおなおさん、
      ホントだ!21年版だけ登録できる!
      でも、これを登録して24年の食べ歩きの記録を書いても反感買うだけのようなきもする。みんな、絶対使えないのに!
      例えば
      「ちょい飲み手帳で、わざわざ電車に乗って岡山。ワイン食堂天狗内山下店。高級牛肉には、ここまでガツンとくる辛口赤が合うとは!」しかも、「お会計の時、聞いたのには、今日はたまたま余っていた、普段より3倍の値のつくワインを注いだらしい。フランスのAOCワインである。ラッキー!」とか、読んだら、私ならば頭に来るだけのような気がする。

      そういえば、
      つい昨日旅の終わり、
      「大事な荷物を置き忘れ」やらかしました!
      かなり思い切って買った2750円の図録を、バス待ちのベンチに置きわすれてバスに乗りました。家まで帰って車で駆けつけましたよ!何やってんだろ。

      そういえば今日も‥‥
      カードの抜き忘れで職員さんが駆けつけて持ってきてくれました。何やってんだろ。何か最近富に多い‥‥
      ハッ!これって発症?(((ºдº )))
      2024/06/19
  • タイトルの透明感からして、清々しい青春SF小説のような話かと想像してしまっていた。
    ちょっと違った。
    若き(と言っても30歳の)発明家が悪女にたぶらかされて、資産を巻き上げられた上に30年間の冷凍睡眠に処されてしまう話。

    中盤くらいまで中々話が進まないし、何がこの物語の読みどころなのか分からず悶々とする。
    ただ、読みやすい文章だし、語り口も良いのでするするとは進む。
    だが、「で、何なの?」が付きまとう。
    復讐に燃えるってわけでもなさそうだし。

    中盤以降、タイムリープを交えたダイナミックな展開を見せ始めてからは、序盤のそこここの場面が伏線回収され、おぉミステリ色強の様相。

    1970年に冷凍睡眠されて、30年後の2000年に目覚めるという話なのだけれど、あぁそうか1970年に描かれた2000年の話ね、それだと中々技術革新読み切れないよねーと思いきや原作は1956年作とのこと。
    描かれる全ての年代の様相、そしてさらにその先の現代のテクノロジーがわかっている中で、ものすごくねじれた世相設定(2000年にして冷凍冬眠からの蘇生が当たり前のようになり、ロボティクス社会。でも食堂に電話帳はあるし、ネット的なものも出てこないし、生成AIなんて影も形もない)が面白かった。

    書かれた作品のはるか未来でしか味わえない味わい。
    SFってこういう楽しみ方もあるのかと思った。

    加えて、タイトルが活きてくる最終盤の情緒深さ。
    日本ではハインラインの代表作と言えばで知られる本作だが、実は海外ではそこまで人気ではないらしい。
    何でだろう。
    未知との遭遇的要素が不足してるとか?
    他の作品と作風が違いすぎてるとか?
    機会があったら国外での「ハインラインといえば」と言われている『月は無慈悲な夜の女王』とやらも読んでみたい。

    個人的には、冷静に考えると裏切られた途端に11歳(だったかな?)の少女に救済を求めた都合の良い30男の話なところにひっかかる部分はあるのだが、まぁ猫のピートの愛くるしさだったり、少女側の気持ちを尊重して良しとしましょう。

  • もう70年近く前に書かれたSF小説。

    現代、つまり21世紀を未来の話として描写しており、やはり技術の進化は思い通りにはいかないなと感じます。この分だと22世紀もそこまで変わり映えはしないのかも。

    ストーリー自体は時間旅行がテーマであり、細かいことを気にしない自分にとっては気持ちのいい繋がり方で、終わり方もハッピーで良かったです。現在ではありふれた筋書きかもしれませんが、70年前の作品をこうして楽しめるのは時間旅行に通ずるものがあって面白いですね。

