NSA 下 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2022年1月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784150123536

みんなの感想まとめ

歴史改変SFの本作は、ナチスドイツという舞台に現代の情報技術を巧みに融合させ、独自の視点から物語を展開します。プログラマーが「プログラムニッター」として描かれるなど、当時の社会背景に基づいた設定が興味...

感想・レビュー・書評

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  • NSAがナチ直属機関の傘下に吸収されると同時に、危ない橋を渡ってきたレトケとヘレーネの二人に突然破滅が訪れる。遺恨ある女性への悪事がばれたレトケ、ユダヤ人の親友の消息を探るための機密情報への不正アクセスが発覚したヘレーネは、共にNSAを追放されてしまう。アーリア人として優秀な遺伝子(AAA)を持つレトケは生殖マシンとして生かされ、ヘレーネは(恋人のブラジル脱出を条件として)忌み嫌うナチス高官の妻に一旦収まったが、国外脱出を試みて失敗、ビルケナウ収容所に収監され…。

    だが、優秀な二人のタッグは、図らずもヒトラー・ドイツ帝国の原子爆弾の開発を後押ししてしっていた。また、ヘレーネは人工知能による監視技術の進展にも大きく貢献してしまう(監視技術の進展は二人の首を絞める結果に)。

    そして驚愕の結末が待っていた。なんと、原子爆弾を完成させたドイツ帝国は、早速ロンドンとモスクワに原爆を投下し、第二次世界大戦に勝利する。核の威力で世界を牛耳るドイツ帝国は、人工知能による徹底した国民の監視と、優秀アーリア人の血統を守るための人為的な生殖、埋め込みチップによる洗脳等々を通じてディストピアを完成させましたとさ。

    読み応え十分の、壮大なディストピア小説だった。物事が淡々と進むので、読んでいて息苦しさもあまり感じなかった。歴史改変小説なのに(現代的な)リアアティ高かったなあ。

    (あと数年もすれば)「広大で肥沃な大地があるウクライナとクリミア半島がドイツ領になる」なんて書いてあるのも刺激的だった。

  • ナチスドイツを舞台にした歴史改変SF。ナチスに現代の情報技術を持ち込んだというよりも、現代のインターネットに網羅された世界を当時の歴史的背景に近づけたものとして読むのが良いと思った。
    作中ではプログラマーがプログラムニッターと呼ばれており、女性の仕事として認識されている設定が面白いと思った(実際にいくつかの国ではそのような認識が認識があるらしい)。またディープラーニングによる完全な支配が完成していく様も良かった。結末は好みが分かれると思う。

  • 下巻のたたみかけるような展開で最後まで一気に読んでしまいました。
    上巻の後半から下巻にかけて少し雑な掘り下げは気になるところはありましたが(もう少し話が展開すると思ったら何もなかったり、魅力的なキャラはあまり何も重要な展開はなかったりなど)ジェットコースターのような展開で面白かったです。個人的にはこういう終わり方は大好物です。

  • 非常に面白い。ベストのSF小説だ。
    それにしてもこの読後感は恐ろしい。1984だ。この小説世界のコンピュータ科学が近いうちに現実世界でも利用され、小説のような世界が本当のリアルになりそうで恐ろしい。

  • 途中若干長くて辛かったけど、面白かった。

    たまたま最近ヒトラーについてやドイツの大戦時の概要を学んでいたので、歴史の改変の概要が理解できて良かった。
    コンピューターについては、プログラムの概念にそこまで明るくないので、「きっとこれは、プログラムで言うあれなのかなぁ…」と推察する程度。AIのプログラムの話が出てきたと思うんだけど、もう一息詳しかったらなぁ…なんて思った。

  • 後半、終盤はゾクゾクして手が止まらなくなった。ヘレーネが「無口」になってしまったときの独白がすべてを物語っているように思う。全体主義とインターネットは相性が良すぎる。その結果、自ら言葉を発することの無意味に気付いてしまうというのは非常に納得感のある恐怖だし、かなり現在進行形の問題とも重なってくる。

    コンピュータを生業にしていることもあり、肝心の背景にある技術的な部分がほとんど語られていないのはどうしても気になってしまう。解説にも書かれていたとおり、そこをツッコむのは野暮なのかもしれないが、しかしこの時代のイギリスにはチューリングがいたし、アメリカにはノイマンもエッカートもいたんだぜ?ってつい言いたくなってしまう。そして計算機の発展は他のあらゆる学問の発展を進めるだろうに、その兆しがあまり見えないのもやはり気になる。この時代に仮に情報科学がこれほど発展していたとして、そこで天下を取るのがドイツになるという必然性は、どうにも見出せないのだ。

  • なぜなら、女はいつでもズボンをはけるし、誰も変だと思わないが、男がスカートをはいたら、みんなの笑いぐさになるばかりでなく、拘置される可能性が高い。ジェンダーの状況というのは、かくも非対称なのだ。


    人間は自由に決定できるなんていうの嘘だ、と彼女は知っていた。重要なことを人は「自由に」選択するのではなく、より良いと思うオプションを選ぶにすぎない。問題は、たいていの人はそれに気づいていないということだ。本当は決めているのではなく、推測しているにすぎないのに。それは多かれ少なかれ運なのである。

  • 上巻を読み終わった時は、こんな結末を予想できなかった。第二次大戦前からインターネットが普及しているという架空の世界の話だが、ネット技術を駆使して国民を監視したり情報を集めるドイツの国家保安局で働く2人が主人公。子どもの頃からの恨みを延々と持ち続けて女性に性行為を強いるレトケと、自分の容姿に自信がなくて卑屈になっているがプログラミングの才能があるヘレーネの2人が交互に語られる。戦時中だろうが自分の悩みや欲望の事にしか関心のない2人が全く好きになれずモヤモヤしたが、目的の情報を見つけ出すためにプログラムを考えて成功していく過程が興味深いと共に背筋が寒くなる。無自覚に便利に使っているインターネットが、権力に握られて支配の手段に使われた末の結末は想像を上回るディストピアだった。現代に生きる私たちの状況にも重なる怖い話だ。

  • 凄い!これぞ小説!凄えエンデング!こんな所に感想書いてると N S Aに!
     皆んな SNSは民主主義の敵だと言った人がいるが、まさに、スマフォごと蓄積されていて、ある時突然!国家の敵として逮捕されるかも!
     改変歴史S F最高だなあ!ビビったなあ!上下で1千百ぺージ超えるが怒涛の読書や!おすすめします!

  • ナチスがコンピュータ、ケータイを実用化してたら、って設定は荒唐無稽やし、展開も雑っちゃ雑やねんけど、その辺のアラも気にならんくらい強い。
    以下ネタバレ


















    ナチスは勝つし主人公は不幸になるしめちゃくちゃバッドエンドやねんけど、そこまでのドライブ感はなかなか。
    あと、感情移入するとこやないんやろうけど、ナチス上級幹部やのに妻に裏切られまくりのルドルフかわいそう。鎌倉殿の八重さんの旦那をちょっと思い出した。

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