  • 前に読んだ「配達あかずきん」の第4話で『数多いSF名著の中でも、叙情的だが甘すぎず硬すぎず、人気投票では決まって上位をキープする不朽の名作』と紹介されていたので、これはと思って買ってみた。

    皆さんのレビューを見て、初出1956年(!)ということに気がついたが、そこに描かれた未来の姿には夢が溢れている。既に1970年も2000年も過去になってしまったが、今読んでも面白く読めるのだから、当時としてはどれだけモダンな話だったであろうかと思う。
    最初のほうはいく分とっつきが悪かったのだが、ダンがマイルズとベルの二人に騙されたところからがぜん面白くなった。
    冷凍睡眠とタイムマシンを使って二つの時代を行ったり来たり、多少うまく行き過ぎという感じはするが、ダンが自分の知力と気力と行動力をフル回転して望ましい未来を手にしていくまでが楽しめ、読み終わった後もそこはかとなく漂う余韻が心地良かった。

  • 表紙に猫や犬が描かれている本を読みたいと思っていたところ、フォローさせていただいているひろさんが『とても読みやすかった』とレビューを書かれていましたので、読んでみました。
    毎度ながらなのですが、説明が多い第1章について行けず、今回こそ中断しようかな、と思ったのですが、もう少しだけ、と思って読んだら、面白くて一気読みしました。『とても読みやすかった』です。

    猫のピートを最も愛しているダンは、共同経営者である恋人と親友マイルズに、裏切られ、二人に会社を乗っ取られた。傷心のダンは寝て忘れたくてピートと一緒に30年の冷凍睡眠をすることにする。気がかりは自分を気に入ってくれていて、かつ、ピートを可愛がってくれていたマイルズの娘のこと。30年の眠りから覚めたダンは…


    ダンは頑固で真っすぐすぎるところがあります。それが周りを苛立たせもしますが、読んでいてスカッとします。
    11歳のリッキーに注ぐ愛情もダンの真っすぐさとピートをワンクッション置くことで自然に書かれています。

    原作は1957年、翻訳版は1958年が初版。1970年と2000年を舞台に書かれています。出版当時は近未来ものとして面白かったと思います。今読むと、65年前にこういう社会を想像してたかのか、と、比べられるのも大きな魅力の一つです。
    人を信じる気持ちや、猫を愛する気持ちは当時もこれからの未来はずっと変わらないのだろうと思います。ずっと変わらないものを書いているから65年経っても面白く、これからも読み継がれる物語なのだと思います。

    • ひろさん
      ゆうこさん、こんばんは♪
      ゆうこさんも読まれたんだ!と嬉しく、また読みやすかったとのことでホッとしました(*^^*)
      ほんと、出版当時と今と...
      ゆうこさん、こんばんは♪
      ゆうこさんも読まれたんだ!と嬉しく、また読みやすかったとのことでホッとしました(*^^*)
      ほんと、出版当時と今とでまた違う楽しみ方ができますね!
      "ずっと変わらないものを書いているから65年経っても面白く、これからも読み継がれる物語なのだと思います"
      に、とても共感しました( *´꒳`*)
      素敵なレビューありがとうございます!!
      2023/09/09
    • ゆうこさん
      ひろさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      第1章の世界観に入りきれなかったので、ひろさんのレビューを読んでいなかったら、読むの...
      ひろさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      第1章の世界観に入りきれなかったので、ひろさんのレビューを読んでいなかったら、読むのを諦めていたと思います。(SFを読み慣れていないのに三体で頑張ってつらかったんです)。またSFにチャレンジするつもりです。

      この本を読んで、不思議と古さをあまり感じませんでした。
      ひろさんもレビューで書かれているように、大切なものは変わらないんですね。
      またレビューを楽しみにしてますね~♪
      2023/09/09
    • ひろさん
      ゆうこさん♪
      三体は難しそうでしたね。
      それでも頑張って読みきったゆうこさんはすごいなぁと思います(๑>∀<)b
      私もまたSF作品を読みたい...
      ゆうこさん♪
      三体は難しそうでしたね。
      それでも頑張って読みきったゆうこさんはすごいなぁと思います(๑>∀<)b
      私もまたSF作品を読みたいなと思います♪
      ゆうこさんのレビュー楽しみにしていますね~(*´ᗜ`*)⸝
      2023/09/10
  • 本書を読むのは2回目。
    前に読んだのは、2012年のことなので、今から12年も前のこと。「新版」という表記に惹かれて、再読してみた。以前、読んだ時にとても面白かった記憶があったので。
    再読してみての感想は、初読の時とほとんど変わらない。

    この作品は、1956年頃のもの。舞台となっているのは、1970年と2001年であり、今から見れば舞台になっている時期自体が過去のことになってしまっている。1956年に作者のハインラインが考えた、1970年と2001年は、予想と違うことも沢山あった。分かったのは、SFの面白さはそういうところ、すなわち、未来をそれらしく読んでみせる、というところにはないことだ。ハインラインの書いた1970年と2001年が、現実の僕が知っている1970年、2001年と違っていても、物語の面白さを全く損ねないということが分かった、という意味。この物語は、理屈で考えると少し辻褄が合わないな、と思うこともあったけれども、それも物語の面白さを損ねることはなかった。
    ということは、SFというのは、舞台が未来であったり宇宙であったりする、ということだけ。それは、舞台が東京であったり、福岡であったりするのと、本質的にはあまり違いがないことのようだ。「舞台」は書きたいことの背景をなすものであり、それは大事なものだと思うのだけれども、物語の面白さはそれによって決まるわけではないということ。考えてみたら、あたり前のことに気がついた、ということだろう。

    上記が12年前に書いた感想であり、今回読んだ際の感想でもある。
    ストーリーは、ほとんど忘れていた。
    もう少し、抒情的な物語だという印象があったが、むしろ、テンポの良い活劇的な物語。
    記憶の印象とは異なったが、とても面白いことには変わりはなく、今回も一気読み。

  • SFとしては古典中の古典。好きな作品ですが、今一歩主人公の言動等に共感しきれなくて長い間再読しませんでした。2021年になんと、日本で映画化されて、過剰な期待をせずに観たら大傑作に仕上がっていました。観てない人には超お薦めです。1990年代以降の日本に物語がアップデートされていて、原作にある主人公の性格的なエグ味も、上手に抜き取ってあります。原作では主人公の一方的とも思えるヒロインへの感情も、なるほどと理解できます。原作のあるSF作品を、ここまで上手く映画化したスタッフの手腕に感謝です。欲を言えば、エンディングでは山下達郎のアルバム「Ride on time」に入っている「夏への扉」を流して欲しかった!

  • 映画化の宣伝からこの原作を知り、60年も前の作品ということに、更に興味を引かれる。
    オーソドックスなタイムトラベル物ではあるが、ワクワクドキドキで、最初から最後まで本当に楽しい。
    主人公のダメダメなところもまた、面白い。
    親友と恋人に裏切られ多くを失うが、また人を信じる。
    人間という生き物は、やはり一人では生きていけない。
    終盤、主人公のダニーは、ジョンとジェニー夫妻を信用し、助けてほしいとお願いする。
    …ぐっとくるシーン。
    映画は、年代や舞台となる街も違うようだか、きっと面白いだろう。

  •  冷凍睡眠で行く未来の世界といった仕掛けが重要な「SF小説」ではあるが、そのへんのからくりや設定よりも、王道なヒューマンドラマとして楽しめる小説だった。
    (といってもこれは一九五六年の作品。作中の「今」は一九七〇年で、さらにその先の二〇〇〇年に行くお話でどちらも当時から見たら未来。発表時の読者だったらどんな感想を持っただろうか。)
    ※ミステリーじゃないし別にこれしきでは何も損なうまいと、あまりネタバレ配慮せず書いてます。ご了承ください。

    ■猫小説として
     ヒューマンといいつついきなり「猫」だが、冒頭から、これ完全に猫小説として読めるなあと思った。
     ダンは猫のピートの猫としての性質をよく心得ており、谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』をつい思い出してしまうほどだ。恋愛関係でも、血縁という意味での家族でもないけれど、絶対に欠けてはならない存在で、言葉はなくとも互いに通じ合っている。しかも、他人が簡単には入ってこられないような特別感もある。

    ■恋愛小説として
     そんなダンとピートの関係に、少女のリッキーだけがすんなりと入ってこれた。やはり彼女もダンにとって特別な存在である。SF的方法で「年の差問題」を解決するという大胆さ、趣味が分かれるとは思うが、大味で良いのだと割り切れば、恋愛小説としてもじゅうぶん満たされる。

    ■技術者小説として
     技術一辺倒の、法律とか経営とか営業とかはからきしダメなエンジニアである主人公。それこそがかっこいいエンジニアなのだという価値観がベースにありつつ、ちゃんと最後には社会的にも勝つところがスカッとする。
     アルブレヒト博士、トウィッチェル博士、弁護士のジョン・サットンなど、いろんな道のプロフェッショナルたちも印象的だった。

    ■夏とは
     「夏への扉を探している」という表現も詩的で良い。昨今の夏は暑すぎて命の危険すらあるので、しっくりこない気がするのはさみしいことだ。
     冬の対極の夏が持つ熱とは、結局のところなんだったのか。人とつながり信じることを諦めないこと、だったのではないか。

  • 冷凍睡眠本当にあったらいいな
    と思い読んでました。
    2001年が未来の設定でしたが
    残念ながら(?)そんな画期的が
    機械とかないから本当に欲しいなー(笑)

  •  随分前の「本の雑誌」でオールタイムベストに「透明人間の告白」などと一緒に挙げられていた本。ずっと前に買っていたけど、積ん読になっていました。

     書名からは分かりにくいけど、タイムマシン、時間旅行もの。1960年代からみた1970年、2000年の未来の物語。

     とにかく面白い。ページを捲る指が止まらない。60年経った今でも、たまらなく面白い。たぶん、社会やモノについては、60年前の読者とは読み方は異なるんだろうけど、でもそのストーリーは普遍的に面白い。だからオールタイムベスト、なんでしょう。

     あえて、感想のみです。未読の方は、是非読んでみてください。

     それにしても書名で「損」している気がします。もっと直裁的な書名の方が、この本を「知らない」人にとっては手に取りやすいかなぁ。

  • 内容的に言えば、現代で読むと感想が「普通・珍しくないな」になってしまう。が、忘れてはいけないのは【60年も前】に書かれたものだということだ。文化女中器においては少しでも女性の家事全般の負担を減らす目的で作られたという着眼点に驚いた。当時からそういった価値観なのか、それとも著者の考えなのかは分からないが当時の日本でこれを読まれた読者はどう感じたのだろうか。

    あとはピートがもっと出てくるのかと思ったけど、あまり出番がなくて残念だった。

  • そう言う訳か、、、

    山崎賢人「夏への扉 ―キミのいる未来へ―」2021年2月に公開決定、初映像も到着 - 映画ナタリー
    https://natalie.mu/eiga/news/399113

    夏への扉〔新版〕 | 種類,ハヤカワ文庫SF | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014711/

  • ひとつ前に読んでいた『あたしたち、海へ』の中にタイトルが出てきて、そういえば読んだことなかったな、と選択。すごく良い時間を持てた。読むきっかけが出来て本当に良かったと思う。
    1970年と2000年の世界を、冷凍睡眠と時間旅行で疾走するSF。過去の時点から描かれる未来なので、我々にとっては通り過ぎてしまった時代だからこそ、技術のズレは往々にしてあるが、エンジニア視点で整然と語られるので、そのズレは段々気にならなくなっていった。と言うよりも、物語のハラハラ感の方が勝って、その「想定上の未来技術の設定」が二の次にさせられたというか。「この先どうなるんだろう?」というミステリを読んでるときと同じ感覚でのめり込んでいた。
    色々な伏線が回収されて、最後の最後で気持ちの良いハッピーエンドになったの、すっごく良かった。読後感が最高。これは本棚にさしておいて、何年か経ってから読み直したいなあ。

  • 夏が来たので、超有名SF作品である本書を読んでみた。
    あらすじを全くみずに読んでみたが、色々な要素の詰まった一作でした。
    冷凍睡眠、タイムマシン、ロボット等々、SFとしてよく扱われる設定が王道的かつ面白く使われていました。
    また、サスペンス的な要素もあったり、時を跨いだタイムトラベルを用いたミステリーとしても読むことができて、読みやすかったです。
    出てくるキャラクターもとても魅力的でした。
    トウィッチェル博士をわざと怒らせて、タイムマシンを使わせるシーンは笑えました。
    後半に出てくるジョン•ジェニィ夫妻とのシーンは、信用しあえてて感動的でした。
    そして愛猫ピートがとにかくかわいい。

  •  主人公の性格や考え方が文系人間の私とは違い、とても面白かった。ほとんどの技術者はこんな感じなのかな? 主人公はどの時代にいても技術者として生きていけてすごい。
     今までなぜかSF小説はあまり手に取ることがなかったのだが、表紙のイラストに惹かれて読んだ。前半の主人公が騙され、身ぐるみ剥がされるところは読んでいて気持ちのいいものではなかったが、後半徐々に謎が明らかになっていくところがとてもスッキリして面白かった。

  • よく見る名作をようやく読んでみた。昨年末出版されたばかりの一番新しい版。
    翻訳物を久しぶりに読んだためか、入り込むまでに少し時間がかかったけど、一度入り込んでしまうと一気にのめり込んだ。
    これが65年も前の1956年に出た本だとはとても信じられない。そのくらい今読んでも全然違和感がないし、鮮やかな展開で、何より読んでいてワクワクするSF。未来へ行ったり過去へ戻ったりする描写は、なんとなく「ドラえもん」を観ているようだったし、主人公が発明するロボットの描写では現代のルンバやペッパーくんを思い浮かべた。
    それにしても「冷凍睡眠」で歳を取らないまま指定した未来へ行けるのはいいとして、トウィッチェル博士のタイムマシンは未来へ行くか過去へ行くか分からないなんて恐ろしすぎる賭け。
    この本を読んで一番嬉しかったのは、「未来はいつだって現在よりずっと良い」「世界は日に日に良くなりつつある」と確信を持って言い切っているところ。あとは「神が与えた体と頭脳で人間が行うことに、パラドックスなどあり得ない」という言葉も印象的だった。なかなか未来に対して希望を持ちにくい現代において、このポジティブで強い言葉をお守りのようにしたいと思った。

  • なんやかんやで面白かった。

    親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしい、さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか。


    永遠の名作ということでいつか読んでみようと思っていたのだが、ずっと積読本になっていた。
    ようやく読了。

    話が走り始めるまでの前置きがとてもじれったく、また主人公のダンの自分語りやロボットの詳細な説明に少し辟易としたが、中盤あたりで物語が進み始めるとこういった口調や物言いも愛着が湧き、最後は一気に突っ走ってしまった。

    いわゆるタイムトラベル物のSFなのだが、物語の起承転結の展開が絶妙で、「転1」「転2」・・・ぐらいの展開になっているため、嫌が応にも物語に引き込まれてしまう。
    また、硬派なSFにあるように物語の焦点がタイムパラドックスの解消などといった部分ではなく、時をかけることで成熟していく人間模様を描いているので、SFがあまり得意ではない自分にもすんなり受け入れられた。

    「夏の扉」という表題も粋だなと思う。

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